みゆSIDE
パパがお仕事に出かけている間、私はめぐみんお姉ちゃんと一緒に大勢の人がいる場所に来ていた。
「みゆ、ここは冒険者ギルドですよ。ここでは色んな依頼を受けたり、みんなで美味しい食べ物を食べたりしています」
「お姉ちゃん、何だか変な匂いがするよ?」
「それはお酒の匂いです。まだ慣れないみたいですが、そのうちなんとかなります」
「うん、なれるように頑張る」
「同じ年だと言うのにユミとは全然違いますね」
お姉ちゃんがそう言うけど、ユミって誰だろう?
「さてみゆ、今から私はあることを始めようと思います」
「何を?」
お姉ちゃんは一枚の紙を私に見せてくれた。私はその紙を見て……
「なんて書いてあるかわからないよ~」
「そうでしたね。貴方がいた世界はこことは繋がりがありませんでしたね。これに書いてあるのは……」
お姉ちゃん曰く物凄く格好いい銀髪盗賊団と国防仮面の一ファンとして手伝うための盗賊団の団員募集というものだった。
「彼らは格好いいですよ。何せ世界を守るために犯罪と分かっていても活動しているのです」
「か、格好いい~お姉ちゃん、私も入る、入る」
「ふっ、みゆ。何を言ってるのですか?あなたはもう既に入っています」
「わぁ~ありがとう。お姉ちゃん」
私はお姉ちゃんに抱きつき、お姉ちゃんは照れくさそうにするのであった。
めぐみんSIDE
早速募集の紙を掲示板に貼ったのだが、すぐに受け付けのお姉さん、ルナさんに剥がされ、怒られてしまった。
みゆは何がなんだか分かっていないみたいだったけど、さてどうしたものか……こういう時にユミやボタンの二人がいればいいのだが……
誰かしら盗賊職の人を勧誘するしか無いけど……何だかさっきから視界にゆんゆんが入って気になっていた。
「ふぅ、やれやれ、ゆんゆん、何ですか?」
「めぐみんが素直に声をかけてきた!?」
「貴方は失礼ですね……声をかけますよ。何せ……そのウミが言うには私と貴方は大親友ですからね」
「めぐみん……」
物凄く嬉しそうな顔をするゆんゆん。やれやれ、未だに慣れないみたいですね。
するとみゆがローブの端を引っ張ってきた。
「お姉ちゃん、この人は?」
「あぁ、このボッチそうなのは、ゆんゆんです。まぁ親友ですね」
「お姉ちゃんの友達なんだ~」
「ねぇめぐみん、この子、どこの子?もしかしてゆう……」
「誘拐していません。かくかくしかじかで……」
「めぐみん、それで何でも説明できると思ってる?それが出来るのはウミさんとヒナタさんくらいだよ……」
くっ、ウミから教わった説明が通じないなんて……仕方なく私はゆんゆんにみゆの事を説明するのだった。
「えっと、つまりウミさんの娘ってことでいいんだよね」
「とはいえ別世界のですがね。ちなみにみゆは我が盗賊団の団員になっています。ゆんゆんは副リーダーですね」
「何だか知らない内に……あっ、もしかしてみゆちゃんのために……」
「遊びじゃないですよ」
否定するとゆんゆんはちょっと落ち込むのであった。それにしても今日は珍しく一人でいるゆんゆん。いつもならウタノやミトがいるのだが……
「ついにパーティーが解散ですか……」
「違うから!?二人とも畑の仕事が忙しいからだよ!!」
そういえば農業をやっていましたね。あの二人……たまに食料を分けてくれたりしていますし……
「とりあえず他に団員を探しましょう。出来れば盗賊職の……」
私が言いかけた瞬間、出店の前にフードを被った女の子が目に入った。見覚えのある金髪、どうしてこんな所にいるはずのないあの子が!?
「何をしているんですか!?アイリス」
「えっ?めぐみんさん。お久しぶりです」
やはり彼女はアイリス……この国のお姫様がどうしてこんな所に一人で……
私たちは彼女を連れて人通りの少ない公園のベンチまで連れて行くのであった。
「アイリス、どうして貴方がここに……」
「アイリス?違います。私はチリメンドンヤの娘、イリスです」
「ねぇ、めぐみん、この子金髪に青い瞳してるけど、貴族の子じゃ……」
貴族どころじゃない。一国のお姫様だ。以前ある戦いで手助けしに来てくれたりしましたが、どうして一人でこんな所に……
私はアイリス……イリスから事情を聞くとどうにも前にもこの街に来ていたみたいで、そこで面白い人にあったらしく、他にも色んな人と知り合いたいということで、社会勉強の一環でアクセルの街に来たらしい
「お姉ちゃん、お姉ちゃん、この子、お姫様みたいだね」
みゆがイリスを見てそう言うと、イリスは嬉しそうにするのであった。
「ありがとうね。えっと……」
「上里みゆです」
「ウエサト……ウミお兄様の子供?でも、確か……」
「イリス、実は言うとかくかくしかじかで……」
「だからめぐみん、それで説明できるのは……」
「なるほど!ウミお兄様の別世界の子供なんですね」
「通じた!?」
どうにも通じる人と通じない人がいるみたいですね。今度コツを聞いたほうが良いですね
私はイリスに盗賊団について話すとイリスも入りたそうにしていた。
「まぁ、イリスの実力はあの戦いで分かっています。特に断る理由はありませんね」
「ねぇ、めぐみん、もしかしてこの子、あの戦いで騎士団を引き連れてた……」
ゆんゆんが何かを言っているが私は気にしないことにした。これで団員は私、ゆんゆん、みゆ、イリス(アイリス)の四人……
「やはりユミとボタンを誘いたいですが、二人を誘うのは難しいですね」
「仕方ないよ。何十年後の未来だから……もう来ることは……」
「お姉ちゃん、何だろうこの花弁?」
みゆが二つの花びらが舞っているのに気が付いた瞬間、花びらが突然光りだした。
そして光が消えるとそこには……
「あれ?また別の世界?」
「邪神関係?とは違うみたいよ。友海」
「ま、まさか……!?」
「何で!?」
あの時とはいくらか成長しているが、見間違えるはずがない。彼女たちは……
「ユミ!?」
「ボタンちゃん!?」
友海と牡丹は邪神との戦いが終わった後の未来から来たことになります。
因みに自分で読み返していて気が付きましたが、友海とみゆの名前って……
何も考えずに決めた名前だったのですが、まさかの偶然というべきか……