えっ?笛で戦ってるのって僕だけ?   作:モグ・モグラ

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どうも、モグ・モグラと申します。

波乱の第六話です。

通算UA3000人突破!?!?夢か!?夢なのか!?え?夢じゃない!?本当にありがとうございます!!

それではどうぞ、ごゆっくりと。


※前回のあとがきでの次回名を変更しました。


第六話~月夜の黒猫と黒き少年~

 

(なんでだ…なんで…)

 

そう考えている間にも、モンスターたちが少年に襲い掛かってくる。その数、30、40、50…いや、もっといる。少年はそのモンスターたちの攻撃を搔い潜り、SS(ソードスキル)で攻撃する。モンスターは次々とポリゴンとなって散っていくが…、

 

あまりにも多過ぎる。埒が明かない。

 

「う、うわああああああああああ!!!!」パリーン

 

(!!)

 

他のプレイヤーの悲鳴にも近い叫びが、部屋中を駆け巡る。また一人、ポリゴンとなって、散っていく、死んでいく(・・・・・)

 

「テツオ!?くっ、そおおおおおおお!!!!!!」

 

その人の死ぬところを見てしまった人は、半狂乱になりながら、槍のSSをモンスターに叩き込む。

が、

 

「!?」

 

まるで、攻撃が効いていないかのように反応も、リアクションも見せないモンスター。そして、無慈悲の一撃が、その人に叩き込まれる。

 

「ぐああああああああああああ!!!」パリーン

 

また一人、死んだ。

 

「くっ!!うおおおおおおおおお!!!!」キュイイィィィイイン

 

少年は次々とモンスターを倒していく。さっきの人とは違ってモンスターを一撃で撃破する。

 

そのモンスターとモンスターの切れ間から、一人の少女が見えた。少女はなんとか槍を使ってモンスターの攻撃を防いでるが、このままじゃ…。

 

「キリト!!」

 

少年の、『キリト』の名前を叫ぶ少女。

 

「サチ!!っく…!」

 

少女の、『サチ』の名前を叫ぶ少年。

 

 

 

 

ドンドンドン!!!

 

 

 

「キリト君!!そこにいるの!?」ドンドンドン!

 

「っ!!ソルか!?」

 

この部屋の唯一の出入り口から、ヘルプした知り合いが扉をたたく音がして、少年の名前を叫ぶ。だが、一向に開かない。

 

「くっ!開けっ!!開けぇ!!」ドガッ!!ドガッ!!

 

いつものおっとりとした、その少年の口調とは思えないほどの、焦りの口調だった。そうしている間にも、

 

「キリト!!!!」

 

「サチ!!!…っ!!??」

 

少女が少年へ手を伸ばす。少年も少女へ手を伸ばそうとしたが…、

 

 

 

 

ドゴンッ!!!!

 

 

 

 

扉の開く音がする。

 

「キリトく…っ!!危ない!!!!」

 

知り合いの怒号にも近い叫び声が響いた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遡ること、4月8日のことだった。

 

偶然だった。ホントに偶然のことだった。とある中層のギルドを助けたところ、お礼としてパーティーに招き入れらられた。そのギルドは、男性4人、女性1人の小規模ギルド『月夜の黒猫団』だった。そして、そこで最大の嘘をついた。

 

「あの~、キリトさん。大変失礼だと思うんですけど、レベルっていくつくらいなんですか?」

 

「『20』…くらい」

 

違う。ホントは40だった。でも嘘をついた。ホントのことを言ったら、どんな反応をされるか、怖かったからだ。敬語はなしで良い。と言って、色々な話をしていると、

 

「キリト、急にこんなこと言って何だけど、良かったらうちのギルドに入ってくれないか?」

 

このギルドのリーダー、ケイタは俺を勧誘してきた。ケイタは話を続ける。

 

「前衛ができるのは、棍棒(メイス)使いのテツオだけでさ~、コイツ、『サチ』って言うんだけど、前衛ができる、盾持ち片手剣剣士に転向させようと思ってるんだ。でも、勝手がよく分からいみたでさ、ちょっとコーチしてやってくれないかな?」

 

と言いながら、少女の頭ポンポンと叩く。少女、サチは不機嫌になりながら、

 

「何よ、人を味噌っかすみたいに。だってさ、急に前に出て接近戦やれ、って言われてもおっかないよ…」

 

と、言う。たしかに、中距離戦から、急に接近戦をやれと言われてもなかなかできることではない。

 

「盾の陰に隠れて場良いんだって」

 

「まったく、お前は昔っから怖がり過ぎるんだよ」

 

「…ぶぅ~」

 

