ようやく寝付けたのは明け方に近かった。
やっぱり女の人と一緒に寝るっていうのは体に悪い……
目を覚ますと約束の時間が過ぎていた。
部屋にはエリスさんはいなかった。
「……起こしてくれればいいのに……いや、気を使ってくれたのかな?」
とりあえずカズマさんたちの所に行かないと……
ギルドに行くと退屈そうにしているカズマさんとアクアさんの二人を見つけた。
「ごめんなさい。寝坊して……」
「いや、別に大丈夫だけど」
「何かあったのか?」
二人が退屈そうにしている理由を聞くと、パーティーメンバーを募集をしているのだが、誰も来てくれなかったみたいだった。
アクアさんが書いた募集要項を読んでみると、上級職を求めると書かれていた。
「知り合いに聞いたけど、この街って駆け出しの街だよね。そんな街に上級職がいるとは思えないんだけど……」
「それ、アクアにしつこく言ったんだけどな……」
「だって、だって、私達の目的は魔王討伐よ!それだったら上級職の人がパーティーに入ってくれたほうが良いじゃない」
そうは言うけど、そう簡単に集まるものなのか……
「ちなみにウミはもう私達のパーティーに入ってるもんね」
「いつの間に!?」
「それは昨日、アクアと話して決めたんだよ。ウミも一緒にパーティーにいれようって」
まぁ、別にいいけど……
いつかは誰かとパーティーを組むことになるんだって思っていたのが、早まっただけだし……
「あの~上級職の冒険者募集を書いた人たちですよね」
声の聞こえた方を見ると、見覚えのある女の子とその女の子に背負われている魔法使いっぽい少女がいた。
「我が名はめぐみん! アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操るもの!きゅう~」
背負われながら高らかに名乗られても……
「ほら、めぐみん。おなかすいてるんだったら無理に動くなって……ってお前、海か?」
「銀、そういえばお前もこっちに来てるって言ってたな」
やっぱり見覚えがあると思ったら、銀だった。
「何で海がこっちにいるんだよ!何?なんかあったのか?」
「色々と……」
「あの、再会を喜びあうのは後にしてもらえないでしょうか?もう、空腹で……」
「「あっ」」
背負われていた子の事忘れてた。
魔法少女っぽい格好をしている少女、めぐみんが出されたご飯を食べていた。
「この子、紅魔族ね。紅魔族は変な名前が多いけど魔力や知力が高く優秀な魔法使いが多いのよ!」
アクアさんがめぐみんの種族について軽く説明してくれた。
優秀な魔法使いならどこのパーティーでも引っ張りだこじゃないのかな?
「まぁ、魔法使いだって言うなら後方支援向きで良いかもしれないな。そっちの……」
「あたしはミノワギン。ギンでもミノさんでもいいよ」
「ギンは職業は……」
「彼女は勇者よ。何せ、私が導いた転生者の一人なんだから」
ギンの代わりに紹介をしてくれるアクアさん。
そういえば女神だっていうの忘れてた。
「アクアさんがこっちにいるのも驚いたけど、海がいるっていうほうが一番ビックリだな。おまけに特典で勇者になってるし」
「色々とあってな。詳しく話すと長くなるし……」
銀が死んでからの事、そのっちや東郷のその後とか話さなきゃいけないし……
「そこら辺はいつでも聞けるから良いよ。ただ聞きたいのは園子や須美は元気なのか?」
「……………元気かな?」
あの後の事は知らない。エリスさんが言うには散華は無くなったから大丈夫だって言うことだし……きっと大丈夫だな
めぐみんは食事を終え、自分が扱う爆裂魔法がどれほど素晴らしいものか語っていた。
カズマさんはこれならクエストも楽に達成できると思い、ジャイアントトード討伐に出かけるのであった。
もちろん、僕と銀もだ
「爆裂魔法は最強の攻撃魔法。詠唱には時間がかかります。詠唱が済むまでカエルの足止めをお願いします」
めぐみんは詠唱の準備に入ると、僕は足止めに向いている武器を考えていた。
「借りるぞ!樹!」
僕の右手に花環が現れ、緑色のワイヤーが飛び出た。
僕はワイヤーでジャイアントトードを縛り上げていく。
「おっ!海の武器いいな」
銀は羨ましそうに見ていた。僕の武器って言ってもこれは借り物みたいなものだし……
すると詠唱が終わり、準備万端なめぐみん。
「行きます!エクスプロージョン!」
放たれた爆炎が縛り上げていたジャイアントトードを爆散させ、更には放たれた場所にクレーターが出来ていた。
「凄いな……」
だがさっきの一撃で他のカエルが目を覚まし、めぐみんの方に向かった。
めぐみんに逃げるように告げようとするが、力尽きたのかその場に倒れていた。
「爆裂魔法は強大な一撃の為に魔力の消費もまた絶大。要約すると、魔力を使い果たして動けません。助けて下さい、カエルに食われます」
めぐみんはそのままカエルに丸呑みされた。
カズマさんたちの方を見ると、アクアさんも食べられ、カズマさんが必死に助けに入っていた。
「銀、アクアさんの方は頼んだ」
「うん、めぐみんの方は頼んだよ」
僕らはふた手に別れ、救出へと向かうのであった。
いい機会だし、他の武器も使ってみるのも良いかもしれない。試しに……
「お借りします!先輩」
今度は風先輩の大剣に変えた。
この大剣は自由に大きさを変えられる。
それだったら一気に倒せる。僕は大剣の大きさを変え、横に思いっきり振り回し、周りにいたカエルを切り裂いていくのであった。
無事にめぐみんを救出できたけど……
「振り回しすぎて………気持ち悪い」
「大丈夫ですか?私を助けるためとは言え無理をしすぎですよ」
ぬめぬめになっためぐみんが心配そうにしている。
「というか武器とか変えられるのか?」
「さっきはワイヤーだったのが今度は大剣とかって……」
カズマさんと銀の二人が武器について気になったみたいだ。
そういえば話してなかったっけ……
「僕の勇者の力は、他の勇者の武器や力を使えるんだよ……うぇ……」
「あ~、無理に話させて悪かった。他の勇者の武器って言うとあたしの武器も使えるってことだよな……万能型の勇者って言うことだよな」
「どんな場面でも対応できるっていうのもゲーマーとしては羨ましいな……」
二人が僕のことを褒めているけど、正直武器が使い慣れてない物が多い。
刀とかは昔夏凛の付き合いで、ある程度使えるようになったから良いけど、他は練習が必要だな