この素晴らしい勇者に祝福を!   作:水甲

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今回は勇者の章の話が関わってきます。


121 桔梗に訪れるであろう未来

桔梗さんがやってきてから数日が経った。僕は桔梗に頼まれて、桔梗の訓練を見ることになったのだが……

 

「ハァッ!!」

 

「踏み込みが甘い!!」

 

桔梗の木刀の一撃を避け、僕は桔梗の頭を木刀で軽く小突いだ。桔梗はあまりの痛さに頭を抱えていた。

僕ら二人の訓練の様子をゆんゆんはじっと見つめていた。

 

「何だかウミさんの教え方って、厳しいですね」

 

「そうか?僕としてはかなり優しくしてるんだけど……まぁそれ以前に人に教えるって言うことはなかったからな……」

 

「そうなんですか?」

 

「そうだよ。普通だったら師範とかいて、それと同じようにすれば良いんだけど、その師範すらいなかったからな………」

 

僕の場合は殆ど自己流だったからな……たまに夏凛が訓練に付き合ってくれて、悪いところとかは教えあったりしたし……

 

「僕自身、先生には向かないんだよな……さて、桔梗、休憩するか?」

 

「まだ、まだです」

 

桔梗は立ち上がり、木刀を構えた。何でまた僕に鍛えてほしいって言い出したんだろうか?いいお手本がいるっていうのに……

 

「それじゃ行きますか」

 

 

 

 

 

 

 

 

桔梗との訓練は一時間くらいやって終わりにした。流石にボコりすぎて最終的にゆんゆんに怒られたからな……

 

僕は散歩がてら街を歩いていると目の前から桔梗さんとおんぶされためぐみんを発見した。

 

「海、鍛錬は終わったのか?」

 

「はい、桔梗さんは………何をやってるんですか?」

 

「いや、この世界特有のスキルって言うのに興味があって……それをめぐみんに話したら、良いものを見せるって外に連れ出されて……」

 

なるほど、それでめぐみんは爆裂魔法を桔梗さんに見せたんだけど、結局おんぶしてもらうことになったのか……

 

「ふっ、我が最強最大の爆裂魔法の威力どうでしたか?」

 

「あぁ、アレを見てようやくわかったよ。友海が使っていた爆裂勇者パンチの元が何なのか……」

 

ん?桔梗さんって友海に会ったっけ?もしかして僕が天の神を覚えてないのと同じように、あっちで出会ったけど忘れちゃってるのかな?

 

「ユミは私の弟子ですから、さぁウミ、早いところユウナと結婚してください」

 

「めぐみん、お願いだから友奈にも考えさせてくれる時間をやれよ」

 

「結婚か……」

 

桔梗さんも自分の世界の東郷の事を思い出してるのかな?何というかどんな感じなのかちょっと興味がある。

 

「とりあえずキメラ・バーテックスを倒したら元の世界に戻れるんですから、頑張りましょう。桔梗さん」

 

「あぁ、そうだな」

 

「ウミ、今回はウミに譲りますから、頑張ってください」

 

僕らはそんな事を話しながら、屋敷に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋敷に戻ると何故かバニルさんが来ていた。

 

「バニルさん、どうしたんですか?屋敷に来て」

 

「何、そこの別次元の勇者を例の店に誘うべきかどうか悩んでいる小僧と商談しにな」

 

「例の店?」

 

「キキョウ、男にとっていい店だ」

 

「カズマが言っている店ってどんなところなんですか?ちょっと興味が……」

 

「めぐみんが行ったら、カズマさんがひどい目に遭いそうだね」

 

サキュバスが経営しているお店だし、以前アクアさんにバレた時は本当に大変だったみたいだし……まぁそこはカズマさんが何とかしたみたいだけど……

 

「さて商談は終わりだ」

 

「にしても今回は前みたいに全財産巻き上げるとかないだろうな……そんなのあったら、またひどい目にあうぞ」

 

「ふははははは、忠告素直に聞いておこう。だが安心しろ。今回ばかりは純粋な商談だ。そして成立したついでにそこの接吻以上のことが出来ずに困っている小僧よ」

 

「接吻以上!?」

 

「おい、キキョウはウミと同じなのか?」

 

めぐみんは顔を真赤にさせ、カズマさんは桔梗さんを思いっきり睨んでいた。いや、東郷の性格上そういった行為はお互い責任が取れるまでって言われてるんじゃないのか?

 

「なぁ、海、この仮面を着けた人、何者なんだ?」

 

「この人は悪魔だよ。しかも人の心や未来を見通す事ができる」

 

「ふははは、魔王より強いと言われているからな」

 

「この世界って本当に変わってるんだな。魔王より強い悪魔や女神とかいるなんて……」

 

桔梗さんは呆れた顔をしていると、バニルさんは桔梗さんをじっと見つめ、ある未来を告げた。

 

「小僧。貴様が元の世界に戻った時、さらなる試練が待っているだろう。そして自分で自分を攻めるであろうな。まぁ、試練自体はそこのプロポーズ(笑)が手伝うであろうし、大丈夫であろう」

 

「さらなる試練?」

 

「僕も関係してるの?」

 

「すべてを教えるわけ無いであろう。だがもしそれが嫌ならば、忘れないようにするのだな」

 

バニルさんはそう告げて、屋敷から出ていった。それにしても僕が桔梗さんの手伝いって……何があるんだ?

 

「あいつが言ってるのは本当のことなのか?」

 

「まぁ、未来を見通してるからな。嘘はつかないと思うぞ」

 

「忘れるなか………」

 

桔梗さんはバニルさんの言葉について考え込むのであった。するとアクアさん、ダクネスさん、銀、クリスさん、友奈、東郷、そのっち、そしてボロボロの桔梗が戻ってきた。あいつ、まだ訓練やってたのか?

 

「たっだまー、あれ?何だか悪魔臭いんだけど……」

 

「バニルあたりでも来てたのか?」

 

「あの人、アクアさんの結界を軽々と越えてきますね。正直どうにかしないと……」

 

アクアさん、ダクネスさん、クリスさんの三人がそんな事を言う中、友奈、銀、そのっちの三人はと言うと……

 

「本当にやるのかな?」

 

「やるんじゃないのか?私たちにあそこまで啖呵を切るんだから……」

 

「愛だね。愛だよ~わっしー」

 

「私としてはちょっと複雑なんだけど……」

 

東郷が物凄く困った顔をしているけど、本当に何があったんだ?すると桔梗は桔梗さんの目の前に立ち、

 

「………お願いがあります」

 

「お願い?」

 

「僕と決闘してください。東郷さんをかけて」

 

僕らは桔梗の言葉を聞いて、驚きの声を上げるのであった。

 

 

 




バニルが告げた未来は、勇者の章についてでした。キメラ・バーテックス編はあと二話くらいで終わる予定です。


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