サチ以外のメンバーが笑う。結構仲が良いみたいだ。聞いたところによるとどうやら、このギルドのメンバーは現実では、パソコン研究会のメンバーらしい。

 

「ああ、でも心配しなくてもいいよ。キリトもすぐ仲良くなれるよ、絶対!」

 

そう言って、答えを待つ皆。俺はこの時、誘いを断る選択肢もあった。断ればよかったかもしれない。

しかし、

 

「…じゃぁ、仲間に…入れてもらおうかな…。…よろしく」

 

断れなかった。

ギルドの皆は喜んでいた。けど、俺は素直に喜べなかった……

 

 

 

 

あれから、1ヶ月が過ぎたころ、ちょうど休憩中に、俺の隣で寝っ転がっているケイタは新聞を読んでいた。

 

「『攻略組 第28層突破!』っか~。すげぇな~」

 

「……」

 

俺はその言葉を聞いて、内心焦っていた。ここ最近は攻略会議には参加できていなかった。遅れだけでも取らないように、レベル上げは夜中に気づかれないようにしているつもりだが、ハッキリ言って心配だ。

 

「ねぇ、キリト。攻略組と僕たちは何が違うんだろう?」

 

ケイタは俺にそう尋ねた。

 

「う~ん、『情報力』かな?アイツらは、効率的に経験値を稼ぐ方法とか独占してるからさ(一人だけ(・・・・)、例外がいるけど)」

 

そう答えたら、ケイタは唸るように考え始めた。そして、

 

「そりゃ、そういうのもあるけどさ~、僕は『意志力』だと思うんだよ」

 

「『意志力』?」

 

ケイタは上半身を起こして、言った。

 

「仲間を、いや、『全プレイヤーを守ろう』っていう意志の強さ(・・・・・)、っていうかな…。僕らはまだ『守ってもらう』側だけど、気持ちじゃぁ負けないつもりだよ。もちろん、仲間の安全が第一だ。…でも、いつか僕らも攻略組の仲間入りをしたい、って思ってるんだ」

 

ケイタの言葉に、俺は関心をした。そんな気持ちを、言葉にすることができるなんて…。

 

「そっか…。そうだな」

 

すると、後ろからきたニット帽をかぶった少年、ダッカ―がケイタにふざけながら組み付きをした。それを見たメンバーは大笑いをした。俺はそんな光景をみながら、確信した。

 

(もし、黒猫団が急成長し最前線に加われば、ケイタの理想は、閉鎖的な攻略組の空気を変えるかもしれない…)

 

その日の夜は、ケイタが20万コル貯まったので、そろそろ家を買う話をしていた。でもその前にサチの装備を整えようという意見が出た。サチは盾持ちの剣士に転向しているので、今の装備では少し、心許ない。しかし、サチ本人は遠慮したのだ。少しばかり疑問に思ったが、すぐにその疑問は消えたのだった。

サチが少し暗い顔になったのに気づかず。

 

 

 

 

 

 

 

しばらく、時間が過ぎたある日の夜。

俺は、いつも通り遅れを取らないよう、夜中にレベル上げをしようとしたとき、とある聞き覚えのある声がした。

 

「キリト君!」

 

その声の主は、知り合いでありフレンドの、ソルだった。ソルとはボス戦ではパーティーを組んでいる。ときどきであるが、エギルも。多分、ソルはここ最近の攻略会議に参加しなかったことについて心配しているのだろうか。

 

「久しぶりだね。キリト君」

 

「あ、ああ…ソルか…久しぶり…」

 

相変わらずの、のほほんとした口調に俺は少したじろいでしまった。ソルは少し心配したような顔をして、

 

「どうしたの?元気ないよ?」

 

「そ、そうか?…でも、心配しないでくれ。大丈夫だ」

 

かなりどもった声をしたのか、ソルはフード越しからのジト目で俺を見てきた。すると、

 

「おお!キリトにソルじゃねーか!」

 

またしても、聞き覚えのある声がしたのと同時に、俺はその声におもわずに顔をしかめてしまった。なぜなら、

 

「…クライン…」

 

「クラインさん、お久しぶりです」

 

そう、『あの日(2022年11月6日)』に俺が見捨ててしまった、フレンドのクラインだった。

 

「おお、久しぶりだな。ここ最近見かけないと思ったら、二人でこんな夜中にレベル上げかよ?」

 

クラインの言葉に内心ビクッとしてしまった。多分、本人は適当に言ったのだろうが、俺を動揺させるには十分すぎた。すると、

 

「いえいえ、キリト君とは今さっき、偶然に会いましてね。少し話みたいなのをしてました」

 

