スパロボOG TENZAN物   作:PFDD

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ゴールデンウィーク終了のため連日更新も終わります。許せサスケ……


VS究極ロボ

 

【新西暦186年 10月T日】

 

 穴があったら入りたい。何だよあの戦い方、何だよあの喋り方、何だよロンゴミニアドって。これまでで一番恥ずかしい思いだ、前世で10年ぶりに中学生時代のノートを開いた時のような感じだ。

 日記でまでこう書いてしまうぐらい、昨日の戦いは反省点の多いものだった。とりあえず、先日のように書き出してみよう。

 1.喋り方や話し言葉。確かに喋り方は『テンザン』らしさを出せたと思うが、まだまだ思想面ではゲーム脳ではない、むしろただのスカした奴だ。これではリュウセイのダークサイドとは到底言えないだろう。この辺り、私のモドキ加減によるものだ。もっと『テンザン』を徹底しなければいけない。それに、幾つか余計なことを言ってしまったせいで、テンペスト少佐などから疑われてしまった("白騎士"と"示現流"のことだ)。簡潔に、かつ遠回しに問いただされたが、白騎士はそういうのがゲームだったら主人公機としているだろうということ、示現流は日本にいた時に喧嘩でやりあったことがあり、たまたま相手が使った型を覚えていただけ、と答えた。苦しかったが、それで何とか難を逃れることができた。というより、ほんの1,2分の出来事だったのに、あの時の威圧感と眼光は未だに思い出すだけで鳥肌が立つ。あれが元教導隊であり、連邦軍への復讐を誓った人間の迫力というやつなんだろう。トラウマになりそうだ。

 2.戦い方。改造されたリオンのおかげで渡り合えたと思ったら、一転攻勢とばかりに劣勢に追いやられた。インパクトランスはもう少し余裕を持って出すつもりだったのに、如何にも切り札みたいな使い方をしてしまった。いや、それは結果的に演出として上手くいったから大丈夫だろう。ただそこまでの戦いの運びが、キョウスケ達の実になるようなものではなかったのが問題だ。一応、我流のリボルビング・ステーク返しを繰り出して「これだけに頼るのはダメだよ」とそれとなく伝え、上手く返されたのはよかったけど、それ以外は余裕がなくなってしまい、乗り越える壁としての役目を果たせなかった。というより、今回は本当に危なかった。何度も落とされそうになったのはともかく、危うくキョウスケを殺してしまうところだったのだ。スクエア・クレイモアで追いつめられた時、咄嗟に出した槍の向け先をずらして左腕だけにしたが……もしあれが反射でやろうとした通りコクピットに突き刺さってたらと思うと、ゾッとする。俺の手で人を、それも主役たちを殺すことになる最初の相手があのキョウスケ・ナンブなんて、悪夢としかいいようがない。やはり全員揃っていなくてもATXチームは鬼門だ。

 3.インパクトランス。やはり実験兵器だった。出力が全然安定しない、威力がありすぎる、サブアーム有りとは言え取り回しが悪い。2合切り結んだだけで暴走始めるとか欠陥ってレベルじゃない。何とかエネルギーの指向性を調整して、それっぽい技名を言って如何にも最後の手段と演出したが、色々と間一髪だった。あの場にゼンガーがいなければ上空で自爆するしかなかっただろう。理屈上はT・ドットアレイによるエネルギー制御だから、ブレイクフィールドとそう変わらない。つまり真芯を撃ち抜くような一撃を喰らえば相殺、もしくは逆に制御がその場でなくなって爆発するだけだ。そしてそれを行うのに、ゼンガーは十分な力量があった。多分、ただの自爆だけだったら、被害はもっと多かっただろう。

 4.技名。私にセンスはない。だからこそ咄嗟に前世でやったゲームをパクった。それだけだ。これ以上思い出したくない。

 

 それと、今回の任務で、私の役目はアレだけだったようだ。あの後テンペスト少佐が当初の予定通り大攻勢をかけ、弾道ミサイルことMAPWを撃ち込んだ。MAPWは無事起動したヴァイスリッターに撃墜され、攻撃自体も修繕を間に合わせたATXチームに捌ききれたようだ。私が関わったことでATXチームが負けるかもしれない、なんて考えたが、杞憂に終わったようだ。それを見届けて、私の乗る潜水艦は一足先にアイドネウス島への帰還の途についた。派手に壊れたリオンの修繕を手伝ったり、興奮した様子のインパクトランス製作者である兄弟博士からくる勝手な要望に対して、逆にこっちから無茶振りをふっかけて頭を悩ませてやったりと、穏やかな日々を潜水艦の中で過ごせている。

 だが、帰るのは憂鬱だ。何故なら帰還したら、ガーリオンであのヴァルシオンと戦わないといけないのだ。こんな勝負を吹っかけるなど、バカのやることだ。つまり私は心底バカだ。

