どくされ者のくされ道   作:ちんどん屋

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第五話です


戦闘描写って難しい……


追記:誤字修正5/28



第五路:『漢道』

 ~洛陽宮中・皇帝寝室~

 

 

 

 周囲には燃え盛る火の海。

 豪華な装飾の施される室内のあらゆる柱や壁が炎塊を生み、開けた天井から射し込む夜月はその火塵芥をまるで幻想的な蛍火かの様に彩る。

 

陛下を…皇帝陛下をお助けしなきゃ……!

 

 董卓は駆ける。

 皇帝の眠るその寝所への廊を。

 先まで共に居た盧植。そして洛陽のどこかでこの大火を見ているであろう希才、丁原、蔡邕ら。彼らは確かに大切な友、絶対に失いたくない無二の絆。

 

でも今は陛下…いや、『(くぅ)ちゃん』が。『(ぱい)ちゃん』が、きっと危ない…だから…!

 

 だから駆ける。

 

 例え廊の道が今にも火にまみれ、いつ炎が燃え回るとも分からぬ道だとしても。

 そもそも董卓が何故ここまで危険を冒してでも皇帝である劉弁、そしてその妹君である劉協、この二人を助けんとするのか。

 それは『友』故に…ワガママ盛りで世間知らずの『白ちゃん』も、頼り無さげでいて芯の強い性格を持つ『空ちゃん』も。

 幽州の地から中央への召還の度、他の従者に気取られぬ様彼女達の話を聞く中で気付いた二人の()()()()()()()()()()()()と芽生えた()()()()()としての友情。

 

「ハァッ……ハァ…白ちゃん、空ちゃん…」

 

辿り着いた

 

二人はどこにいるのだろう

 

 寝所と言っても皇帝の眠る部屋、中々に広い。しかも室内は瓦礫や燃え崩れる木柱が生い茂らんと重なっている。何より董卓を驚かせたのは外傷無く倒れる護衛兵と皇甫嵩の姿であった。

 

「皆さん…!皇甫嵩さんまで…?!」

 

 董卓は非常に温厚かつ優しく、他人を思いやる心が深い少女である。

 そしてただ優しいだけでは無い。

 彼女もまた州の民を束ねる刺史の一人。異民族との望まぬ衝突の度に多くの血を見、覚悟を覚え、和平的解決まで導いた程の手腕と鉄心を持っている事は確かだ。

 故に理解も早い、これはただの失火などでは無い。『何者かが悪心から意図して起こした物である』という謀略の臭いに気付く事を。

 そうと決まれば。いやその前に董卓の体は目の前で気を失っている皇甫嵩を介抱せんと動いていた。それは董卓自身が気付いいない、無意識に行われる加護であった。

 

「う…うう、ん……ハッ!陛下!?陛下はッ…!ぐっ……!!」

 

 皇甫嵩が目覚める。彼女も皇帝姉妹を保護すべく此処へ向かっていた様であり、皇帝の身を失神状態から覚醒し、直ぐに案じる辺り漢の忠臣として名高い将として殊勝な物である。

 皇甫嵩がやっとの事で痛む身体を持ち上げると、周りに同じく気を失っていた護衛兵数人が董卓の介抱により、何とか目覚めていく様子がその目に映った。 

 

「皆さん、お目覚めのところ申し訳ありません!陛下をお助け致します、お力を貸して下さい!」

 

オオオォッ!!!

 

 気合いを入れんとばかりの大声を挙げ、兵長らしき兵装で白髪混じりの筋骨老獪な男が、目の前に積み上がる瓦礫の山を切り崩さんと手に持つ薙刀を振り回す。

 左右に弾ける瓦礫。歓声を挙げる護衛兵ら。

 しかし奥には既に火に包まれ、燃屑と化した皇帝姉妹の寝床が跡が散乱と残るのみであった。

 

「「「陛下!?」」」

 

 董卓、皇甫嵩、兵長の三人はその脳裏に()()()()()を思い浮かべながらも寝床へと走る。が、その時。

 

「陛下!今お助けに「下がれ!」え…!?」

 

 寝床へと一直線へ駆ける董卓を抑えたのは兵長の左腕。彼女を襲わんと燃え屑の下から突如、這い現れたのは希才らを襲った白装束らと同じ一派。更に白装束らの司令塔であろうか、何処の民族や宗派とも取れぬ異様かつ奇抜な仮面を被る女性が、炎の影からまるで影と同化していたかの様に気配を気取らせずに現れた。 

 

「皇帝とその妹君の身柄は預かった…邪魔をするならば、消す……!」

 