ソルが答えてくれた。今なら、お先に失礼する、と言ってここを離れる事ができるだろう…。俺がそう言おうとした瞬間に、

 

「そうか、キリトの方は…って、あれ?そのマークは…?」

 

俺は言葉を失う。

 

「キリト、おめぇそのマーク…、『ギルド』のか?」

 

「!」

 

またしても、クラインの指摘に内心ビクッとして、肝を冷やした。ソルはフード越しから目を見開いた。よほど、びっくりしたのだろう。

 

「あ、ああ…、ちょっとな…」

 

駄目だ、適当な言葉が思い浮かばない。どうしよう…。そう思っていたら、

 

「お~い、次、狩ってもいいぞ~」

 

まさにチャンスだった。俺はこの状況を切り抜けるために、このチャンスを取り逃さなかった。ソルも、これから街に帰るのか、その誘いを断った。

今がチャンス。

 

「……じゃぁな」

 

俺は二人を残して狩場に行った。後ろから、声がするような気がしたが、今はどうでもよかった。この場から離れたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると、

 

「ソロ笛ですが、なにか問題でも!?」

 

…ソルの声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、街に戻ってくると、ケイタからメールが来た。内容は、

 

―――ケイタです。サチが出て行ったきり戻ってこないんだ。僕らは迷宮区に行ってみる。キリトも、何か分かったら知らせてほしい。―――

 

 

 

サチが出て行った?なぜ?そう、思いながらもひとまず、『追跡』スキルを使う。すると、視界が少し緑色がかった。辺りを見渡すと、

近くの道に新しい足跡が残っていた。俺はその足跡を辿った。

 

 

足跡を追うと、水路についた。その足跡を目で追うと…、

 

「サチ!」

 

「!…キリト?」

 

サチが座り込んでいた。

 

「皆が心配してるよ」

 

「……」

 

俺がそう言うと、サチは黙り込んでしまった。どうしたものか。そう思いながらも、ひとまず俺も腰を下ろした。

 

「……ねぇ、キリト」

 

しばらくすると、サチが俺に呼びかけた。

 

「ん?」

 

「一緒に…どっか逃げよ?」

 

「…逃げるって……『何』から?」

 

サチの突然の言葉に、つい聞き返してしまった。

 

「…この『街』から…『モンスター』から…『黒猫団の皆』から…『SAO』から…」

 

「えっ!?そ、それは……『心中』…!?」

 

サチの口からでた、とんでもない発言に俺はびっくりした。

 

「……それもいいかもね……」

 

(駄目だろ!?)

 

思わず、言いそうになってしまったが、なんとか飲み込む。

 

「ううん…ごめん、嘘。…死ぬ勇気があるなら、安全な街中になんか隠れてないよね」

 

その言葉に、俺はちょっと安心した。しかし、サチの顔はいまだに優れてない。

 

「ねぇ…なんでここから出られないの?」

 

「え?」

 

「なんでゲームなのに、ホントに死ななきゃならないの?……こんなことに何の『意味』があるの?」

 

サチの声が震えてきた。今にも泣きそうな声で。

 

「……多分、『意味』なんて…ないと思う……」

 

俺は、そんな風にしか返せなかった。それでサチが、納得してくれるのかも分からなかった。

 

「……私…『死ぬ』のこわい……」

 

その言葉に俺は驚いた。

 

「『死ぬ』のが…こわい?」

 

「…こわくて…、この頃眠れないの……!」

 

サチの声がまた一段と震えていた。俺は一瞬、不思議に思ったが、自分の方がおかしいと思った。

そうだ、このゲームは『デスゲーム』となっていたんだ。サチのように『死』に対して恐れているのは人は少なくない。むしろ多い。今まで、俺はモンスターと戦っても生き残ったから、その思考が、死に対しての恐怖が薄くなっていたのだ。俺は気づいていなかったのだ。考えたこともなかった。

そのことに、今更ながら気づいた俺は、いまなら、サチの言っていることが分かる。

 

「君は『死なない』よ」

 

その言葉にサチは少し驚く。

 

「ホントに…?なんで、そんなことが言えるの?」

 

サチの問いに、俺は答える。

 

「黒猫団は十分強いギルドだ。安全マージンも平均以上に取っている。それに俺とテツオがいるんだし、サチが無理に前衛にでる必要もない」

 

「ホントに、私は死なずに済むの?いつか現実に戻れるの?」

 

サチが再度、問う。

 

「ああ、君は『死なない』。いつかきっと、このゲームがクリアされるまで」

 

「…!………うん…!」

 

俺の言葉に、サチは安心したように頷く。サチの目から一滴の涙が流れた。

おれは誓った。黒猫団の皆と、サチと、生きて現実に帰るんだって。

 

