ワンパンマン ~日常ショートショート~ 短編、『KINGの苦悩』の続き。
『秋の特番"ヒーロー協会提携S級3vsA・B・C級30サバイバルゲーム"勝つのはどっちだ?!』の対決編。
長くなったので別ワクとして投下しました。
『KINGの苦悩』を読まなくても通じると思います。でも見てもらえたらうれしいです。
「最初に言っておくが、俺としてはこの企画自体反対だ」
なるべく低く押し出した台詞とは裏腹に、正直な俺の心臓は、周囲に聞こえるほどの大きな鼓動を打ち出している。
ここはヒーロー協会小会議室。
某テレビ局がヒーロー協会広告塔『アマイマスク』を通して持ち込んだ、S級3人vsA・B・C級30人、サバイバルゲームの打ち合わせ会場だ。
目の前には神経質そうに組んだ指を動かすアマイマスク氏、俺の横には、眉間にシワをよせ、不機嫌さを隠しもしない鬼サイボーグ氏と、黙って事の成り行きを見守っている顔色の悪い男、ゾンビマン氏。
"キング"なんて御大層なヒーローネームもらっちゃてるクセに、実はヨワヨワの単なるオタクゲーマーな一般市民、ハリボテの俺とは違い、三人とも本当の実力者。こうやって顔を合わせただけで、俺のノミの心臓はバクバク音をたてている。
「凄い音だねキング。戦闘態勢かい? そんなに僕を警戒しているの? 僕はただ、上手くいかなかった怪人退治の埋め合わせとして被害者支援の為の寄付金集めに協力するのはヒーロー協会に属している者として当然の事だと言ってるんだけど?」
違う! 勘違いだから! あんまり
「キングの言う事にも一理ある。昨今、怪人の出現率は
「
ケガなんて
鼻をならし、不機嫌そうにゾンビマン氏に反論するアマイマスク氏。
あぁそうだ。彼は“海人族戦”でも“宇宙船襲来戦”でも、このスタンスでS級ヒーロー達の反感を買っていた。
「だが、彼らがいるから、我々はパトロールやレベル狼クラスの怪人に時間を取られずにすんでるんじゃないか?」
フォローをありがとうゾンビマン氏!
無限コンティニューなんてチートな
「大体、バトルフィールドが山中なのもどうかと思うぞ。高レベルの怪人が出た場合、駆け付けるのに時間が掛かる」
そうそう、こんな企画、中止の方向に持ってっちゃって!
「それなら・・・どうでしょう?」
今まで忘れ去られていた番組プロデューサーが嬉しそうに手を擦り合わせながら言った。
「皆さん、腕に覚えがある方ばかりですし、怪人出現のホットスポットと呼ばれる、Z市無人街で行っては――――――」
えっ?! ちょっと待って! それって怪人出現したら、自分でやっつけろって事だよね?!
「あぁ、それは良いね。そこなら何があっても周りを気にせずに処理できるし、素早くヘリでヒーローを派遣できる」
何かって、一体ナニ!? アマイマスク氏の中ではナニが想定されてるの?!
「まぁ・・妥協点だな」
頷くゾンビマン氏。
ちょっと! ちょっと待ってよ~!!
俺の心の叫びは、ジェノス氏の「俺と先生の家の周りで騒がれるのは迷惑だ」という台詞と共に無視された。
Z市無人街は大きく分けて三つの地域で構成されている。
一つは、高速道路と外に隣接している… サイタマ氏とジェノス氏が住んでる昔からの住宅街。ここは無人だが、比較的荒れていない。
二つ目は、川沿い… 閉鎖された競艇場と河川敷ゴルフ場に隣接している、振興開発を狙って比較的新しく作られた準住宅街。
三つめは… 荒廃の進んでいる工業地帯。政府の方針で市街地から大小様々な工場を集めたものの、そこを資源入手などの目的で怪人や武装集団に狙われて破壊された一帯だ。
勿論、無人街と言うからには、どこにも人は住んでない。
サイタマ氏とジェノス氏以外は。
……本当に二人ともよくこんな所に住んでられるよね。俺はムリ! 絶対!! 危険地帯以前に、まず100m圏内にコンビニがない時点でアウトだし!