 女にしては低く、重厚な声。

 ゾクリ。と全身の毛が自らの意思に背くかの如く逆立つ事を、この場にいる彼女を除く全ての面々が嫌でも理解してしまった。

 言葉には表しがたいえもいわれぬ圧力、否、それだけではない。『謎』が作り出す未知の圧力が生む存在感(プレッシャー)と言うべきか。

 世に有名な万夫不当の兵と称される呂奉先や孫文台。彼女らの様な武力や覇気の成せる物では無い絡み付く様な恐怖感。 

 しかしそれを受ける董卓、皇甫嵩、兵長の三人も並大抵の将では無い。

 齢七十を数える年月の中、数多の前線をくぐり抜けてきた兵長。

 供に若いながらも兵を纏め、率いる立場で戦場を経験してきた董卓と皇甫嵩。

 

 

 

やるしかない

 

 

 

 三人の心は全く同じ答えを弾き出す。

 

 

 

 兵長は飛び込んだ。

 勇猛果敢に。

 奇っ怪に蠢く白装束の群れへと。

 董卓は普段は使わぬ七星宝刀を抜き、柄を強く握りしめると敵の血肉を薙ぐ兵長の背後に迫る凶刃の元凶を切り払う。

 皇甫嵩は護衛兵を率い、白装束らが二人の猛攻に混乱する隙を縫い司令塔であろう仮面の女を直接強襲せんと猛る。

 その様相、確かに人数も両陣合わせて二十を超えないあくまで小さな、小さな戦闘。しかし、そこでは最早戦場と言っても差し支えない程、焔気舞い踊る『戦争』が展開している事は確かであった。

 

「陛下を何処へ…答えなさい!」

 

 炸裂する皇甫嵩の武器・香楼鞭(こうろうべん)。流石と言うべきか、武人として(それなりに)挙げた名は伊達では無い、ある程度手傷を負い、疲労を貯めながらも仮面女の周囲に陣取る白装束数名を瞬く間に蹴散らし、追撃の一手をそのまま仮面女へ繰り出した。

 

 が、しかし。

 仮面女はその一撃を、風に流される散り花の如く、難無く回避すると十数本の苦無の様な短剣を両指の又から皇甫嵩と董卓の方向へ投擲する。

 

「があっ!?」

 

「ギッ!!」

 

 鋭く、正確な投擲に何とか反応し各々の武器で弾き倒す皇甫嵩ら。しかし皇甫嵩が後ろを見ると、眉間に短剣が打ち込まれ、既に亡骸と化した護衛兵達の姿があった。

 周囲の全ての白装束らを薙ぎ払った兵長と董卓。しかし彼らはその光景に歯軋りを抑えられなかった。たが今は、悔やみ続ける場合ではない。先程までと比べ戦力差として、此方の護衛兵も殺されたものの三対一で形勢逆転が叶い、董卓達としては有利な状況ではある。

 そう、あくまで()()()()()()は。

 

「言ったはず…邪魔をするならば消すと…」

 

 しまった

 苦虫を噛み潰す様な表情を見せる皇甫嵩。何とか表面上の動揺は隠すも改めて俯瞰する状況に焦りを感じる老兵長。

 何故なら今までは白装束らによって隠されていたが、仮面女の直ぐ背後に気を失っている様子の皇帝姉妹が縄に縛られていたからだ。

 

「白ちゃん!?空ちゃん!?…今、今助けるから!」

 

 只でさえ二人の安否を心の底から心配しながら、この寝所まで辿り着く事さえ危険な道を通ってきた董卓、そして現在のこの状況。

 彼女の焦りは極限に達していた。

 

まずい

 

 仮面女の危険性。長くに積んできた戦闘経験から三人の中で最もそれを注視していた老兵長。そして単身で突出する形となった董卓に一抹の危険を察知した彼は、董卓を援護するため、脚の力を溜め、老人とは思えぬ跳躍力で仮面女の方向へ飛び掛かる。

 下段から董卓、上段からは老兵長。武としては全く申し分ない二人の同時攻撃。しかし仮面女は躊躇なく董卓の方へ駆け出すと、懐に持っていた刀身の長い小刀を左手に握る。

 

「…ッ!!?」

 

 忘れていた。

 

 董卓は忘れていた。

 

 武人として、戦闘を行う者として、最もしてはならない事、命取りになる重大なミス。

 それは『相手の力量を計らぬ事』、つまりはこの仮面女の存在感の正体とも言える『知らない事』にも通ずる最大の失策。

 そしてこの場合、董卓の失策としてもう一つ挙げられる、『一番の重大かつ不運な事実』があった。それは()()()()()()()()()()()()()()()()()という事実である。

 

「クソッタレ!ええいままよ!!!」

 

