えっ?笛で戦ってるのって僕だけ?   作:モグ・モグラ

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どうも、モグ・モグラと申します。

気になる第七話です。

通算UAが4000人突破!…うん、夢だな。(白目)
いつも皆様に感謝してます。

それではどうぞ、ごゆっくりと。


第七話~ソロとソロ。背教者と赤鼻のトナカイ~

2023年 12月24日

 

今日はクリスマスイヴ。それは家族と、大切な人と共に過ごす日。いろんな店ではこの日限定のアイテムなどが売っている。ここにいるほとんどの人は、この日を大切に過ごしていた。

その中に、一人の少年と、一人の少女がベンチで座っていた。一見恋人かと思うが、それは違う。その二人、特に少年の方は暗く、悲しい顔をしていた。少女が口を開く。

 

「…それで…そのあと、どうなったんダ?」

 

「…そのあと、僕がモンスターの群れに突っ込みまして、笛の旋律効果、【高音衝撃波】を使って、モンスターたちを吹っ飛ばしながら、キリト君を引きづってなんとか脱出しました…。もう少し遅かったら、扉が閉まって、僕もキリト君もあの部屋で……死んでいました…」

 

「そうカ…。災難だったナ…。キー坊もソルっちも……」

 

少年、ソルは依頼主である、情報屋の『アルゴ』と話をしていた。ソルは深刻な、暗い顔になっていた。ソルは絞り出すような声で言った。

 

「僕は別に大丈夫です。でも…キリト君の方が…とても、比べ物にならないぐらい、辛い筈です…」

 

「………」

 

脱出した後も、キリトを待ち受けていた出来事は、耐えられないものであった。

ソルは少し遠い所から、キリトを見ていた。一緒に説明しようか?とソルは提案したが、キリトはその提案ををバッサリと切り捨てたからだ。せめて、邪魔にならないようにキリトが奇行に走らないよう監視していたのだ。それしかできなかったのだ。

『月夜の黒猫団』のリーダーである、ケイタは家を買って戻ってきたときに、キリトだけしかいないことに気づいた。他の皆はどうした?とケイタは聞くと、キリトは起こった出来事、自分の隠していたことを全て話したのだ。全てを聞かされたケイタはまさに、絶望した表情だった。

 

そして、ケイタはキリトにトラウマを植え付けつるには十分すぎる一言を言った。

 

 

 

 

「『ビーター』のお前が僕たちに関わる資格なんてなかったんだ!!!」

 

 

 

 

 

そして、ケイタはアインクラッドの、誤って落ちないようにするための塀を上り、立った。

 

「「!?」」

 

それを見たソルは慌てて飛び出し、ケイタを止めようとした。キリトも一歩遅れて、ケイタのこれからしようとしていること(・・・・・・・・・・・・・・)を止めようとした。

 

だが、間に合わず、

 

ケイタは飛び降りた。そして、散った(自殺した)

 

キリトはその場にうなだれてしまった。ソルはそんなキリトを見て、かける言葉さえも見つからなかった。たとえ仮に見つけたとしても、それはキリトに屈辱を与えるだけの言葉にしかならなかっただろう。

 

キリトはこの悲劇は一生忘れることは無いだろう。なぜなら、キリトが『原因』なのだから。キリトが黒猫団に入ったことで、急速なレベルアップをしていったのだ。キリトが効率の良い狩場に彼ら(メンバー)を誘導したからだ。そのため、今まで慎重派かつ、謙虚だったギルドは、楽観的で、自分たちの力を過信し過ぎたギルドに変わってしまったのだ。まさに、『慢心』を作ってしまったのだ。

 

 

そして、あの出来事以来、キリトからフレンドを解除され、音信不通になってしまった。

 

 

「…そうカ。……これは今回の報酬ダ。ご苦労だったナ…。このことは、なるべく早く、皆に知らせとくヨ…」

 