指定されたS級本拠地を望む、水門の上でライフルを組み立てていく―――――― 今、大規模工場内にある俺達の陣営のフラグポイントには誰もいない。
開始早々、ジェノス氏に正面入口以外の窓やドアを塞いでもらい、二人には指定したポイントに向かってもらったのだ。
ジャストな位置にライフルを据えると、俺はダミーシートを被り、腹ばいになった。
今回のゲーム、ルールはこうだ。
S級チーム、A・B・C級混合チームの各々が陣営を持ち、2時間以内に敵地のフラッグを奪えば勝ち。
タイムアウトの場合、敵を倒して得たポイント(A・B・C級1人1点、S級1人10点)と、怪人に捕まって逃げ遅れた"民間人"設定を助けたポイントを合算して多い方の勝ち。勿論、民間人が何処にいるのかは大まかな事しか教えられてない。(実はジェノス氏の生体反応探査で、競艇場にいるともうわかっちゃってるのは内緒だ)
民間人を助けるつもりなら終了間際でいい。俺達は三人しかいないのに、狭い場所で、一度に大勢の敵を相手にするのは割りに合わない。それよりも罠を仕掛けてエサにした方が得策だろう。
相手のリーダーはアマイマスク氏だ。
『一般人と変わらないカスのようなヒーローなど見るに堪えないね。美しくない。僕としてはこれを機に身の程を知って自ら辞めてもらいたいくらいだ』なぁんて言ってた彼の性格から、突出した戦闘力を持った彼が先陣切って攻めてくる事はまずあり得ない。
彼にとって、実力の伴わないA・B・C級組が不様な姿をメディアに
だからきっと初っぱなは仲間に任せ、自分は見晴らしのいい場所から戦況を見守っているはず。
とすると―――――― 俺がいるみたいな高台にいくだろう。一人だけで。
つまり、ジェノス氏からタブレットに送られてくる生体反応で、一つだけ外れて動かない点がアマイマスク氏だ。
ザッとノイズのような音の後にインカムから入るジェノス氏の声。
『G(ジェノス)からK(キング)へ、敵は幾つかのグループに別れた。一番大きなグループは予定通りヒントを追って競艇場方面に向かっている』
やっぱりな。民間人救出はゲームの見せ場だ。カメラも設置数が多いだろう。名声の欲しい奴等は積極的に市民救出を狙っていく筈だ。
「KからGへ、了解。予定通り頼む。何か変更があれば連絡を。Z(ゾンビマン)、B級のスメルマスターも参戦してるから、くれぐれも煙草は自重してくれ」
『あ~、くそ! 了解。それ聞いてたら引き受けなかったよ』
ゴメン、ゾンビマン氏! 会議室の近くに喫煙所作る案、俺からも押しとくから!!
今回、ジェノス氏のやる気は臨界点を越えている。
日頃贅沢しないサイタマ氏に『副賞の焼肉食べ放題、ヨロシクな』なんて言われちゃったから尚更だ。何たって彼が大技を繰り出す焼却砲を、この日のため
ジェノス氏―――――― おそろしい子!
それ、絶対に焼肉食べ放題より高くついてるよね!?
『Zからall(全員)、本トラップにタンクトップ兄弟が喰いついた』
本トラップ。
それはゲーム"メタル〇ア"に倣った、エロ本を仕掛けておいて足を止めさせると言う由緒正しいトラップだ。
でも勿論テレビに映る事も考え、倫理面を考えてもっと効率のいい本にした。
それは―――――― 女性雑誌『a〇an』気になるヒーロー特集! "今、抱かれたいヒーローは誰?!"だ!!
女性から見た自分の評価は気になる。けど、社会的な目を気にして本を買えないヒーローなら絶対食いつくはず! …と思ったらやっぱり釣れたらしい。
ふっ、悲しいけど… 戦争なのよね、これ。
『代われゾンビ! 俺が
え?! ちょっとジェノス氏?! 今、絶対、
『あ、おい! そこで俺の名を切るな!!』
あ、ゾンビマン氏、想定外の持ち場交換よりも、
しかし、まいった。ジェノス氏とあの二人とのエンゲージを想定してなかったよ~~!