 歴戦の兵である老兵長は董卓自身よりも()()に素早く気付いていた。今にもつばぜり合わんとする七星宝刀と小刀の間に挟み込むの様に鈍く光る薙刀の刃を落とすと、董卓を庇うかの様に彼女の剣を引かせ、仮面女と対面する様に目の前に立ち塞がる。

 

「……面倒な…!」

 

 不意の一撃に仮面女はその刃を再度董卓へと向け、斬りかかる。

 その速さ、まさに神速。

 咄嗟の判断とは思えぬ回り込みのスピードに瞬間、全身の毛根がそば立つ感覚を覚える老兵長。

 次の瞬間、彼の眼前を()()()()染めたのは…おびただしい量の血。

 

 

 それはまさしく鮮血の滝、おどろおどろしいまで死の予兆であった。

 

 

 

 

 

 

 

==================

 

 

 

 

 

 

 

「希才危ねぇ、退いてろ!」

 

 

 洛陽は城門前。

 

 

 

 

 因縁の邂逅を果たした左慈と希才、丁原、蔡邕ら。 其処では奇しくも()()()()()()()と同じ、三対一の闘いが繰り広げられていた。

 

「それは俺の台詞だ絹!お前こそ退い「才くん…!」て…日向…?!」

 

 仇を取らんとするのか、それとも目の前の怒りをがむしゃらに吐き出しているだけか。それを感じ取った『希才の仲間』である丁原と蔡邕、彼女らは仲間(希才)の無謀とも言える突貫を抑えんと身を持って諌める。

 

「違うな王允、『退け』はそこの女共への台詞だ。()()()()()とは思わんが…『其処を退いてもらおうか』…!」

 

 対峙する左慈という謎の男の気迫。そしてほんの少しの戦闘の中で見せた尋常ではない、しかも武器を担ぐ此方とは違い、あくまで()()()()()()()()その戦闘力。

 

コイツを希才と闘わせちゃ駄目だ

 

 丁原は心の奥から詮を押し上げんと沸き上がる負の警鐘を感じ取る。そもそも希才は頭と口は回るが、戦闘という面では精々そこらの兵を二、三人抑えれれば御の字と言った程度の人種。無論左慈には勝てるとは思えない、無謀な突出を妨げたのも当然の事である。

 しかし彼女が感じ取った警鐘はそれだけでは無い。

 

()()なのだ。

 

 普段は冷静なのか呆けているだけか、もしくは先程の評議所の様に『演技として』熱くなるだけの『王允子師という男』がこれ程までに()()()()()()()()()()()という事態が。

 

「断るね、絶対に()()()()()()()さ!」

 

「貴方、にも……()()()()()…!!」

 

 彼女達は()()()()を心中で共有し合っていた。

 あの希才がこうまでも、たった一人の人間を『心の奥底から』憎み、怨み、怒り、出来る事なら今にも噛殺さんとばかりに猛るその姿を見せたという紛れもない、自分達にとって『異常とも言える』事実。

 

だからこそ、だからこそ()()()()()()()

 

 『左慈が希才を討たんとする』事を、そしてまた『希才が左慈を討たんとする』事も。どちらも決して起こらせてはいけない事象、叶わせてはならない現実。

 ならば倒さなければならない。

 側にいる友のため、宮中にいるであろう友のために、この友を討たんとするまごうごとなき未知の()を、我々の怨敵足りうるこの()を。

 

 

 

 

「…消えて……!!」

 

 意外にもいの一番に、一瞬の膠着状態から仕掛けたのは蔡邕であった。

 得意の暗器による投擲を行うと、その暗器を注視させた相手への近接での不意の闇討ちをけしかける。

 

()()()()だッ!()()()()()()だぞッ!」

 

 幼少から手合わせを行い、当然蔡邕の闘い方を知り尽くす丁原。一歩先に仕掛けられた攻撃に続かんと、左慈へと闇討ちをかける蔡邕と逆側から飛び込む事により、その注意を目立つ大剣での大振りへ向けさせる。

 

「フン、しゃらくさいわ!!!」

 

 無論左慈も只者では無い。無数の暗器を廻し蹴りの風圧だけで吹き飛ばすと、彼女らの目論見通り今にも斬りかからんとする丁原へと注意を向け、身構える。

 

その頚、獲った……!!!

 

 距離およそ一歩半、それが蔡邕と左慈の間。対して弾かれた暗器を意図に返さず左慈を討たんとする丁原との距離二歩と一足。

 正しく最高の連携、正しく最適の(タイミング)。息の合う()()()完成させる、敵を穿つための二人で一つの必殺の剣刃。

 最早逃れる術無し。

 

 

「そんなものか?」

 

 

なに?

 

 

「そんなものなのか?」

 

 

なんだと?

