ある日のこと、僕はひなたお姉ちゃんに呼び出されて、ウィズさんのお店にやってきた。でも、どうしてウィズさんのお店なんだろうか?
「お邪魔します」
「へいらっしゃい!好きな小娘の返事が気になり、聞くべきかどうか悩みまくっている小僧よ。お前の待ち人はすでに来ているぞ」
バニルさんのこういう所がなければ良い人なんだろうけど、悪魔に良い人だって思ったら負けだよね。
「ごめんね。急に呼び出して」
「いえ、別に予定はなかったですけど、何かあったんですか?」
「実はね。そこの仮面の悪魔に聞きたいことがあってね。出来れば海くんにも聞いてもらいたかったの」
「聞きたいこと?」
バニルさんを呼び出し、ある話を切り出した。
「バニルさん。貴方は神樹についてどこまで知っているんですか?」
「ほう、ポンコツ店主が出した赤字を黒字にしようと頑張っている我輩に話があると思ったら、その事か」
「海くんから貴方がどうにも気になることを言っていたらしいわね。敵である神を取り込んでいる集合体って……集合体っていうのは神樹のことですよね。貴方は本当にどこまで……」
「どこまで、どこまでもだと言ったらどうする?」
「全て聞きます」
何だか変な事に巻き込まれたな。僕としては別に知らなくても良いんだけど……でも、何か分かったらあっちにいるそのっちに話せるかもしれないな。
「分かった。ならば、話さん!!」
バニルさんの言葉を聞いた瞬間、僕はひなたお姉ちゃんからほんの一瞬殺気を感じた
「ふはははは、巫女の悪感情は中々なものだ」
「海くん、今すぐその仮面を叩き割って」
「ひなたお姉ちゃん、落ち着いて……」
「ふむ、中々の悪感情をもらえたお礼に、面白いことを話してやろう。そこの最近ネタ種族の娘に負けっぱなしの事を気にしている小僧よ!貴様が気にしている敵である神についてだ。お前を加護している集合体の中には元々敵だった神が裏切って、集合体と一つになっている」
神樹の中に天の神だった奴がいるってことか。だとしたら勇者システムもそいつが与えた情報で作ったのかもしれないな
「そしてそこの肉体に比べて精神が老いている小娘よ!集合体のことは詳しく教えられん。だが、今ここにある現実は、いずれたどり着いたであろう未来の一つだったということだけを教えておこう」
いずれたどり着いた未来の一つ?どういうことだろう?でも、前に世界っていうのは沢山あるって聞いたことがあった気が……
「私は別に老いてないですけど、たどり着いた未来の一つというのは?」
「そこまでは知らん。だが、似たような未来があったと言うべきだな。貴様らが呼ばれなければな」
「そうですか」
ひなたお姉ちゃんが立ち上がり、お店から出ようとし、僕もその後を追いかけるとバニルさんに呼び止めた。
「折角だ。お前たちに良いことを教えてやろう。いつかお前たちの前に現れる小娘は、
真実の一部を知るものであろう。そしていずれ知るだろう。この世界にあるものはなんのために作られたかを」
真実の一部?何だか本当に気になることが増えたような気がする。
僕とひなたお姉ちゃんは広場にあるベンチに座っていた。
「ごめんね。海くんを巻き込んで」
「いえ、別に……それにしても神樹の中に天の神の一人がいたなんて知りませんでした」
「私も知らないわ。いえ、知っている人はいないはずなのに、あの悪魔は知っていた」
というか悪魔なのに何で神のことを詳しく知ってるんだよ。誰かから聞いたとか?
「そういえば海くん、まだ返事貰ってないの?」
「…………」
僕は思いっきり顔を背けた。あんまり返事のことは聞いてほしくはないのだけど、友奈にも考える時間があっても良いかもしれないし
「あんまり急かさせちゃ駄目だからね。女の子にとって悩む時間は必要だからね」
「分かってますよ」
「そうだ。帰る前に……」
僕は立ち上がり、屋敷へ戻ろうとするとお姉ちゃんがある提案をしてきた。その提案というものは耳かきだった。
僕はお姉ちゃんに膝枕をしてもらっていた。何というか結構恥ずかしい。女の子に膝枕してもらう機会なんてなかったし、色々と柔らかいし、おまけにお姉ちゃんの耳かき、結構上手で天国にいるみたいだ。
「どう?私の耳かきは?若葉ちゃんも結構お気に入りでやってあげてるのよ」
「そうなんですか……そういえばバニルさんが最後に言っていたいつか出会う子って、誰なんですかね?」
「分からないわ。海くんの時代の子かもしれないし、私たちの時代にいる子かもしれないわね」
「もしかしたらお姉ちゃんからは150年後の、僕からは150年前の勇者だったりとか……」
「まぁ、いつか会えるから、今は気にしない方が良いんじゃないの?」
気にしない方が良いか。言われてみればそうなのかもしれないけど……
屋敷に戻ると何故かカズマさんにあることを聞かれていた。
「なぁ、昼間ダスト達から聞いたんだけど、お前、女の子に膝枕してもらっていたって本当か?」
やばい、見られていた。
「えっ!?海くん……」
友奈も話が聞こえたのか持っていた食器を落として動揺してるし。めぐみんとアクアさんは思いっきり冷たい目で僕のことを見てるし、
「まぁ、ウミもそれなりにモテるって言うことなんじゃないのか?」
「確かに結構影でモテモテだったりしてたよ」
ダクネスさんと銀はそんな事を言う中、何故かクリスさんは冷や汗をかいていた。
「いや、あれは色々と事情があって……」
「海くん!事情ってどんな!?」
「ウミさん、ちょっとお話良いかな?」
何故か僕は友奈とクリスさんに腕を掴まれて、リビングから連れ出されるのであった。
その後、事情を話し、納得してもらうのに一時間かかったのだった。
ちょっとしたゆゆゆいの話とオリキャラへの伏線みたいなものでした。