窮屈な二度目の人生過ごしてます   作:海野

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第十六話 聖地巡礼

 六時間目が終わり、掃除の時間になった時、一人の生徒が窓からE組の校舎の方を指差して驚いていた。E組の校舎の方には巨大竜巻が発生していた。

 それから数日後、中間テストも明後日という日に理事長自らが教壇に立ち、テストの変更部分を指導した。

 自分の主義はどんな手を使ってでも貫く……か。ゲームに負けたく無くてズルをする小学生のようだと思った。

 

 中間テスト当日。

 テストは二日かけて行われる。一日目の最初の教科は数学だった。教室にはペンを走らせる音だけだった。

 私が中学生“だった”頃では解けない問題ばかりだが、今となってはペンを止める事無く答えが書ける。だが、E組の生徒たちには難しいだろう。変更さえなければ勝機はあっただろう。

 二日間のテストは終わり、その次の日、テストが返って来た。もちろん、全て満点で無ければ父に何を言われるか分からない。手は抜かなかった。

 

「流石だね。学さん。学年トップか」

「ああ。だが……」

 

 一人だけそんな反則技を諸共としない生徒がいたようだ。

 

「赤羽業……」

 

 全てが九十点以上で、数学は百点。学年では五英傑の一人を差し置いて四位だ。

 彼らは壁にぶつかった。だが、それは間違いではない。その壁を乗り越えるために彼らは次の刃を育てていくのだろう。

 

「私も頑張らないとな」

 

 誰にも聞こえない小さな声で呟いた。

 

 

 中間テストが終わり、中学三年生である私達はこの一年でも大きなイベントとも言える修学旅行がやってきた。

 目的の場所は京都。高層ビルが多く並ぶ東京に住む私達にとって古い家の街並みはとてもいいだろう。それと、何より京都を舞台としたアニメも少なくは無い。“聖地巡礼”という奴ができるのだ。そんな事もあり、私はこの日を楽しみにしていた。

 

「浅野さん、お菓子食べるかい?」

「いいや、私はいいよ」

 

 相手が差し出してきたのはサラダ味のお菓子だった。私はチョコの方が好きだ。サラダ味で好きなのはせんべいぐらいだ。

 人数の関係上、一人だけ余ることになった。そこに私が自ら入ったのだ。もちろん、誰かと喋るのが嫌からだ。

 さて、今日の曲はアニメのBGMだ。ちなみに何のアニメかと言うと、王都を追放された七人の大罪人達が戦う話しだ。

 最近のアニメのBGMは本当に素晴らしいと思う。戦闘シーンは一番盛り上がらなければならない場面だ。そこで重要となるのがそれを盛り上げる曲だ。BGMもただのBGMでは無い。歌詞が入っているものが多く見られるようになった。それらの多くは戦闘シーンで使われるのだ。

 

「かっこいいなぁ」

 

 本を読みながら聞いていると、戦闘シーンの曲が終わり、今度は悲しい曲が流れていた。過去の回想シーンに入る時などに使われる事が多い。このような曲を聞くと、その時のシーンを思い出し、涙が出てきてしまう。

 どれもとても良い曲だ。

 そうやって曲を聞いていると、いつの間にか京都に到着した。

 

「E組は俺らと違ってボロ旅館だってよ」

「可哀想だねー!ははっは!」

 

 いや、むしろ羨ましい。旅館で描かれる方が多いのに成績優秀者だけはホテルなのだ。この制度をどうにか変えてもらいたいものだ。

 だが、一人一つの個室というのはありがたいな。それに、明日は自由行動だそうだ。これだったら好きに色んな所が回れる。行く場所はだいたい目星は付けてある。

 京都限定のアニメグッズも欲しい所だ。

 

「カメラの残量も大丈夫だ。あっ、森さん達のお土産も買おう」

 

 何だかんだで私もテンションが上がっていた。




 例のカフェが話の中で出てきているので少しだけ設定を書いておこうと思います。

 店の名前は未定です。いつか考えるかもしれません。

 マスター 謎が多い人物。マスターの作る料理は美味しいと評判。
 森ちづる 自分のお店を開く為に頑張っています。
 清水小春 森さんとは高校の友達。森さんを職場に誘った人。
 小川まこ 大学二年生、バイト中。あだ名はマコちゃん。
 南あおい マコちゃんと同期。あだ名はミナちゃん。
 立原裕子 マコちゃんとミナちゃんと同期。あだ名はユウちゃん。


 女の子ばっかです(笑)
 とにかく可愛い名前がつけたかっただけ。


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