 

 

「この俺を穿つ刃は!()()()()()()と聞いているッ!!!」

 

 

 ()()を凝視する丁原らの心中。まさに茫然、驚愕、そして脅威、感情が産む大河は怒濤の流れ。

 左慈は翔んだ。いや地面を蹴り上げた。身構え、微動だにしなかったその身体は()()()()()()()翔び上がった。瞬間的に、地を蹴り、空へと舞い上がったかの如く。

 

「……ッ!」

 

 まずは茫然。

 丁原と蔡邕、今度は二人の身体が()()()()動かなくなり、只一ヶ所動くのは左慈を追う四つの眼、二人の目線。

 

()()()()()()()()

 

 二人の眼には全く映らなかった、眼前の敵が一瞬の内に()()()()()()()()()()()という理解すらし難い事実を。

 

 

「どうした!?御自慢の()()()()()()()ッ!!!」

 

 

 次に驚愕。

 彼女らの眼は上方に。当に今、()()()()()()()を捉えた。

 その『驚愕』。必殺の一撃を難なく回避された事か、はたまたその瞬間的な跳躍力か、それともその二つどちらにもか。

 しかし『驚愕』の中でも少なからず言える事、それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という真に、現実に起こり得たという『ありえない光景』が見えてしまったという事実。

 彼女達の一撃が刃ならば左慈の回避はまさに盾、()()()()()()()()()()()、ある種最強とも言える紙の如く剛なる盾。

 

「な、ガッ…?!!ゲホッ……ガハッ…!!!」

 

「絹…ウッ……グ、ウゥッ…!!」

 

 最後に脅威。

 否、彼女達が感じたものは最早、茫然・驚愕・脅威…全てをまとめた『恐怖』とも言えるであろう負の感覚。

 一連の、たった一瞬きの中で行われた神業とも言える動作は彼女達の将、または武人としての誇りを文字通り、『一瞬の間』に粉々に砕けさせるには十分な代物であった。

 左慈の放つ空中での横薙ぎ踵落としを脇腹にモロに喰らい、血反吐を吐きながら倒れ転げる丁原。そしてその逆方向には、踵落としとほぼ同時に繰り出された裏拳を横顔に喰らうも、何とか受け身をとる事に成功した蔡邕。

 

勝てない…!

 

 左慈の攻撃を喰らった瞬間感じてしまった実力差。それは圧倒的であり、屈辱的でもあった。

 

「児戯だな。いや、戯れにもならん」

 

 全くの余裕である、という様子の左慈。傷を負うどころか攻撃が当たりも掠りもしていないのだから当然ではあるが、彼女達にとっては正に『心身一体』と言うべき技をいなされた衝撃は大きいはずである。その面持ちは左慈を睨む眼力を保ってはいるものの、影が差している事は隠せずにいる。

 

もう一度、もう一度だ

 

絶対に…決める……!

 

 『影が差している』なぞ関係は無い。

 彼女達は絶望仕掛ける心をその奥底から奮起させる。この場に於いて最も重要な事は『怯む事・恐れる事・負ける事』のどれでもないと。正解はたった一つ、そして手段も、目的も『やるべき事』もたった一つ。

 

「「()()()()()()だッ!!!」」

 

 

 飛び出した。

 

 先程よりも疾く、鋭く、抉るかの様な猛りを持って。

 今度は『同時』だ。片側だけの攻撃を狙うのでは無い、あくまで『同時』。

 同じ轍は二度と踏まない。速度も、角度も、威力も、先の物とは違う、しかし『同じ』、『全く同じ心身一体の』攻撃。

 

「ほう…ならば今度こそ()()()か、童共ォ!!」

 

 左慈はさっきと全く同じで『待っ』ている。彼女らの一撃を『待っ』ているのだ。

 それを見た彼女らは感じた。

 

 

また負けるのか と。

 

 

 恐らくこの攻撃は通じない。恐らく同じ轍を踏んでしまうのであろう。

 何故なら奴は強い、最初の攻撃をいなされた時に理解した筈であった、だが彼女達はまた攻撃を仕掛けた。

 だが()()()()なのだ。倒さなければならないのだ。あの王允子師が、あの希才が、あそこまで本心から燃え上がる烈火の如く怒り倒し、そして現実として今まさに友を助けに行く自分達を妨害せんとするこの男、左慈元放を。

 ならば戦うしかない。ならば倒すしかない。

 児戯以下と蔑まれた友の誇りのためにも。

 窮地に陥る友のためにも。

 真に怒れる友のためにも。

 『倒す』。それはまるで呪いの様に彼女らの頭を支配し、重力に引かれた林檎は眼前の地底奥底へと()()()()()()

 

 

 しかし、次の瞬間、()()()()()は掴まれた。

 

 もしや救いの神に?違う。 

 

 ならば地獄の番犬に?違う。

 

 まさか現世の凡君に?

