古龍のフレンズ   作:まろにい

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完成も間近に……そしていよいよ事態が動き出します――


section Ⅺ: 完成そして――

 

 橋の渡る部分がもう少しで完成する。とはいっても川の幅の十分の一くらいの長さくらいしかないが。これをあと十くらいは作らねばな。

 運ぶのはもちろん私。満場一致で決まった。まあ他のフレンズに比べれば異常か、私の力は。

 突き刺した木と木の上をを橋渡しするように出来た渡る部分を乗せる。乗せた木同士をトキが蔓で何重にもがっちりと縛って固定する。飛べるのは私とトキしかいない。結び方はトキに任せた。まあ何重にも縛ったのだからひとまずこれでいいだろう。不格好ではあるがまあ渡れるのであれば問題はない。

 

「おおー! これで橋になったんだね!」

「まだまだだな。あとこれを十は作らねば向こうへは渡れぬだろう」

「上に乗ってみたけど大丈夫そうだね。この調子でどんどん作っていこうか!」

「ああ、そうだなジャガー。もうすぐ私達も向こう岸へ行けるようになるのか。まあ行ったことはあるのだがなぜか気持ちが高ぶってしまうな」

「橋ができたら私渡ってみたーい!」

「私はあまり遠くへは行きたくないけど、橋は渡ってみたいかも?」

「私は飛べるからあまり関係ないのだけれど、これはなかなか面白いわね♪ちょっと歌いながら作業したくなっちゃうわ」

「やめてくださいね?」

 

 各々が出来た個所の感想を述べる。トキよ、頼むから作業場を阿鼻叫喚の地獄絵図にしないでくれ。

 作業を始めてから時間がたった。現状はというと――

 

「おーい、木を持ってきたよー!」

「おお、ありがとー! これで全部だねー」

「そこ結び方ちがうよー? これはこうやるんだよー」

「うわっ! 危ないよぉー……ちゃんと周り見てねー……」

 

 和気藹々とした状況になっている。しかもうわさを聞き付けたのか、かなりのフレンズたちが集まって作業を手伝ってくれている。すごいなこの光景は。まあこちらとしては作業の速さがぐっと上がったからいいのだが。

 そしてついに――

 

「「「「「「「「「できたあー!!!!」」」」」」」」」

 

 おお、これが橋か! 前のモノがどんな形だったのかはわからないが私達が造り上げたのも立派な橋で間違いないだろう。

 

「すごいね、ほんとに私たちが作っちゃったんだね!」

「ああ、これはフレンズ化して初めての出来事だな。風翔龍に感謝しないとだ」

「うわーい! わたし渡っちゃおーっと!」

「こらこらあわてないの。まずは体格のいい人から渡りましょう。頑丈さを確かめるためにも」

「そうだね、じゃあインドゾウ、渡ってみてくれるかい?」

 

 そういわれてインドゾウがまず橋を渡る。――おお、びくともしていない、これはなかなか頑丈なものができたようだ!

 

「渡れましたわー! 皆さんも渡ってみてはいかがですかー?」

 

 向こう岸からインドゾウの声がする。するとその声を皮切りにぞくぞくとフレンズたちが橋を渡り始めた。そ、そんなにたくさん乗って大丈夫なのかこの橋――どうやら杞憂だったようだな。

 

「おおー! すごいすごい! こんなにたくさん乗ってもなんともないなんて! やっぱりふうちゃんはすごいね!」

「ふうー……ひやひやするなあの人数が乗るとなると。しかしただ渡れることだけを考えて作り上げただけのものであるのにこうも喜んでもらえるとは」

「困った子を助けたことに変わりはないさ。ありがとな、風翔龍!」

 

 ジャガーがお礼を言う。そうか、これでジャガーは橋渡し役を買って出なくても済むのか。それは嬉しくてお礼も言いたくなるだろう、彼女くらいしかあの川を渡ることはできなかったのだからな。

 しかし思えばいろいろなフレンズと接してきたことでだいぶ言葉を覚えたな。皆私にたくさんの言葉を教えてくれた。そのおかげでもある、この案を思いついたのは。

 私は自然と私の顔が笑顔になっていることには気づかなかった。そして最近覚えた言葉を皆に言った。

 

