ある日のこと、広間に行くとめぐみんがせっせと何かを作っていた。カズマさん達もそれを興味深そうに見ていた。
「何してるんだ?」
「あぁ、ウミ。これはお守りですよ」
「お守り?」
めぐみんが言うには紅魔族に伝わる魔術的なお守りで、お守りの中に強い魔力を持つ者の髪の毛を入れるらしい。めぐみんはカズマさんの誕生日プレゼントとしてそれを渡すらしい。
「まぁ気休め程度のものですけどね」
「それでも何となくだけど効果がありそうだな」
「………ねぇ、めぐみんちゃん。私にも作り方教えてもらえないかな?」
突然友奈がそんなことを言い出した。もしかして僕のために作ってくれるのかな?でも、強い魔力を持っている人の髪の毛じゃ駄目なんじゃ……
「いいですよ。折角ですから一緒に作りましょう。と言う訳でウミはしばらく出かけてください」
何でいきなり僕を追い出そうとするんだよ。別に見ていてもいいじゃないのか?
「あの……めぐみんちゃん。別に追い出さなくても……」
「そうですね。では私の部屋で作りましょうか」
めぐみんは友奈を連れて自室へと向かうのであった。
「とりあえずどうしようかな」
「あら、ウミ。暇ならゼル帝の小屋作ってくれないかしら?ダクネスに頼んだんだけど、物凄く不器用でな」
ダクネスさんが不器用って……まぁ見た感じ不器用そうだな。というか僕も小屋とか作れるかな?
「それだったら私も手伝うよ。友海と牡丹にも手伝ってもらおう」
「それは助かる。それじゃ早速作るか」
僕、銀、アクアさん、友海、牡丹の五人で屋敷の庭で小屋作りを始めるのであった。
友奈SIDE
めぐみんちゃんの部屋でお守りの作り方を教えてもらっている私。そんな中めぐみんちゃんはある事を聞いてきた。
「そういえばウミと喧嘩でもしましたか?」
「えっ?」
「何だか最近二人がイチャイチャしているところを見てないのですが……」
そんなにイチャイチャしてるかな?私と海くんは普通にしてるつもりなのに……
「喧嘩はしてないよ。ただちょっとね……」
「悩み事でしたら聞きますよ。私達は仲間ですからね。仲間の相談は仲間が解決するべきです」
「めぐみんちゃん………あのね、実は…………」
正直めぐみんちゃんに話すべきかどうか悩んでいる。あの件については海くんに真っ先に言うべきことなのにだ。でも、何時迄も一人で抱え込んでいちゃ駄目だよね
「私……ここから出ていかないといけなくなるかもしれないの」
「………それはどういう事ですか?カズマにセクハラでもされたのですか?それでしたら私がお説教します」
「ううん、セクハラされてないよ。あのね、私と海くんのせか………故郷がね………」
私は出来る限りめぐみんちゃんに別世界について触れないように説明をした。めぐみんちゃんは最後まで聞き終えると……
「………確かにそれだと悩んでしまうのもしょうがないですね。それではそのお守りはウミに?」
「うん、私がいなくても守ってくれるようにって………」
「ウミはユウナに守られなくても、強い人ですよ」
「ううん、前にも言ったよね。海くんはすごく無茶をする人だって……私がいない間、本当に無茶をしないか心配で……気休めだけどこのお守りと……あと私がいない間に支えてくれる人に頼んでおいたんだ」
私は笑顔でそう言うが、何故かめぐみんちゃんは不機嫌そうな顔をしていた。もしかして怒らせるようなことを言ったのかな?
「あの、めぐみんちゃん?」
「ユウナ、ちゃんとウミには自分で話してくださいね。私は代わりに説明する気はないですから」
「わかってる」
「それと出来れば離ればなれになる前に……ウミとキスくらいはしてくださいね」
「えっ!?」
キスって……前に頬にキスはしたけども……めぐみんちゃんが言ってるのって……口と口の……
「私としてはちゃんと進展してほしいです。そうすれば私も……」
「私も?」
「いえ、なんでもありません。ほら、作業の続きをしますよ」
「うん」
私たちはお守り作りに専念するのであった。
ウミSIDE
その日の夜、僕は部屋で寝ようとしていると誰かが訪ねてきた。
「誰だ?」
『あの、私……』
この声は友奈?こんな時間にどうしたんだろう?僕は友奈を部屋に招き入れると何故か友奈はもじもじしていた。
「あのね………これ、渡そうと思って……」
友奈が渡してきたのは昼間には作っていたお守りだった。もう完成したんだ
「ありがとうな。何だか友奈が作ったものだから効果ありそうだな」
「えへへ、そうかな?それでね。実は………めぐみんちゃんにお願いされたことがあって……」
めぐみんにお願いされたこと?一体何をお願いされたんだ?友奈はそっと僕の側により、顔を近づけてきた。
「おい、友奈………」
「お願い……目を閉じて……」
何だ?これってアレだよな。というか友奈からしてくるのって……説教的や過ぎないか?もしかしてサキュバスの夢でも見てるのか?
色々と考えていると、あと数センチの所まで来ていた。僕は目を閉じようとした瞬間、
『勿体つけてこんなんかよぉぉぉぉぉぉ!!』
突然カズマさんの声が響いてきて、僕も友奈も吃驚してしまい、中断してしまった。
「え、えっと………その、おやすみ」
友奈は顔を真っ赤にしながら、僕の部屋から出ていってしまった。いい雰囲気のところを邪魔されてしまった。これは後でカズマさんに事情を聞くべきだな
キスシーンはお預けです。今回はあんまり話が進みませんでしたが、次回からちょっと話が進みます