この間違った異世界ラブコメに祝福を!   作:DANYO

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このすばは原作もアニメも一通り見たんですが、魔法がどのような体系をとってるかとか把握してないのでオリジナルでいきますね・・・

それではいきます


さんわ

 

 草原

 一陣の風が何者にも遮られずに吹き抜けてゆく

 俺には空を自由に飛びまわる鳥よりも、時に何者かに遮られ、時にこのようにまっすぐ自由に空気中を駆け回る風が似合っているのかもしれない

 ・・・・普段から空気だしな、俺

 

 「ハチマンさん、何してるんですか!?すぐそこに敵が来てますよ?!」

 

 すぐそこにジャイアントトードが迫っている

 やべぇ現実感がなくてぼーっとしてた

 

 クエストをこなしに町を後にしたのだが、平原地帯に着くやいなやゆんゆんにあれを倒してもらいますとか言われた

 でかい、でかいよ

 もっと人並か少し小さいくらいかな?とか思ってた俺が甘かったのか

 適当に自分の世界に入り込み、現実逃避の思考をめぐらせていたが駄目だった

 動きは遅いらしいのだが、さすがにこれは・・・・

 

 「くっ・・・、妄想にふけってる場合じゃなかったぜ。・・・やるしかないか、くらえ、【クエイク】!」

 

 ここへ来る前、習得しておいた中級の土魔法を繰り出す

 右手を構えそれを唱えると、地面が隆起し鋭利な岩がジャイアントトードに襲い掛かる・・・・!

 と、思ったのだが・・・

 

 「えぇ・・・、隆起小さいですね。おなかに刺さって、多少は傷は負わせられているみたいですが。・・・・ハチマンさん!もう少し詠唱に集中してもう一度やってみてください!」

 

 「りょー・・・・・かいっ!!っと」

 

 ジャイアントトードがこちらへ向け放った攻撃を躱しながら答える

 そして距離をとってもう一度魔法を放つため詠唱の体制をとり・・・

 

 「ふぅ・・・・・、次こそは・・・・・・いくぞっ!【クエイクッッ】!!!」

 

 唱えた魔法に呼応しジャイアントトードの足元に先ほどよりも大きな魔方陣が展開される

 その地面から穿たれた岩にジャイアントトードは串刺しにされていた

 

 「おお!やりましたね!」

 

 「あ、ああ・・・・(ぐろいなこれ)」

 

 「お疲れ様です。先ほどより大きく魔力をつかったんじゃないですか?」

 

 「ああ、結構きついな、これ。けど、これで力加減というか、魔法を放つさじ加減はつかめたかもしれない」

 

 「さじ加減はあまり関係ないですかね。最初のは感覚がつかめていなかっただけだと思いますよ。基本魔法の強さはその人の魔力に由来しますから」

 

 「なるほど、最初のはただの不発か」

 

 「まぁそんなところですね。・・・残り4匹、クエスト討伐で残ってるのも片付けちゃいましょうか」

 

 「ああ、宜しく頼む」

 

 なんとなく魔法詠唱のコツをつかめてきた俺はその後、難なく4匹を倒した

 後半はゆんゆんにある程度攻撃させて俺が倒せるよう仕向けてもらった

 たった五匹倒すだけで魔力切れを心配しなくてはならないとは、なんとも情けない

 そんな俺に対しても「やりましたね!」とかかわいい顔を向けてくるゆんゆんマジ女神

 百戦錬磨の俺じゃなかったら簡単にこの子に惚れてるレベル

 

 

 そんなこんなで帰り道・・・

 

 「そういえば、ハチマンさんはなぜ土系統の魔法を習得したのですか?」

 

 ふと、そんなことを尋ねられる

 

 「ん?・・・・あー、いや、別にどうってわけじゃない。この職業だと割りと覚えられる魔法があって、スキルポイントの消費が一番少なかったのがそれだったからってだけだ」

 

 「なるほど・・・・。でもなんか土系統って地味ですよね」

 

 なんかさりげなく毒を吐かれたんですけど

 えっ、なに?俺なんかやらかした?

 ・・・・・いや、この子の素か

 

 「そ、そうか・・・・、まぁ確かにそうかもな。それより、こっちも聞きたいことがあるんだが・・・」

 

 「なんですか?」

 

 「あの倒したカエルってあのまま放置してよかったのか?回収とかしなかったけど」

 

 「え?・・・あぁ、はい、ギルドの人たちがやってくれますよ。ちなみに、その送料込みで日当二万五千エリスですね。今夜の夕食や大浴場代、宿泊費込みでも少しお金が余るくらいです」

 

 「そうか、まあ三日で五匹の討伐クエストだもんなぁ・・・・。って、俺が全額もらっちゃってるんですけど」

 

 「ああ、それならかまいませんよ、私は平気なので。それよりもパーティの…な、仲間が何か困っていたら、手を差し伸べるべきですし!!」

 

 「お、おう・・サンキュな。今回ばっかりはお言葉に甘えさせてもらうわ」

 