「…ええ、お願いします。これ以上、犠牲者を出さないためにも…」

 

あの後も、ソルは引き続き、アルゴの依頼をこなし、こまめに報告した。その甲斐あってか、あれ以来、隠し部屋の事故は犠牲者も出さずに少なくなった。

 

「ああ…。…あ、そういえば、今日は12月24日のクリスマスでナ、とある『イベントクエスト』があるんダ」

 

「…『イベントクエスト』、ですか?」

 

「とは言っても、ベータテストにもなかった情報だけどナ。12月24日(クリスマスイヴ)の夜、つまり今日の夜に、どこかのモミの木の下でイベントボス、『背教者ニコラス』が出現するらしいんダ」

 

「『背教者ニコラス』…。それがどうしたんですか?」

 

「噂によるけど…あるアイテム(・・・・)をドロップするらしいんダ…。それで特別にもう一つ、ソルっちに言っておくことがあル」

 

「?」

 

ソルは首を傾げる。アルゴは一呼吸置くと、

 

「この情報は、キリト(キー坊)が買ったんダ」

 

「キリト君、生きているんですか!?」

 

アルゴの、この発言はソルを驚かせるには十分な発言だった。無理もない、キリトとはあれ以来、音信不通になって、攻略会議にも出なかったため、生存確認が取れなかったのだから。

 

「今日、来たのですか!?アルゴさんの所に!?」

 

「ああ、そうダ。最近…いや、半年前から無茶なレベル上げをしていたらしくてナ。今夜の『イベントクエスト』を聞くなり、すぐに行っちまったがナ」

 

(半年前からそんな無茶を…)

 

思わず、拳を握るソル。そして、

 

「アルゴさん、僕にもその情報、売ってください」

 

「……わかっタ。ただし、金は必要ネェ。そのかわり、アイツ(キー坊)を死なせるなヨ」

 

「はい。キリト君を縄でグルグル巻きにしてでも生きて、連れて帰ります」

 

「ふっ、…………えげつねぇナ、お前」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第35層 迷いの森

 

その中を、一人の黒い少年が地図を見ながら歩いていた。

 

(この森の、どこかに『背教者ニコラス』がいる…。そして、ソイツのドロップするアイテムは…)

 

キリトはとある噂を聞いていた。

 

―――クリスマスイヴの日、とあるイベントボスを倒すと、そのボスから…

 

『死んだプレイヤー』を蘇生できるアイテムがもらえる。―――

 

(もし、ニコラスを倒せば…『サチ』の魂は戻り、彼女の最期の『言葉』を聞くことができる…)

 

サチ…。半年前に、救えなかった、守れなかった人。サチは最期にキリトに何かを言い残して死んだ。その言葉を聞くために、キリトは一人でイベントボスを倒すことを決意する。たとえ、

 

(どんな言葉で罵られようとも、俺はそれを受け入れなければならない…)

 

そしてキリトは、ニコラスが出現するであろうポイントへ走り出した。

 

 

 

 

その彼の跡を誰かがつけていった。

 

 

 

 

 

しばらくすると、キリトは何かに気づく。

 

「……っ!」

 

キリトは立ち止まり、気配のした方に視線を向けると、

 

「よぉ」

 

「…付けてたのか…」

 

クラインだった。その他にも、彼と似た鎧を装備している人たちがいた。

 

「まぁな…。『蘇生』アイテム狙いか?」

 

「ああ…」

 

「ガセネタかもしれねぇアイテムに命懸けてんじゃねぇよ」

 

「………」

 

クラインは強めの口調でキリトを何とか説得しようとする。

 

「このデスゲームはマジ(・・)なんだよ!HPが0になった瞬間、現実世界の俺達の脳も――」

 

「黙れよ」

 

「っ!」

 

キリトの威圧にクラインは一瞬うろたえたが、すぐに、

 

「『ソロ攻略』なんて無茶はやめろよ!俺らと組むんだ!『蘇生アイテムはドロップさせた奴の者で恨みっこなし』!それで文句ねぇだろう!?」

 

