古龍のフレンズ   作:まろにい

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prologue 目覚め

 

 雪山。私は傷を負わされて頂上まで追い詰められている。血もおびただしくもうわずかな命しか残されていない状態だ。私は目標をにらみつける。そして大きく息を吸い込み咆哮する。せめてもの悪あがきのようなものだ。彼らには無意味だろうが。私の咆哮を物ともせず一直線に彼らは私に向かって忌々しい武器を振り下ろしてくる。

 容赦なく迫りくる刃を私は後ろ足で地をけりバックステップで避ける。私の力の象徴である角も彼らに折られ風の力をうまく操れない。体もうまく動かせずバランスを崩しそうになる。彼らにとって私という存在は恐怖でしかない。ならば当然駆逐しにくることは道理である。ぼろぼろの翼をはためかせて飛び上がり目標へ滑空する。そして渾身のブレスをお見舞いする。

 しかし読まれていた。彼らはすかさず側面へ飛び込みあっさりと避けられてしまう。当然その後の隙を彼らが見逃すはずがない。

 

(!?しまっ…………!)

 

私は死角を取られ羽に致命傷をもらってしまった。そのまま横倒しになりもがく。何回も追い討ちを食らい流血がひどくなる。意識が遠くなる。眼から光が消える。そしてとうとう私は意識を手放し深い闇の底へと落ちていった。

 

            ・

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 ふと目が覚める。私は確かあの忌々しい人間共からあちこちを負傷し絶命したはず。しかし生きている、意識もはっきりとしている。

 

「いったい何が起きたというのだ――」

 

 考えたことをつい口にしてしまった。しかし私の声ではない。聞いたことも無い声。これが私の声なのか?思わずはっと飛び起きる。

「あーあー」

 試しに思ったことを口にしてみる。声がでた。さっきと同じ私とは別の声が。

 

(な、なんだ!? 聞いたことも無い声が!?)

 

 呆然とする。こんなことは生まれて初めてだ。これは私が倒してきた人間共の祟りか何かなのか? どすんと横になり考える。うんわからん。私は考えることをやめた。体を起こし……ぬ? なにかいつもの視界と違う?

 視界がいつもより低い……何だ、私は体が小さくでもなったのか? どうやら異変は私の声だけに起こっているようではないようだな。

 驚かされたのはそれだけではなかった。視界の先を見て唖然とする。辺り一面が荒野。所々に大きな木が生えている……なんなのだここは。私は雪山で斃れたはずでは――

 

(これが死んだ後に訪れる世界……なのか?)

 

 いつものような四つんばいの姿勢で辺りを見回す。だがすごく違和感を覚える。こんなに頭が前に下がっていたか? 違和感のある後ろ足をふと見るといつもより長くなっていた。これでは体が前に傾いてしまうのも当たり前か。

 私は改めて横になる。手をふと見る。指が五本ある……そこでわたしはふとあることに気づく。

 

(これはまるで人間のような手だ……。まさか私は人間になったとでも言うのか?)

 

 やはりこれは人間からの祟りの類だろうか? 私に倒されたその恨みが私の体に祟りとして現れたのだとしたら、何とも迷惑な話だ。まあそんな話はありえないと私も思ってはいるが。

 上半身を起こし私は全身を嘗め回すように見回してみた。体は首の下から腰まで同じ物体で覆われていて、てかてかと鈍い光沢を放っている。それぞれ手足を動かすとガチャガチャと鈍い音がした。

 

(少し重さがあるなこの物体には――だが体を動かす分には問題はないか)

 

 そして私のお気に入りだった羽は背中から消えてしまっている。なんとも背中の違和感がすごいものだ。頭に触れると角がなくなっており、変わりにふわふわとしたものが手に触れたのが分かった。体のあちこちをべたべた触ってみる。不思議な触感だ。しかし人間になってしまったとしたら立ち振る舞いも変えねばなるまい。声、体も人間そのものになったのだ、前代未聞である。

 

 確か人間は二足歩行をする生物だったか。四つんばいの姿勢から足に力を入れて立ち上がってみる。意外にもすんなりと立つことができた。視界も高く広くなった。だが元の姿と比べるとまだまだ視界は低いままだ。

 おぼつかない足取りで一歩ずつ歩いてみる――確かこんな感じだったか? ……意外といけるものだな、ふらふらなのはどうしようもないが。

 立ち止まり私はこの後どうするかを考える。まず第一にここがどこなのかが知りたいところだな、そして私の身に何が起きたのか。これもはっきりさせるべきだろう。いかんせんここに関しての情報が少なすぎる。

 せめて羽があれば自由に飛び回りこの世界を見渡すことができるのだが。無いものは仕方が無い、ここについて詳しい者を探してみるとしようか。今のわたしは人間なのだ。思ったことが未知の呪術か何かで口から出せるのだ。この呪術を用いれば私の知りたいことも分かるだろう。そうと決まればまずはこの世界を歩き回ってみるとしようか。私の行く当てもない旅が今始まろうとしていた。

 




次回彼女はあのフレンズと出会う!?

けもフレとモンハンのモンスターって意外と波長あうんじゃね?そういう阿呆な考えでできてしまいました。生暖かい目で読んでいただけますと幸いです!

ちなみにフレンズ化の見た目はシロサイをさらにモンハンのようなごつい鎧にしたような感じと思っていただければイメージしやすいかなと思います。

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