ガーディアンが行く場所 オレは臆病な君を守り続ける 作:孤独なバカ
「……む〜カズトのケチ。」
と剥れている千代を前に苦笑しながら俺は千代の愚痴に付き合っていた。
とはいうもののシリカの件は一件というか千代の一人だけ納得してないことで終わった。
「でも本当にそのロザリアさんだったよね。女の人らしいけど…」
「……まぁ、確かに見た感じは少し強めのギャルって感じだけども、まあ確認しだいかな。見た目が外見は完全に一致してるし。ほとんど確定だと思う。」
しかし言い方や身なりなんてここじゃすぐ変えられる
「でも、たとえそういう奴をアスナもカズも許さない奴ってよく分かってるだろ。……本当の命がかかってるしな。」
「……そうだけど。でも。」
「まぁ、俺も休みたかったけど、さすがに状況が最悪に近いからな。」
「そんなに?」
「シリカがパーティー組んでから約3週間。そこから考えるともうそろそろ狙い目だろ。防具も何も買っていなくてスピリッツタガーを買い換える為に資金も貯めてたらしいからな。」
シリカから聞いた話だと
「それでも……」
と不安そうにただ俺を見ている千代に
「死なないよ。」
その一言だけいう
「絶対死ねない。千代を残してなんか死ねない。……絶対死なないし死ねないよ。まぁ危険な目にはこのゲームから脱出するまでは無茶も危険な目に会うことがあってもそれでも生きるから。絶対この家に帰るから。」
「……うん。」
と少しだけ寂しそうにしている千代に少しだけ笑ってしまう。
サチと付き合ってからもうプレイヤーネームで呼ぶことはなくなりもう千代と呼ぶことが多くなった。
そして少し心配性がひどくなった
不安で仕方ないのだろう。昨日も今日も俺が圏外に行くことを拒み。ただをこねた子供みたいになってしまう。
まぁ、あの件と自分の自業自得なんだけど
「それに……ちょっと孤児院のこと思い出してな。」
「……えっ?」
「シリカと同じくらいの女の子って結構いるんだよ。普通男子とかが多いんだけど……こっちは女子の方が多かった。だからかなぁ。なんか嫌な気持ちになるのは。」
「……」
「孤児院の奴に仲がよかった奴なんか一人も居ないけどそれでも、やっぱ気になるさ。こんなゲームに巻き込まれて戦ってるんだもん。怖いわけがない。サチだって分かるだろ。」
「……そうだね。」
……だからかもしれない
本当なら見過ごすことだってできた。
ただ千代と同じ立場の女の子を見過ごすわけにはいかない。
「……寝よっか。千代。」
「うん。」
と俺たちは寝室へと向かった。
「はぁ。」
「……どうしたんですか?ユニバースさん。」
「別になんでもないよ。」
そしてもう一回ため息をつく。俺たちが待ち合わせ場所につくと少し二人とも集中力が欠けていた。
まぁ、予想はしてたけど
「そういや、アスナ。キリトとデートにいくとか言ってた奴どうなったんだ?」
「えっ?」
「お前リズが言ってたぞウキウキで黒の戦士様とデートしに行ったらしいじゃねーか。」
「ちょっとリズ〜!!」
するとアスナが大声をあげる
「いや〜アスナさんやりますなぁ〜。しかも手作り弁当持参で。第一層の時キリトからもらったクリーム付きコッペパンを一生懸命にほうばっていた時とは大違いですな。」
「ちょっと!!あれは、お腹が空いてて。」
「それに一時的に鬼女って言われてたのは。」
「それは……その。」
「プッ」
するとシリカが笑い出す。悪いけどアスナには犠牲になってもらった。
「緊張は抜けたか?一応昨日のことは一旦忘れろって言っても無理だけどそれでもシリカにとったら上層だ。アスナの防具を借りてるにしろHPは俺とアスナより低いんだ。目の前の敵に集中しなければ、死ぬぞ。」
「は、はい。」
「アスナももっと力を抜け。そうしないとお前いつもの速さがなくなるぞ。」
「えっ。うん。」
「アスナもシリカも一応安全圏にいるけど圏外ってことを忘れんな。一歩クリがでたら引いてポーションで回復、そしてアスナはシリカがあのツタや触手で捕まった時の対処よろしく。俺じゃアレは対処しづらいから。」
「……フフッ」
するとアスナが笑い始める
「どうしたんだよ。アスナ。」
「ううん。やっぱりユニバースくんだって思って。」
「なんだよ。」
「別に〜じゃあ攻略始めますか。」
「まぁ、いいけどさ。一応最終は思い出の丘攻略。運が悪ければ例の案件に突っ込むってことで。」
すると二人は頷く。まぁ分かっていることを再確認してるだけなんだが。
「んじゃ、行くか。転移フローリア。」
すると目の前が青い光に包まれそして花畑が見える
「……うわぁ〜」
するとシリカが驚いたようにその階層を見回す。
「フローリアはフィールドも一面花畑で観光スポットとして人気なんだよ。まぁデートスポットとしてもかなり有名らしい。だから男女ペアが多いだろ?」
「へぇ〜そうなんだ。」
するとアスナが驚く。
「あれ?意外か?」
「だって。エリアのアレを見たら…」
「……まぁそうだけどさ。」
「アレってなんですか?」
「さっき言ってたモンスター。食虫植物をモデルに作られてる。あれ、軽装備だったら簡単に捕縛されるんだよなぁ。」
かなり気持ち悪いモンスタがここには多い。しかし弱く経験値も多めだからアリ塚が空いてなかったらここでレベ上げをしていた。
すると嫌そうにシリカとアスナが俺の方を見る
「なんだよ。」
「いや。なんでユニバースさんはそんなに平気そうなんですか?」
「うん?男子ってそういうもんじゃないか?あんまり気持ち悪いと思うことがないよな。男子って案外そういうとこあるし。基本男子と女子で価値観が違うしな。例えば美容とかそうだろ?化粧を女性はするけど男子はそう言ったことを気にしないし気にならない。まぁ肌年齢とかだってだからどうしたって思うしな。サチが時々話すけど俺にはよくわからないし、逆に女子とかはラジコンカーとかガンプラとかやってる人は男子に比べるとやっぱり割合が減っているだろ?」
「つまり、どういうことですか?」
「価値観の違いだよ。例えば俺らのギルドってよそからみたら最強ギルドとか色々言われているけど、実際のところは俺たちにそんなつもりはない。ってかトラブルに巻き込まれるのが見え見えだからな。だから最強ギルドは俺たちじゃない。それに。」
俺は息を吐き
「俺はそんなことを目指すためにこのギルドを作ってはいない。」