「王女様が?」
紅魔の里からアクセルの街に帰ってきてから数日後、ダクネスさんのもとに一通の手紙が届いた。その手紙の送り主はこの国の第一王女の名前が記された手紙。手紙の内容としては第一王女との食事会の中で、今まで魔王軍幹部討伐、デストロイヤーの破壊の度重なる功績を収めてきたカズマさんの話を聞いてみたいとのことだった。カズマさん、アクアさん、めぐみん、銀、友奈はこの会食に賛成をしているが
「なぁ、この話は断ろう。みんなが思っているような楽しいものじゃない。堅苦しいものだ。そんなの嫌だろ。だから……」
ダクネスさんはカズマさん達が何かしら無礼を働くんじゃないのかと心配みたいだった。まぁ王女様に無礼なことをしたら、いくらダクネスさんの家が凄くても庇いきれないよな
「ウミはどうなんだ?」
カズマさんが僕を賛成の方に促そうとしている。
「僕は別にいいけど、というか皆礼儀作法とか出来るの?」
ダクネスさん以外の全員が顔を背けていた。まぁ、友奈は一般家庭育ちだから礼儀作法を知らないのはしょうが無いとしよう。だけど銀、お前………
「何?私は園子や須美みたいないいとこ育ちじゃないからね。めぐみんと同じくらいだったからね」
「何も言ってないからな」
「というか礼儀作法に関してお前はどうなんだよ!!礼儀作法どうのこうの言うやつが一番駄目なパターンだろこれ!?」
カズマさんがそう言う。まぁ確かに最初に言いだした本人が一番ダメだったりするけど、
「こうみえて大赦……所属している団体でツートップの家柄だからな。そういう礼儀作法は教えられたよ」
「そ、そういえばそんなこと前に言ってたな……」
ある程度の礼儀作法は覚えさせられ、更にはそのっちに会いに行くときなんか改めて勉強し直したりした。まぁ、そのっちが普通でいいよ~って言って普通に接するようになったけど……
まぁある程度だったら教えられるから大丈夫だろうと言う話になり、ダクネスさん渋々納得するのであった。
「あとウミ、ワカバ達にもその会食に参加してほしいとお願いしてもらえないだろうか?」
「若葉さんたちも?」
「あぁ、王女様………というより王女様の護衛がバーテックスについて詳しく聞きたいとのことでな。そこら辺詳しいワカバ達に参加してほしいらしい」
「分かった。ちょっと聞いてみますね」
早速僕は若葉さん達の所へと行くのであった。
「………ということなんだけど」
若葉さん達にダクネスさんに頼まれた話をすると、若葉さんは少し嫌そうな顔をしていた。
「悪いが私はそう言った堅苦しい会食というのはどうにも苦手でな。以前にも経験はしたことが有るが、やはりみんなでわいわい話しながらうどんを食べた方が……」
「タマも若葉の意見に賛成だ!!」
「う~ん、礼儀作法とか私も苦手かな?ごめんね。海くん」
「高嶋さんが行かないって言うなら私も遠慮するわ」
若葉さん、珠子さん、友奈さん、千景さんは参加するのは嫌なのか……ひなたお姉ちゃんの方を見ると
「私は大丈夫よ。そういうのは慣れてるもの」
「あの、私で良ければだけど……」
ひなたお姉ちゃんと杏さんか。ひなたお姉ちゃんは当然として、杏さんは見た感じいいとこのお嬢様みたいだから何となく安心ができる
「二人なら礼儀作法とか熟知してそうだから安心できるな……」
「ちょっと待って、海くん、私のこと何だか誤解してない?」
「誤解?杏さんはいいところのお嬢様だと思っていましたけど……見た目とか」
「あ~タマもそれは分かる。何というか本当にお嬢様って感じがするよな」
「タマっち先輩まで……私は別にいいところのお嬢様とかじゃないからね」
そうだったのか。でもそれでも大丈夫かな?
「とりあえず会食は一週間後なんでよろしくお願いしますね」
「あっ、海くん。ちょっと待って」
僕はそのまま屋敷に帰ろうとするとひなたお姉ちゃんが呼び止めた。なにかあるのかな?
「海くん………もし悩みとかあったらすぐに私に相談してね」
「はぁ、分かりましたというよりか、勇者部五箇条に悩んだらすぐ相談っていうのがあるので言われなくっても……」
「そう………でも、必ずだよ」
何故か念を押されてしまった。一体何なんだろうか?
ダクネスさんにひなたお姉ちゃんと杏さんが会食に参加することを伝えた次の日のこと
鍛錬から戻ると何故か東郷が屋敷に来ていた。おまけになぜかは知らないけどダクネスさんがメイド服を着ていたけど、気にしない方が良いな
「東郷どうしたんだ?いきなり来て?」
「うん、海くんに用事があってね。今度勇者部で演劇をやることになったんだけどね。風先輩がちょっと作って欲しい衣装があるっていうの」
一枚の紙を手渡す東郷。何故か東郷が恥ずかしそうにしてるけど、一体どんな衣装なのだろうか?もしかしたらかなりきわどい衣装だとか?
「なぁ、トウゴウが恥ずかしがるっていうことはかなりヤバイ衣装じゃないだろうな?」
「お前はなんでこうそういう目でしか見れないんだ!!」
カズマさんとメイド服姿のダクネスさんが後ろから受け取った紙を見ようとした。僕ももらった紙を開くと……
「「何だこれ?」」
カズマさんとダクネスさんが不思議そうに思うのも無理もない。紙に書かれていたのはこっちでは絶対に見ることがない衣装なのだが、僕には何だか見覚えのある衣装だった。小学生の頃に須美とそのっちが国防仮面という名前で低学年の子たちに体操を教えていた。
「何?この衣装で演劇でもやるのか?」
「前にちょっとした活動してたんだけど、勇者部の依頼で国防仮面の演劇が見たいって話になったの」
「まぁ、別に作るのはいいけど……ん?待てよ」
出来れば礼儀作法を知っている人が多いほうが、今度の会食を無事に終わらせることが出来るかもしれない。
「ダクネスさん、会食の席、一人分増やしてもいいですか?」
「あ、あぁ、別に構わないが……」
「東郷、ちょっと頼みたいことがあるんだ。衣装を作ってやる代わりに、とある会食に参加してくれないか?」
「会食に?」
僕は事情を話し、東郷は参加することに了承を得ることが出来たのだった。