ジェノス氏は、タンクトップ兄弟を目の敵にしてたんだった。命令違反は、軍なら銃殺刑になってもおかしくないんだからね! ジェノス氏?!
「Z、Gのフォローよろ! G、周囲50メートル圏内に敵がいたら、攻撃後、直ぐ様離脱。撮影しているドローンを警戒、頭上を旋回されて、敵に居場所を悟られる様な事になるな!」
S級はジェノス氏も含めて、どうも回避行動を疎かにしている節がある。まぁ… みんなチートキャラで、少々攻撃を喰らったってダメージ薄いから、押せ押せになるんだろうけど… こういうルールがあるゲームでは致命的だ。
『『了解!』』
瓦礫を走る音、散発的に入るライフル射撃の音、ヘッドフォンから入る向こうの音は混迷を極めている。
大丈夫かなぁ~ ジェノス氏。あんなにアーマークラス高いのに、彼でさえ、頭とボディに一発でもペイント弾喰らったら死亡判定だからなぁ~ 開始そうそう彼に抜けられたらかなり痛い。
事の成り行きにドキドキしながら、自分のスコープに入ってきた一団を見る。
高い塀に囲まれた俺達の拠点の出入り口前には、一見、扉から、
でもこっちからはバレバレなんだよね~ むふっ。
B級グループのワイルドボーン、罠天狗、スメルマスターに
この場合、最初に狙うのは頭脳派でトラップマスターの罠天狗だよね。そして次は素早いピンクホーネット。ワイルドボーンは脳筋だから最後だな。
よし、ひじを左わきから離さない心がまえで、やや内角をねらい、えぐりこむようにして………… 撃つべし、撃つべし、撃つべし、撃つべし!!
罠天狗をやられて、何処からの攻撃か分からずあたふたしてる間に続けざまに連射する。
フッ、楽勝。この場所が敵にバレちゃう前に、もう少し戦力削れないかな。
『ZからKへ! こちら制圧完了。被害なし。鬼サイボーグの奴、エゲツないぞ! 一方的にフルボッコだ、あいつ等に何か恨みでもあるのか??』
『 安心しろ。峰打ちだ 』
『鋼鉄の手足に、峰打ちもクソもあるかよ!!』
あ~、ご愁傷様タンクトップ兄弟。
ほんとブレないなぁジェノス氏は。こんな時でも、サイタマ氏を貶めようとした奴には制裁発動かぁ。俺ももうちょっと手加減してサイタマ氏と対戦ゲームしないと闇討ちされちゃうかも。
「・・・Kからallへ、こちらも4人排除した。引き続きそちらを頼む」
『本当か? 開始30分で半数越え・・・こりゃぁイケるかもしれないな』
「まだ
『『了解』』
まだアマイマスクもスティンガーも残ってる。フブキ組とアトミック侍の師弟たちが辞退したとは言え、群れるB・C級よりも個々で動くA級が残っているのが心配だ。
トラップは、あくまで雑魚(ゴメン!!C・B級! 俺にだけは言われたくないよね?!)の数を減らすためのものだ。
ダンボールトラップ(いかにも人が潜んでいそうな怪しいダンボールを配置して、警戒と足止めを誘う。わざわざこのために、萌えダンボールを俺の家から持ってきた)にC級の十字キーとその相方のサスペンダーが引っ掛ったのは、ゲーム好きの二人なら絶対に足を止めると思ったからだし(勿論、"こうかはばつぐんだ!"遠慮なく射撃した)
河川ゴルフコースに仕掛けた投網トラップには、思った通りC級連合が引っ掛った。
あとは競艇場の入り口に仕掛けたトラップに、民間人救出を目指す目立ちたがり屋の連中を誘い込めれば、かなり削れるだろう。
残ったA級は…… 一対一なら二人とも勝てるだろう。俺には到底無理だけど。
でも、出来れば作戦通り―――――― ゾンビマン氏が銃で気を引いて、ジェノス氏が仕掛けるのが手堅くて無理がない。
………問題はアマイマスク氏だな。彼は絶対に俺を狙ってくるだろう。
どうしようかなぁ~~ 実質、彼はS級並みの実力だし、もともと容赦がない人だからなぁ。
俺はゲーマーなだけの一般市民で、戦闘力は皆無だし、大体、彼にライフルが効くのかな?
