この素晴らしい勇者に祝福を!   作:水甲

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誰にだってある秘密

私が盗賊団に入ってほしいとクリスとチカゲの二人に告げた瞬間、クリスは思いっきり牛乳を吹き出し、むせこんでいた。

 

「いきなりむせこまないでください」

 

「めぐみんがいきなり変なことを言い出すからでしょ!」

 

というかクリスは今は神器探しでウミとユウナと出かけてるのにどうしてこんな所にいるのだろうか?

 

「クリスおばちゃん、パパとママは?」

 

「二人なら屋敷に戻ってるよ。神器の手がかりはある程度集まったからね」

 

「私はそこでクリスに会って、食事に誘われたのよ」

 

「ふむ、ではやはりクリスは盗賊団に入るべきですね」

 

私は盗賊団を作った理由を二人に話した。話を聞き終えるとクリスは苦笑いを浮かべていた

 

「めぐみんは全部知っていて言ってるんじゃないよね?」

 

「いえ」

 

「所でどうして私もその盗賊団に入ることになってるのかしら?盗賊向きの能力はないわよ」

 

「何を言ってるんですか?チカゲは分身ができるじゃないですか。もしも見つかった場合、分身をして相手を撹乱したり、それにチカゲは何故かこう……盗賊の衣装が似合いそうと言うか……私と近いものを持っている気が……」

 

「私は紅魔族みたいな中二病じゃないけど……」

 

チカゲが何か呟いていた。でも本当にチカゲは私に近いものを持っている気がするのだが……こう武器とかに名前とか付けていそうだったり……

 

それからアイリスのことをクリスに紹介するとクリスは何かを思い出し、怯えていた。

 

「あの忙しいのは分かっています。ですがクリスとチカゲの力を借りれられないでしょうか?」

 

「う~ん、まぁ息抜き程度にはいいかもね」

 

「仕方ないわね……」

 

二人は入団してくれるみたいだった。とはいえチカゲは渋々だったけど…

するとみゆがチカゲに近寄り……

 

「お姉ちゃん……」

 

「そういえばこの子……誰?」

 

「チカゲさん。この子は……」

 

ボタンがみゆのことを説明すると、チカゲはため息を付いていた。

 

「あの子はいろんな女の子に手を出しすぎじゃないかしら?」

 

「あ、あはははは……」

 

「みゆ、彼女はチカゲといい、勇者ですよ」

 

「チカゲ……お姉ちゃん?綺麗な人だ~

 

みゆはチカゲを見てそう言うと、チカゲは何だか恥ずかしそうにしていた。

 

「私は別に……」

 

「まぁまぁ、綺麗だっていうのは誰だって思ってることだよ」

 

「……」

 

顔を真赤にして黙り込むチカゲ。よほど言われ慣れていないんだな……

 

「お頭、クリスさんはこの町では情報通なんですよね」

 

「えぇ」

 

「それでしたら聞いてみてもいいんじゃないんですか?」

 

「そうですね。クリス、この町で冒険者をやっている元ドラゴンナイトを知りませんか?」

 

「ん?それだったらあの人じゃない?ほら、あそこにいる……」

 

クリスが指を指したほうを見るとそこにはダストとゆんゆんの二人がいた。もしかして……

 

「クリス、あの人はありえないです」

 

「いやいや、めぐみんは知らないの?前のあの戦いで彼は多くのバーテックスを撃退していたのを……」

 

「そ、それは……」

 

あの戦い、カズマ曰くダストが槍を使ってバーテックスを倒していったのを聞かされた。だけど普段の行動を見る限りじゃ……

 

「……信じられないって言うなら本人に直接聞いてみれば?」

 

チカゲはそう言ってダストとゆんゆんの所に近寄り、何か話をしていると、チカゲはダストを思いっきり引っ叩き、こっちに戻ってきた。

 

「あの男はないわね」

 

「一体何を言われたんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

園子SIDE

 

私は大赦に言われ、ある場所に来ていた。

 

「なるほどね~まさかと思ってたけど……本当だったね~」

 

私が居る場所は壁の外。壁の外は炎に包まれていたはずだったのだが、今は炎の世界はなく、元の世界に戻っていた。

 

「これはどういうことかな~あっちに行けばあの人呼びだしてみるかな?」

 

きっとあの神様なら自由だし、もしかしたら何か知ってるかもしれない。私はそう思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めぐみんSIDE

 

結局ドラゴンナイトを見つけられなかった。私も直接ダストに聞いてみたが、ダストは違うと否定していた

 

「それでもどうしてダストは槍を使わないのでしょうか?」

 

そう呟いていると、みゆとユミ、ボタンはあるものを見つめていた。

 

「どうしたんですか?あれは……」

 

私の目に入ったのは、ダストが新人冒険者に槍捌きを見せていた。あの動き……素人目でもわかる。

 

「どうするの?お姉ちゃん?」

 

「誰にだって秘密はあるものですよ。ですからこのことは見なかったことにしておきましょう」

 

「そうですね」

 

「うん」

 

さっきの光景は私達だけの秘密ということにするのであった。そうだ。誰にだって知られたくない過去があるのだから……




本当はめぐみん盗賊団で短編を終わらせる予定でしたが、盗賊団編後、壁の外の話をやります

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