ガーディアンが行く場所 オレは臆病な君を守り続ける 作:孤独なバカ
ここまで長かった。
「んで後どのくらいだ。キリト。」
「いや、もう大丈夫。」
SAOが始まってから5ヶ月オレたちは攻略組トップギルドと言われるまでに成長していた。
人数はたったのオレ、キリト、アスナ、アルゴ4人、
希望者は何人もいたが審査の時点で外してきた。基本的にアスナ目当ての男性プレイヤーだから、どうしても断わる外ないのだ。
しかし、一人一人にあだ名がついていて、レベル、スキル熟練度、プレイヤースキルに関してはほぼ完璧までと言われている。
そして、オレがあるスキルをゲットしたことから余計に注目されるようになったのだ。
「んじゃ戻るか。そろそろアスナも買い物から帰ってくるだろうし。」
とオレが町へ戻ろうとすると
「……バランスの悪いパーティーだな。」
「あぁ」
少し大きめのモンスターからパーティーが前からやってくる。盾といえるメイルが一人だけ。他は槍使い二人と棍使い一人そしてシーフ一人というパーティーだった。「んじゃキリト、助けるか。」
オレは片手剣を抜く。
キリトも頷き片手剣を抜いた。
「助太刀しましょうか?」
リーダーだと思われる棍使いに声をかける。
「すいません。お願いします。やばそうだったらすぐ逃げていいですから。」
「キリトは殲滅、オレも殲滅でいいか?どうせ余裕だしな。」
「了解。」
「キリト?」
「んじゃ。メイルさんスイッチ」
オレはメイル使いの前になると片手剣ソードスキルホリゾンタル・スクエアを一体に放つ。オレの一撃でゴブリンは体力の半分を削り、キリトがとどめをさす。
そしてパーティーが全員回復する頃にはもう半分も残ってなかった。
そしてゴブリン隊は簡単に殲滅できオレは片手剣と盾をしまう。
「えっと、大丈夫ですか?」
オレが声をかけると見知らぬパーティーは歓声を上げた。キリトは驚いていたがそれが普通だろう。
「とりあえずだけど死者はいないか?」
「はい。ありがとうございます。えっと。」
「ユニバースだ。そっちはキリト。」
すると一人の顔色が変わる。
「もしかして、青い騎士と黒の剣士。なんで攻略組トップギルドのお二人がこんなところに。」
「まぁ、クエスト関係かな。そんな堅くならないでください。多分そっちの方が年上なんですから。」
オレは苦笑してしまう。
「とりあえず、今日は終わりなら護衛しましょうか?」
「心配してくれて、どうもありがとう。それじゃ、お言葉に甘えて、出口まで護衛頼んでいいですか?」
「別にいいですよ。んじゃキリト、戻るか。」
オレが先頭で戻ろうとすると誰かにこんこんと叩かれる。振り向くと紅一点の黒髪の槍使いがいた。目には涙を滲ませながら何度も繰り返した。
「ありがとう……ほんとに、ありがとう。凄い怖かったから……助けにきてくれた時、ほんとに嬉しかった。ほんとにありがとう。」
「……」
涙目ながら話す少女。オレは初めて強くてよかったと思えた。
オレはアスナとアルゴに連絡して20層に来るように伝えた。アスナは素直に来てくれた。
「アスナ、来たか。」
「ユニバース君どうしたの?」
「だからメッセージで言っただろう。クエストしている途中に助けたパーティーからお礼がしたいから言われたから素直に甘えることにしたんだよ。」
オレはアスナと歩く。
「それに珍しく女のプレイヤーがいたんだよ。流石に男ばっかりだからちょっと悪いわよ。」
「女性プレイヤーが居るの?」
「あぁ、アルゴに聞こうとしたんだけど今回は仕事入っているらしい。はぁ、これアスナが来てくれて本当によかったよ。」
オレは笑う。今一人でキリトに任せている。
そしてしばらく歩くと昔よく飯を食った店があった。
扉を開けると
「あっ、こっちです。」
思いっきり手を振るシーフの男性。
オレは苦笑して入っていくと飲み物とよくここで食べた料理が置かれていた。するとみんながドリンクを持ち
「えっと、それじゃ月夜の黒猫団に乾杯。」
「「「乾杯」」」
急に音頭をとられたので、あっけにとられてしまう。
「そして命の恩人、キリトさんとユニバースさんに乾杯」
オレたちを見つめる月夜の黒猫団のみんなに
「「「か、乾杯」」」
オレたちは曖昧に返すしかなかった。
そしてしばらくたって食事会が始まる。
しばらくオレとキリトはポカーンとしていたが月夜の黒猫団のリーダーのケイタが明るく話しかけてくる。
どうやらリーダーは棍使いのケイタ、シーフのダッカー、槍使いの男性はザザマル、槍使いの女性はサチ、盾職のテツオであることもわかった。
そしてオレはこのギルドはいいギルドだと思っていた。
「いいギルドだな。笑顔が耐えないし何よりも団結力がある。」
オレたち攻略組はソースの奪い合いでギクシャクしている。とくにオレたちはすごく楽しそうに見えていた。
「もともと同じ高校のパソコン部のメンバーなんだよね。」
「なるほどな。でも本当にいいギルドだと思うよ。攻略組はけっこう内部がギスギスしてるところも多いから。」