 とりあえずやってしまった以上、多少は戦いになるよう戦術を組み、対策を講じることにする。正直、勝ち目は1%未満ではあるが、ないことはない。いや何を書いている私。ある程度戦い、ぺしゃんこに負ける。それで事が済むのだ。いけ好かないが、それで総帥に喧嘩を売った部下に対するアードラーの顔も立つ。ヴァルシオンの格も保たれる。それで万々歳だ。

 そうと決まれば、如何に綺麗に負けるか、早々に道筋を建てなければ。

 

 

【新西暦186年 10月B日】

 

 ヴァルシオンの機密上、てっきりシミュレータで戦うと思ってたが、実機でやることになった。しかも2回戦だ。どうしてこうなった。

 いや、状況を整理しよう。そのための日記だ。

 まず帰還して最初にアードラーに結果報告。アードラーは心底残念そうにしていた。後で士官らしき人に確認できたが、どうやら単騎で突っ込むように指示したのはアードラーらしい。本来のビアンからの任務内容はテンペスト少佐の麾下に一時的に入ることだったようだ。正直、アードラーの指示には助かったとしかいいようがない。だが謀殺しようとしたのだ、やっぱり死ね。

 直属上司への報告後、1人でビアン総帥に謁見、アードラーにしたのと同じ内容を報告する。ラングレー基地の部隊に対する感想を聞かれたが、如何にも雑魚だったと答えた。本当はこっちが何度も殺されそうになるほどだったが、『テンザン』だったらそんなことは言わないだろうという考慮した。だが、向けられた眼差しがまるで私の思惑など見透かしているようで、怯えで声が震えなかったか心配だ。

 ついで、改造したリオンの乗り心地と、今度私が乗るリオンの発展機ことガーリオンについて聞かれた。誰かが今回の件で用意してくれたのかガーリオンは潜水艦内のシミュレートデータがあったため、シミュレータでは動かしていた。ノーマルのリオンよりよっぽど動けるいい機体だったと、素直な感想を述べた。一応まだ不満点として格闘戦時の胴体フレームの固さやブレイクフィールド発生時のタイムラグなども上げたが、ビアンの目が生暖かいものになっていると気づいて口を閉じた。今思うと、ただのメカオタクのようで恥ずかしい。

 そしてATXチームと戦った時の改造リオンだが、やはりリオンということでまだ万全に動けるとは言いがたかった。クローによる格闘戦をできるようにしたり、インパクトランスのような特機とも渡り合える兵装を組み込めたのはよかったが、ジェネレーターやフレームへの負荷が許容範囲を超えており、とても実戦では使えない代物だ。特にインパクトランスについては恐らくガーリオンに取り付けても、満足に使えないだろうから開発ラインから外すべきであり、もし開発が継続することとなっても対特機やそれに類する相手を想定し改良した方がいいこと。少なくとも、今後のAM開発のためにそうするべきと進言すると、ビアンはとんでもない事実を伝えてきた。

 インパクトランスについてはとっくの昔に失敗作として認定され、完成していた試作品1基を残してお蔵入りしていること。ビアンは今回これが持ち出されたことを私の報告で初めて知ったこと。開発者であるストランドウィック・ファインマン及びアルウィック・ファインマン兄弟も含めアードラーが手回ししたのだろうということ。

 つまり私は、欠陥兵器が正常に暴走、爆発して事故死するよう、アードラーに仕組まれたということだ。更に両博士も開発した兵器が暴走するという失敗で失脚するよう策も組まれていた。つまり私の死に2人分の人生を巻き込んだのだ。やはり、アードラーは死ね。

 私がつい表に出してしまった怒りにビアンが如何にも悪のボスという悪い笑みを浮かべるのを見て、慌てて『テンザン』として取り繕う。動揺したあまり何を口走ったかうまく思い出せないが、とりあえず、そんな欠陥兵器でも圧勝できる俺最強、とか言ったはずだ。

 そして最後に、ヴァルシオンとの演習の話になった。この時初めて、実機、それも実弾を用いてヴァルシオンと戦うことと知り、シミュレータではないのかと問いただしてしまった。

 怖気づいたのか、やはり口だけの子どもか、とか、そんな挑発的なことを言われてしまい、ついついできらぁ、と答えてしまった。バカだ私は。

 だが向こうも、ノーマルのガーリオンではヴァルシオンに勝てないのは当然と確信しているのか、あろうことか2回戦目を実施し、その際は改造リオンに乗るよう言ってきたのだ。私は、否定する理由も見つからなかったため、それを承諾してしまった。勿論、ガーリオンだけで十分だと言ってからだ。

