朝方、クリスさんと一緒にある場所に向かっていた。
「えっとここらへんかな?」
僕らが向かった場所は巨大な木の前だった。クリスさんからどうしてこんな所に来たのか理由を聞いてみると……
「この大木……と言うより大木の下につい最近になってダンジョンが見つかったみたいなの」
「ダンジョン?ゲームとかで言うダンジョンですか?」
「そう、このダンジョンの調査するのが、今日のクエストだよ」
話を聞くと、発見されたばかりのダンジョンは何があるのか分からないらしい。冒険者になりたての人が迂闊に入ったりしたら、何が起きるかわからない。
今回のクエストはこのダンジョンの探索だった。
「こういったダンジョンでは私の盗賊スキルが活かせられるから、私の言うとおりに動いてね」
クリスさんは笑顔でそういうのであった。
中は意外と広く出来ており、更にはそれなりに明るかった。
「敵感知には引っかからない……モンスターはいないみたいだね」
「こういう場所のモンスターってどんなのがいるんですか?」
「そうだね~こういった場所を好んで住むのはアンデットとか下級の悪魔とかかな。まぁ、見つけ次第殲滅しちゃっていいから」
笑顔で言ってるけど、クリスさんはアンデットとか悪魔とか嫌いなのかな?
しばらく奥へと進むが特に変わった様子はなかった。
「ここまで何もないなんて……変わったダンジョンだね。普通だったらお宝とかあるのに……」
「いや、そうとは限らないですよ」
僕は壁の一部に描かれた壁画を見つけた。
それは一本の木に無数の何かが取り囲んでいた。
「これは……昔の人が書いたものなのかな?」
「………」
僕はこの壁画が凄く気になり、この部屋をよく調べてみた。
すると壁の一部に触れた瞬間、突然扉が現れた。
「凄い!?よく見つけたね」
「うん」
この扉が現れた時、まるで僕に反応したみたいだった。一体このダンジョンは何なんだ?
奥へと進むとま広い部屋につき、壁には無数の文字がかかれていた。
「この文字……この世界の字じゃない。日本語だ」
「それじゃこの文字や壁画は、この世界にやってきた転生者が書いたもの?」
以前、エリスさんはこの世界では日本語はないらしい。いやあったが、今では古代の文字として扱われている。
ということは僕やカズマさんはこの世界の歴史を暴けるということになる。
でも、何故か知らないほうが良いと思ったのは何故だろうか?
とりあえず書かれている文字を読んでみることにした。
『この世界にやってきて、もう長い。この世界には奴らみたいな存在はいないみたいだ。だが、この世界を調べた結果、ある事実がわかった。この世界には■■と似たような■■が■■■てる。それもかなりのものだ。もし、何らかの■■で■■■されてしまったら大変なことになる。私はこの場所を出て■■■■に■■■■を考えた。思いつたのは、この世界に対抗できるものを作ることだ。まず適当な人物に魔王に対抗できる物を作れと命じよう』
所々削れていた読めないけど、これを書いた人は何かにおびえている感じがした。
更に文字を読み続けた。
『思った以上に成果は出てきた。■■■は■■に並ぶほどの強さを持っていた。こんな事をして、私の予想が外れた場合の事は考えてないが、それならそれでもいい』
本当にどういうことなのか分からない。残りの文字を読もうとしたけど、殆どが削れていて分からない。
「特に成果もないし、出ようか」
「そうだね……」
ダンジョンから出て、街に戻る頃には夜になっていた。
「特に成果もなかったし、ギルドにはただなにもない遺跡だったって報告しておくね」
「まぁ、そうとしか言えないですよね」
二人並びながら歩いていると、クリスさんが急に立ち止まった。
「何だか嫌な気配を感じる……ちょっと行ってみよう」
クリスさんはすぐさま駆け出していった。一体この先に何があるっていうんだ?
クリスさんの後を追いかけると、共同墓地みたいな所に出た。
共同墓地にはかなりやばい気配を感じていた。
(何か重苦しいけど……一体何が……)
「あそこ、見てみて」
クリスさんが指を指した方を見るとそこにはローブをかぶった何かが青白い光を出していた。
更には周りにはゾンビがいる。
こんな街にそんなやつがいるなんて……
「もしかしたらかなりやばい奴かもしれない。ここは……」
クリスさんが飛び出そうとした瞬間、反対側から誰かが出てきた
「あーーーー!!リッチーがノコノコと現れるとは不届きなっ! 成敗してやるっ!」
うん、見覚えがあるすぎるというかアクアさんだった。
おまけにローブの人がアクアさんに抱きつかれて泣いてるし……
どうやらカズマさんたちはこの墓地にゾンビメーカーと呼ばれるモンスターがいるとのことで討伐しに出たのだが、いたのはこのリッチーことウィズさんだった。
彼女はアンデットだけど迷える魂の声を聴くことができ、彼女はその魂を天に返すために共同墓地で魂を送る作業をしていた。
本来はプリーストの役割だけど、この街のプリーストは金でしか動かないため、ウィズが頑張っていたという。
「とりあえず事情はわかったけど、ゾンビはどうにかできないか?俺達がここに来たのもクエストが出たからだし……」
「あ……そうでしたか……私がここに来たせいで、新鮮な死体が魔力に反応してゾンビになって出てきたみたいです。誰かが天にかえしてくれれば私はもうここに来ません……」
「というか金とか取らずに無償でやればいいのに……ねぇ、アクアさん、クリスさん」
僕はアクアさんとクリスさんの方を見た。二人はと言うと明後日の方を見ている。
「まぁ、これからはアクアが一人で頑張るって言うし、良いんじゃないのか?」
「アクアはアークプリーストですから魂の浄化なんて楽勝ですからね」
「まぁ、これも人助けみたいなものだな」
めぐみんとダクネスさんがアクアさんの方を見ながらそう言うと、銀は……
「あたしらの力でどうにかできないのかな?」
「どうだろうな?神の力が宿ってるからと言っても………」
僕と銀は適当なゾンビを切るけど、特に変化がない。
「無理そうだな」
「そっか」
とりあえず話し合った結果、アクアさんが頑張るということになったのだった。
あんまり二人っきりでイチャイチャしてませんでした。