 やたら『仲間』という言葉にこだわってんな

 そういや初め見た時ぼっちだったっけ

 めぐみんとは顔なじみっぽかったが、なんかあれじゃゆんゆんの片思いみたいだな

 ・・・・・そうでもないか

 

 「なぁ」

 

 「は、はいっ!なんでしょうか・・・?」

 

 「俺がそうだったからよくわかるんだが、なんでぼっち「ううっ…」・・・・すまん、言葉を間違えた。ソロで活動してるんだ?」

 

 「・・・それが答えですよ、ハチマンさん」

 

 「え?」

 

 「初め見たとき風変わりな人だなって思って、ともだ・・・ライバルのめぐみんもそんな人とパーティ組んでたなって思い出したんです」

 

 「まぁおそらくそのとき隣にいたしな」

 

 「そうです。それでこれならめぐみんにも対抗できる!って思ってたんですけど・・・」

 

 何に対抗するつもりだったんだ

 

 「目が合ったとき、(あ、この人私と同じかもしれない)ってキュピーンと来たんですよ!」

 

 「お前はニュータイプか」

 

 「ふふっ、それでなんとなく声かけて、自己紹介とかして、驚かれなかったりして・・・やっぱりこの人で行こうって思ったんです」

 

 それだけ聞くと運命の人みたいに聞こえるからやめろ

 マジドキドキするから、異世界にきて不安な俺にダイレクトアタックだから

 

 「まぁ一言で言うと自然にこうしてお話できるからですかね。なんか同じにおいがしますし」

 

 「・・・・つまりアレか、同じぼっちだから心置きなく話ができると」

 

 「ありていに言えばそういうことですね」

 

 くそう、俺のドキドキ返せ!

 いや、俺ほどのエリートぼっちになると変な勘違いとかしないんですけどね

 ちょっとそれっぽく言われたから一瞬ドギマギしただけだし

 ホントダヨ?

 

 「そうか、へんなこと聞いたな。なんか普通に話せてるし、なんでソロなのか気になってな」

 

 「普段はこうは話せないんですけどね・・・。なんか私ごときとお話をしたり、ましてやパーティを組むだなんて相手に申し訳ないなって」

 

 「その理屈だと俺はすげぇ下に見られてるって事になっちゃうんだけど・・・・」

 

 いや良いんだけどね、別に

 

 「あ、すっ、すみません!そういう意味じゃなくて、なんかハチマンさんは話しやしといいますか・・・気兼ねなく接していられるといいますか・・・・・・・」

 

 「あー、いや、かまわん。まぁ言いたい事はなんとなく伝わってるよ」

 

 「そうですか!・・・すみません口下手で・・・」

 

 なんとなくこいつの人物像が見えてきたな

 こいつは自己評価低い系のぼっちだ

 自己評価が低いあまり他人に対して臆病になり、自然とぼっちになる

 このタイプのぼっちは基本及び腰なので、いわゆる「おい、おめー焼きそばパン買って来いよ。後、ジャ○プもな。もちろんテメーの金で」といった感じのパシリにつかわれやすい

 苦労してそうだなぁ・・・・

 

 「・・・・・・って考えると、めぐみんは相当特別な存在なんだな」

 

 「へ?あ、はい、そうです!めぐみんとは学校にいたころからのライバルで・・・・・」

 

 なんか急に饒舌になったぞこいつ

 めぐみんについてやたらライバルライバル言ってるし

 なんか今朝は良いように扱われてなかったか?

 ま、それでも友達のパーティ仲間がどんなやつか見に来てくれるあたり、向こうも何かしら思ってくれるところがあるんだろうがな

 ・・・・それについては教えないでいておこう

 

 「・・・・・で、めぐみんはすごかったんですよ!聞いてますか?」

 

 「あぁ、聞いてるよ。めぐみんが校内一で、お前が二番だったんだろ?」

 

 「そうなんです!それで・・・って、思いましたけどめぐみんだけじゃないですよ?」

 

 「あ?なにが?」

 

 「特別な人、・・・・ハチマンさんもですよ。こうして気兼ねなくお話ができてますし」

 

 「なっ・・!」

 

 「あっ、そろそろギルドに着きそうですよ」

 

 「・・・・・・・・・・ああ、そうだな」

 

 こいつ天然なのか

 さっきのことといい思わせぶりな態度はやめていただきたい

 あーくそ、いきなりこんなところに飛ばされたからそういうのに弱くなってんのか?・・・・よく考えたらもともと弱かったな

 

 

 ────────────────────────────────────────────

 

 

 

 ギルドに到着しその施設内にある食事処で俺たちは食事を取っていた

 クエストの報酬を手渡しでもらい、大浴場へ向かった後再びここでおちあい、こうしている

 食事を始めてからもめぐみんとの昔話を延々とされ、うん、とか、すん、とかそんな適当な返事をしながら聞き流していた

 マジ長い、どんだけめぐみんのこと好きなんだよ、たぶん本人も覚えてないんじゃねーか?ってくらい細かく説明してんな

 とかそんなことを思っていると

 

 不意に後ろから声をかけられる

 