 こうして思い返すと、明らかにその場の雰囲気に、いやビアン・ゾルダークのペースに呑まれていたのだ。『テンザン』として、不覚だ。

 最後に日付。今日から1週間後。私が記憶している決起の日の2週間前。そんな大切な時期にヴァルシオンを動かすのはどうなのか、と思ったが、ビアンとしてもヴァルシオンの実戦テストとして行うらしい。主なテストパイロットだった娘と違い、満足に慣熟できていないようだ。

 兎にも角にも、後一週間。『テンザン』としては早すぎるが、それが私の命日かもしれない。

 

 

【新西暦186年 10月BC日】

 

 総帥直々のヴァルシオン実機演習もとい私とビアン総帥の決闘は基地内にすっかり広まっていた。そもそもあのガレージでの会話は多くの人間が聞いていたのだ、広まらないわけがない。

 私はガーリオンの調整と慣熟、改造リオンの修繕と改良、そして対ヴァルシオンの戦術を練っていた。向こうから開示される情報はない。代わりに向こうも、私の準備に一切口出さず、その情報を得ない。本当に決闘染みてきた。

 ガーリオン慣熟のスパーリングパートナーとしてはリョウトやプロジェクトTDメンバー、それに加え時間の空いたラストバタリオン隊の面々に付き合ってもらった。リョウトやスレイたちはともかく、ラストバタリオンが協力してくれたのは意外だった。なんでも「お前の口と態度は気に入らないが、あのビアン総帥と真っ向から戦うことになる程とは面白い」とのことだ。正直助かるが、お前たちは本当に親衛隊なのかと突っ込みたくなる。まぁあのビアン総帥の親衛隊なのだから、一癖二癖あることが普通なのかもしれない。

 とにもかくにも訓練はこれでいい。問題は機体だ。

 ガーリオンはまだテスト機、というより先行量産機らしく、貴重だから綺麗に壊せと無茶振りされた。だがさすがリオンの後継機、出力も運動性も違う。これなら本気の半分程度で動いても壊れないだろう。

 そして改造リオンだが、更に酷い改造が施されることが決定した。どこからか持ってきたガーリオン用の試作腕部(あくまでマニュピレータテストの為に使う、ブレイクフィールド発振装置のないタイプ)、それを更に改造して取り付けたクロー。携行兵装は既存のレールガンとミサイルポッドは手持ち式にしただけ。明らかにバレリオン用と思わしき高出力ジェネレーターとそれを収めるため大型化した胴体。仕込み刃を追加しながら運動性は据え置きのガーリオン系脚部。頭部がリオンそのままなのは部品が間に合わなかったからだそうだが、逆に他の部分が大きいせいでそこだけ小さいことが際立つ。

 極めつけは、引き続き搭載されたインパクトランス。要望に入れておいた耐久性と可搬性はクリアしたが、出力はまだ安定しないとのことだ。しかもOSの情報を見れば、あの時言ってしまった"ロンゴミニアド"が、オーバーチャージ時の名称となってしまった。思わず開発者の兄弟をぶん殴ったが、私は悪くない。

 もはや、リオンとはひと目でわからないだろう。ゲテモノすぎる。それでも私は、変に名前をつけたくないので改造リオンと呼んでいるが、整備員やファインマン兄弟は槍から取って"ロン"と呼んでいた。どこの聖槍だ。

 本当はもっと文句を言ってやりたかったが、日程的にはこれでいくしかない。

 

 

【新西暦186年 10月D日】

 

 いよいよ明日、ヴァルシオンとの決戦だ。場所はアイドネウス島から離れた無人島。リオンの訓練コースでも使う場所だ。

 決闘の方式は次のとおりだ。

 ①戦闘時間は1戦あたり5分

 ②戦闘フィールドは島全体

 ③実弾を用いるが、大破判定が発生した時点で終了。及び事故以外でのコクピットへの攻撃はなし

 ④時間になっても両機健在の場合、引き分けとする

 ⑤ヴァルシオンは2戦目に移る際、破壊された兵装の交換が可能

 ⑥参加者はビアン・ゾルダークとテンザン・ナカジマのみ

 ⑦管制及びスタッフ以外の観戦者は、アイドネウス島または戦闘フィールド臨海で待機するキラーホエール内で観戦を行う

 以上、無難にまとめられている。

 そもそも、総帥相手の演習で実弾を使うことが可笑しい。考えたやつは……公正を期すためという理由で、あのシュウ・シラカワだ。何を考えているか分からない。とはいえ、戦闘に直接関わる内容としたら、やはりコクピット狙い禁止と、ヴァルシオンの兵装交換OKということだろう。前者は両者の身を案じてのものだが、後者は武器破壊が継続されず、2戦目で事前にアドバンテージを取ることが不可能なことを指している。そうなると、1戦目で何とかクロスマッシャー発振器やディバインアーム、メガグラビトンウェーブ発生装置を破壊する意味がなくなってしまう。私の考えた作戦の一部はこれで使えない。

