この素晴らしい勇者に祝福を!   作:水甲

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77 受け取りと罰ゲーム

アクセルの街に戻ってきてからしばらく経ってからのある日、僕とカズマさんはギルドからの呼び出しの書状を受取り、二人してギルドに来ていた。

 

「それでは冒険者サトウカズマさん、ウエサトウミさん。今回お呼び立てした件ですが……」

 

ギルドのカウンターで重い袋を抱いたルナさんが満面の笑みを向け、

 

「今回は賞金が高額なので支払いが遅れましたが、こちら大物賞金首『魔王軍幹部シルビア』の討伐報酬、三億エリスです。これでサトウさんたちが討伐した魔王軍幹部はこれで四人目となります。サトウさんたちはこのアクセル冒険者ギルドのエースです。そしてウエサトさん、こちらがバーテックス討伐報酬、500万エリスとなります」

 

僕とカズマさんは賞金を受け取ろうとするが、何故かルナさんたち、ギルド職員が名残惜しそうに離してくれない。それにしてもバーテックス討伐で500万エリスか……

 

「あの、王都ではみんな普通に倒せたり出来るから、もう少し報酬金は少なくても……」

 

「あくまで王都ではですから、ここや他の街ではバーテックスを討伐することは出来ないみたいですからね。報酬を少なくすることは出来ないんですよ」

 

「お前、あんまりお金に執着ないみたいだな」

 

カズマさんが大事そうに貰った三億エリスを抱えながらそう聞いてきた。まぁ、確かにあんまりお金に執着がないっていうか……

 

「実家が実家だし、別にお金がほしいからバーテックスを倒してるわけじゃないから……」

 

「お前って、たまに眩しくてしょうが無いんだが、まぁいい、考えてみろ。今のうちにお金を稼いでおけば、結婚式とか結婚後のお金とかあんまり困ったりしないんじゃないのか?」

 

結婚って……いや、確かに将来的には結婚するかもしれないけど……というか友奈がずっとこっちにいるわけじゃないし……

 

「大丈夫だって、ユウナのことだからお前がこっちにいてほしいって言えばずっといてくれるって、それにこっちでは結婚できる歳がちょっと違うけど、それでもお前たちならすぐにでも結婚できるんだぞ」

 

「それは……まぁそうだけど………」

 

「じゃないとアクシズ教の人たちに……」

 

「なんか言った?」

 

「いや、何も……」

 

とりあえず報酬を受け取った僕ら、カズマさんはダストさんたち他の冒険者の皆に煽てられ、ちょっとした宴会が始まるのであった。僕は先に帰ると伝えて、屋敷に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

「パパ、おかえりなさい」

 

「おじ様、おかえりなさい」

 

「おかえりなさい。ウミ。ウミだけですか?カズマは?」

 

屋敷の広間に入ると友海、牡丹、めぐみんが出迎えてくれた。友海と牡丹の二人は王都に戻ってからこの屋敷に住むことになった。因みに友海は友奈の部屋、牡丹はめぐみんの部屋と同室になった。まぁ、牡丹はダクネスさんの部屋でも良かったのだけど、教育的に悪いからとカズマさんがめぐみんと同室にするようにって言ったのだった。

 

「所で気になったんだけど、何で友奈は隠れてるんだ?」

 

さっきから柱の後ろに隠れては僕の方をチラチラ見ていた。一体どうしたんだ?するとアクアさんとダクネスさんと銀が広間に入ってきた。

 

「あら、ウミ、怒られなかった?」

 

「怒られなかったって……もしかしてギルドの呼び出しですか、それだったらシルビアの討伐の報酬とバーテックス討伐の報酬を受け取りの呼び出しだったんで、大丈夫です」

 

「そうか、私はてっきり例の件がバレて呼び出されたのかと……」

 

「みんな、心配すぎだって、二人が呼び出される前に私や若葉さんたちも呼び出されて報酬を貰ってきたんだから、それじゃないかって言ったじゃない」

 

そういえば街に戻ってきてすぐに銀だけがギルドに呼び出されていたから、僕も今回の呼び出しがそうじゃないかって思っていたけど……

 

「ねぇ、何で友奈はあそこで隠れてるんだ?」

 

「あれ?何、まだ執行してないの?」

 

「友奈さん、もう諦めたほうが良いですって、三人に言われたじゃないですか、罰ゲームはちゃんと受けるようにって」

 

「まさか三人して同じ罰ゲームを言うとは……」

 

アクアさん、銀、ダクネスさんの三人がそんなことを言うけど、一体何の話だろうか?

すると友奈は顔を真赤にさせながら出てきて、

 

「お、おかえりなさい。あ、あなた……ご飯にします?お風呂にします?そ、それとも………ねぇ、めぐみんちゃん、やっぱり無理だよ~」

 

「ユウナ、ちゃんとやってください。これは罰ゲームなんですから、ユウナもいいと言ったじゃないですか」

 

「で、でも~」

 

「お前ら、友奈に何をやらせてるんだよ……」

 

僕は犯人だと思われるめぐみん、友海、牡丹の三人を睨んだ。三人は……

 

「いえ、これはただの罰ゲームです」

 

「ママとパパの二人にはもう少しいちゃついてほしいから……」

 

「お二人とも一歩を踏み出してほしいと……」

 

僕らを気遣っているのだろうけど、ちょっとこれは色々とまずい。それなら……

 

「だったらめぐみん、僕と勝負しようか。負けたら罰ゲームな」

 

「ほう、いい度胸ですね。もし私が勝ったら、ウミはユウナと一緒にお風呂に入ってもらいます」

 

「あぁ、いいぞ」

 

「ちょ、海くん~」

 

僕とめぐみんはチェスで勝負することになった。こう見えて城にいた時はアイリスに鍛えられたからな………まぁ勝敗は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま~お前らお土産だ~」

 

カズマさんがちょっと酔っ払いながら帰ってくると、めぐみんが顔を真赤にさせながら……

 

「あ、あなた……おかえりなさい、お、お風呂に……」

 

「…………何があったんだ?いきなり帰ってきてそんなことを言われて、酔いが冷めたぞ」

 

めぐみんには同じ罰ゲームを受けてもらうのであった

 

 

 


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