古龍のフレンズ   作:まろにい

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御免なさい投稿が大きく遅れてしまいました;;
ちょいとリアルが忙しくて執筆に集中できてませんでした。

料理編その2です! 完成は近い……?


section Ⅲ: 二人の料理 其の二

 とりあえずこの謎の液体の正体を知らなければならない。これはいったいどんな役目を果たしているのだろうか。うーむ、これを知るには時間がかかりそうな気がする。代わりの液体でも入れておくとするか。

 

「炎王龍よ、これの代わりになりそうなドロドロした液体を持ってきてくれ」

 

 私は本に書かれている液体を指さして言った。

 

「これに似たものを持ってくればよいのか? 心得たがいいのか?」

「特別変な味にならねば良いだろう。なんでもいい、ドロドロしたものであれば持ってきてくれ」

 

 炎王龍がまた料理場から離れていくのを見届けると、私はあることに気付いた。そう、この棒状のものに色をつけねばならないのだ。それができなければ料理を完遂したとは言えない。

 

「おい博士と助手よ。 この筒状の容器に入っているものはなんだ?」

 

 本に載っている赤い丸いものを指さして訪ねた。すると博士たちは

 

「それはケチャップですね。それがほしいのです? それもあの炎王龍が向かった食材置き場にあるのです」

「ほしいなら取ってくれば良いです」

「あるのか、それは助かる。けちゃっぷ、というのだなこの赤いのは」

「なのです」

 

 私も食材のある置き場へと向かう。なかなか料理というものは大変なものだな。私一人で完遂するのはまず無理だっただろう。しかし世の中にはまだまだ私の食べたことのない物がたくさんあるのだな。そのまま食べたことすらない物もたくさんある。少しくらい食べてみてもいいだろうか。

 そんなことを考えながら食材置き場へと着いた。炎王龍はまだ探しているようだ。

 

「うーむ、これは確かにドロドロしてるようだな。だがこっちもドロドロしている。どれを持っていけばよいものか」

「炎王龍、あったのかドロドロした液体は」

「うむ、我の勘だとこれが正しいものだと思うぞ!」

 

 容器に入ったドロドロしたものをずいと私に見せてくる。おお、これはいいドロドロ具合そうだ。色もよく似ている。料理もきっと成功するだろう。容器には「蜂蜜」と書かれている。私達には読めなかったがまあこれで何とかなるだろう。

 容器を持って炎王龍は先に料理場へと戻っていった。さて、私はけちゃっぷとやらを探さねばな。確か赤いドロドロしたものだったか。――しかし本当に何でもあるのだなこの倉庫には。一体どこからこんなものを手に入れられたのだろうか。

 

「ドロドロした赤いもの……うーむ、これはそんなにどろどろはしていないし何か違う気がするな」

 

 

 私は覚えている記憶を頼りにけちゃっぷを探す。――これか? 赤くてドロッとしたものが容器に入っている。容器を傾けたりしてみる。ゆっくりとなかのドロドロが動く。何とも奇妙な物体だ。だがこれがケチャップであっているようだな。これは私の勘でしかないが。よし、これを持っていくとするか。

 

「さて、もうすぐ料理は完遂か。まああの二人が満足できればそれでいいだろう」

 

 私は置き場を後にした。料理は順調だ、この調子でいけば完遂も可能だろう。

 戻ると炎王龍があの液体とにらめっこしていた。

 

「どうしたのだ炎王龍」

「む? いや、どれくらい入れればよいものか悩んでいてな――」

「ふむ、量か。まあこれくらい入れればよいのではないか?」

 

 容器を手に取りだばっと入れる。大体半分は減ったか。おお、なにやら良いような良くないようなにおいがしているな。まあいい、次の工程へと進むとしよう。

 私はまた本とにらめっこをする。今度は切ったものを入れているようだな。先ほどのものに入れればよいのか。

 

「炎王龍、先ほどサーバルが切った材料をそのドロドロを入れた平たい器具に入れてくれ」

「任せておけ! 入れてどうすればよいのだ?」

「しばらく混ぜればよい」

「ふはは! 全力でやらせてもらうぞ!」

「その器具から飛び散らない程度で頼むぞ……」

 

 不安を残しつつ先ほど湯につけた棒状の材料を見に行ってみる。すると不思議なことが起こっていた。

 

「む? おかしい。こんなに量があったか……?」

 

 みると形は完成したものと同様にうねうねしているがなぜか量が増えている。とりあえずはもう湯から出してもいいだろう。しかしなぜこんなにふえてしまったのだろうか。料理とは本当に不思議なものだ――。

 うねうねを湯から上げると私はケチャップの入った容器と向き合った。

 

「後はこのケチャップをあのうねうねと一緒に混ぜればよいのか。炎王龍はうまくやっているだろうか」

 

 不安を抱えつつ炎王龍の元へ行く。――よかった、惨事にはなっていなかったようだな。普通に混ぜてくれていたようだ。

 

「おお、戻ったか風翔龍。貴公の言った通り手加減して混ぜていたぞ。後はこれをどうすればよいのだ?」

 

 ちまちまと木でできた器具を使って混ぜている。何とも炎王龍らしからぬ光景だ。私はうねうねの入った容器を炎王龍の混ぜていた器具へ移す。おお、これは成功する気がするぞ。なんか量が多い気もするが。あとはこのケチャップをかけてしまえば完遂だろう。私はありったけのケチャップを上からかけまくる。すると――

 

「!? 見ろ炎王龍。色が!」

「!? おお、これは! あの絵と同じ色になったぞ! まるで魔法のようだ!」

「これは完遂したということでいいのではないか?」

「そうだな! これは料理を遂行できたということでいいだろう!」

 