 とりあえず、できることをした。

 今日の昼間には最後の調整をリョウトたちと行い、激励ももらった。お前たち、自分の総帥相手に戦う一般兵相手にそれでいいのか。明らかに私に非があるというのに。だがそのことについては、先程書いたレギュレーションを伝えに来たシュウ・シラカワ曰く、前夜祭のようなものだから無礼講らしい。確かにそういう見方もできるが、ダシにされたようで癪に障る。というより、幾ら正論やスジを通す言い方をされても、私個人の感性として、シュウとは反りが合わないため腹が立つ。それは向こうも同じようだ。まぁ恐らく、私の"『テンザン』という役割を演じる"ことが、シュウの心奥に眠る願い『自由』とは相反するからだろう。

 兎に角これで、明日を待つだけだ。無難に終われば幸いだ。

 

 

 

 

『5分経過!! 戦闘を中止してください!!』

 

 島中に響いた音声に、ピタリと両機の動きが止まった。一方はDCの象徴である赤い巨神、魔王の如き異形を誇るヴァルシオン。もう一つはそれよりも遥かに小さなDCの量産指揮官機となるガーリオン。ヴァルシオンの巨体には殆ど損傷がないが、右手に持つ大刀ディバインアームはひび割れ、今一度振ればそれだけで崩れてしまいそうだった。対するガーリオンは一度メガグラビトンウェーブをかい潜った負荷で全身からスパークを漏らし、いつ機能停止しても可笑しくない状態だ。そして事実、ガーリオンは鍔迫り合いの状態から解かれると、すぐに地面へと倒れるように着地した。ヴァルシオンがその場から一度後退し、定位置へとつく。その間、整備班がわらわらとガーリオンへと取り付き、コクピットから這い出たテンザン・ナカジマへドリンクを渡していた。

 現地から送られるその映像に、リョウト・ヒカワは知らず知らず握りこぶしを作っていた。大型モニターのあるラウンジ内は喧噪に包まれ、チケットのような紙が飛び交っていた。確かあれは、テンザンはどこまで戦えるかの賭けに使うものだったはずだ。当然リョウトも買ったが、内容は『引き分け』だ。『テンザンの勝利』がなかった以上、それがもっともテンザンにとってよい結果のものだったからだ。

 

「リョウト、ここにいたか」

「やっほ、リョウト」

「スレイさん、アイビスさん」

 

 何かと縁のある別プロジェクトのパイロットの2人、スレイ・プレスティとアイビス・ダグラスがリョウトの向かいの席に座った。互いに名目上の階級はあるが、この縁を作った男が殆どそれに気にせず接する影響で、この3人もまた、公の場でない限り階級をつけることはなかった。

 

「フィリオ主任とツグミさん、それに他のメンバーは?」

「兄さんたちは管制スタッフで向こうに行っている。他の2人は追加シミュレータがまだ終わってないから今日はこない」

「だから余っちゃったアタシたち2人で来たのっ」

「そっか、フィリオ主任たちも向こうに……」

 

 視線をモニターに戻す。そこではタオルで顔を拭ったテンザンが再びヘルメットを被り、新たに到着した機体へと走っていった。

 DCAM-004T リオン・タイプT改"ロン"。それがあの派手な黄色にペイントされたAMの名前だ。2度の実戦の中で改修された、異形の機体。誰がどうみても不格好で、誕生経緯を知るリョウトでもあまり愛着が沸かないデザインだ。ヴァルシオンの方がまだ整っている。

 

「フン、相変わらず不細工な機体だ」

「それを言ったらお終いだよスレイ……たしかに不細工だけど」

 

 当然のように、女性陣の受けも悪い。口に出していないだけのリョウトは、乾いた笑い声を返すしかなかった。

 

「で、1戦目はどうだった?」

「……一応引き分けだけど、かろうじてってところだ」

 

 噂に違わず、ヴァルシオンの力は凄まじいものだった。惜しげもなく投入されたEOTによる重力制御と、特機として格別の装甲と運動性、そして何より大型機特有のパワー。見聞された通名は"究極ロボ"。あれに勝とうなど、それこそ地球上全ての武力を持ってこないとだめだと思わせる風格と、そしてスペックだ。その前人未到の暴力の嵐に、ガーリオン/テンザンは一人で立ち向かった。例えこれが演習であろうと、それは誇るべきものだ。少なくとも臆病者なリョウトではまずできないことだ。

 勿論、5分間とはいえ、持ちこたえたことによる代償は計り知れなかったのだろう。映像を見る限り、2本の酸素ボンベを消費し、ヘルメットを被るまで脂汗も止まっていなかった。表情もいつもの不遜なものではなく、真っ青な顔で今にも倒れそうな、疲労困憊な状態であった。それでも、闘志のようなものが、目の中に宿っていた。リョウトにはそれが信じられなかった。あの、いつもゲームだなんだと言って人を小馬鹿にするテンザンが、あれだけの意思を秘めていることに。