「あの、失礼ですがレベルって?」
「48。」
するとキリトとアスナがびっくりしている。
「ちょっと、ユニバース君いつ上げたのよ。」
「夜中のちょっと前に生産スキルを使ったクエストをやっているんだよ。オレは一層の時から裁縫上げているからそれ関係だな。」
「あっそういえば4層の時地味に持っていたな。ってことはあの反復クエストか。」
「一応おかげで熟練度は500越えてるぞ。」
「上げすぎだろう。」
キリトがため息をつく。
「48って」
「多分今だったらこの世界ではレベルは一番上だろうな。やることなさすぎるんだよ。」
「そんな余裕あるのはユニバース君だけだと思うけど。」
アスナがため息をつく。
「まぁ最近はあの化け物みたいな奴に負けてそうだけどな。」
オレはため息をつく。
25層のボス攻略戦でかなりの被害をオレたち攻略組は負わざるを得なかった。その中でオレたちのギルドはとある男とほぼ4人だけで25層攻略ボスと戦うことになったのだ。
「何だよ。神聖剣って。あんなチート聞いたことないぞ。」
オレは盾職だが布装備を着ている。キリトから言われて回避能力が高いから行動力が落ちる金属装備よりも布装備で戦った方がいいと言われたのだ。
「えっと、ユニバースさんそれって血盟騎士団のヒースクリフ団長のことですよね。」
「あぁ、ユニークスキル持ちのことだよ。」
あの防御力はずば抜けている。正直なところうらやましいの一言だ。
あいつがいなかったらもしかしたら負けていた可能性もあった。
「まぁ、いいや。そういえば前衛は一人だけなのか?」
するとケイタが苦笑いして
「そうなんだよ。レベル的にはさっきのダンジョンくらいなら充分狩れるはずなんだよ。ただスキル構成がさ……ユニバースさんももう分かってると思うけど、前衛できるのはテツオだけでさ。どうしても回復がおっつかなくて、戦ってるうちにジリ貧になっちゃうんだよね。」
ケイタが言う通り盾職が一人のパーティー編成はかなり厳しいといえる。オレのパーティーはキリトもかなりの耐久力があるのでオレが盾、キリトが両方でアスナがアタッカーといえる。
「だから本当はもう一人入ってくれたらずいぶん楽になるんだけど、それに……おーい、サチ、ちょっと来てよ。」
ケイタが手を上げてアスナと話していた槍使いの女性プレイヤーだった。
「こいつ、見てのとおりメインスキルは両手用長槍なんだけど、もう一人の槍使いに比べてまだスキル値が低いんで、今のうちに盾持ち片手剣士に転向させようと思っているんだ。」
「やめた方がいい。」
オレはケイタに向けて一言言う。
「正直なところ後衛から前衛に転向させようしたパーティーが壊滅したと言う事例があるんだよ。とくにサチさんはさっき見る限り性格は怖がりなんだろう。それなら後衛がギリギリだな。」
実際自分が盾職だからこそ分かる特徴。サチには流石に盾職をやらせるのは酷だと思われる。
「サチさんはもう何度か、前衛やらせたことあるのか?」
「うん。でも後ろで敵をチクチク突っつく役だったんだけど、それが急に前に出て接近戦やれって言われても、おかっないよ。」
「……だろうな。オレも正直ヒヤヒヤすることがあるし仕方ないよ。」
オレは盾職だから一番HPが減る職でこの中でもイエローゲージまで落としたことがある。そのときのヒヤヒヤする感じはいつまで経っても消えなかった。
「……そっか。サチごめんな。」
「ううん。気にしないで。」
オレは少し考えてから
「なぁ、ケイタたちは攻略組に来るつもりはないか?」
するとキリトが反応する。
「おい、ユニバース、どういうことだ。」
「正直なところこんな下位層よりも最前線プレイヤーの方が安全だろう。レベル上げやすいしな。それに25層攻略ボス戦で軍の奴らが撤退しただろう。だから少し攻略組が増えてくれるのはありがたいんだよ。それにオレたちもいつまでも風林火山のクラインを頼るばっかりじゃいけないだろうしな。」
「そうだね。でも大丈夫なの?」
アスナの疑問は動きとかの問題だろう。
「さっき動き見ていたけど動きは良かった。ただ伸びないのは前衛が足りないせいだと思う。」
「でも、僕たちレベルが。」
「レベルならオレの装備が少し余っているから上げるから2ヶ月、いや1ヶ月くらいあれば攻略組と同じくらいまで上げられると思う。もちろんオレもレベル上げは手伝うさ。キリト、アスナはどう思う。」
「うーん。ユニバース君がいうんだったら別にいいんだけど。」
「オレも、流石にこのパーティーは危ないと思うしな。」
どうやら信頼されているのかオレに賛同意見をくれる。
「まぁ、どうだろう?オレたちのパーティーに入ってくれないか?」
オレが言うとケイタたちは少し話し合う。そしてオレの方を見て
「じゃあ、お願いしてもいいかな。」
「あぁ、よろしく。」
オレとケイタが握手する。
これがオレたちと月夜の黒猫団との出会いだった。