次の日になり、僕、友奈、銀の三人であることを調べに行くのであった。カズマさんはというと戻ってきてから何だか意地を張ってしまい、黙々とアイテム作りをしていた。めぐみんがそんなカズマさんを説得するのだが、中々動こうとしない。カズマさんはその内に動き出すと信じて僕らはある場所へ行くのであった。
その場所は
「おはようございます。ウィズさん」
僕らが最初に訪れた場所はウィズさんのお店だった。だけど出迎えてくれたのは……
「そこの手作り弁当を楽しんだ小僧。貴様もあの引きこもってアイテム作りに精を出している小僧と同じように朝早くから尋ねるのか?」
「忙しいと思って早めに来たんですよ。ちょっと調べたいことがあって……」
「ほう、どうやら自分自身に宿った力が何なのかわかったようだな」
バニルさんも前々から僕のこの力については気がついているみたいだった。それだったら話が早い……
「やっぱりか」
「何がやっぱりなの?」
「バニルさんの事見つめてたけど……」
「ちょっと僕の精霊の力がちょっと使えるようになったみたいなんだけど……」
どうにも悪魔や悪魔の力が敏感に感じられるようになったみたいだ。ただ心配なのは……
「アクアさんみたいに悪魔の事がすごく嫌いになったりとかって……」
「それは安心するが良い。あの駄女神やパット女神みたいに悪魔に対して敵意を持つことはないだろう。お前はただ悪魔に対して少し敏感になっただけだ。浄化の力もなければ敵意を持つことはない」
それならちょっと安心だ。カズマさんと一緒にあのお店にいけなくなったらそれはそれでかなり寂しい。
「それで貴様はそれを確認するためだけにここに来たのか?」
「そんな所ですよ。この悪魔感知能力が本当だとしたら、僕らが行くべき所は……」
「まぁ待つが良い」
次の目的地を決めた僕らは、すぐにでも行こうとするとバニルさんが呼び止めた
「貴様はその能力で気がついているみたいだが、今は行くべきではない。行くとするならば一週間待つ方が良い」
一週間って……結婚式の日じゃないか?何で待たなきゃいけないんだ?
「今お前の最終目的地は厳重な警備を引かれている。何故なら宴会芸の女神とネタ種族が余計なことをして、色々とややこしいことになっているからな。それに行くのであれば我輩もいたほうが色々と都合がいいだろう」
普通なら今すぐにでも行きたいところだけど、ここはバニルさんの言うとおりにした方がいいかもしれないな。現状悪意は感じないし……
「分かった。それだったら……」
僕は次の目的地を伝えるとバニルさんは行くべきだと言い、僕ら三人はある場所へと向かうのであった。
アクセルの街から僕らは王都まで転送してもらった。それにしても転送代って結構お金がかかるな……
「なぁ、海、お金だったら後で払うから……」
「海くん、皆で分ければ……」
「そこら辺は後でもらうよ。今は……」
王都に着くのは良かったけど、早々都合のいい人物に出会うわけじゃないよな。流石に顔パスで城に入る訳にはいかないし……
どうすれば良いのか悩んでいると見覚えのある人物がこっちに来るのが見えた。
「やぁ、君たちは……」
「ミツルギさん、まだ王都にいたんですか?」
「まだって……まぁいい。今日はサトウカズマやアクア様は一緒じゃないのかい?」
「ちょっと色々と合って………ん?ミツルギさん、許可とか必要なく城に入れたりします?」
「あぁ、まぁ今は顔パスで入れるようになってるけど、君たちみたいに王女様に簡単に会えたりとかは……」
これは運がいいかもしれないな。それだったら……
「ミツルギさん、お願いがあるんです。仲間を助けるためにちょっとある人に会いたいんです」
「仲間を助けるため?それは一体……」
僕はミツルギさんに事情を話すと、ミツルギさんはしばらく考え込み……
「それだったら協力するよ。僕と一緒なら君たちも城に入れるだろうしね」
「ありがとうございます」
僕らはミツルギさんと一緒に城へと向かうのであった。
「王女様に会いに行くの?」
「もしかして王女様の力でダクネスさんを救うってこと?」
「違う。王族の力を使って助けてもダクネスさんは納得しなさそうだし……僕が今回用があるのはクレアさんの方なんだよ」
「「クレアさん?」」
ミツルギさんのおかげで城へと入ると出向かてくれたのは目的の人物であるクレアさんだった。
「これはミツルギ殿、今日は……ウミ殿、ユウナ殿、ギン殿も一緒ということは……」
クレアさんは僕らを見てある人物がいないか探すけど、いないことを確認すると何故かホッとしていた。
「何だか珍しい組み合わせですが……」
「ちょっとクレアさんにお話があって……ミツルギさん、ありがとうございました」
「いや、これぐらい。アクア様によろしく伝えておいてくれ」