 確かに、彼の本当の性格は、なんとなくだが察していた。不器用な優しさと向上心の高さ、それがあの態度の裏からにじみ出ているのだ。現になし崩しにDCに所属することとなったリョウトを同じ境遇ということを抜きに気にかけ、うまく機体を操縦できずスランプになりかけていたアイビスに飛び方のヒントを教えた。スレイには実戦での飛び方と称してシミュレータで何度も戦っているが、戦う以外の時も空戦機動について優等生のスレイと共に学ぼうとする姿勢を持っていた。だからこそ、見るからに気難しいスレイとは何度もやっていけてるのだろう。スレイの気難しさは、付き合いの少ないリョウトでもすぐに分かるぐらいなのだから。

 だからこそ、リョウトとしては、テンザンがどう思っているかはどうか不明だが、一友人として、勝って欲しいと願っている。その強さを証明して欲しいと。

 

「隣、いいかい?」

 

 不意に影が落ち、声を掛けられた。声の方を向くと、優しげな笑みを湛えた金髪の美青年がいた。センスのよいサングラスで目元を隠しているが、怪しい雰囲気は一切感じさせない。階級章を見るに、自分より遥かに高い少佐だ。ようやく慣れてきた軍隊形式に則り敬礼をしようと立ち上がるが、手で制された。見れば男性に気づいたスレイとアイビスも立ち上がりかけで止まっているが、スレイの顔には困惑が宿っていた。

 

「あ、はいどうぞ、少佐」

「ありがとう。ちょうど他の席が埋まっていてね、助かるよ」

 

 洒脱な調子でリョウトに隣りに少佐は座った。スレイは相変わらず口を半開きにしていた。

 

「え、え、エルザ……」

「レーツェル。レーツェル・ファインシュメッカーだ。よろしく」

「は、はい、よろしくお願いします、レーツェル少佐。僕、あ、いえ、自分はリョウト・ヒカワ曹長といいます」

 

 変な名前だな、と思いながら、差し出された右手を握り返し、握手に応えた。満足そうな笑みをくれたレーツェルはそのまま他の2人にも同様に、見るからに女性受けしそうな笑みで挨拶した。アイビスはその辺りに疎いせいか通常の軍隊のように返したが、スレイだけは苦虫を噛んだような顔つきで応えた。普通、そういうものは軍隊において失礼に当たると考えたが、レーツェルは悪戯に成功したような子どもに似た表情をしていたので、もしかしたら知り合いなのかもしれないと思い、黙ることとした。

 

「すまないがついさっき基地についたばかりでね。ビアン総帥が行っていることは事前に聞いてるが、今はどんな状況だい?」

「はいっ。先程1戦目が終わって、結果は引き分け。もうすぐしたら2戦目が……ほら、カウントが始まりました」

「なるほど、ジャストタイミングというわけか」

 

 モニターには、10カウントが浮かんでいた。先程まで騒ぎで五月蝿かったラウンジがカウントが進む事に鳴りを潜めていく。力を貯める火山だ、とリョウトはその様子にそんな印象を抱いた。それに、レーツェルが言ったジャストタイミングという言葉は、明らかにこの2戦目こそが本番だと伝えていた。それはリョウトも同意だ。ただのガーリオンであのヴァルシオンと渡り合うのは凄まじいが、それでもやはり、リョウトたちも乗るリオンの指揮官機タイプ。特徴はあるが特化はしていない。それとは逆に、2戦目はテンザンが最初から乗っているリオン、その改修機。慣熟も十分、性能は未知数。だが背負う槍の威力は映像を見せてもらった限り、充分以上だ。勝ち目があるとしたらあの機体以外ありえない。

 カウントが進み、誰かが固唾を飲んだ音が聞こえた。それはこの場に誰かかもしれない。後ろにいるスレイかアイビスかもしれない。もしかしたら、自分かも。

 画面の向こうで対峙する2機の間からは、モニター越しとはいえ、それほどの緊張感が伝わってくるのだ。

 カウント3、2,1……

 

『状況開始』

 

 スタートと同時に、2機が動いた。後ろに飛ぶリオンと、踏み込むヴァルシオン。サイズ差もあるが、さながら猟師と獲物だ。

 だが、それは両者にとってそうではない。リオンの右手からミサイルポッドが手放され、何とヴァルシオン目掛けて蹴り飛ばされたのだ。歪曲フィールドを持つヴァルシオンは意に介さず更に一歩踏み込もうとしたが、それよりも早く、リオンのレールガンが火を噴く。狙いはミサイルポッド。弾頭・爆薬がたんまり詰まった鋼鉄の箱は大爆発を起こし、モニターを一瞬、ホワイトアウトさせる。その間にも音声は2機の攻防を捉え続ける。恐ろしい轟音は、ディバインアームの軌跡か。雷光の如き音は、レールガンの発射音か。その一瞬に何が起きたか想像するしかない。

