この素晴らしい勇者に祝福を!   作:水甲

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40 夏凛の来訪とこれから先の対策

若葉さん達の講義から数日後、僕らの所に夏凛がやってきた。

 

「来てあげたわよ。見る限り元気そうね」

 

「お前も友奈から聞いたけど、満開をしたっていうわりには元気そうだな」

 

「夏凛ちゃん、久しぶり~」

 

僕らが夏凛を出迎えていると、アクアさんが何だか嫌そうな顔をしていた。

 

「正直こっちに転生者以外来てほしくないんだけど、神樹は何を考えてるのかしら?」

 

「ねぇ、何でこの人、神樹様のことを知ってるの?」

 

アクアさんの言葉を聞いて、疑問を感じた夏凛。そういえばアクアさんとエリスさんの女神二人って神樹様のことを知ってる感じだけど、神様同士だから親しいのかな?

 

「あまり気にしないでください。アクアは自分のことを女神だと思っているので」

 

「カズマ……私達のリーダーには自称と呼ばれてるな」

 

「何で二人共信じてくれないのよ!?」

 

「まぁ、あんまり聞かないほうが良いわね。所でそのカズマって人は?お土産持ってきたんだけど……」

 

「あら?何かし………ねぇ、これって……」

 

夏凛が持ってきたものは大量のサプリメントと煮干しだった。さすがは夏凛、期待通りだな

 

「何?こっちにはサプリとか煮干しとかないの?」

 

「ねぇ、ウミ、普通お土産にこんなの渡す人いる?この間来たフウとイツキが持ってきたうどんの方がまだまともよ」

 

「夏凛と言ったらサプリと煮干し。サプリと煮干しと言ったら夏凛って言われるくらいだから仕方ないですよ」

 

「あんた、バカにしてるの?」

 

「褒めてるだけだよ。そういえば朝からカズマさんとクリスさんが見えないけど、何処に行ってるんだ?」

 

「二人ならワカバ達に呼ばれて出かけていますよ」

 

若葉さん達に呼ばれたのって、前にひなたお姉ちゃんから聞いた総攻撃の件かな?でも、何で二人が呼ばれたんだろう?

 

「それより三ノ輪銀って奴は貴方かしら?」

 

夏凛は銀の事を睨んでいた。何でそんなに喧嘩腰なのかな?別に知り合いだって言うことじゃないのに……

 

「私だけど……えっと」

 

「あんたが使っていた勇者システム、今は改良して私が使ってるのよ。だからその前任者がどんな感じなのか見てみたくなったんだけど……一体東郷や園子は私とこいつのどこが似てるっていうのかしら?」

 

「う~ん、似てる気がするけど……」

 

「結城さんも前に来た時そんなこと言ってましたね」

 

何処か似てるか気にしてるけど、僕も似てる気がするんだけど、自分のことよりみんなの事を心配したりとか、自分のことは気にせず皆のためにって言う考えとか……

 

「それに園子と話してて思ったけど、あんたら二人、大赦ではかなり偉い方なのに鼻にかけたりしないし……」

 

「あの、ウミ、大赦とはなんですか?」

 

「うんと、僕等がいた場所の組織かな?僕とこの間来た金髪の子はその組織のかなり上の方の役職だったりするんだよね」

 

まぁ、そこら辺は若葉さんやひなたお姉ちゃんが築いた実績だ。おまけに僕と園子は大赦で偉い方だと言っても、そんな事あんまり気にしたことない。

 

「何だか本当に変わった国に住んでいるんだな。ウミたちは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

若葉SIDE

 

「とりあえず今のところは感知に反応しないね」

 

「動きはないということね」

 

クリスとひなたの二人がバーテックスの襲撃に備えて、なるべく早めに対応できるように感知スキルを使って探っていた。私と友奈はその護衛だ。

 

「総攻撃………もしかしたら結城ちゃん達が経験したって言う残りの完成体が襲ってくるかもしれないんだよね」

 

「あぁ、おまけに小さい奴らもこれまで以上に現れるらしい」

 

この世界で力をつけたとは、かなり厳しい戦いになる。そのためにはなるべく色々と備えないといけない

 

「海や銀、結城には総攻撃については話してあるが、現状の勇者の数でどうにかできるか……」

 

「白鳥さんたちとめぐみんちゃん、ゆんゆんちゃんの二人にも協力してもらえるけど、それでも戦力は足らないかもしれない」

 

「だからこそ、ひなたや水都さんはあの仮面の悪魔に力を貸してくれるように頼みに行ったんだろう」

 

「結果的にはバニルは静観していることになったけど……」

 

「あの悪魔に頼ることはないって、悪魔が力を貸す時は自分の利益のためにしか動かないんだから」

 

前々から思っていたけど、クリスは悪魔やアンデットをかなり嫌っているように思える。昔何かあったのか?

 

「あっちの方はどんな感じになってるのかしら?」

 

もう一組の感知をしている人たちのことを気にかけていると、噂をしたらなんとやら、カズマ、藤森さん、白鳥さんの三人が戻ってきたのが見え、私は三人のもとに向かった。

 

「そっちの方はどんな感じだった?」

 

「いや、特には感知しなかったぞ。したとしても普通の魔物だったりしたしな」

 

「以前みたいに残党が残っていたりとかはないみたいです」

 

「高嶋さんや海くんが出会ったみたいに残っている可能性を考えたが、問題なかったな」

 

以前、友奈と海が戦ったバーテックスは、最初に出現したバーテックスの残りが融合したものだと、ひなたや杏が言っていたことを思い出し、残党を探してもらったが特には見当たらなかったみたいだ

 

「なぁ、バーテックス関係はお前たちにしか対応できないのか?」

 

カズマがそんなことを言い出した。きっと世界の危機に自分も立ち上がりたいと思っているのだろうが、

 

「悪いが魔王軍との戦いみたいにこの街の冒険者の力では太刀打ちできない。めぐみんの力を貸してくれるだけでもありがたい」

 

「そ、そうか……」

 

正直このカズマという男は、逃げ出したりとかするのではないかと思っていたが、どうやら逃げ出すことよりも私達の身を案じてくれていた。その気持ちだけでも充分だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海SIDE

 

僕は夏凛にこの世界のこと、バーテックスの行動について書かれた報告書を手渡した。

 

「人間だけじゃなく、魔物まで襲うなんてね……」

 

「もしかしたらバーテックスは遭遇したことのない存在を知って、調査という名の殲滅でも行ってるんじゃないかって思っているんだが」

 

「まぁ、バーテックスについてはまだ知らないことだらけだからね。一応大赦にも渡しておくわ」

 

「助かるよ。それと近々バーテックスの襲撃があるみたいなんだが、前にみんなが満開した時みたいな戦いになるらしい」

 

「あのときのね……」

 

夏休み前に、バーテックスとの激しい戦いがあった。その時はみんなが満開をして何とか勝利を掴んだ。今度の襲撃がその以上に厄介な事になるらしい。どうにか出来ないかと若葉さんたちが対策を練っているらしい

 

「勇者部の誰かがこっちにいるように風に話しておくわ。あんたもあんまり無茶するんじゃないわよ」

 

「分かってるけど、そうしないといけない状況になったら分からないな」

 

「じゃあ、友奈を泣かせるんじゃないわよ」

 

夏凛に釘を差されてしまった。まぁ、友奈はもちろん、エリスさんも泣かせないように気をつけないとな


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