窮屈な二度目の人生過ごしてます   作:海野

7 / 28
こっちは休みが終わるってのに、ここは休みが始まる……なんて羨ましい!


第七話 メイドカフェ

 中学校初めての夏休みがやって来た。

 私は部活には入っていない為、学校に行く事は無いのだが、生徒会なので、地域のイベントに出るとか何とかでクソめんどくさい。夏休みは溜まったアニメを消費するという大切な用事があるというのに……。

 

「はぁ」

「どうしたんだい?学さん」

 

 ああ、そういえば(こいつ)も生徒会だった。

 

「いいや、何でも無いよ」

 

 父に言われ、生徒会に入った私。役割は会計だ。蓮は書記、瀬尾とかいう奴も入っている。二年後の五英傑メンバーの私含め、三人が所属している訳だ。

 今の生徒会会長は、三年A組の木原美佐子。成績優秀で人望も厚いらしい。クラスからの推薦もあって生徒会長に立候補したとか。優しい事で有名だが、所詮、E組の事を馬鹿にしている女だ。どうでもいい。

 生徒会副会長は、二年A組の笹本幸助。成績はいつも上位だ。眼鏡をかけている。どこかで見た事ある気がするが、気の所為だろう。

 

「浅野さん、意見あるかしら?」

「はい。今年度に入って、野球部、テニス部、サッカー部、バレー部、バスケ部の部員が増えた事によりボールの数に限度があるとの事です」

「ボールだったら修理すればいいんじゃないの?」

「それが、ボールに穴が開いて空気が入らないと。それと、空気入れをもう一台増やしてほしいとの要望が多いです」

「ボールはしょうがないわね。空気入れは……無理ね。一学期の予算ではきついわ」

「分かりました。そのように伝えておきます」

 

 と、このように夏休みに来ては会議をする。本当にめんどくさい。早く帰りたいと言うのに、終われば一年二人が話しかけてくるからうざい。私の自由は無いものか……。

 

「竹林君からメールだ」

 

 内容は、新しいメイドカフェができたらしい。今度一緒に行ってみないか?と。返事はもちろんOKだ。

 気分が良くなって鼻歌を歌っていた。メイドカフェは三次元だ。だが、メイドカフェには二次元が好きな客が来たり、メイドさんが二次元の事が好きという事が多くあり、情報交換ができるのだ。仲間(二次オタ)が増える事は良い事だ。

 

 

 

 そして、メイドカフェに行く日がやって来た。

 変装もばっちりだ。マスクに伊達眼鏡まで装備した。

 竹林君と待ち合わせをし、メイドカフェの前まで来た。心の準備はばっちりだ。

 ドアを開けると、カランカランとドアに付いていたベルが鳴った。すると、メイドさんが一礼お辞儀した。

 

「お帰りなさいませ!ご主人様、お嬢様」

 

 メイドカフェは、男性が行くイメージが多いが、女性も行く。女性が入店すると、メイドさんは“お嬢様”と言ってくれる。

 ここのメイドカフェは本格的だ。だいたいのメイドカフェは、現代に合わせたふわふわした感じの内装だが、ここは本家を忘れることなく、中世をイメージし、そして、メイド服がロングになっている事だ!

 お出迎えされたメイドさんに案内される。

 

「ご注文が決まったらこちらのベルを鳴らして下さいませ」

「はい」

 

 メイドさんは、にっこりと笑った。笑顔はよく、〇円スマイルと言われるが、あの笑顔は良かった。

 

「ここはいいね。いつものメイドカフェとは別の雰囲気で落ち着くよ」

「ああ。メイドの好みは三種類あるからな。一つは、現代のメイドだ。メイド服のスカートの部分は短くカットされ、露出部分も増えている。二つ目はここのような中世を忘れない本家のメイドだ。最後に三つ目はどちらとも。俺はどれかと言われれば、現代のメイドだ。だが、二つ目も捨てがたい」

「確かに、イラストで表現するなら現代のメイド服だ。だが、二つ目のメイドはお姉様というイメージが出てまた良い!どれかにしろと言われたら二つ目だな」

 

 私達は真剣にメイドについて語っていたが、簡単に言えばただの馬鹿だ。だが、これがいいのだ。こういう話をして盛り上がりたいのに……。

 そろそろ注文をしようとメニュー表を見る。特にお腹は空いていない為、珈琲でも頼もうか。いや、ここは紅茶にしよう。

 

「浅野さんは何にするんだい?」

「私は紅茶を」

「奇遇だ。僕も紅茶だ」

 

 同じものを頼むとは思わず、クスッと笑う。

 ベルを鳴らすと、メイドさんがやって来た。

 

「紅茶を二つ」

「かしこまりました」

 

 注文をしてから四分ほどたった頃、メイドさんが銀色のトレイに紅茶を乗せて戻って来た。

 

「どうぞ」

「ありがとう」

 

 お嬢様気分でお礼を言う。こういう気分が味わえるのがメイドカフェの魅力でもあるのではないかと思う。

 最初は、香りを楽しむ。その後、紅茶に砂糖も何も入れず、一口飲む。甘みがある。

 

「ミルク貰えますか?」

「はい。分かりました」

 

 しばらくすると、ミルクを持ってきてくれた。

 ミルクを紅茶に入れ、かき混ぜて飲む。うん。ストレートも良いけど、ミルクとはやっぱり合うね。

 

「お嬢様、その紅茶がアッサムだとおわかりで?」

「はい。香りだけでは分からなかったので、飲んでみたら甘く、濃厚だったのでアッサムかなと思って」

 

 母が海外から帰って来ては紅茶をお土産にしてくる。その所為か紅茶には少し詳しくなった。そんな知識がここで役立つとは……。

 

「ストレートも良いと言われるけど、私はやっぱりミルクを入れた方が良いので」

「そうですか。私もミルクを入れる方が好きなんです。アッサムもいいですが、私が好きなのはアールグレイですね」

「ああ。アールグレイは、少しくせがある香りですよね。私は少し苦手なんですよ」

 

 母は好きと言っていたが、私はどうも苦手だ。飲めない事は無いが、くせのある香りに抵抗があるんだよね。

 

「香りが苦手な方が多いですね。そう言う時は、ミルクを入れたり、アイスティーにするといいですよ。私はミルク派です。たまにアイスティーにして楽しみます」

「なるほど……今度そうしてみようかな。ありがとうございます」

「いえ。大したことではありません」

 

 それから一時間、竹林君と最近話しあえなかったアニメの事について話あった。

 そろそろ帰ろうと席を立ちあがった時、さっきの紅茶に詳しいメイドさんがやって来た。

 

「お嬢様、こちらを」

 

 メイドさんに渡されたのはメモだった。たたまれたメモを広げると、紅茶のレシピが書かれていた。

 

「ありがとうございます!これで紅茶を淹れてみます」

「はい」

 

 またカランカランと音を立ててドアをくぐった。

 

「ご主人様、お嬢様、いってらっしゃいませ」

 

 “行ってきます”そんな感じでまた歩き出した。




 紅茶は飲めない事は無いです。
 ですが、全く知らないので、グーグル先生に頼りました。あっているかわかりませんが、書いてて楽しかったです。
 メイドは、どっちもOK派ですね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。