 

『ぬぅっ?!?』

『ちぃっ!!』

 

 その答え合わせは、回復したモニターが教えてくれた。レールガンを両断されたリオンに対し、ヴァルシオンは左腕の関節部で小爆発を起こし、だらりと脱力していた。ラウンジのボルテージが一気に高まり、それに呼応するように、インパクトランスを引き抜き刀身のT・ドットアレイ力場を展開したリオンと、右腕だけでディバインアームを振るうヴァルシオンが切り結ぶ。1合ごとに衝撃波が吹き荒れ、周囲の木々を薙ぎ払うが、ヴァルシオンより小さなリオンは一歩も引かずにランスを振るい続ける。

 

「え、え? 何が起きたの?! わかるスレイ?!」

「わ、私にわかるわけ無いだろう?! 戦闘は専門じゃないんだぞ?!」

 

 ヴァルシオンの左腕に起きた異常にアイビスが悲鳴のような疑問を上げるが、問われたスレイは答えられない。正直に言えば、リョウトも判らなかった。

 

「どうやら、歪曲フィールドの隙間を抜いたようだな」

 

 だが、その答えを知るものがこの中にいた。3人、いや話を盗み聞きしていたものも含め、周囲の視線がレーツェルに集まった。

 

「歪曲フィールドって、ヴァルシオンが張っているバリアみたいなもの……ですか?」

「そうだ。あれは質量兵器、ビーム問わず遠距離射撃に対して効果を発揮し、フィールド半径に沿うように逸らす。よほどの火力でなければあれを破るのは不可能だ」

 

 レーツェルの言うとおりだった。実際に先程のノーマルのガーリオンの時には一度もあのフィールドをテンザンは破れなかったのだ。だからこそ1戦目は振り抜かれるディバインアームにカウンターをぶつけ、武器を破壊しようとしていたのだ。

 

「で、ですが現にヴァルシオンはレールガンでダメージを受けています?!」

「そう、そのダメージを与えるための隙間……フィールドが一時的に相殺され、結晶化し、再展開される瞬間と穴を、あの爆発で作ったんだよ」

「爆発……あのミサイルポッドでっ?!」

 

 驚くしかなかった。確かにあれだけの爆発なら、ちょっとした威力になるかもしれないし、ほんの僅かな穴を作れるかもしれない。だがその時間、穴の大きさ、十分なはずがない。ヴァルシオンのあのパワーも加味すれば、フィールド出力は相当な物だ。穴が空いた時間はおそらく一秒未満、大きさとて、よくてレールガンの弾頭1発が通れるかどうかだ。もしレーツェルの推測が正しければ、テンザンはその困難極まる射撃を連続で、かつ左腕関節部という的に向かって行ったことによる。とても人間業とは思えない。

 

「まさしく神業……いや、魔技としかいいようがないな。私も多少射撃には自信があったが、そんなことはできない。鍛え直す必要がありそうだ」

 

 リョウトの内心を見透かしたようにレーツェルが薄く笑みを浮かべながら言葉を連ねる。鍛えてできるものなのか、と言おうとしたが、喉元で飲み込んだ。声に出しても、このよく分からない少佐なら、できるようになる気がする。そんな雰囲気を放っているのだ。

 そうこうしている内に、また周囲が湧いて、モニターに視線を戻した。モニターの向こうで、ヴァルシオンがリオンを大きく吹き飛ばし、背部の長大な突起を翼のように広げていた。あれは先程、ガーリオンに向けて放たれた広範囲重力変動攻撃の兆し。

 

「メガグラビトンウェーブが来る!?」

「っ、そこまでしますか、総帥?!」

 

 1戦目を知らないスレイとレーツェルが悲鳴とうめき声を上げる。当然だ、モニター越しにみたあの威力は、たった1機の機動兵器に向けていい威力と規模ではない。先程はマニュアルで出力を弄ったブレイクフィールドを急速展開しぶつけることで効果圏外となる場所まで無理やり逃れたが、今度はそうはいかない。ならば、どうするのか。

 

『インパクトランス、オーバーチャージ!!』

 

 答えはその手の中にあった。長大な槍が、淡く湛えた光をより輝かせ、やがて極光を放ち始める。映像でみたあの光が今モニターを焼き、リョウトの視界を覆った。たまらず両手で防ぐと、直ぐ様フィルター効果がかけられたが、その光は以前強い。

 

「あれが……」

「ロンゴミニアド……」

 