 

 

 

 

Congratulations(その通り)!大・正・解だ!

 

 

 

 

「逃げるぞおおぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」

  

 

 逃亡だ。

 

 いつの間に立ち直ったのか、そんな希才が選択した物。

 『左慈を倒す』という()()()()()()から外れ、新たに産み出した答えこそ『逃亡』、女子二人両の腕に抱えての迅速な『逃走』。しかも何処に隠し持っていたのか、ご丁寧にも煙幕のおまけ付きである。

 

「ちょ、離せ希才!!アイツをブッ殺「黙ってろタコ!今は逃げるッ!」誰がタコだゴラァ!!!」

 

 最早火事場の馬鹿力。いくら女子二人、片方は大人しく。もとい呆然としているとは言え、もう片方は大剣を持ち、陸の魚の様に暴れ狂っているというのによくもまあ抱えれる物だ。

 希才は自分自身の行動に少しばかりの驚きを覚えると同時に、一旦の危機を回避した安堵の表情を浮かべた。

 

 

 

 

「狡い真似を………チィッ!()()()()か…」

 

 煙幕が晴れる。

 其処には、既に消え去った希才らが刻んだ戦闘の跡が残るばかり。

 左慈には彼らを追う事も可能ではあった。しかし、それと同時に左慈自身にもまた、達さなければならないある『目的』が存在していた。

 

「まあ良い……さて。次こそは楽しもうじゃあないか、王允子師…!」

 

 南東の風が吹き、細かな炭と化した火の粉舞い散る洛陽城外。左慈は遠目に燃え盛る洛陽城を一目見ると、それとは逆方向に走り去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

====================

 

 

 

 

 

 

 

「董卓嬢ーーーッッ!!!」

 

 

 老兵長は叫んだ。

 

 正しく間()泉と言うべきか、立ち上る血柱を刮目して。

 

 『庇い損ねたやも知れぬ』。彼はそう考えると、それを確認するため、後方を流し見る。

 しかし其処にいたのは()()()()()()()()()()()事で膝をつく()()()董卓のみであり、此方を見るその可憐な相貌の黒目はまるで()()()()()()()かの様な絶望と驚愕を表していた。

 そして老兵長が彼女の視線の先をなぞり、その『原因』を見定めると、歳故の皺重なる眼を悟りの色を見せながら見開く。

 

 

 

やられたのは()()()()()()b()r()&()g()t();()b()r()&()g()t();()b()r()&()g()t();() ()()()()b()r()&()g()t();()b()r()&()g()t();() ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が自分の薙刀を掴んでいなかった』、という事実のみを認識していた。

 痛みを感じれない程のたった一瞬の間に起きたこの攻防。脳内物質(アドレナリン)の過剰排出が己のどちらの腕が斬り落とされ、どちらの腕が武器を掴んでいるか、という感覚すらも忘れさせる。

 

「こぉの程度ォ!!!」

 

 その様な状況の中、彼の古豪の老兵としての勘か、はたまた老練な武人の経験から来る身体に染み込んだ反応か。()()()()()()()に力を込める様に自らに喝を入れ、仮面女と自分の間に滝の如く流れる血壁を影に、『有るはずの片腕』が掴む薙刀をその仮面女の心の臓へ刺突を繰り出した。

 

「チィッ…!」

 

 さしもの仮面女も腕を斬り落とし、確実に殺した筈の相手が微動だにせず放つ予想外の一撃に怯みを隠せなかった。

 しかし仮面女も伊達ではない。小刀でその一撃を正面から防御すると、その刺突の勢いを利用し、軽やかな宙返りで皇帝姉妹の前へと着地する。

 

「今ッ!!」

 

 が、まだ一人、この場には皇帝姉妹を救出せんと動く者がいた。

 ()…『人質の確保』という行動を待ち構えていた皇甫嵩は、仮面女が着地した瞬間…ほんの一瞬の硬直を狙い、皇帝姉妹を掴まえんと鞭を伸ばした。

 

「「やらせん!!」」

 

 言葉が重なる。互いの思惑を阻止せんと動く仮面女と老兵長の声。

 仮面女は小刀で皇甫嵩の鞭を切り、皇帝姉妹をその手に確保せんと。

 老兵長は皇甫嵩の機転に乗じ、仮面女をいなしつつ皇帝姉妹をその手に確保せんと。

 それは『対照的な理由』を持つ者同士、そして『同一の目的』を持つ者同士。演舞か、はたまた演武か、そう例えられる程の俊敏華麗な動き。

 

「…ッ!!兵長さん…!」

 

