古龍のフレンズ   作:まろにい

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風翔龍一行はジャングルへ! ここでもまた新しいフレンズとの出会いが!?




Chapter Ⅱ:じゃんぐるちほー
section Ⅰ: 密林の案内者


 シマウマと別れじゃんぐるちほーへと足を踏み入れた私達は足元に気をつけながら奥へ奥へと進んでいく。ああ、何とも懐かしさを感じるなこの光景は。違いといえば天候の差くらいか、天候を操れる特性があるしな、私には。我ながら恐ろしい特性である。

 

「いつもなら私の周辺では雨が降っていたのだが、こうも天気がいいと違和感すら感じる……雨が恋しくなってしまうな」

「え!? ふうちゃんって天気も変えれるの!?」

「今は無理だがな。もし力が戻ればここら一帯に大雨を降らせることができるぞ」

「ふうちゃんってほんとに不思議だねー」

 

 不思議……ほかとは少し変わっている……か。確かに私と他のフレンズには大きな違いがある。武器だ。まあほかにもちほーは存在しているらしいし武器持ちのフレンズがいないということは無いだろう。

 

「ここには来た事はあるのだろう? 案内は頼めないのか?」

「うーん詳しくは分からないや。このちほーに来た事はあるけど途中で博士達と先に会っちゃったからなあ、そこからは空を飛んで図書館まで行ったよー」

「はかせ? 空を飛べるということは私と同じような種族なのか?」

「ううん、博士は鳥のフレンズだよー、私よりもずっとかしこいんだよ!」

「ほう、鳥か。是非会ってみたいものだな、その鳥のフレンズに」

 

 歩き続けて暫くした後、突然サーバルが歩きを止めた。きょろきょろと辺りを見回している。

 視線がとまった。何かを見つけたようだな。耳がすごくいいといっていたから頼りにしてもいいだろう。願わくば新たなフレンズであればいいが。

 

「おーい! そんなとこにいないで降りてきて話そうよー!」

 

 サーバルが視線の先に向かって叫ぶ。私も視線の先を見る。ふむ、木の上にいるようだ。見た目はサーバルとは違い毛皮は複雑な模様をしている。耳もサーバルほど大きくは無い。そのフレンズは軽やかにすとんと木から降りてくる。そしてまじまじと私達を見ている。髪は短いが束ねた二本の髪が長く腰下まで伸びている。

 

「こんにちはサーバル、その後ろにいる子は?」

「こんにちは名も無きフレンズよ、私は風翔龍という。好きに呼んでかまわない」

「名も無き……? 私はオセロットよ? 不思議な子だね?」

「ちょっと変わってる子なんだー。でもいい子だよー!」

 

 オセロットと名乗ったそのフレンズはずいっと顔を近づけてくる。すごく顔が近いのだが。

 

「風翔龍ちゃんって呼んでいい?」

「あ、ああ。かまわないが」

「よろしくね? 風翔龍ちゃん?」

 

 オセロットは顔を離すとにこりと笑う。この子も相当不思議な子だと私は思うが、私とは違う不思議さを感じる。なんというかなんと言えばいいのか。うーむ考えてもわからん。

 

「あ、案内を頼めないか? オセロット」

「案内をすればいいの? えーとこのちほーはじゃんぐるちほーで……?」

「それはわかっている。道を教えてくれないかと言ったのだが」

「風翔龍ちゃんはわがままな子?」

 

 うーん、調子が狂ってしまう、この子との会話は。サーバルに任せてしまおうか。

 

「サーバルすまぬ、私にはこの子の相手は務まらなさそうだ、頼む」

「道を聞けばいいんだね? まかせてー!」

 

 暫くしてサーバルがこちらに戻ってくる。お、道を聞くことができたのか?

 

「わかんないや! オセロットはあまりここから動いたこと無いって!」

「結局わからなかったのか……。仕方あるまい」

 

 まああの子からいろいろ聞けたのはよしとしようか。さて、どうするか……ん? 背中をぽんぽん叩かれている?

