そんなこんなでカズマさんたちのクエストは無事に達成でき、それなりの報酬をもらえたみたいだった。
僕も吐き気やら何やら落ち着き、今はギルドでうどんを食べていた。
「世界が違うのにうどんの美味しさは変わらないな……」
「正直こっちに来た時、うどんが無かったらどうしようと思ってたけど、あってよかったよ」
そんな僕ら二人を見ながら、カズマさんとめぐみんはあることを聞いてきた。
「お前ら、どんだけうどんが好きなんだよ……」
「もう三杯目ですね」
「好きなものは好きなだけ食べろが僕の座右の銘だからな」
僕は汁まで飲み干し、満足していた。
「そういえば話の方聞きたいんだけど……」
そういえば銀はあれからのことを知りたがってたな。それもそうだよな。自分が死んでから親友二人がどうなったか知りたいもんな
「あれからは二人は悲しみを乗り越えて……」
銀が死に、悲しんでいた二人。二人は銀が守りたかった四国を守り続けるため、今まで以上に訓練を続けた。
その間、大赦は銀の死を重く見て、勇者システムにある機能をつけた。
それは勇者を守る精霊の力。
精霊の力を借り、大橋で多くのバーテックスと………
バーテックスとの激闘のせいで大橋は崩れてしまった。
「ん?ちょっと待ってくれないか?」
話の途中、カズマさんが遮ってきた。何か間違ったことでもあるかな?
「ウミとギンは四国出身だよな?」
「そうだけど……」
「なにかおかしいことでも?」
「いや、四国にある大橋が崩れたとか聞いたことないんだけど?」
「どういうこと?」
「カズマさんも四国出身じゃないの?」
「いやいや、全く違うところ出身だけど……そんなニュース聞いたことないし」
これは一体どういうことだ?普通だったらニュースに取り上げられるのに……
僕はある考えに行き着いた。
「カズマさん、四国以外無くなってたりとか聞いたことは……?」
「そんなわけあるか!?普通に四国以外あるからな」
「えっ!?嘘!?」
僕と銀はカズマさんの言葉を聞いて、驚いていた。
「そういえば言ってなかったわね。ウミとギン、ワカバたちがいた世界とカズマがいた世界が違うって」
何だかかなり重要なことを言い出したぞ。この女神様は……
アクアさんは出されていた料理の中から唐揚げ2つをお皿に並べ、そのうちの一つにレモンを掛けた。
「まずはカズマがいた世界がこの普通のからあげとする。そしてこっちのレモンの唐揚げがウミたちの世界ね。この2つの唐揚げは見た目は同じでも味はぜんぜん違うじゃない」
なんか物凄い分かりやすいような分かりにくい……
「2つの世界は見た目は同じでも、中身が違うってことよ」
似たような世界でも違う世界……それじゃカズマさんがいた世界では今でも平和な世界だということなのか……
「あー何だかそういう世界のこと聞いたことがあるな……平行世界ってやつだろう」
カズマさんもアクアさんの説明を理解していた。
「そうそう!流石は引きこもってゲームやってるだけあるわね」
「お前は一言余計だって気が付かないのか?まぁいいや、二人が俺とは違う世界から来たってことだな」
「因みにその世界の中心点みたいなのがこの世界と私がいた場所ね」
この世界が中心点……だからこうして2つの世界の住人が交わってるのか
すると銀はあることを聞いてきた。
「はいはい、アクアさん。質問」
「何?ギン」
「そのなんちゃら世界に私が死んでない世界とかあるのかな?」
似たような世界があるのだからそういった世界があるかもしれないってことか……
「さぁ?私達女神が確認出来てる世界って、さっき言った2つの世界よ。まぁ、そういった世界は無数にあるから、あるんじゃないの?」
「そっか……でもあるんだな……」
銀は何でそんな質問をしたのか僕には理解できなかった。他の世界で自分が生きていてほしいのかな?
するとさっきまで食事に夢中になっていためぐみんはというと……
「さっきから難しい話をしてますが、食事冷めてしまいますよ」
話に夢中になっていた忘れてた。
僕らはそのまま食事をとるのであった。
食事も終え、銀に話の続きをすることにした。因みにアクアさんとめぐみんは帰り、カズマさんは離れた席で何か考え事をしていた。
「大橋が崩れた話からだな」
バーテックスとの激戦の中、大赦は勇者を守る精霊の力ともう一つの力、勇者の力を高め、強大な力ををその身に宿す『満開』を使い、あの二人はバーテックスを倒すことに成功したのだけど、
「強大な力にはリスクがあってな。満開を使った後遺症として散華と呼ばれる身体の一部が使えなくなってしまうことがあったんだ」
一人は二回満開を行い、一人はかなりの数の満開を行った。
「………体の一部が使えなくなるって……それじゃ須美と園子は……」
「一応生きてるし、聞く限りだと二人の……勇者たちの散華は治ったらしい」
「そっか、それならいいけど……っていうかあたしらの勇者システムって満開とかってどうなってるんだ?」
銀に言われて気がついた。僕らの勇者システムにも満開がある。もし満開を使ったらどうなるのだろうか?
「一応満開は使わないようにしよう。何が起きるかわからないし」
「そうだね」
僕らはそのまま別れるのであった。
宿に戻り、早速エリスさんに聞いてみることにした。
「と言う訳で、僕らの特典である勇者の力で満開をしたらどうなりますか?」
「多分ですけど大丈夫だと思います」
「大丈夫って……リスク無しですか?」
それはそれでかなりのチートだけど、強大な力にリスクがないっていうのも気になるけど……
「いえ、リスクは有りますよ。ですが身体の欠損などはありません。でも何が起きるかわかりません。その時は私はウミさんに使わせないように必死に止めますから……」
真剣な表情でエリスさんは僕のことを見てくれた。
僕はため息をついた。
「なるべく満開は使わないようにしますよ。もし使ったりしたらエリスさん、落ち込みそうですし……」
きっと自分のせいだって責めてしまうに決まっている。
だから満開は本当に必要な時になったら使うかもしれないけど……
「ウミさん、本当に気をつけてくださいね」
「わかってる」
その後、僕は部屋に用意されたソファーの上で寝ることにした。
最初はエリスさんが自分がそっちに眠るって言っていたけど、僕はそれを却下し、すぐさま眠りにつくのであった。
ちょっとした説明回でした。