 腕を落とされ、大量の流血を垂らしつつも果敢に闘う老兵長。

 皇帝姉妹を掴み、此方へと引き戻そうとする皇甫嵩。

 二人の機転を察した董卓は、重症を負う老兵長を心配しつつ鞭によって掴まれた皇帝姉妹を確認する。

 後は皇帝姉妹を此方へ確保するだけ、そうすればあの仮面女の目論みは崩れる。そのためには討つ、討たなければならない。

 この闇巣食う宮中、その中で芽生えた絆。そして今なお、皇帝姉妹を守らんと闘う老兵長と皇甫嵩。

 

 董卓は甘えをかなぐり捨てる。

 

 そして決意した。それを壊さんと、破らんとするこの仮面女を。

 

 

「倒す…倒します…!!!」

 

 

 董卓は駆けた。()()()()()()へ。

 

()()()()()ぞ!董卓嬢!」

 

 一瞬、仮面女が董卓の方向へ首を向けた事を見逃さない老兵長はそう叫ぶと、その隙に仮面女の正面へと肉薄する。

 確かに仮面女は困惑していた。何故なら味方の腕を落とされ、それに怒り猛る董卓は此方へ()()向かって来る物だと思い込んでいたからだ。

 

「余所見禁物!!!」

 

 老兵長の刃が仮面女の眼前を襲う。しかし仮面女はそれを紙一重で回避した。

 寸での所で薙刀によって切られた仮面女の髪がハラリと散り、それが塵炭と混じり、落ちていく。

 

「白ちゃん!空ちゃん!」

 

「……!」

 

 皇帝姉妹へと駆ける董卓、その距離おおよそ二歩の位置。

 その様子に流石の仮面女も焦りを感じたのか、皇帝姉妹を確保するために飛び上がらんと、眼前の油断出来ぬ敵への警戒を薄めてしまう。

 そして当然、この歴戦の()()()()は、その『油断』を見逃すはずも無かった。

 

 

「甘いわァ!!此処が貴様の戦場ぞ!!!」

 

「がぁッ!?」

 

 刹那の一閃。それは仮面女の背を肩口から腰元まで真一文字に切り裂いた。それを見、ニヤリと血染まりの笑みを見せる老兵長。晴れるような希望の表情を見せる皇甫嵩。

 たが次の瞬間、仮面女が見せた()()は、皇帝姉妹を保護する董卓と老兵長へと襲いかかる。

 

「ぬがあああッ…!!!」

 

「白ちゃ…ううッ!!」

 

「な…鞭が…!?」

 

 各々に襲いかかったのは苦無の投擲。それは皇帝姉妹を掴む皇甫嵩の鞭。老兵長の左目、そして劉協を庇った董卓の右手と右足へ深く刺さり混み、その動きを止めた。

 

「私にも使命が在るッ!退け、小娘!!!」

 

 一瞬の間を突き、瞬く間に董卓の眼前に飛び掛かる仮面女。

 痛みの蓄積が祟り、その場から動けずに呻く老兵長。

 一連の流れの速さに行動が追い付かず狼狽える皇甫嵩。

 しかし此処にも存在していた。誰もが動けず、絶望を覚えかけたその状況に抗う儚くも強い意志を持つ一人の()()()()が。

 

「私は…()()()()()()()()()!だからッ!!!」

 

 董卓はその眉を眉間に寄せ、武器を構え、眼前に迫る『敵』へ気迫を起こす。

 

「小癪なッ!」

 

「はあああぁぁぁッッ!!!」

 

 再度、七星宝刀と小刀が火花を散らす。

 

 片や肉体的疲労と利き手利き足への刺傷。

 片や背中の大傷一筋。

 本来の力関係ならば打ち合った瞬間勝負は決まっていたであろう。先程、老兵長が董卓を庇う様に打ち合いの間に入ったのはまさにこれを理解していたからである。しかし現状、互いの傷の深さの差は、この打ち合い…特に仮面女へ大きな『ハンデ』を強いた。

 

「疾ッ!」

 

「なっ…!?」

 

 董卓の宝刀が仮面女の体をその武器ごと弾き飛ばした。

 それは正に『打ち合いの勝利』、それ以外の何物でも無い。

 そう、()()()()()()()()()

 

「言った筈だ、『やらせん』と!」

 

「?!なっ…!」

 

 董卓は仮面女の予想外の動きに驚きを隠せずにいた。

 何故なら、仮面女は弾かれた慣性を利用し、体を捻らせると董卓の()()()へと飛んだのだ、()()()()()()()()()()()()()へ。

 

()()()ぞ!目標は貰って行くッ!」

 

「それでも…!!」

 

 後ろに回り込まれた事にいち早く気付いた董卓は仮面女の方向へと振り返り、それと同時に宝刀を突き立てる。しかし董卓が振り向いたその時、仮面女は既に剣先から三歩程離れた位置を走っていた。その上その両腕には今だ眠る皇帝姉妹の姿。

