この素晴らしい勇者に祝福を!   作:水甲

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120 水の女神と天の神と幸福の女神

何故か突然現れた謎の少女にアクアさんは敵意を剥き出しにしていた。というかこの子は本当に何者なんだ?何処かであった覚えがあるんだけど……

 

「桔梗さん、この人誰でしたっけ?会ったことはあるんですけど……」

 

「忘れたのか?まぁお前が会ったのは数回くらいだから仕方ないけど……それにしてもそこの水の女神は何でこの人のことを知ってるんだ?別の世界なのに……」

 

「アクアがあそこまで敵意を剥き出しにしてるってことは、あの子は悪魔か何かか?」

 

「というかお前たち、止めなくていいのか?」

 

ダクネスさんが呆れながら、僕らに向かってそう告げた。いや、止めに入れって言っても……

 

「キキョウ、いい加減説明してくれませんか?あの子が誰なのか?」

 

「そうだな……あの人は僕がいた世界の天の神。まぁバーテックスの親玉だよ」

 

桔梗さんの話を聞いた瞬間、友奈、東郷、銀、そのっちが天の神を見て驚いていたが、すぐに驚いた顔から疑いの顔に変わった。

 

「えっと、桔梗くん?本当にこの子が?」

 

「何だかそうは見えないわ」

 

「というよりアクアさんと何で知り合いなんだよ」

 

「もしかして天の神様って、あの子一人だけなの~」

 

皆がそんな事を言う中、僕もようやく彼女のことを思い出した。あの世界で二回あったことがある。なんで今まで忘れてたんだ?

 

「多分だけどお前が覚えてないのは、あっちからこっちに戻ってくる時の影響で一部分だけ記憶を失ってるからじゃないのか?僕も後になってからあの四人の事を思い出したからな」

 

あの四人?一体誰のことだ?そこら辺の記憶も失ってるのかな?

 

「何であんたがこっちに来てるのよ」

 

「酷い言い草ね。水の女神。未だに私が貴方のおやつを食べたことを根に持ってるのかしら?」

 

「おやつだけじゃないでしょう!?人が読んでた漫画の先の巻を勝手に持っていって、一向に返してくれないじゃない」

 

「返そうと思ったけど、まぁ貴方のだからいつでもいいかなって」

 

「この神は……」

 

何だか気がついたらいつの間にかアクアさんと天の神が臨戦態勢に入ってる。すると広間の扉が突然開けられ、入ってきたのはクリスさんだった。

 

「ウミさん!?聞いてください!!実はバー……えっ、何で彼女が……」

 

クリスさんは僕に何かを伝えようとするが、目の前にアクアさんと対峙している天の神を見て、驚いていた。クリスさんも知り合いなのか……

 

「あら、相変わらず胸がちっちゃいわね」

 

「なっ!?何でいきなりそんなことを言われなければいけないんですか!?貴方だって!?」

 

「私は少女の姿だからいいのよ。まぁあなた達と話している暇はないわね。そこの神樹と女神の力を宿した勇者よ」

 

「は、はい」

 

「境界の勇者をこちらに送った理由は、新たな可能性を秘めた星屑を倒してもらうためよ」

 

「新たな可能性?」

 

「……お前は覚えてるよな。キキョウやチカゲやウミの事を……」

 

僕らの姿をしたバーテックス。確かアレも新たな可能性を秘めた存在だっけ?するとめぐみんが僕の服の裾を引っ張っていた。

 

「そのキキョウとかなんとかって何ですか?」

 

「あぁ、言うなれば僕や桔梗さん……友奈たち勇者の姿をしたバーテックスで、能力的にもオリジナルである僕らよりも上だったりする奴らだった。あの時はカズマさんの作戦で何とかなったけど……」

 

「そういえばあれって、そいつらのことだったのか?俺の作戦が役に立ってよかったぜ」

 

あの時、カズマさんの作戦がうまく行って本当に良かった。それにしても今回現れたバーテックスって……

 

「なぁ、天の神様。桔梗さんが倒したバーテックスは、僕らが前に倒した奴らの残党だろ。進化とかするのか?」

 

「えぇ、どんな状況下でもバーテックスは進化する。300年前も、そして今も……だけど今回の進化はこの世界が滅ぼしかねないほどのものよ」

 

「世界が滅ぶ?」

 

「一体どのような進化をしているんだ?その残党バーテックスは?」

 

ダクネスさんが険しい表情をしながら、そう聞くと天の神は辺りをキョロキョロし始めた。

 

「この近くにはいないか……あなた達はキメラという生物を知ってるかしら?」

 

「キメラって、確か……」

 

「あぁ、紅魔の里でカズマを……」

 

「やめろ。アレは思い出したくない」

 

キメラって、紅魔の里で戦った魔王軍幹部のシルビアもグロウキメラって種族だっけ?あれも幾つもの生物が混ざりあった生物だっけ?というか今、天の神様がキョロキョロしたのって、近くにいたら連れてくる気だったのか?

 

「新たな可能性を秘めたバーテックスは、他の生物を食らい続け、融合し続けた存在よ。言うなればキメラ・バーテックスってとこかしらね。奴をこのまま放っておけば、いずれこの世界の生物はすべて食われてしまうわ。だからこそ、彼をこの世界に連れてきた」

 

天の神はそう言って、桔梗さんの端末の中に消えるのであったが、その前に何故か桔梗に何かを渡したのだった。

 

「いずれ君の力になるかもね」

 

天の神はそのまま姿を消すのであった。それにしても新たな進化をしたバーテックスか……

 

「何だか厄介な事になってきたな。俺としてはウミとユウナが結婚式を上げて、俺達は屋敷でのんびりと……」

 

「ん?何だ。海、プロポーズしたのか?」

 

カズマさんと桔梗さんの言葉を聞いて、僕と友奈は顔を真赤にさせていた。何でこういうタイミングで言うのかな……

 

「いい加減に結婚してください。セシリーにうるさく言われてるんですから」

 

「ま、まぁ、二人なら結婚したら、いい夫婦になるな」

 

「その時が来たら私に任せてね」

 

何だかここにいるのが恥ずかしくなってきた。何だか結婚の話をしている場合なのかな?

 

「と、とりあえず結婚関係は二人がゆっくり話し合うんじゃないの?ほら、そっちの境界の勇者くんもしばらくここにいるんでしょ、部屋を用意しよう」

 

クリスさんの提案で、僕らは桔梗さんの部屋の準備を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桔梗さんの部屋の準備を終えると、僕は部屋でのんびり過ごしていると、桔梗が訪ねてきた。

 

「上里さん」

 

「どうしたんだ?桔梗?」

 

「………お願いがあるんです。僕を……鍛えてください」

 

「はい?」

 

 

 

 

 




何だかグダグダになってすみません。次回は桔梗の修行………ではなく、海、カズマ、桔梗の三人であのお店に行く話になります

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