クラインはキリトに提案を持ちかける。確かに不確定な情報で、しかも一人でイベントボスに挑むのは危険である。キリトもそれは十分に分かっている。

 

しかし、

 

「それじゃぁ…意味ないんだよ…俺一人でやんなきゃ…!」チャキッ…

 

「「「「!」」」」

 

キリトが剣に手を伸ばし抜こうとする。クラインの仲間も武器を構えるが、クラインが制す。

 

「おめぇをよぉ…こんな所で死なすわけにはいかねぇんだよ!!キリト!!!」

 

そう言った瞬間、キリトが剣を抜いた。

 

すると、

 

 

 

 

 

「何をしているんですかあぁぁぁあああ!!!!」ダダダダッ

 

 

ドッシィーン!!

 

 

キリトは横からきた何者かによって突き飛ばされた。キリトもクライン達も何が起こったのか数秒の間、理解できなかった。キリトは倒れ、何者かがキリトの上に乗っかる。その者の正体は、

 

 

 

「…ソル…?」

 

「間に…合った…」ゼェ・・・ゼェ・・・

 

ソルだった。ソルは肩で息をしながら、

 

「アルゴさんから、聞いたよ…。随分と、君らしく(・・・)ないことを、しているじゃないか…。勝手にフレンドを解いて、どこにいるのかさえ分からない…。攻略会議にも出ない…。本当に君が死んでしまったのではないかと心配したんだよ!?」

 

ソルがキリトの胸倉を掴みながら言う。心なしかその手は震えている。

 

「…どけよ、ソル…!これは…俺一人で行かなきゃいけないことなんだ!!」

 

「まだあの人たち(・・・・・)の死を『引きずっている』のか!!!!」

 

「っ!!!」

 

キリトは怒鳴ったが、ソルに怒鳴り返されてしまった。滅多に怒らないソルにたじろいでしまうキリト。しかし、すぐに言い返す。

 

「お前に!!何が分かるって言うんだ!!俺は!!黒猫団の皆を!!サチを!!守れなかった!!それに!!黒猫団が壊滅した原因は!!全部俺にあるんだ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たとえ!!そうだとしても!!君がこのクエストで!!命を張る意味なんて!!どこにもねぇんだよ!!!まさか死ぬことが!!死んだみんなへの罪滅ぼしだとでも思ってんのか!!!そんなの罪滅ぼしでも償いでねぇ!!!!ただの自己満足だ!!!臆病者が!!卑怯者がとる!!無責任な方法(逃げ道)なんだよ!!!!」

 

 

完全にブチギレ口調に入ったソルにキリトは唖然として何も言えなかった。クライン達も完全にビビっていて動けなかった。

 

すると、

 

 

シュイイイィィィィイイイイン

 

 

 

「「「!!!」」」

 

周囲に無数の光が出現する。すると、無数の人が出てくる。

 

ソルはすぐにキリトを立たせる。クライン達はその人たちと向かい合った。

 

「…どうやら、クラインさんたちもつけられていたみたいですね」

 

「あ、ああ。そうみたいだな」

 

すると、クラインの仲間の一人が、

 

「ゲッ!?『聖龍連合』かよ…!?レアアイテムのためならヤバい(・・・)こともする連中だぞ…どうする?」

 

「俺は…」

 

キリトが戦うと決意しようとしたとき、

 

「クソったれがぁ!行けぇ!!キリト!!ソルも行ってくれぇ!!」

 

「…クライン…」

 

「…わかりました。行きましょう、キリト君!」

 

「そ、ソル!?」

 

クラインの言葉でソルはキリトを引っ張り、目的のポイントへ向かうため、走り出す。

 

「あんなギルド相手にヘマをやらかすクラインさんたちじゃぁありません。それに心配でしたら、僕たちがさっさとボスを倒して、クラインさんたちの加勢に加わればいいだけです」

