始祖の魔王様に青春を!   作:犬原もとき

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この作品には拡大解釈や、作者の妄想によるキャラ補完があります。
そう言うのご苦手な方は、他の作品をオススメします_(:3」∠)_


一昨日昨日と連休でした。
文アルの新美南吉くんが可愛すぎてヤバい_(:3」∠)_


キャベツを軽んじる者、キャベツに泣く

「主。俺は去年より、今日という日のために鍛錬を重ねてまいりました。今年こそは1000…いや!2000玊切ってみせましょう!」

「ウン。ガンバッテネーハセベ」

マオさんが棒読みで長谷部に返事を返していた。

まぁ、確かにちょっとああ言うのには関わりたくないよなぁ。

「みなさーん!今年のキャベツは出来がよく、経験値が沢山詰まってますので、1玊1万エリスで取引させていただきまーす!」

「うおおぉぉぉーーー!!!」

受付のお姉さんことルナさんが、メガホンを持って大きな声で報酬を言うと、周りの冒険者達が威勢よく吠える。

うるせぇ!

「例年は3〜4000エリスらしいから、盛り上がるのも当然ね」

おぅふ…この色気満々のお声は如水さん。

ていうか例年でもそんなに多いのか。

そりゃ、躍起にもなるよな。

そりゃ、アクアでなくても一攫千金夢見るよな。

そりゃ、長谷部出なくても興奮するよな。

あの空を埋め尽くすようなキャベツの、軍勢をみたら。

「キャベキャベー」

「行くぞキャベツ共!同胞の備蓄は充分かぁー!!」

「ウラーーーー!!!」

走り出した長谷部を、皮切りに他の連中も続く。

爆裂魔法で一網打尽にしようと隙きを伺うロリ。

虫取り網で一匹づつ捕まえるより、殴って気絶させたほうが早いとロッドを振り回す駄女神。

他の冒険者に襲いかかるキャベツを自らの体で受け止め、自らの特殊性癖を満たすドM。

チュインチュインと謎のレーザー音を出し、高速移動でキャベツを狩りまくる妖怪シュメイトアラバー。

得物を色々と変えつつ、キャベツを瞬間冷凍していく元魔王。

そしてあちこちで雷の雨を降らせる爆乳軍師。

ナニコレカオス。

もういいや。俺もキャベツを狩ろう。無心で。

 

「やべぇ…めっちゃキャベツ旨ぇ…」

「食材になるモンスターは、経験値が多いほど美味しいんだよ」

へー、そうなんだ。

キャベツ収穫祭の翌日の今日は、カエルの唐揚げとキャベツの盛り合わせを食べている。

ただのキャベツと、侮るなかれ。唐揚げと食うとこれがまた美味い。

唐揚げは言わずもがな、キャベツがその味を引き立たせる。

まずは唐揚げを食べる。

あの油まみれでありながら、止められない肉の味を、溢れ出る肉汁と共に味わう。

次に本命のキャベツ。

切り立て刻みたてのキャベツは、特有の甘みとパンパンに詰まった葉肉の、シャキシャキとした食感で俺の味覚を楽しませてくれる。

噛むたびに感じる野菜独特の苦味は、前に食べた肉汁や油っこさを和らげ、しかし唐揚げの味を忘れさせず、キャベツの甘みをふんわりと広げてくれる。

水を飲み一旦箸を休めて、またキャベツを、食べて唐揚げの味を完全にリセット。

これでまた唐揚げの味が楽しめる。

野菜……恐るべし。

美味しく食べれてしかも経験値も貯まるとか…最高かよ。

「カズマ。顔が変なことなってますよ」

「あぁ、何か作画が違うというかなんと言うか」

まな板爆裂娘とへっぽこドMクルセイダーが何か言ってるが気にならない。

「今心の中で思ったことをはっきり口に出して貰おうじゃないか」

なんで分かるんだよ!エスパーかよ!

「ちょっと!なんでこれっぽっちなのよ!!」

なんだなんだ?この朝の優雅な一時に水を差してくる駄女神は?

「なんでレタスが混じってるのよ!」

ったく好き嫌いか?野菜を舐めるなよ?

「良いじゃない!美味しいじゃない!レタス!!」

んん〜?なんか方向がおかしいぞ?

つうかあいつなんで昨日報酬貰いに行かないで、今行ってんだ?

「そういえば今回の報酬は自分で稼いだ分は総取りって言い出したのアクアだったね」

マオさんの言葉に電流走る。

そう、昨日の夜。キャベツ収穫祭が終わったあと、アクアがこう言い出した。

『今回のクエストで稼いだ分は、全部自分の物ってことにしましょう?皆それぞれで頑張ったんだし』

アクアにしては珍しい上に粋な提案だな〜と思って賛成したから覚えている。

そのお陰で、ダグネスはキャベツの猛攻で砕けた鎧を買えたし、めぐみんは杖を新調した。

切国さんはそもそも出てないから変わってない。

なんでも、刀剣男士が召喚された時はそいつが少しでも長くマオさんと一緒にいられるようにも引きこもるそうだ。

切国さんマジ天使。

マオさんと如水さんは参加してたけど、全額建設中の家の費用に回したそうな。

いいな〜一軒家か〜。

俺もいつまでも宿屋暮らししたくないな〜。

「か、カズマさ〜ん」

まー無理なんですけどね!

チクショウ!この駄女神が!

今度はどんな厄介ごとだ!

「……なんだよ」

「え、えっとね。カズマさんどれ位稼いだのかな〜って?」

「………」

どうしようかな。あんまり言いたくないんだよな。

「そういえば僕も聞いてないね」

「私もですね」

「どうだったんだ?カズマ」

わー、次々と聞いてくるー。

やめてー。見ないでー。聞かないでー。

カズマさん心はガラスなのー。

「……100万ちょい」

渋々いう俺。

なんだよ…わりーかよ。

そりゃーマオさんとかに比べりゃー少ないよ。

「すごいですねカズマ。私の爆裂魔法でも30万くらいですよ」

「あぁ。私もめぐみんと同じくらいだ」

え?そうなの?

でもマオさんは400万とか…。

「あれは殆ど長谷部が切ったようなもんだからね。僕自身は武器の調子とかを見るのには気がいってたから、40万位だよ」

長谷部すげぇ。流石妖怪。

そ、そうかーそうなのかー。

なんか自信ついちゃったなー!

「で、それでなんだけど〜」

あっ、そういえばこいつの事忘れてた。

「で?なんだよ」

「お金貸して♡」

「マオさん!家の見積もりって何処でしました?」

「まってえええぇぇぇ!!見捨てないでええぇぇぇ!!」

うるせーーー!!てめーの借金に、巻き込むんじゃねーーー!!

 




キャベツ
原作 現実
アブラナ科アブラナ属の多年草。
緑色の球体という形のせいで、作画崩壊の代名詞として扱われている。
野菜といえばキャベツと言っていいくらい、現実でも2次元でもよく見かける。
最近は値段が上がってお高い。

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