「ご苦労様、ありがとう」

 

 と。

                 ・

                 ・

                 ・

 

 一方、とあるちほーでは――

 

 

「アライさーん、もう少しゆっくりいこうよー」

「だめなのだ! 急がないとパークの危機かもしれないのだ!」

 

 私とアライさんは今博士たちに頼まれて火山の調査をしに来ている。なんでも何かが火山の山頂に落ちてきたというらしい。それを見てきてくれというお願いだ。アライさんがノリノリだったから私も付いていくことにしたんだけどねー。

 

「アライさんは何がいると思うー?」

 

 私はアライさんに訊いてみる。するとアライさんは――

 

「わからないのだ、実際に確かめてみるのが一番なのだ」

 

 うん、すごくアライさんらしいね、その回答は。私も少しほっこりしてしまったねえ。

 

「そうだねー、やっぱり見てみないとわからないよねー」

「なのだ! だから急がないと危機なのだ!」

 

 うーん、なんで危機なのかはわからないけどまあアライさんが早く見たい気持ちはよくわかった。

 サンドスターが降っている中をしばらく私達は歩いてようやく山頂へとたどり着いた。そういえば最近一度噴火してたねー。――うーんここまで来るのに結構な体力を使ったしまったねえ……。

 

「すこし休もうかー、アライさんも疲れてるでしょー?」

「た、確かにここまで歩いてきて相当へとへとなのだ……フェネックの言うとおりにするのだ……」

 

 二人してその場に座り込む。なかなかにハードな山登りだった。飛べるフレンズがうらやましい。アライさんも同じことを思っているのだろうか。

 

「しばらく休んだら周りを見てみるのだ、もしかするとお宝かもしれないのだ!」

「お宝ねえー、もしかするとあるかもねえ」

 

 しばらく休んだ私達は周りを見まわして何か変わったものがないかを探してみる。んー結構広いから歩き回らないとだねえ。

 

「あっちへ行ってみるのだ!」

「あいよー、アライさんについてくよー」

 

 アライさんの後をついていく。うーん私ちょっと何かいやーな予感がしてきたな――

 

「うわあー! な、なんなのだこれはー!?」

 

 あ、予感的中しちゃったみたいだね。急いで私はアライさんの所へ向かう。

 

「どうしたのーアライさん――おお、これはまた不思議なものだねえ」

 

 見るからにフレンズではない。どっちかというと獣に近いかな。でもこんな獣はみたことがない。たぶんこれが降ってきた何かで間違いなさそうだねー。

 

「大きいのだ……この獣、羽が生えてるのだ」

「ふむふむ、見た目がライオンみたいな顔つきだねー、でも角が生えてるし髭もたくさん生えてるねー。ライオンとは違う種みたいだね」

「なんかいまにも動き出しそうで怖いのだ……早く博士たちに知らせに行くのだ。こいつを見てると少し寒気がしてくるのだ……」

「アライさんがそう言うならいいよー、報告に戻ろうかー」

 

 私たちが戻ろうとした時だった。サンドスターがあの獣に当たった様でまばゆく輝きだしたのだ。あらら、これは困ったことになりそうだねえ。

 

「サンドスターがあの獣に触れてしまったみたいだねえ」

「わ、わ、あの獣がフレンズになってしまうのだ!?」

 

 アライさんがあたふたしている。うーんフレンズ化した姿も見てみたいけどここは報告が先かなあ。

 

「アライさん、先に報告に戻ろうかー」

「え!? フェネックは気にならないのか? あの獣がフレンズ化した姿を」

「うーん気になるけどー、かかわるとまた面倒なことになりそうだからねー、先に博士たちに報告に行った方がいいかなーって」

「フェネックがそう言うなら従うのだ。一刻も早く知らせるのだー!」

 

 私達は山頂を後にして博士たちに報告するために急いで山を降りて行った。

 

(あの獣、何か危険な香りがするねえ。注意した方がいいかもね)

 

私はそう考えながらしんりんちほーを目指してアライさんと二人で歩き始めた。

 




アライグマとフェネックが登場!
調査とか似合いそうだったのでこの二人を出してみました。

次回でじゃんぐるちほー編ラストになります!

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