 

「…あ、ああ…」

 

そう言いながら、走る二人。するとソルが、

 

「キリト君、さっきはタックルかましたり、怒鳴ったりしてしまってすみませんでした。でも、いつまでも仲間の死を引きずっててはいけないと思うんです。キリト君のためにもならないんです」

 

「ソル…」

 

「でも、」

 

ソルは続ける。

 

「今は、ボスの、ニコラスの落とすアイテムに『望み』を賭ける(・・・)しかないんですよね。それなら僕も、その『望み』に賭けてみます」

 

その言葉にキリトは思わず、ソルの方を向く。

 

「…っ!!…ソル…、どうして…そこまで…」

 

「だって、」

 

ソルはキリトを見る。

 

友達(仲間)でしょ?」

 

ニッコリとした雰囲気をか持ち出すソル。そうこうしているうちに、

 

「おっと、ポイントに着きました。キリト君、戦闘できるように武器をだしといてください」

 

「ああ」

 

やっと、本調子に戻ったキリト。二人が周囲を警戒していると。

 

ゴ~ン…ゴ~ン…

 

0時の合図の鐘が鳴る。すると空から、

 

シャンシャンシャンシャン…

 

二つの光の線が空を横切る。二人は空を見上げた

瞬間、

 

 

「「!!」」

 

 

ドゴオオォォォォン!!!!

 

 

空から、何かが(・・・)、落ちてきたのだ。その落下したところから、

 

ガァアァァァアアァァアアア!!!!!

 

デカく、サンタのような恰好をしたおぞましいモンスター。その横にはHPバーが4本表示される。

そう、このモンスターこそが、イベントクエストのボス、『背教者ニコラス』だ。

 

「うるせぇよ…」

 

「それに関しては、まったくの同意見です」

 

ガァアァァァアアァァアアア!!!!!!

 

「うわあああああああああああああああ!!!!」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

ニコラスは斧を振り上げ、二人の少年は武器を持って突撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数十分後

 

クライン達はなんとか、聖龍連合をなんとか追い返したのだった。皆は肩で息をしながら座り込んでいる。そこに…

 

シュイイィィィイイイン

 

 

「「「「「「!」」」」」」

 

ワープポイントから2人の姿が見えた。思わず、クラインは叫ぶ。

 

「キリト!ソル!」

 

そう、見覚えのある2人、キリトとソルだった。クラインは2人の無事を喜んだが、すぐに、違和感を覚えた。

 

ソルは気まずそうに、そして悲しく俯いていて、

 

 

 

キリトはもはや生気を感じられないような無表情な顔をして歩いてきた。

キリトの手には青い石が握られている。クラインのそばまで寄ると、

 

ヒョイ

 

クラインに投げ渡した。

 

「っ!おっと…これは…?」

 

「それが『蘇生』アイテムだ…」

 

クラインはその石を触って、詳細を見る。

 

「えっと、なになに…、対象のプレイヤーが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………『10秒以内』!!??」

 

そう、この蘇生アイテムは、死んでから10秒以内(・・・・・)のプレイヤーにしか使えない、限定アイテムであり、黒猫団の皆が死んでしまったのは約半年前。

 

つまり、そういうことだ(蘇生できない)

 

「…次に、お前の目の前で死んだ奴に使っていやってくれ…」

 

キリトはそう言うと、ふらふらとした足取りで、この場を後にする。ソルはただ黙って、キリトを見送ることしかできない。

 

ガシッ

 

クラインがキリトの服を掴む。その手は震えていた。

 

「…キリト…、キリトよぉ……」

 

クラインは涙声で言う。

 

「おめぇは…、おめぇは生きろよ…!最後まで生きろよ…!生きてくれぇ!」

 

そう言って、力なくクラインの手がキリトの服を放す。

しかし、

 

じゃぁな(・・・・)……」

 