 

「ねえねえ? 私も一緒に行ってもいい? ちょっと退屈してたから?」

「……どうするサーバル、連れて行くか?」

「ふうちゃんにおまかせ!」

 

 結局ついてくることになった。まあ人数は多いほうがいいと思うのだが、今の私はというと……体を物色されている。

 

「……オセロットよ」

「ん? どうしたの?」

「あまり体をべたべた触らないでほしいのだが」

「でも不思議な触り心地だし? 触るなと言われるとますます触ってしまう?」

「……」

 

 そのままべたべたと触られつつずんずん先へと進んでいく。歩きづらいことこの上ない。サーバルは楽しそうにこっちを見ているし、たぶん引き離せと頼んでも無駄だろう、彼女の性格上。

 

 暫くしてまたサーバルが動きを止めた。また何かを見つけたようだ。

 

「水の音がする……水場が近くにあるみたいだね」

「水場か。ちょうど水が欲しいと思っていたところだ。なかなかな時間を歩いたからな」

「水浴びしたいなー?」

 

 長く伸びた蔓を掻き分けつつサーバルの後に続く。少し開けたところに出た。おお、サバンナの水場より二周りは大きいな。

 水に口をつけて飲む。うーむ、ここの水場もなかなかいいな。しかしかなりの距離を歩いたとなればこのじゃんぐるちほー、かなり広いのか。抜けることができるのだろうかここを。

 

「んーおいしいー!」

「きもちいいー」

 

 他の二人はそれぞれを満喫している。暫くはここで休憩か。無理をさせてしまってはいざ戦闘になったら支障が出かねない。しかしまあ何とも気持ちよさそうに泳いでいるなオセロット。私も泳ぎたい衝動に駆られてしまいそうだ。

 

「いいなあー、わたしもオセロットみたいに泳げたらなあー」

「毛皮が濡れる以上貴様は無理ではなかったか?」

「無理なことは無いけど、やっぱり濡れるのはいやかなあ」

 

 私達二人は暫くオセロットの泳ぐ姿をぼんやりと眺めていた。と、突如後ろに気配を感じる。

 

「……サーバル、何かこちらに近づいている」

「この感じ、セルリアンじゃなさそうだね、フレンズかも」

「水でも飲みにきたのだろうか、何にせよ危険はなさそうか」

「フレンズがフレンズを襲うことって聞いたことも無いからねー」

「う……」

「?? どうしたのふーちゃん、水飲みすぎちゃった?」

 

 痛いところをぐさりと突いてくるなサーバルよ。しかもそれに悪気がないのが余計たちが悪い。

 

「いや、なんでもない、ちょっと疲れていたのかもな」

「ほうほう、フレンズを襲ったことがある? どんな味がしたのか気になるかも?」

「食べてなどいない! ちょっと後ろから押し倒しただけだ! ……あ」

「図星だったかも?」

 

 ぐぬ……! やはりこやつは嫌いだ。私の嫌いな性格に入っている、間違い無く。

 

「あらあら、なにやら楽しそうですわね」

 

 後ろから声がしてその主がぬっと姿を現した。大きい。何がとは言わないが大きいな。

 

「うわあーおっきいねー! つよそー!」

「うふふ、ありがとうございます。あなた方も水を飲みに来たのですか?」

「うむ、なかなかな距離を歩いてきたのでな。ちょうどここを見つけて休んでいたところだ」

「あら、そうでしたのね。申し遅れましたが私はインドゾウ。よろしくお願いしますわね?」

 

 ゾウか。こやつもまた不思議な毛皮をまとっている。サーバルたちとはまた違う感じだ。肌が出ている部分が割りと多い。その格好でセルリアンと戦うのか、動きやすそうではあるが。

 私達もそれぞれ自己紹介を済ませる。ついでに私は道を聞いてみた。

 

「あら、それならば川を目指すといいですわ。きっと道に詳しいフレンズがいると思いますわ」

 

 思わぬ収穫だ。川を目指すといいのか。しかし川とは何だ。まだまだもっと言葉を知らねばならぬな……。私は川について尋ねる。

 

「水が沢山流れている所、でしょうか。実際に見てみると分かると思いますわ。ここから川までそう遠くは無かったと思いますし」

 

 そうか、ならばこの目で見てみるか。私達はインドゾウにお礼をいい、彼女が指差した方向へと進んでいく。密林はまだ奥深く続いている。暫くはこのちほーを抜けられそうにはない。根気強く歩くしかないか。

 




今回は二人新たなフレンズを登場させてみました! 二人とも性格が掴みづらかったですがなんとか自分流で仕上げてみましたw 違和感無く読めたらいいなーと。

次回もまたフレンズが登場する予定です!

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