ダンジョンにアーサー王がいるのは間違っているだろうか 作:ひゃっほー
「おい、アーサーの奴どっこいった? あいつの歓迎会やのに当人がおらんって論外やろ」
ロキはステータスをアーサーに刻んだ後、部屋に案内してから私室に戻った。ロキはため息を吐くと目の前の団員に尋ねる。
「ほんまに部屋にいなかったんやな?」
ロキに尋ねられた二人の団員は直立不動で答えた。
「はい、部屋はもぬけのからでした」
「中を調べましたが見当たりませんでした」
二人の答えにロキは頭を抱えるともうええよっと言って団員を食堂に行かせた。
「あのバカ、今度は何やらかすつもりや……とりあえずフィンに報告して探させるか」
♦︎♢♦︎♢
私室に案内されたアーサーはとてつもなくお腹が空いていた。正直さっきの模擬戦で軽く運動したからなのか、はたまたこの身体の所為なのかは分からないが空腹が我慢の限界を迎えていた。
「……駄目だ。我慢できない……お、いい事を思い着いたぞ」
アーサーは満面の笑みを浮かべ、調理場に足を運ぶ。『黄昏の館』にある調理場に着くと中は大忙しで働いていた。都市最大のファミリアとも成れば構成員の数もそれに比例する。更にロキに今夜は宴だと言われているので普段よりも多くの料理を出さなければいけない。アーサーは自身のスキル魔力放出でエプロンを作りだし装備すると調理場と言う名の戦場に足を踏み入れた。
「おい、あんちゃん。見ねぇ顔だが新人か? 今は死ぬ程忙しいから邪魔すんなよ」
料理を作っていた者がノコノコの調理場に入ってきたアーサーにフライパンを振りながらいった。
「手伝いますよ。それに料理には少し自信があるので……」
アーサーはそう言うと山のように積み上げられ食材をチラッと確認した。
「そうだね……コレとコレとコレ。あとコレかな」
手際よく食材を取捨選択していくアーサー。
「おいおい、勝手に触るんじゃ……
料理長らしいき人物がそう言いかけた言葉は目の前の光景に黙らされた。アーサーは流れるような手つきで食材をカットして行くと次々に料理を完成に導いていく。しかもこちらの調味料を知らないアーサーは少しづつ味見をしながら最適な味つけを導いていく。瞬く間に料理を完成させていくアーサーを見て厨房の全員が手を止めてしまう。
「??……みんな手が止まっているよ、早く持ち場に戻って」
アーサーは周りの様子に気づき調理場を鼓舞する。
「「「「イェッサー!!!!」」」」
厨房の士気が上がり、持ち場に戻っていく料理人達をみて笑みをこぼすアーサー。
「さぁ、もうひと踏ん張りだ……」
♦︎♢♦︎♢
結局夕食の時間までアーサーは見つからず、フィンやアイズを含めた幹部達がアーサーを探してホーム内を歩き回った。
「ほんまあいつ何してんねん!!」
ロキは頭を掻き毟りながら苛立ちを露わにする。それを見ていた女神を越える美貌を持つハイエルフが厨房から出てくる金髪の青年を指さす。
「もしやロキ、彼ではないか? 君から聞いた特徴が一致している」
「ん? いたー!! 流石リヴェリア。ウチらの母親や!!」
「誰が母親だ!!」
この美しい美貌を持つハイエルフはリヴェリア・リオン・アールヴ。フィンと同じLv6の冒険者で九魔姫《ナインヘル》と呼ばれるオラリオ最高の魔法使いだ。ロキはエプロンを外して涼しい顔をしているアーサーに駆け出すとスパんっと金色の頭に一撃お見舞いする。
「わぁ!? いきなり殴るなんてどうしたんだいロキ」
叩かれた頭をさすりながら鼻息を荒くしているロキを困ったように見つめる。アーサーの一言にロキは歯を噛みしめる。
「アホか!! 夕食まで部屋で待っとけっていたやろ!! なーに可愛いエプロン着て厨房から出てきてん?!」
「いやーお腹が空いてしまってね。何か食べ物を貰おうと思ったんだけど、忙しそうに見えたから手伝っていたに過ぎないよ」
あはははっと爽やかにアーサーは答えた。
「もしかして、僕を探してたのかい? それは悪い事をしてしまったね」
「ほんまや、とりあえず主役がいないと歓迎会も始まらん。早よ着替えて食堂にこい」
「だそうだ、自己紹介が遅れたな。リヴェリア・リヨス・アールヴだ。ロキ・ファミリアの副団長をしている」
翠色の美しい髪を靡かせてリヴェリアはアーサーに自己紹介をした。アーサーもそれに返すように自己紹介した。
「アーサー・ペンドラゴンだ。呼び方は好きに呼んでくれて構わないよ。僕はリヴェリアでよろしいかな?」
「ああ、私もアーサーと呼ばせて貰おう。それとアーサー、副団長の私に探させたんだ。迷惑をかけた分の落とし前はつけて貰うぞ。食事の際は私の横に座れ。しっかりとこのファミリアについて教えてやろう」
美しい笑顔を浮かべるリヴェリアだが目が全く笑っていない。
「……リヴェリア。残念ながら君の横に座るのは不可……
「口答えをするのか? 副団長命令を無視するとは困ったモノだ。どうやら今日の宴は中止になりそうだ」
リヴェリアはわざとらしくそう言った。
「リヴェリア!! 僕の席は君の隣以外ありえない!! さぁ早く食堂に向かおう。美味しい食事が僕らを待っている」
「……全く現金な奴だ」
リヴェリアは意気揚々に食堂へ向かうアーサーの背中を追いかけた。
皆さんご感想お待ちしてます。ダン待ち原作読んだ事ないのですが頑張ってみます!!