…なんか気配察知して、サイヤ人の如く、紙一重で避けられそうな気がする。
ここは秘かに考えていた通り…… 仲間の足を引っ張らない為にも、ある程度ポイント稼いだら、俺だけ隠れてタイムアップ狙った方がいいだろうな。
………情けなくて二人には絶っ対に、言えないけど。
ごめん! ごめんよ~~~二人とも! 俺がゲームに引き込んだのに、一人だけ逃げる気で!!
お、C級の赤マフとB級のダークネスブレイド発見! どっちも近接攻撃型だ。撃っちゃえ。
倒れた二人に、スタッフTシャツを着た頭の眩しい男が大八車を引いて走り寄る。
サイタマ氏だ。そう言えば、現地アドバイザーとして、パトロールと落ちた奴のキャンプ地送りのバイトを引き受けたって言ってたな。ロケ弁もらえるって喜んでたっけ。
……脱落者、わざわざ台車に乗せて連行するのってどうなのかな? やっぱりこれって晒し者にするためか??
ぽんぽんと大八車に人を積むサイタマ氏の姿を、容赦なく撮影用ドローンが記録していく。
うわ~~っ あれ、テレビ放送されたらかなりへこむよね?!
モンハンでインターネットクエストにヘルプで入ったのに、一人で3オチしちゃってフレンドリストはじかれちゃうよりクるかも!
まあ、俺は体験したことないけどさ。
俺がスコープで見ているのを知ってか知らずか、サイタマ氏は台車の
ふふっ 撮影されてるっていうのに変わらないなぁサイタマ氏は。こんな時ぐらい、ゆる~いダルダルな顔してないで、スイッチ入ったカッコイイ顔すればいいのに。
この距離から―――――――― サイタマ氏を狙撃したらどうなるかな?
まあ、まず
でも……… 一瞬でも、本気の時の、あの真面目な顔になるのかな? ははっ! チョット試してみたい気もするね。
突然、サイタマ氏が俺の方を振り仰いだ。あれ? 今、スコープ越しに目が合った??
いや、ないない。ここからあそこまで600ヤード近く離れてるんだし。
サイタマ氏は何事もなかったように前を向くと… カメラドローンを引き連れて、すごいスピードで荷車を引っ張っていった。
A級のフォルテを排除したとゾンビマンから連絡が入ったのはそのすぐ後だ。
彼が言うには、フォルテがヘッドフォンから流れる曲に合わせて、必殺技を繰り出すための前行動で踊っていたところを、容赦なく撃ったらしい。
ゾンビマン氏は正しい。正しいよ。……正しいけど、相手の事を考えると涙をそそる。
そうだよね~~ 口上述べてる時や必殺技の前振りしてる時は攻撃しないって言うのは、物語だけのお決まりだよね~~。わかっている。わかってはいるけどさぁ、自分のお気に入りの特撮でそれをやられたらと思うと泣けてくる。
あぁ、現実はきびしいなぁ。
再度タブレットを確認―――――― こっちの光点の群生はテレビクルーのいるキャンプ地の方だし、こっちの方は競艇場だ。
そうなると、その近くにいるバラけた二つの点はジェノス氏にゾンビマン氏、そっちに高速で向かうこの点が―――――――んん? どう見ても川の中にある、この光点はなんだろう? 戦略的にも、バトルフィールド外のここに人員を配置する意味がないけど?
「おい、キング」
「うわぁぁぁぁぁあ!!」
突然、掛けられた声に、思わず飛び跳ねる。
振り向くと、さっき荷車を猛スピードで引いてった筈のサイタマ氏が立っていた。
お~いサイタマ氏! ここ、水門の上だからね!? 22階の俺の家にジャンプでバルコニーから入ってくる人には簡単な事なんだろうけど!!
