祭りの準備として暫くの間討伐クエストを受けていた。そんな中カズマさんは祭りの実行委員として色々とアドバイスをしていたのだけど……
「カズマさん、祭りに浴衣は分かるんですけど、水着とか爆発ポーションを使っての花火とか、仮装パレードとかって……」
「いいじゃんか。これでも妥協したんだぞ」
カズマさん曰く爆裂魔法を使っての花火とかサンバカーニバルとか考えていたみたいだけど、正直そんなことしたら準備とか大変だったろうな……
「というかお前は祭りとか楽しまないのか?」
普通だったら楽しむものなんだろうけど、実際僕が参加した祭りって神樹様のためのものだったからな……
「それなりに楽しむよ。というか友奈と……そのデートするつもりだし」
「ほう……お前もか。俺もちょっと前にめぐみんに花火大会に誘われてな」
そういえばカズマさんとめぐみんってここ最近いい雰囲気だったような……と言うかダクネスさんともいい雰囲気で……その内刺されたりしないか心配だ
「お互い、頑張ろうな」
「うん」
とりあえず互いのデートが上手くいくように握手を交わすのであった
さてついに始まったアクア様&エリス様感謝祭。みんなそれぞれ祭りを楽しむ中、僕は屋敷の玄関の前で友奈が来るのを待っていた。
「う~ん、まだかな?」
お祭りということもあり、友奈にはある衣装を用意しておいた。というより着せたほうが良いんじゃないかってカズマさんに言われ、頑張って作った。ああいう服って作り慣れてないから上手に作れたか心配だな。
「お待たせ~」
声が聞こえたと同時に玄関の扉が開くとそこには浴衣姿の友奈が出てきた。
「ど、どうかな?」
「あぁ、可愛いよ。そ、その変な所ないか?浴衣とか初めて作ったから……」
「ううん、大丈夫だよ。ありがとうね。海くん」
友奈は笑顔でそう答えてくれた。友奈の笑顔が見れたのだから作ったかいはあったな
「それじゃ行こうか」
「うん」
僕と友奈は手をつなぎながら一緒に祭りを楽しみに行くのであった。
てっきり異世界のお祭りだから変な出店とかあると思っていたけど、至って普通のお祭りでちょっと安心していた。
「どうしたの?ホッとして?」
「いや、普通のお祭りでよかったなって思って……」
「海くん。別の世界だからってそんなに気にしない方が良いんじゃないの?」
「うん、そうなんだけど……」
異世界での生活に慣れた所為もあるな。まぁ流石にエリス教の出店は本当に普通でよかった。
まぁあんまり気にしないようにデートを楽しむべきなのだけど、何で向こうの方で誰かが揉めているのに気がついた。
「あっちの方ってアクシズ教のブースだよね」
「何かあったのかな?」
ちょっと心配だし、様子を見にいいくことにした。
様子を見に行くと何故かアクシズ教徒と警察の人たちが揉めていた。一体何があったんだ
「あの何かあったんですか?」
友奈が警察官に声をかけると、警察官たちは呆れた顔をしていた。
「あぁ、アクシズ教徒たちが金魚釣りって言う店でこんなものを売っていたんですよ」
警察官が見せてくれたのは金魚ではなくでかいオタマジャクシだった。というかこのオタマジャクシ、まさかと思うけど……
「ジャイアントトードの子供だったりします?」
「そうなんですよ。こんなもの子供が買ったら、街がえらい騒ぎになりますよ」
これは撤去して正解かもしれないな。というかよく見ると他の出店も撤去されていた。何というかまともに商売する気ないのかな?
「何だか本当に共同開催してよかったのかな?」
「で、でも、ほら、まだ一日目だから……ね」
友奈はそう言うけど、何だか提案した身としては心配だな。まさかと思うけどアクシズ教の出店が一日目で全滅とかないよな
「あれ?でも、あそこのお店、何だか人集りができてるよ」
友奈が指を差した方を見ると確かに人集りができていた。一体何の出店なのか気になり、見に行くとそこはカズマさん、アクアさん、クリスさん、セシリーさんが焼きそばを売っていた
「おっ、何だウミ達、どうしたんだ?」
「いや、カズマさんたちこそ、何で出店を?」
「ちょっと色々とまずいことになりそうだったからな。お前たちも食べていくか?」
焼きそばか。たしかにこっちに来てから食べたことないから食べたいけど……ここはやっぱり
「友奈」
「うん、わかってる。勇者部の出番だよね」
友奈も僕が言おうとしたこと分かったみたいだな。折角だから手伝うことにしたのだった。
「ってデートは良いのかよ?」
「困った人を放って置けないからね。こういう時は勇者部の出番っていうこと」
僕らはカズマさん達の手伝いをすることになった。まぁこういうデートとかも良いかもしれないな。僕は調理を、友奈は売り子をしていた。
「おい、あの売り子可愛くないか」
「バカ、迂闊に声をかけたらあそこにいる勇者に殺されるぞ」
「マジか!?」
「あいつは白い生物を笑いながら殲滅したって言うことで有名なやつだぞ」
何だか変な噂が立ってるな。確かに笑いながらバーテックスを殲滅したけど、それは最初の頃の話だし……
「ウミさん、変な所で有名になってますね」
「まぁここに来て長いですからね。それにカズマさん達と一緒に魔王軍幹部を倒してきましたし、有名になりますよ」
「あれから一年……長いような短いような感じですね」
クリスさんがそんなことを言っていた。確かに長いようで短いような異世界生活だったな。最初はこっちに来てどうなるか心配だったけど、今はこの日常が楽しくてしょうがない
だけどそんな中、友奈はある人のことを見つめ、思い詰めていたことに僕は気が付かなかった。
クリスSIDE
祭り一日目が終わり、私はアイギスを盗み出す方法を考えていた。
「さて、どうしたものか……」
もう一度入るしかないのだろうけど、流石に一度失敗しているから警備が厳重になってるかもしれない
「助手くんに一回相談してみるか」
私がそう呟いた瞬間、誰かの気配を感じ後ろを振り向くとそこには浴衣姿のユウナさんがいた
「あれ?どうしたの?ユウナさん?」
「クリスさん、お願いしたいことがあるんです」
「お願いって、私なんかでいいの?ほら、ウミさんだったら喜んで協力してくれるんじゃないの?」
「………」
いつも元気な笑顔を振りまいているのに、今日に限っては何故か思い詰めた顔をしている。一体何があったんだろうか?
「海くんにはお願いできることじゃないんです」
「一体……何があったの?」
「……もしも私がいなくなったら………海くんの事お願いします」
最後ら辺の話は、最終章に関係する話です。