 絵を見ると若干濃い色ではあるが完成形には近いといえるな。これならばあの二人もまあ満足はしてくれるだろう。

 

「おお!? ほんとに料理を作ったのですか!?」

「感激なのです……! まさかほんとに食べれる日が来るとは……!」

 

 匂いにつられたのか二人がやってくる。ご丁寧に乗せる器具まで持ってきている。

 

「さ、さあ早く料理を移すのです!」

「さあ!」

「慌てなくてもわかっている……! ――ほら」

 

 器に乗せた料理を見て二人の目がらんらんと輝いている。まあ貴様らが満足できるのなら私達はそれでいい。遂行した甲斐があったというものだ。

 

「本によると、この器具を使って食べるそうだ。これだな」

「早くよこすのです!」

 

 手にした器具をむんずとひったくる二人、そんなに焦らなくても料理は逃走したりはしないと思うのだがな。

 

「しかし、かなり量があるな――」

 

 作った料理を見てぼんやりとする。これを食べきるのはとても時間がかかりそうだ。山のようにこんもりとしている。

 

 と、サーバルが提案をする。

 

「だったらみんなで食べちゃおうよ! これを食べないなんてもったいないよ!」

「ということはアライさんたちの分もあるのか!?」

「あら、これは嬉しい誤算だわね♪」

 

 ぞろぞろとメンツが集まってくる、やっぱり皆料理を食べてみたかったのか。

 

「料理、きになりますねえー♪」

「ですねー! 食べてみたいです♪」

「!? 別に食べてみたいとか思ってないからな!?」

 

 ハンターの三人組に顔を向けるとそれぞれが反応をする。よだれたらしながらのその言葉は説得力がないなヒグマよ。

 ふえた料理をそれぞれ小分けしていく。ちなみに料理を遂行する前に博士に聞いて本を読んでもらったがこの料理は「ナポリタン」という料理だそうだ。博士はこの料理の存在は知らなかったと言っていた。そもそも料理そのものをしたこともないのならまあ当然だろう。だが私達はその料理を完全に遂行できたのだ。これはジャパリパークきっての偉業となるだろう。きっとこの料理がいずれはパーク中に広がってしまう可能性もなくはないな。

 

「よし、皆の分はあるようだな。では食べてみるとしようか」

 

 

 

「「「「「「「「「「「いただきます!」」」なのです!」なのです!」なのだ!」」」」」」」

 

 

 

 皆で一斉に料理を口にする。お。新しい味。これはうまい、と言っていいのだろうか。

 

「おおおー! なにこれ! なんだか不思議な味ー!」

「ジャパリまんとはまた違う味なのだ!」

「んーこれはおいしい、のかねえ。サーバルの言う通り不思議な味だねえ」

 

 各々が感想を口にする。まあ初めての料理だからな。おいしいかおいしくないかなど分かるはずもない。本物のナポリタンの味を私たちは知らないのだ。

 

「だが、おいしくない、とは言えぬな。一言で言うなら普通だ」

「普通か――。ならばそれでいいか! 我々が作ったものを皆が喜んで食ってくれるのならば我はそれでいいしな! ――うむ、これはなかなか!」

「まあ、これは料理は成功したってことでいいんじゃないかしら? 博士たちも黙々と食べているし」

 

ふと二人に目をやると結構な勢いで料理を食べている。どうやらこの料理、気に入ったようだ。

 

「これは。――なかなか。――いけるのです」

「不思議な味だけど。――これは。――これで。――いけるのです」

 

 あっという間に二人とも食べ終えてしまった。どうやら好評だったようだ。

 

「不思議な料理をありがとうなのです。やはりお前ら二人は我々とは違うようなのです」

「ますます生前がどんなけものだったのかが気になるのです」

 

 炎王龍はフレンズ化する前の姿はそこの二人が目撃しているわけだが、私の生前はまだ誰も見てはいない。見られていたならばこの二人の耳にも入っているはずだ。おそらくここへ来てすぐにフレンズ化してしまったのだろう。

 

「しかし生前を知ってどうするのだ? この世界では役に立つことはないだろう」

「その頭脳、きっとヒトよりも優れたけものに違いないのです」

「我々に体を調べさせるのです」

 

 ずいずいと寄ってくる二人。そこに炎王龍が割って入る。

 

「む、なぜ割って入るのです」

「なんとなく、だ。それよりも、まずは今後のことが重要だろう。われわれがここへ来たその原因、貴様らでもわからぬのだろう? ならば現状は我々だけで探すしかあるまい。――賢者が当てにできぬのであればな」

「む、確かに我々でもわからないのです。ですがその物言い、ちょっとカチンときたのです」

「だったら徹底的に調べてやるですよ、賢者の名に懸けて」

「ほお、それはたのもしいな。だったら何かわかり次第我々にも知らせてほしいものだな」

「上等なのですよ炎王龍。我々の情報力を甘く見るななのです」

「飛び切りのものをお前らに与えてやるのです」

 

 おお、二人を挑発して話を切り変えたか。ただの戦闘狂だと思い込んでいたがやはり頼れる。

 

「すまないな炎王龍よ」

「気にするでない風翔龍。我々はもう戦友のはずだろう?」

「私と戦う気はまだあるのか……」

「当然だろう! あれほどの戦いは久しぶりだったからな!」

 

 

 こうして料理騒動は無事成功で幕を下ろしたのだった。そしていよいよ私達は原因を探るべく行動に移り始めた。私達が原因にたどり着くのはいつなのか、それは原因のみぞ知る。

 




次回は探索に向けての準備回です!
果たして原因を知る日はいつ来るのか――


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