 「お、いたいた!君がめぐみんのお友達とパーティを組んだっていう新しい冒険者君だね。私の名前はクリス。職業は盗賊だよ」

 

 「あっ、クリスさん!こんばんわ!この前はありがとうございました」

  

 「ん?知り合いなのか。・・・・あぁ、えっと比企谷八幡です。職業はルーンナイトですけど、剣も持ってないひよっこです。あはは・・・・。で、この人誰?」

 

 「え、あぁ、はい。アクセルの町に急に戻ってくるときに少しお世話になって・・・・」

 

 「はーん、なるほどな」

 

 「あたしも一緒して良いかな?・・・・ってもう食べ終わりそうか」

 

 「いえ、かまいませんよ。私なんかと食事してくださるなら全然そんなこと構わないでください!」

 

 「その前に俺に構ってください。・・・・・まぁ構いませんよ、自分も」

 

 「あはは・・悪いね、お邪魔しちゃって」

 

 そう言うと店員をよびつけオーダーするクリスという女の子

 そのうち女子会()が始まったのか、俺の存在が空気になり始める

 やはり俺は風になりたい

 

 「・・・・・そうなんです。あ、そろそろお暇してもいいですか?明日にはまた村のほうに帰らなきゃいけないんです」

 

 「一度こっちに引き返したからか?」

 

 やっと喋れた

 

 「はい、しばらくここを空けるので、パーティとして活動することはできないんですけど・・・・」

 

 「ああ、それなら構わん。しばらくは今日のクエストを地道にこなしてくからな。とりあえずあのクエストは常時設置してあるみたいだし」

 

 「そうだねー。この時期がジャイアントトードの旬だからね。・・・そうだ!よかったらあたしが一緒のパーティを組んでクエストを手伝ってあげようか?」

 

 「それいいですね!そうしてもらいますか?」

 

 「ああ、俺は構わんぞ」

 

 「ならそういうことで、宜しく頼みますねクリスさん」

 

 「まっかせっなさーい!お姉さんがんばっちゃうぞー」

 

 「それじゃ・・・」

 

 そう言うとゆんゆんは冒険者ギルドを後にしていった

 ・・・・いや、いきなりこの人と一緒にされても困るんですが

 

 「じゃあ、ハチマン、今夜はどうするの?宿とか決まってる?わからないならあたしが紹介してあげるけど、たぶん宿代とか足りないだろうから少しはあたしが出すし」

 

 「えぇ、ああ、じゃあ頼みます。ありがとうございます」

 

 「そーんなかしこまらなくてもいいよっ!明日から一時的でも一緒のパーティ組むんだしさ」

 

 「はは・・・・そっすね」

 

 食事代金を支払いギルドを去った後、俺はクリスが泊まっているという宿へ向かった

 その道中、これからどうするのかだとかレベルは今日どれくらい溜まったのかだとか根掘り葉掘り尋ねられた

 疲れてるんでマジ勘弁していただきたい・・・・・

 そのうちに宿屋に辿り着き部屋を確認する・・・・・・・空きはちゃんとあるようだ

 

 「あーハチマン。あとであたしの部屋に来てくれない?・・・・・・大事な話があるんだ」

 

 「えぁ・・あ、ああ、はいわかりました・・・・・」

 

 え!?いきなり!?

 マジかよフラグ立てた覚えないんですけど、どうなってんのん、この世界のバグなの

 いや落ち着け比企谷八幡、さっきゆんゆんで痛い思いをしたばかりじゃないか

 そう、これはせっ・・・・・説教の時間だ

 そうだそうに違いない

 

 などとわけのわからない言い訳を頭の中でめぐらせつつ俺はカウンターのおっちゃんの前で立ち尽くした

 

 「あの、邪魔だからどいてくれんかね・・・・・・、少年、がんばるんじゃぞ」

 

 「あ、すみません・・・あ、ありがとうございます」

 

 がんばるぞい

 いやナニだよ、ナニをだよ!!!

 

 その後自分の部屋へ向かい、さまざまな思惑を思いつけるだけ思いつこうと、部屋に閉じこもり考えた

 まあそんな経験ない俺に多くを求めてもしょうがないか・・・・・

 覚悟を決め、クリスの部屋へ向かう

 なんだかんだいろいろもうs・・・・思考を巡らせてたしそろそろいい時間だろう

 

 「クリスの部屋はここだったかな・・・・・」

 

 そう自分を落ち着かせるように独り言をつぶやく

 ドアをノックすると、くぐもった声で「どうぞ」と返事がきた

 いよいよか・・・・・

 

 そう期待と不安を抱きながらドアノブを回し、扉をひらくとそこには・・・・・・・・・・・

 

 「お待ちしておりました、比企谷八幡さん。夜分遅くにお呼び付けして申し訳ありません」

 

 かつて俺を導いた白髪の女神がいた

 えぇ・・・・・




以上です
ゆんゆんに関してかなり原作改変してしまいましたね・・・
 
基本思い付きでストーリーを展開させているのでご容赦ください

次回、例のアレ回です

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