ただエリス様とイチャイチャ?
カズマ達とは、明日も少し協力することになったため、一旦別れることになった。
僕は教えてもらった宿につき、クリスさんが泊まっている部屋を訪ねた。
「ただいま~」
「おかえりなさい。ウミさん」
迎えてくれたのはクリスさんじゃなくって、エリスさんだった。
うん、明らかに胸のサイズが違う気がするけど、心のなかに留めておこう
「あの何か?」
「いえ、いくつか聞いてもいいですか?」
「いいですけど……」
「アクアさんって女神だったりします?」
やけに特典についてや勇者について知ってる気がするし、クリスさん……もといエリスさんは会いたがらなかったし、もしかしたらと思い聞いてみた。
「え、えぇ、水の女神で、私の先輩なんです」
「カズマさんと一緒にいるのって、もしかして僕と同じ勇者だったりとか……」
「いえ、カズマさんは勇者ではないです。先輩と一緒にいるのは、カズマさんが特典として選んだからです」
女神って特典で選べるものなんだ……
「特典として選ばれたせいなのか、先輩がどんなに女神だと言っても誰にも信じてもらえないみたいです。気がつくのは先輩を崇拝するアクシズ教の方々だけですね」
特典に選ばれるだけでもけっこう大変なんだな……あれ?ということはエリスさんは……
「エリスさんの場合は?」
「私はウミさんの精霊として一緒にいるので、先輩みたいにはなりませんね」
それは良かった気がするのは何故だろうか?
とはいえ今は気にすることではないな
「他には?」
「僕の冒険者カードのスキル一覧に、彼女たちの精霊の名前が刻まれているんですが……」
スキル一覧をエリスさんに見せると、しばらく考え込み推測を立てた。
「もしかしたら、ウミさんの勇者としての力は過去、現在の勇者の武器や能力を使えると言ったものじゃないんですか?」
だとしたら近、中、遠距離全部に対応できるということか……ガチチートだな
「所でエリスさんはワカバって子を知っていますか?」
「ワカバさんですか?」
「僕が最初に変身した時に使っていた武器が、そのワカバって子と同じ武器らしいです。もしかしてエリスさん知ってるかなって?」
「えぇ、知ってますよ。ワカバさんと二人ほど転生した中でも特例みたいなものでしたし、クリスとしても一緒に行動したこともあります」
「僕はその子の事知ってる気がするのは何ででしょうか?こう頭の片隅に引っかかっているような……」
何だか昔、何かの本を見てその子の名前を知った。
そして何故か驚いた気がする
でも、どうにも思い出せない
エリスさんにフルネームを聞いてみると……
「ワカバさんはノギワカバって名前ですよ」
ノギ?野木…‥…乃木!?そのっちと同じ名字!?ということは……ご先祖様?
色々と思い出してきた。昔、上里の古い書物を見た時に若葉の名前があった。
衝撃を受けたのは子孫であるそのっちとは全然違うということだった。
一体どこで間違えたんだっていうくらい、似ていない気がする
「ってもしかして、僕の他にも勇者がいるって言うことですか!?」
「はい、本当でしたら300年前に来ているはずでしたが、時間とか越えて去年ぐらいにこちらの世界に転生したはずですよ。あとは……ミノワギンさんも来ていますね」
銀もこっちに来てるんだ。今のところ聞くべきことは聞けたから満足だな
「明日はカズマさん達と行動しますね」
「分かりました。今日と同じように別行動ですね」
「はい、では僕は馬小屋に……」
「どうしてですか?この部屋に泊まるんじゃ……」
この女神様……気がついてないのか?14歳の思春期少年が女の人と同じ部屋って嫌じゃないのか?
「あの、エリスさん。僕は男の子ですよ」
その言葉を聞き、エリスさんは顔を真赤にさせていた。どうやら気がついたみたいだ。
「えっと、そうでしたね。そこら辺気が付きませんでした……」
「この部屋はエリスさん……クリスさんがとった部屋なんですから、僕は外で寝ますよ。ベッドも一つしかありませんし……」
その場を立ち去ろうするが、エリスさんが呼び止めた。
「駄目です。私は一応ウミさんの精霊です。主である貴方の体調を崩される訳にはいきません」
そういえば精霊って、主の命を守る役目があったような……それで色々と問題が起きてたけど、
「それに私はウミさんのこと信じてますから……」
顔を真赤にさせながらそんなことを言ってきた。
暫くの間、説得をするが埒が明かないため、僕は諦めて一緒に寝ることにした。
こういった展開って、好感度をもう少しあげてからじゃないのかな?
一緒のベッドで寝るのは良いが、全然寝付けない。そっと起き上がり隣のエリスさんを見ると、すやすや寝ていた。
「はぁ……前にも似たようなことがあった気がするんだけど……」
以前、勇者部の皆と海に行った時、大赦の手違いでみんなと一緒に寝ることになった。
最初は断ったのだけど、みんな僕のことを信じてるからと言っていた。
とはいえ、夏凛には手を出してきたら殴ると脅された。
あの時もこんな風に眠れなかったため、次の日は寝不足だった。
「僕ってそんなに信頼できる人間なのかな?」
僕としては皆との約束を破って、この世界に来ている。
きっと皆、僕が死んだって知ったらどんな反応しているのかな?きっと怒ってるよな
「東郷、先輩、樹、夏凛、そのっち………友奈、ごめんな」
誰にも聞こえないように呟くのであった。
エリスSIDE
ひょんな事からウミさんと一緒のベッドで寝ることになったけど、正直胸がドキドキしていて寝付けないでいた。
(信じてるって言ったけど、ウミさんも年頃ですよね。もし襲われたりしたら……)
そういった場合、反撃した方がいいのかな?
でも、ウミさんの精霊として、主を傷つけることは出来ない。
やっぱり受け入れるべきか……
すると隣で寝ていたウミさんが起き出すのに気がついた。
(もしかして襲ってきたり……)
ウミさんに気が付かれないように身構えると、ウミさんの声が聞こえた。
「はぁ……前にも似たようなことがあった気がするんだけど……」
前にも!?前にも体験したことがあるんですか!?
そういえば彼の周りには女性がたくさんいた気がする。もしかして特定の誰かとこんな事を……
「僕ってそんなに信頼できる人間なのかな?」
それは悲しそうな声だった。
私は気が付かれないようにウミさんの事を見ると、泣いていた。
「東郷、先輩、樹、夏凛、そのっち………友奈、ごめんな」
ウミさんはきっと友達の事を思い出してる。友達を救うために自分の命を犠牲にしてこの世界に来た。
その時はそれしか方法がないと思っていたとは言え、大好きな友達と離れ離れに……それにもう二度と会えない。
ウミさんはそのことに気がついていて、悲しんでる。私はこういう時、どうすればいいか分からない。
お友達に会わせてあげられれば良いのだけど、彼女たちがこっちに来るということは不可能に近い。そう簡単に人は死ぬことはないのだから……
ワカバさん達みたいに特例が起きる可能性だって低い。ワカバさんたちは願ったからこそ、こちらの世界に来れたのだから……
昔一緒に生きた友達ともう一度会い、今度は最後まで一緒の生きたいなんて願う人は彼女たちだけだ。
今、私にできることはウミさんを支えることだけかもしれない。
そう心の中で思いながら、眠りにつくのであった。