 やや離れた位置から懸命に走り、仮面女を捕らえんとする皇甫嵩。

 深手の足を何とか動かそうとするも、力が入らずその場に倒れ込む董卓。

 万事休すか。忠臣二人の心に諦めの灯がほんの少し、灯りかけたその時。

 

 

「忘れたか!!()()()()は儂の物でも在るぞッッ!!!」

 

その明かりを打ち消す一手はこの場で最も深手…いや、もはや瀕死の重症と言っても過言ではない程の傷を負う老兵長によって放たれた。 

 

「死にかけが、まだ来るのか!?」

 

 この場にいる三人の士の奮闘を受けつつも皇帝姉妹の奪還に成功した仮面女であったが、流石に老兵長のこの生命力と精神力には驚愕を超え、畏怖の()()すらも感じ始めていた。

 その老体、その重症の体の何処にそんな力が残っていると言うのか。『火事場の馬鹿力』とも言うべき驚く程の跳躍を見せる老兵長。しかもその姿は炎が作る逆光で深く影が指し、攻撃の出所すら見え辛い物と言う付加価値すら付く、熟練の経験光る一撃である。

 

「クッ……これはッ…!!」

 

 そしてもう一つ、仮面女がこの攻撃に対し、焦りを覚える理由があった。それは反撃に必要な両腕は皇帝姉妹を抱え、一時的とは言え使えない事。更に皇帝姉妹を離し、老兵長を討ったとしても恐らく董卓が皇帝姉妹を保護するやも知れない。

 この一連の流れ、全くの偶然か。はたまた必然か。

 

 否。

 

 偶然も、必然も、その場で起きる全ての事象を利用し、勝利への道筋を閃光の如くなぞる。それは正しく老兵長という経験豊富な士の技能を最大限までに高めた物。偶然必然などという安い言葉で表す事も敵わぬ『確固たる一つの戦術』。

 

「これで終いじゃああぁッ!覚悟おぉぉッ!!!」

 

 振り降ろされた薙刀は正確に、今度こそ命を奪わんと仮面女の頸元を狙う。

 

決まった

 

 皇甫嵩は確信した。

 これで奴はこのまま避ける事も敵わず頸を落とされるか、皇帝姉妹を離すか、それしか無いと。

 

 

「《そう》》上手くなど……否!否ぁッッ!!!」

 

 次に仮面女が見せた行動に、三人は目を見開くばかりであった。

 

 

 手離したのだ。

 

 彼女の目標である皇帝を。

 

 いや、正確に言えば左腕の劉協は手離さず、右腕に抱えた()()()()を手離したのだ。

 

「何、劉弁様をッ!?」

 

 まさか手離すとは。しかも両方ではない、片方のみを、劉弁のみを手離すとは。

 老兵長は動揺しつつも咄嗟に薙刀の剣筋を此方へ放たれた皇帝から反らす事に成功した。

 

 しかし、この予想外の一手を打った仮面女は狙っていた。

 当に今、老兵長の薙刀が振り切られ、反撃の手立てが無くなるこの一瞬を。

 

 

「私の剣は()()()()()()()ぞ、老い耄れ!!!」

 

「劉弁様、御免!…ぐはァッ…!!!」

 

 仮面女の()()()()()から繰り出される鋭利な手刀。

 放り出された劉弁ごとその()が自らを討たんとする事を察した老兵長が董卓の時と同じく、劉協を庇い退けると、その鋭利な凶刃は老兵長の左胸へと突き刺さり、風穴を開けた。

 

「ぐああぁぁっ!!!…まだだ、まだ儂は生きて…ゲホッカハッ…!!」

 

「兵長さん!空ちゃん!…何てこと……」

 

 退けられた劉協を抱え、仮面女を警戒しつつ老兵長の傷を労る董卓。そして皇甫嵩もまた老兵長の前に、仮面女の猛威から庇わんと立ち構える。

 

「白ちゃんを…白ちゃんを返して貰います…!」

 

「フフ、そういきり立つな、女。むしろ()()()()()充分……遊んでやれ、影達よ!」

 

 仮面女はその仮面の下に笑みを浮かべると、劉協を抱えたまま、崩れ落ち、大穴の空いた天井へと飛び去って行く。

 

「ま、待ちなさ「滅す」キャッ…!?」

 

 仮面女を追わんとする皇甫嵩らを先程倒した白装束の様な連中が周囲を円状にに囲む。

 

「滅す」 「滅す」 「滅す」

 

「空ちゃんは渡さない…絶対にッ!!」

 