あ~、心臓が苦しいくらいドキドキいってる! ………やべえ今のでチョットちびっちゃった。
気付かないでくれよ~ サイタマ氏~~~。
「カッコいいなそれ。キングの銃か?」
「あ、うん。童帝君に頼んだんだ」
俺の持ってたモデルガンじゃいくら手をいれたとはいえ、所詮おもちゃだ。飛距離を考えると心もとない。なんとかならないか? と、童帝君に相談したら、喜んでこれを作ってくれた。それも、もの凄い笑顔で。
まるで、未来から来た青いネコ型ロボットの様にいとも簡単に持ち出してきて――――― 対価を尋ねたら、お返しにゲームのレベル上げを手伝ってくれればいいと言われたけど… そんな簡単な事ですんで申し訳ないくらいだった。
「怪人の方はどう?」
「今日はまだ見てねぇな。ま、今日に備えて念入りに潰しておいたし」
あ~~、やっぱりいつもは念入りに潰さなきゃいけないくらい出るんだ? 俺、けっこうサイタマ氏の家に遊びに行ってたけど、よく今まで無事だったなあ。
周囲に生体反応のシグナルがない事を確かめて、俺は背後にある大きな川に向き直った。勿論、一つだけある
う~ん、遠すぎる。スコープ通しても判らないな。
「なに?」
「いや、川の中央に一つだけ生体反応があるんだけとさ、なんだか判らないんだ」
ゲームにあわせて、人より小さいものは弾くように設定したとジェノス氏は言っていた。つまり、普通の魚や鳥はあり得ないわけだ。
「どっち?」
「競艇場のこっち側」
うん、これは双眼鏡でも判らないな。
「・・・別に水面には何にもいねぇぞ。波は立ってるから、何かいるんだろうけどな」
「え? 見えるの??」
「えっ?? 見えないの? キング、ゲームのし過ぎで視力落ちてんじゃね?」
「いやいや、普通この距離は見えないでしょ。サイタマ氏、すごいのはパワーだけじゃないんだね。・・・・・・アオウオとかかなぁ・・最近はデカい魚とかいるって言うし・・・・・・」
大体、どのサイズまで普通で、どのサイズからが怪物のくくりなのかなあ? 何にも被害がないんだったらほっとくべきだな。うん。
「デカい魚だったら、夕飯の足しになるな」
うれしそうだね? サイタマ氏?? 怪人食べたことあるって言ってたもんね。今度から、夕飯ご馳走になる時は肉の種類を聞く事にするよ。
「サイタマ氏、バイト中でしょ、狩なんてしてる暇ないよね?」
「だな。しかしすげえドローンの数だよな。誰を追ってるんだ?」
えっ? ドローンが追ってる??
「ドローンが見えるの? サイタマ氏!?」
「あぁ、結構な数が、スピード上げて競艇場の方いってるぞ」
アマイマスク氏だ! 彼と同じ芸能事務所に所属しているアイドル上がりの新人ヒーローユニット"微炭酸BOYS"が消えてる今、何台もカメラが追うのは彼しかいない!!
「Kからall、アマイマスク氏が高速で向かっている! Zは反射光を利用、玄関大ガラスを背に銃撃準備! Gは背後に回り込め!!」
『『了解!』』
………光点がみんな競艇場の方に向かってる… ドローンはみんなアマイマスク氏に付いていった。だとすれば、定点カメラさえ気を付ければ――――――――
「サイタマ氏、俺、移動するよ」
「おう、がんばれ。俺も仕事もどるわ」
サイタマ氏は軽々と飛び降りると―――――― 競艇場の方に消えていった。
さてと、俺も行くか。
目指すは競艇場向こうの廃工場。体力のない俺が向かうにはちょっとばかり遠いが――――――必要最低限残して荷物をデボればイケるだろう。
俺は一段一段、足掛りを踏みしめて、アタックポイントを後にした。
キング、指の力は絶対にあるよね! 連打とかすごそうだし!!
キングなので肉弾戦にはならなかったけど、後編は少しある予定(キングとは言わないけど)
ジェノスはサイタマ先生に焼肉を食べさせてあげることが出来るのか?!
ところで、このZ市はかなり捏造が入っております。似たような場所がS県にあるかと思いますが、温かい目で見守って下さいませ。