ミツルギさんと別れ、僕らはクレアさんに用があることを伝えると別室に案内してもらった。
「それで私に用というのは……」
「ダクネスさんとアルダープが結婚する話は知っていますか?」
「え、えぇ」
「あのもしかして事情の方も……」
銀の問いかけにクレアさんは頷いた。どうやらそこら辺の事情はクレアさんも知っているみたいだな。と言うことはアイリスも知っているだろうな
「あの私達にも教えてくれませんか?ダクネスさんが領主さんに借金があるというのは知ってるんですけど……」
「………あまりいい話ではありませんよ。特に活躍したウミ殿からしてみれば……」
クレアさんが話してくれたのは、こういうことだ。ベルディア戦でアクアさんが出した洪水の被害にあった建物修繕費を出してくれたのはダスティネス家だった。流石に全部というわけにも行かないということで一部をカズマさん……僕らに請求したことが始まりだった。確かにあの時、一部でもいいから修繕費を払ってくれと言っていたな。
そしてデストロイヤーが蹂躙した後の穀倉地帯の補填、その他もろもろの費用を人々は領主に頼み込んだけど、領主は聞き入れなかった。
困り果てた人々は今度はダスティネス家にすがりついた。だけど洪水の修繕費でお金の大半を失っているダスティネス家はそれでもデストロイヤーに蹂躙された人々を助けるために、領主にお金を貸してくれるように頼み込んだらしい。その時はまだ領主は嫌がっていたみたいだけど、ダクネスさんは『もしダスティネス家領主の身に何かがあり、返済が難しくなった場合、その体で……』
僕は無言で机を思いっきり叩くとその場にいた友奈、銀、クレアさんは驚いていた。
「事情は分かりました。あのクソ領主はそれを利用したんですね」
「利用?それは一体……」
僕は自分の能力について話し、更には領主の周りから悪魔の気配を、ダクネスさんのお父さんから悪魔の力を感じたことを話した。するとクレアさんは口に手を当て……
「だとしたら……それにアイリス様の……」
「何か?」
「ねぇ、もしかして銀髪盗賊団と国防仮面が奪った神器って……」
銀の言葉を聞いて、僕もある結論に至った。あの神器を送りつけたのはまさかアルダープ!?でもアイリスになったからって……いや、あの神器を最初に送ったのってアイリスのお兄さんだったはず……だとしたら色々と見えてきたな
「あのクレアさんたちの力で捕まえたりとかは……」
友奈は捕まえたほうが良いのではないかとクレアさんに聞くが、クレアさんは首を横に振った。
「あの領主には色々と悪事の噂が聞かれていたが、どうにもその証拠が見つからず……こっちとしても動けないんだ」
だとしたら本当にどうすれば良いんだ?借金関係は後々どうにか出来るかもしれないけど、あの領主をどうにか………ん?待てよ、アクアさんが前に使ってくれた支援魔法を使えば……
だけどそれを実行するには……僕が頑張るしかないか
「どうもありがとうございました。僕らはこれで……」
「せっかくですからアイリス様に会っていかれないんですか?きっとお喜びに……」
「いえ、アイリスも忙しいだろうから……あぁ、それとクレアさん、今日はくれぐれもアイリスを守ってくださいね。何だか嫌な予感がするんで……」
僕らはお城を後にした頃にはすっかり日が暮れ始めていた。とりあえず一泊していこうということになり、宿で休むことになったのだった
深夜、僕、友奈、銀の三人で変装してお城に侵入していた。
「ねぇ、本当に大丈夫かな?」
「というか別にお宝とか盗む必要はないんじゃないの?」
「今回の目的はお宝じゃない。というか僕一人で……」
僕が言いかけた瞬間、友奈が怒った顔をしているのに気がついた。
「もう駄目だよ。そんなこと言っちゃ……」
「そうそう、ここまで来たらどこまでも付き合うからさ」
全くこの二人は……しょうがない。とことん付き合ってもらうか。僕はそう思いながら、アイリスの部屋に入ると……
「どなたですか?ウミお兄様?」
アイリスに変装した姿を見抜かれた!?というか国防仮面のときも知ってたのか?
「お昼の時にいらっしゃったって聞いていましたけど、どうなさったんですか?その格好は?それにユウナ様とギン様も……」
「これはまぁいいか。悪いけどちょっと協力してくれないかな?」
「協力ですか?」
僕はアイリスに事情を話し、これからやろうとしていることを話した。アイリスは考え込むだろうと思っていると……
「分かりました。ララティーナのため……というより意地を張っているカズマお兄様のためにやらしてもらいます」
あっさり協力してくれることになった。何だかあっさり行き過ぎて怖いけど、しょうが無いか
これも全て領主をぶっ飛ばすための計画だからな