紅魔の里
私こと鶴城氷雨はある書物を読み老けていた。その書物にはかなり気になるキーワードが書かれていたのだから……
「頂点……これを書いた人は私と同じ場所から来たのかしら?」
これまで読んだ本に書かれた『頂点』という文字がどうにも多い。しかも所々奴らに対しての事が書かれているようにも思える。
「どうしてこっちにあっちの人達が来たんだろう?」
以前私と同じ転生者と話す機会があったのだが、どうにも彼と私が住んでいた世界は違ったみたいだ。そこら辺あの女神に聞けばよかった。
「その内わかるかな?」
気になることだらけだけど、今は調べないほうがいいな。調べ始めたらかなり時間がかかる。
気分転換に外へと散歩に出かけるのであった。
里の中を目的もなく、ただ歩いているとロングヘアーの整った顔立ちのお姉さん、そけっとさんが声をかけてきた。
「あら、ヒサメちゃんじゃない。こんな所でどうしたの?」
「調べごとに疲れたので、散歩してるんです」
「そうなんだ、折角会ったから占ってみる?」
そけっとさんの占いはかなりの確率で当たる。たまには占ってもらうのもいいかもしれないと思い、私はお店の中に入り、早速占ってもらうことにした。
そけっとさんは水晶玉に手をかざし、集中していると水晶玉に何かが映し出された。
「これは……ヒサメちゃんとどこかの男の子かしら?何かを教えてるみたいね。他にも女の子が沢山と……この人達は冒険者たちかしら?」
水晶玉に映し出された映像を見つめると、確かにそけっとさんの言うとおり、私は何かを色んな人達に伝えていた。おまけに冒険者の人たちはバーテックスと戦ってるし……
「バーテックスに対して、何かを伝えてるみたいね」
「何かってなんだろう?」
「それは分からないわ。もしかしたらかなり重大な事なんじゃないのかしら?」
重大なことか……一体何だろうな?
そけっとさんと別れた私、家に帰ろうとすると今度はコウモリ型の髪飾りをしたあるえと遭遇した。
「ヒサメじゃないか。どうしたんだ?」
「散歩の帰りよ。あるえは?」
「私はちょっと行き詰まってね……」
あるえは作家を目指して、日夜小説を書き続けているらしいからか、目の下にクマが出ていた
「あんまり無理はしないほうがいいんじゃないの?」
「そうなんだけどね……ヒサメ、何かいいネタないか?」
ネタと言われても、そんなのすぐに思いつくわけ………あれ?そういえば前にゆんゆんとめぐみんからもらった手紙にいいネタが……
「例えばゆんゆんが紅魔族の最後の生き残りになるという話は?」
「ほう」
どうやら興味が出てきたみたいだ。私は更に思いつく事を伝えた。
「打倒魔王を目指すゆんゆんは、互いに鍛錬をしている男の子と出会い、出来た子供が魔王を倒す勇者になるっていう話とか……」
「さすがはヒサメだ。いいアイデアをもらったよ。出来たらアクセルの街にいるめぐみんとゆんゆんに送ってあげないと……」
あるえはそのまま思い浮かんだアイデアをまとめに家に戻るのであった。
「そういえば二人共元気にしてるかな?たまには会いに……………会いに行ってみるかな?」
折角だから会いに行こう。おまけに旅先で何かわかるかもしれないし……
次の日、里の皆にめぐみんとゆんゆんに会いに行くと伝え、二人がいるアクセルの街に向かうのであった。向かうと言っても最寄りの街までは徒歩で行き、街についたら馬車で向かうというものだ。
その道中のことだった。突然空が割れ、何十匹ものバーテックスが出現した。この所、紅魔の里周辺に現れるようになってる。ただ何故か紅魔族が使う魔法が通じるためか、そんなに被害は出てないみたいだ。そういえばどうして魔法が通じるんだろう?そこら辺も調べてみるのもいいのかもしれない?
そんな事を思っていると、一匹のバーテックスが私の目の前で口を広げていた。失敗した。こんな状況で考え事をするものじゃない。
私は持っていた端末を使い、青と水色の衣装を身にまとい、両手には鉄扇が握られ、迫り来るバーテックスを思いっきり叩いた。
「この格好も久しぶりだな~」
私は鉄扇を開き、バーテックスを切り裂いたり、閉じた状態で思いっきりバーテックスに打撃を加えた。
襲ってくるバーテックスを全滅させるのにそんなに時間はかからなかった。
「それにしても150年前は勇者と巫女は別々だったけど、未来ではどうなってるのかな?」
私は巫女でありながら勇者になれるというかなり変わった存在だと言われた覚えがある。とはいえ、周りには勇者ということは話さず、巫女としての活動が多かったけど………
「相変わらず、能力的にも上がってるけど、これも特典のおかげかな?」
あの時貰った特典は、自分の力を最大限に上げてほしいというものだった。おかげで一人でここまで戦えるようになったのは凄く嬉しい
「さてと、どれくらいでアクセルまでたどり着けるのかな?」
短めでしたが、オリキャラの鶴城氷雨の登場でした。
何故、彼女が紅魔の里にいるかは後々に明かされます。あと何気に5巻の伏線みたいなものを……