屋敷で住むようになり、数日が経った。
僕は外に出てあるスキルを試そうとしていた。
「黒陽!!」
黒陽のスキルを発動させるが、スキルが発動しない。コレは一体どういうことなのか?
「一体どんなスキルなんだろう?」
一応覚えてみたのはいいけど、使用ができないし試せないのではしょうが無い。きっとレベルが足らなかったりするんだろうと思い、僕は他の武器を使って訓練をすることにしたのだった。
ある程度の訓練を終え、街に戻るとカズマさんが誰かと路地に入るところを見かけた。
「カズマさん?」
「うおっ!?なんだ、ウミか……」
「おい、カズマ。こいつは?」
「あぁ、俺の仲間でウミって言うんだよ」
「だったら一緒に行かせるか」
一体何の話をしているのかわからない。とりあえずは関わらないようにした方がいいかもしれないと思った僕は、その場から離れようとしたが……
カズマさんに腕を掴まれた。
「なぁ、ウミ。この街には、サキュバス達がこっそり経営している、良い夢を見させてくれる店があるって知ってるか?」
サキュバスって悪魔の?よく人間が住む場所にいられるな~下手をすればアクアさんに討伐されそうだけど……
「良い夢ってその、ああいう夢だよね?」
「あぁ、男なら最高なものだ」
別にそういう夢見たいと思わない。ただ、夢の内容を操れるというのに興味があった。
僕はカズマさんたちに着いていき、サキュバスのお店に入るのであった。
サキュバスのお店は裏路地にあり、一見普通の飲食店のようだけど、中に入るとエッチな格好をした女性達の出迎えがあり、中を見るとものの見事に男性しかいなかった。
空いているテーブルに案内され、アンケート用紙を渡され、アンケート用紙には夢の中での自分の状態、性別、外見などが記載されていた。性格や口癖、自分への好感度なども好きに設定できるという説明を受け、僕は店員さんにあることを聞いた。
「あの、そういう夢じゃなくってもいいですか?」
「はい?それはどういう事ですか?」
「その………」
僕はあることを告げると、店員さんはしばらく考え込んだ。
「まぁ、最終的にそういう事をしてしまうという感じになりますが、それでもよろしいですか?」
「はい、お願いします」
店員さんにアンケート用紙を渡すと、同じように書き終わったカズマさんがあることを聞いてきた。
「なぁ、どんな内容を書いたんだ?」
「………その、アクアさんたちに言わない?」
「任せろ。言うつもりはない」
「実は僕が書いた夢の内容って………」
僕がその事を話した。話を聞き終えたカズマさんは何故か涙ぐんでいた。
「お前って、本当に………」
「あの、ただ僕は夢の中だけでもいいから会いたいって思っただけで……」
カズマさんと屋敷に戻ると何故かご機嫌なアクアさんが出迎えてくれた。
「カズマ、ウミ、お帰りなさい! 今日の晩御飯は凄いわよ! カニよ! ダクネスの実家から超高級の霜降り赤ガニが送られてきたのよ!」
聞くと娘がお世話になっていますと言うことで送ってきたくれたみたいだ。
「ダクネスさんの実家ってお金持ち?」
「い、いや、そういうわけではなく……」
「海はお金持ちだからカニとか食べ慣れてるでしょう」
銀がそんなことを聞いてきたけど、別に僕の家はお金持ちってわけじゃない。正直そのっちや須美には負けるくらいだ。
「僕の所はそこまでじゃないし、カニなんて食べたこと……」
ごめん、一回だけあったよ。皆と海に行った時にあったよ
とりあえず早い所食べるように急かされ、僕らはカニを食べ始めるのであった。
「……僕のいた場所のカニより凄く美味い。これは本当に美味いよ」
「それは良かった。まだ沢山あるからもっと食べてくれ」
それからアクアさんが宴会芸を見せてくれたりしたけど、何故かカズマさんの様子がおかしい。そういえばお酒を飲まないようにって言われていたんだっけ?
僕はお酒とかあんまり美味しいと思わないので別に大丈夫だけど……
カニを食べ終え、お風呂を済ませた僕はすぐに横になり、眠りについた
そしてある夢を見た。
それは僕が部室にいた時の夢だった。
夢の内容としては僕はみんなと平穏な日々を過ごす幸せな夢。僕が見たいと望んでいた夢だった。
夢の中だけでもいいからみんなに会いたかった。まぁ、今見ているものは友奈が制服を脱ぎだしているところだったけど……
でも突然目が覚めた。
「大丈夫?何だか邪な魔力を感じたけど……」
「おまけに何だかうなされてた感じがしたし……」
クリスさんと銀が心配そうに僕のことを見ていた。もしかして叩き起こされた?
「結界に反応があったわ! こっちよ!皆、この屋敷に曲者よーっ!!」
すると突然アクアさんの声が聞こえ、行ってみるとサキュバスの女の子が結界の中に閉じ込められ、その前にカズマさんがタオル一枚で立ちふさがっていた。
これはもしかして、アクアさんが念のために張った結界にサキュバスが引っかかったんじゃ……
「ウミ!あんたもカズマを止めなさい!サキュバスに操られていて邪魔をしてるのよ!」
アクアさんの言葉を聞いて、フッとダクネスさんの方を見るとダクネスさんは顔を真赤にさせていた。
もしかして僕に夢を見せた後、カズマさんに夢を見せようとした時に捕まったんじゃ……カズマさんはカズマさんで夢と現実が分からず、ダクネスさんと何かあったんだろうか?
僕はため息をつき、カズマさんの隣に並んだ。
「ウミ、お前……」
「夢の中でもあいつらと会えたんだ。これぐらいはしないといけないと思ってね」
「海までサキュバスに!?仕方ない!一回ボコって止めるよ!」
「ウミさん、正気に戻すからね!」
僕らは女性陣に闘いを挑むのであった。その隙にサキュバスは屋敷から逃げ出すのであった。
翌朝、昨日の夜のことはサキュバスに操られていたということで無罪放免になった。
僕とカズマさんはこれから利用する時は互いにどこかの宿をとろうと誓うのであった。