 二十は下らぬ敵の数、此方の兵力は最早満身創痍の域。

 しかし董卓は諦めない。

 確かに友の一人は何者かに奪されてしまったが、殺す事が目的ならば既に彼女はこの世にはいない…ならば希望はある。しかもここにはもう一人の友がいる。

 故に諦めない、諦める事など出来ない、ここで諦めては何になると言うのか。

 そしてそれは皇甫嵩も同じ。

 国を、皇帝を守護する将としての誇り。そして一人の人間として、あの放って置けない()()()()()()()()()()()()を『守』りたいという心意気。

 

 『同じ』なのだ。故に諦めない。

 武器を構え、背を合わせ、眼前の敵を睨む。絶対に倒す、絶対に守ってみせる。彼女らの思いは一つに成っていた。

 そしてこの場にはもう一人、()()()は違えど思いを同じくする士はいた。

 

「おどれらは()()()じゃッ!!!」

 

 たった今白装束に立ち向かわんと身構える二人。しかし老兵長はその首根っこを掴み、寝室の出口へ猛然と駆け出した。

 

「へ、兵長さん?!」

 

「そんな…無茶な…!?」

 

 左腕と左目を失い、全身が血にまみれ、致命傷を通り越した傷を負っているはずの老兵長。

 しかし突貫する事を止めない。

 唯一残った片腕を塞いでいる彼は驚くべき事に、襲い掛かる白装束数名に柄を口に咥えた薙刀を振るい、斬り捨て、それらを意に返さんとばかりに更に出口へと突き進む。

 

「でえぇぇぇぇい!!!」

 

 老兵長は三人を放り投げた。現状、空いた天井以外の()()()()()()である寝所隣の廊下へと。

 

「滅す」

 

 入口前に立ち構えていた老兵長は彼女らを投げ飛ばした慣性を使い、襲い掛かる白装束の身体を蹴り飛ばすと、彼は入口の壁を瓦礫ごと破壊し、完全に廊下と寝室の出入り口を遮断させた。

 

「兵長さん!!?何故ですか!!貴方も逃げ「早く行かんか!!!」え…!?」

 

 大喝を飛ばす老兵長。困惑の声色を届かせる董卓と皇甫嵩。

 彼は此方を警戒し、体勢を整える白装束を威圧するかの如く薙刀を突き立てる様に前方へ構える。

 

「お前らが陛下を…其処の()()()()()()()()()()()()()で誰が連れて行く!!?女子供の一人や二人や三人、その程度護れんで何が男じゃ!!!さっさと行けい!!!」

 

「そんな…「行きましょう、董卓さん」で、でも…!?」

 

「『男の覚悟』を無下にするのは私たち()の『やるべき事』じゃないわ…」

 

「……!分かり、ました…!」

 

 そうして彼女らは駆けた、恐らくは宮中の駐屯所へと向かうのであろうか。

 

 いや、そんな事は()()()()()()()()

 老兵長は彼女らを信じていた。

 陛下を守護する勇敢な将が、絆結ぶ友たる優しき少女が、必ずやあの『()()()()()()()()鹿()()』を守り通してくれるであろうと。

 

「『男の覚悟』か…若い癖に生意気な事を…ふふ、儂もあと四十は若ければ、の…………さぁてぇ!!!」

 

 

 飛んだ。

 

 老兵長は白装束の陣へと飛び込んだ。

 

 全てを見届けた男の最後の意地。

 流れる血は紅く燃え上がる血潮、流星が光の如く。

 

「そんなものかッ!そんなものかッ!!そんなものかッ!!!そんなものかあぁぁぁぁッッッ!!!」

 

 

剥き出しの男の意地

 

 

固く貫かれるは女の決意

 

 

 

「滅す」 「滅す」 「滅す」

 

 

 

眼前には白長い木偶共

 

 

 

ならばよし

 

 

たかが腕一つ

 

 

たかが目の玉一つ

 

 

たかが爺の命一つ

 

 

数多の命を屠り重ねたこの儂が

 

 

彼らの絆を断ち切ってきたこの俺が

 

 

若い命を次代に繋げられるなぞ喜悦の極みではないか

 

 

 

「まだまだぁッ…!!()()死んでなるものかぁぁぁッッ!!!」

 

 

 

この願い、この望み

 

 

叶うのならば死して本望

 

 

 

 

これが儂の

 

 

 

 

 

()として、()として

 

 

 

 

 

貫き通さん剣の道

 

 

  

 

 

男の覚悟のその最中

 

 

 

 

 

烈士徇名果たさんと

 

 

 

 

 

駆ける流血が描き出す

 

 

 

 

 

 

 

 『漢道』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




就活忙しすぎて自分が後書き何書いてたか忘れました笑

次からは木曜にしてもも少し早く投稿できる様にします…

※追記:文字数多い…多くない?(不安)

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