キリトは何の反応も見せずにこの場を去る。クラインはソルの方を見る。目から涙を流しながら、震える声で、

 

「ソル…!なんとか…、なんとかなんねぇのかよぉ…!」

 

しかし、ソルは俯きながら手を握り締めて言う。

 

「……もう…、僕たちには…これ以上、何もできません…」

 

「!」

 

「あとはもう…キリト君自身が選ぶ道です…」

 

ソルの言葉で、クラインは力なく、膝をついてしまう。

 

 

 

冷たい雪風はいつまでも、彼らから無慈悲に温度を奪うだけだった。希望もなく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは、月夜の黒猫団の皆が使っていた宿の部屋。

その部屋にある机に一人、無気力に突っ伏す少年がいた。そこに、

 

ピコン

 

「…?」

 

とあるアイテムが少年の目の前に表示された。そこには、

 

 

 

―――giftbox・from『サチ』―――

 

 

 

「!……サチ!?」

 

少年はすぐさま、アイテムを取り出す。現れたのは、正八面体の『録音』ボックス。キリトはその箱のスイッチを押す。すると、箱は光だし、

 

 

 

『メリークリスマス、キリト』

 

「っ!」

 

サチの声だ。少年は確信する。

 

『君がこれを聞いているとき、私はもう死んでいる(・・・・・)と思います。…なんて説明したらいいのかな?えっとね、ホントのこと言ううとね。わたし、はじまりの街から出たくなかったの。でも、そんな気持ちで戦ってたら、きっといつか、死んじゃうよね…。それは誰のせいでもない、わたし本人の問題なんです。キリトは、あの夜からずっと毎晩毎晩、わたしに、絶対死なない。って言ってくれたよね。だからもし、わたしが死んだら、キリトはすごく自分を責めるでしょう。だから、これを録音することにしました』

 

サチは続ける。

 

『それと…、わたし、ホントはキリトがどれだけ強いか知っているんです』

 

サチのこの言葉に、少年は驚く。

 

『前にね、偶然覗いちゃったの。キリトが本当のレベルを隠して、わたしたちと一緒に戦てくれる理由(ワケ)は…一生懸命考えたけど…よく分かりませんでした。…フフッ、でもね、わたし、君がすっごく強いんだって知った時、嬉しかった。すごく安心できたの。…だからもし、わたしが死んでも、キリトは頑張って生きてね。生きてこの世界の最後(・・)を見届けて、この世界が生まれた意味(・・)、わたしみたいな弱虫がここに来ちゃった意味(・・)、そして…、君とわたしが出会った意味(・・)を見つけてください。それが、私の願いです。

……だいぶ、時間が余っちゃたね…。じゃぁせっかくのクリスマスだし、歌を歌うね。』

 

 

 

~~~~♪~~~~♪

 

 

 

少女の鼻歌が聞こえてきた。この歌は……

 

 

『赤鼻のトナカイ』だった。

 

 

その、楽しそうな、しかしどこかせつない鼻歌が静かな部屋に響く。

少年は、その鼻歌を聞きながら、涙をこぼしていた。何滴も、何滴も。

 

 

…やがて、

 

『じゃあね、キリト。君と会えて、一緒にいられて、ホントによかった』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         『ありがとう、さよなら』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箱は光を失い、机の上に転がった。少年は泣き続けた。

少年の抱いてた絶望は、少女の声で包まれて、そして、雪のように溶けて、なくなった。




さて、いかがでしたか?

自分の中では、『もし、サチが死んでいなければ、アスナと同等の、キリトの彼女になっていた可能性がある』ヒロインだと思っています。個人的に好きですよ、ベスト3に入る勢いで。
さて、次回ですが、シリアスから一転、ソルのギャグパートです。果たして、ソルに一体何が起きるのか!?
今日はとりあえず、ここまでとさせていただきます。

では、次回のお話でお会いしましょう。

次回 「ソロ笛男はつらいよ」

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