 テンザンが叫んだという名前。アーサー王伝説で、アーサー王が振るったとされる聖なる槍。その名に違わず、槍は煙のようにエネルギーを振りまきながら構えられ、急速に広がる重力場、その中心地にいるヴァルシオンへと穂先を向けた。騎馬兵に似た姿勢を取るリオンの各装甲の隙間から、淡い輝きが立ち上り始める。ジェネレーターからのエネルギーを臨界以上に出力したことによる負荷が熱となって機体の内部から焼いているのだ。それが光となって装甲の隙間から漏れているせいだ。

 

『我が意を識れ! メガ・グラビトン・ウェーブッッ!!』

『しゃらくせぇっ!!! ロンゴミニアドっ!!』

 

 そして、解き放たれた超重力波を、聖槍ロンは一瞬の抵抗を受けながら、貫き、引き裂いた。うめきがヴァルシオンのビアンから届く。構わず、リオンがチャージ。強烈な重力場をロンゴミニアドの光で防ぎ、ものともせずに接近するが、あと一歩の所で歪曲フィールドに阻まれた。だが、槍とフィールドの力場が拮抗しながらも、徐々に槍の光がフィールドを侵食し始める。

 

『歪曲フィールドを侵食……Tドットアレイの過剰暴走かっ?!』

『そのとおりだよ、クソヒゲジジイがっ!!』

 

 侵食が広がっていく。このままいけば歪曲フィールドは破壊されるだろう。いける、と我知らずリョウトは拳を握った。だが次の瞬間、ヴァルシオンが垂れ下がったままの左腕を強引に地面に突き立て、左肩にディバインアームの刃を這わせた。クロスマッシャーの発射口が開き、エネルギー光が輝き出す。だがその光はスパークとなってヴァルシオンの左腕全体を這い出し、ついには本体まで逆流しようとした。

 

『ぬんっ!!』

『何っ?!』

 

 その一瞬で、ビアンは自らの手でヴァルシオンの左腕を切り落とした。エネルギーがプールし、破損による満足に変換されなかった力は己自身の力で崩壊し、爆発となって表出した。その規模は、メガグラビトンウェーブが解除され、ヴァルシオンの歪曲フィールドが内側から崩壊し、本体が吹き飛ぶほどだ。当然、体格の小さいリオンも爆発に巻き込まれ、後方へと弾き飛ばされる。煙によってモニターが三度見えなくなるが、またすぐに晴れることとなった。片腕を無くしたヴァルシオンが、縦一文字の刃を体勢の整えられていないリオンに対し放ったからだ。

 当たれば必死。もはや演習ではない。ここまでするかと驚愕し、リョウトはたまらず、やめろ、と叫びそうになった。それを間一髪留めることはできたのは、テンザンがディバインアームに反応し、テスラドライブの翠の光が急速に消えていく槍で受け流したからだ。その代償に、過剰出力で内部崩壊を既に起こしていた槍は砕けてしまった。槍だけではない、保持していたリオンの両腕もだ。それを好機、とヴァルシオンが刃を戻し、振りかぶる。今度は横薙ぎ、今度こそダメか。誰もがそう思い、その瞬間を見届けた。

 刃がリオンを切り裂き、異形の機体ががモニターから消えた。終わった、といつの間にか立ち上がっていたスレイがぺたんとイスに倒れた。しかしリョウトはすぐに可笑しいと気づいた。撃破判定のアラームが鳴ってないのだ。更には、どこかに吹き飛ばされているなら斬撃で破損部位が飛び散っていてもおかしくはないのに、、それがどこにも見当たらないのだ。

 ならば、リオン/テンザンはどこに消えた。探そうと思った瞬間、レーツェルが指差した。

 

「剣の下だ!!」

 

 モニターの端、振り抜かれたディバインアームの、地面側の面。そこには、仕込み刃をスパイクのように使って、両足底でディバインアームの刀身に食い込み、コウモリ染みた逆さ姿勢となっているリオンがいた。機体の左半分が抉れ砕けているが、残った右目はまだ赤く輝いている。

 

『ッ、見事だ、テンザン・ナカジマ!!』

『おうらぁぁぁ!!!』

 

 ディバインアームが再度構えられるより速く、リオンが跳び、残る刃をヴァルシオンの胴体へ放とうとした。ヴァルシオンは避けきれない、確実な一撃。獲った、とリョウトは両手を握ってその瞬間を待った。

 

『5分経過!! 戦闘を中止してください!!』

 

 その期待を裏切るように、戦闘終了を告げるオペレータの声が響いた。姿勢を強引に崩したリオンがそのままヴァルシオンに体当りし、何の抵抗もなく地面へ崩れ落ちていく。そのまま倒れ込むかと思いきや、ヴァルシオンが剣を離し、リオンを支え上げた。

