ガーディアンが行く場所 オレは臆病な君を守り続ける   作:孤独なバカ

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我が家

「やっと終わった〜!!」

俺は手を伸ばし息を吸い込む。

外の空気は味がないはずなのに美味しいと感じる。

本当の軽井沢にいったらこんな感じなのかなと思う。

周りは森林に覆われ歩いて5分もかからないところには湖がある。

そこに一つだけヒノキの木みたいで香りが良く気持ちいい。

部屋にはさっきまでカタログで見ていた家具が置かれていた。

結局俺とサチと悩んでいる時間が長く丸々五日間考えたこともあり決定した。

その間ずっと考えていたのだが、その結果大晦日の午後四時三十分にやっと片付けが終わった。

「お疲れ。お茶入れるね。」

すると手慣れた様子でお茶を淹れてくれる。

「サンキュ。」

俺はサチが淹れたお茶を飲むためにテラスからリビングへと戻る。

「そういえば今日ってキリトとアスナが来るって言ってなかったか?」

「うん。今日そばに似た者をみんなで食べようって言っていたからもうそろそろ来るんじゃないかな?」

「ケイタも来れればよかったんだけどな。あいつクラインとエギルと一緒に飯食いにいくんだろ。」

あいつらなんか意気投合したらしくよく飯を食べにいくようになったとキリトから聞いていた。

そしてキリトと俺を肴に酒を飲み、夜中まで休日は愚痴をこぼしているらしい。

正直なところサチと二人きりで年末は迎えたかったがアスナからの

「キリトくんが忘年会やろうって言っているんだけど、もしよかったらどうかな?」

というさそいに断れずに俺たちの部屋で新年をむかえることになった。

ということになるとキリトの友人は少ないのでアスナくらいだろう。

でもアスナ。

たぶんキリトはアスナだけを誘っていたんじゃないのかな?

とりあえず苦笑しながらも了承し俺たちは頷いた。

「キリトも災難だよね。アスナに勇気出してデートにさそったのに……」

「それな。あの後キリトの愚痴に付き合わされたからな。」

まぁアスナもテンパっていたからしょうがないだろう。てかキリトが誘われると思っていなかったんだろう。

まぁ大半は俺のせいだけど。

俺が荒れたころにも月に一度は様子見に来たので暇な時間がなかったのも一つだろう。

まぁキリトにヘタレは半年前から変わらないしな。

正直ケイタ以外には付き合い始めたとはいったけどある報告だけはしていない。

「ついでにあのことも話すか?」

「……うん。」

顔を赤くして頷くサチに苦笑する。

俺たちが話しているとコンコンとノックの音が聞こえた。

たぶんだけどキリト達だろう

「んじゃ出るわ。」

「うん。よろしくね。」

といいながらお茶の準備をするサチ。

俺がドアを開けるとキリトとアスナがいた。

「よう。キリトとアスナ、二日ぶりか?」

「うん。そうだね。」

「それで片付けは終わったのか?」

「あぁ、ついさっきな。まぁお茶しか出せないけどゆっくりしていけよ。」

俺がいうとお邪魔しますと二人が中に入る。

「へぇー。中はこうなってるんだ!。」

「結構広いし近くに湖もあるからなかなりいいとこだろう。まぁ主街区からかなり離れてるのがちょっと不便だけどな。」

「それでもいい物件だろうな。でもお前買えるような金あったんだな。」

「あまり食事も睡眠もとってなかったしコルが少ない敵でも繰り返し狩ってるとやっぱり増えていくんだよ。まぁ基本ドロップ品で剣とかはどうにかなったし、それにいつも余ってる道具は基本売ってたから。」

「コルは余っていたわけか。ところでここいくらだったんだ。」

「3Mぐらいだな。」

「ちょっとキリトくん、ユニバースくんきてすぐにお金の話をするのやめてよ。」

アスナが困ったように俺たちの方を見る。

「隣の物件空いてるし引っ越すんなら早めの方がいいぞ。」

「あぁ。考えておく」

するとうーんと考え始めるキリトに苦笑してしまう。

リビングに入るとサチがもうお茶を出して待っていた。でも

「なんかこうしてみるとキリトと俺ってタメなんだなぁって思うなぁ。」

「そうなの?」

「ベータテストの時こいつが嘘ついてなかったらな。」

「えっとキリトと空太が同じ年ってことは年下なんだ。」

「えっ?空太?」

アスナがびっくりしたように俺たちをみる。

「あぁ、空太っていうのはリアルでの俺の名前だよ。永江空太。俺の本名。ここではお互いにリアルの方で呼び合うようにしてるから。」

「えっと、私たちに教えちゃっていいの?」

「別にいいっていうかどうせオフ会するんなら互いの名前とどこに住んでるかは言わないと会えないんだしそれに。」

俺は一瞬ためらったが

「たぶんサチとはゲームクリアの瞬間一緒にはいられないから。」

するとアスナは目を下に向ける。

そう俺は半年後確実に前線に戻る。

今サチはレベルもスキルも戦闘職から離れており今から前線に復帰するのは難しいだろう。

つまり俺は100層にいるときはサチはボス部屋ではなく、ギルドハウスで事務仕事をしているだろう。

だから互いに自分を教えないとサチと現実世界で会える可能性は減るだろう。

「そっか。」

「なぁ、ユニバースお前今永江空太っていわなかったか?」

キリトが名前に反応した。

「言ったけど。」

「それって剣道の永江空太か?」

「あぁ。その永江空太であってる。」

キリトはやっぱりと頷く。

「ってかよく知ってたな。剣道やってないと知らないだろ。」

「妹が剣道やっているから知ってるんだよ。孤児院暮らしで全国制覇したって言っていたけど。」

「それは本当だよ。」

「でもなんでナーヴァギアを手に入ったの?孤児院じゃ必要最低限のものしか与えられないんじゃないの?」

「あぁやっぱりそこに触れないといけないよな。」

俺はため息をつく。

「簡単だよ。俺はナーヴァギアを茅場からもらったからだ。」

「「えっ?」」

「茅場に実証実験と言われてβ版からの研究データを取られていたんだよ。」

俺は苦笑してしまう。

「多分だけど茅場の目的の一つに俺をこのゲームに巻き込ませるっていうのもあると思う。その証がこのユニークスキルにあると思う。」

突然出てきたユニークスキル。

「ユニバースお前、その前に茅場とあったことは。」

「いや。一回もない。基本外にでるときは剣道くらいしかなかったし。学校にもあまり行ってなかったしな。あっちがわはどうやらマークしてたらしいけど。」

俺の経歴を知っていたからな。あっちは。

「そっか。ならなんでユニバースくんを?」

「私たちも考えてるけどわからないんだよね。」

サチも苦笑している。

「まぁ、正直俺はこの世界に来て良かったと思ってる。だから気にすることはないからな。サチにも会えたし。」

「そっか。暗い話になっちゃったね。私年越しそば作るから。」

「アスナ私も手伝うよ。」

サチとアスナがキッチンに向かう。

男子二人は何もできずただソファーに座って待つことしかできなかった


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