 とても長く感じられた、僅か5分間の演習は、ここでようやく終わったのだ。

 結果は、引き分け。爆発するような歓声と飛び交う賭け札の中、リョウトは大きく息を吐き出しながら脱力した。モニターの向こうで、ボロボロとリオンの中から顔を出したテンザンが、げっそりとしながらもいつもの表情を浮かべていることも、安堵できた理由だ。あれだけの事をした後なのに凄いな、と素直に浮かんだ賞賛と、先程の戦いの興奮が再燃したような気持ちが熱となって、顔を火照らせた。

 

「……まっっったく、あの男はヒヤヒヤさせるっ!!」

 

 リョウトと同じように張り詰めた気が抜けていたスレイがテーブルに上半身を倒したと思うと、急に大声を上げた。何か言いたいのかはリョウトも気持ちはわかるが、拍手をしていたアイビスがその声にビクッと驚いて手を止めてしまった。スレイは何故かプリプリと怒りながら、そのエネルギーを別の物にぶつけようと、持ってきていたコップを掴み、一気に飲み干した。何となとくその様子から、鈍いリョウトでも、心配だったんだな、と察する事ができて心が温かくなる思いだった。

 

「それにしても……さっきのリオンの位置に気づくなんて、さすがですね少佐……あれ?」

 

 興奮が冷め切らないまま、リオンがあまりの奇天烈な回避をしたことに気づいた少佐に声を掛け、先程の戦いについて語り合えたらと考えていたリョウトは、いつの間にかレーツェルがいなくなっていることに気づいた。周囲を見るがラウンジがお祭り騒ぎとなっているので、どこに誰がいるかまるで分からない。やはり立場上忙しいのかなと思い、そこで探すのを中断した。

 

「はぁ〜〜、まったく……アイビス、リョウト、シミュレータに付き合え!」

 

 アイビスのものも強奪して水分を補給したスレイが、いきなり立ち上がるとそんな宣言を二人にするが、アイビスはそれに対しブーイングの声を上げた。

 

「スレイってテンザンに影響受けて戦闘訓練ばっかりじゃない! それだったら高機動仕様機の飛行シミュレータの方がいいよっ」

「むむむ、アイビスの癖に……いいだろう。No.1とNo.4を揉んでやろう! リョウトもいつでもこっちに来れるよう付き合え!」

「へへーん、あたしだってそろそろ最下位から脱出できるんだし、そういうこと言ってると足元すくっちゃうよ?」

「吠えたな"流星"!!」

「"流星"って言うなっ!」

「まぁまぁ二人共、落ち着いて……というかやっぱり僕もやるんだね」

 

 興奮そのままに額をぶつけ合うプロジェクトTDのライバル2人を宥めながら、シミュレータ訓練から逃れらないことが確定したリョウトはため息を付きつつ、しかしこそばゆい気持ちのまま、頬が緩まるのを止められなかった。

 確かに、流されるまま、世界に戦争をしかけようとする組織に属してしまった。ただの弱虫で、友達も少なくて、ゲームが得意なだけの一般人だった自分がだ。最初は逃げ出そうとしたが、それも怖くてできなかった。人をいずれ殺すことになるだろうと考え、怖気が走った。異星人と戦う時に矢面に立たなければいけないことに震えが止まらなくなった。

 それでも今、自分はここにいることに僅かでも充足感を感じ始めている。こうして共に高め合う友人たちを大事に思い始めている。その感情を裏切ることはできない。

 それが正しいと感じない限り、自分は彼らを裏切ることはないだろう。それだけは、弱虫だったリョウトの手のひらに芽生えた意地だった。

 

「あ、そういえばこの賭け券、僕当たったんだ」

「なら後でご飯奢ってよ! あたし大盛りBセット!!」

「私はA+Dセットだな」

「え、ええ〜っ!?」

 

 裏切らない、と思う。

 

 

 

「ビアン総帥、どうでしたか?」

「エルザムか……いや、存外、気持ちがいいものだな。1対1で負けるというのは」

「確かに、嬉しそうですね」

「後は見極めだけだ。後日、私の別荘へ案内してくれ」

「かしこまりました」

「……私の、いや星の剣となるならばそれでよし。もしそうでなければ……その時は頼むぞ、シュウ」

「承知しました。アレだけのイレギュラー染みた力であれば、グランゾンを使わなければならないでしょうからね」

「まったくだ……やれやれ、私もヴァルシオンもまだまだ未熟だな。強化プランを練るとしよう」




どうしてこうなったと作者が頭を悩ませているもの一覧

①一発ネタだったインパクトランスが必殺技付きで主武装化しつつある
②リョウトの連邦への寝返りフラグ消失が進行
③スレイ、アイビスの早期参戦フラグ
④ヴァルシオン強化フラグ
⑤謎の食通
⑥文章量の増加

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