(君たちは、俺が絶対に、守るから)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃぁ、行ってくる。転移!『はじまりの街』!」

 

 6月12日

 

ケイタは家を買うために第1層『はじまりの街』に転移した。

 

「マイホーム買うってさ、こんなに感動するもんだったんだな~」

 

「オヤジくせぇんだよ!」

 

槍使いのササマルの発言に、ダッカーはツッコミを入れ、皆は笑う。すると、テツオが家具を買うために皆で稼ごうと提案する。すると…

 

「ちょっと、『上』の迷宮に行ってみるか!」

 

その言葉に、すこし嫌な予感がした俺は、

 

「いつもの狩場でいいんじゃないかな?」

 

反論に近い意見を言った。しかし、

 

「上なら短時間で稼げるよ」

 

「俺たちのレベルなら安全だって」

 

すぐに、却下されてしまう。俺は少し、不安になったが、そのまま上の層に行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺の嫌な予感は、すぐに的中した。それも最悪な事態で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは、27層の迷宮区。そこそこ強いモンスターもでたが、皆で倒していった。

 

「言ったろう。俺たちなら大丈夫だって」

 

「もう少しで、最前線に行けるかもな」

 

「あったぼーよ~。って、お!」

 

ダッカ―が何かを発見する。その壁に、なにか印みたいなのがあった。それに触れると、隠し扉ができた。俺はすぐに疑問に思った。

 

「(隠し扉…?こんなところに…?)…っ!」

 

俺でも知らない隠し扉。さっきよりも強い嫌な予感が背筋を走った。

 

 

 

 

部屋の中には宝箱。それを発見して喜ぶ、皆。そして、皆は部屋に入っていった。

 

「ま、待て!!」

 

一歩遅れて、静止を呼びかけるが、すでに手遅れ。

ダッカ―が開けると、

 

 

ビイイィィィィイイイ!!!ビイイィィィィイイイ!!!

 

 

警告音が鳴り響き、部屋が赤くなる。そして、閉じる扉。

そう、トラップ部屋だった。

俺は急いで、誰かにヘルプを送ろうとする。でもいったい誰に…。そう思っているうちに、次々と数えきれないほどのモンスターが出てくる。

そのとき、俺はとある人(・・・・)にヘルプを送った。『彼』なら絶対に来てくれると信じた。そして、

 

「皆!脱出するんだ!!」

 

俺は、皆にそう言う。転移結晶は皆に1個ずつある。それを使えば…。

 

しかし、

 

「転移『タフト』!!…っ!?転移『タフト』!!!」

 

結晶(クリスタル)が使えない…!?」

 

そう、この部屋は、

 

結晶(クリスタル)無効エリアか…!!」

 

まずい事態になった。モンスターたちが襲い掛かる。俺は何とか反撃をするが、

 

「うわっ!…っ!?」

 

ダッカ―が転んだ。彼が起き上がろうとすると、モンスターが群がって、

 

「うわああああああああああああ!!!!!!」パリーン

 

絶え間ない攻撃が彼のHPバーを一瞬にして0にさせ…ダッカ―は散った(死んだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんでだ…なんで…)

 

そう考えている間にも、モンスターたちがキリトに襲い掛かってくる。その数、30、40、50…いや、もっといる。キリトはそのモンスターたちの攻撃を搔い潜り、SS(ソードスキル)で攻撃する。モンスターは次々とポリゴンとなって散っていくが…、

 

あまりにも多過ぎる。埒が明かない。

 

「う、うわああああああああああ!!!!」パリーン

 

(!!)

 

テツオの悲鳴にも近い叫びが、部屋中を駆け巡る。また一人、ポリゴンとなって、散っていく、死んでいく(・・・・・)

 

「テツオ!?くっ、そおおおおおおお!!!!!!」

 

テツオの死ぬところを見てしまったササマルは、半狂乱になりながら、槍のSSをモンスターに叩き込む。

が、

 

「!?」

 

まるで、攻撃が効いていないかのように反応も、リアクションも見せないモンスター。そして、無慈悲の一撃が、ササマルに叩き込まれる。

 

「ぐああああああああああああ!!!」パリーン

 

また一人、死んだ。

 

「くっ!!うおおおおおおおおお!!!!」キュイイィィィイイン

 

キリトは次々とモンスターを倒していく。ササマルとは違ってモンスターを一撃で撃破する。

 

そのモンスターとモンスターの切れ間から、サチが見えた。サチはなんとか槍を使ってモンスターの攻撃を防いでるが、このままじゃ…。

 

「キリト!!」

 

キリトの名を叫ぶサチ。

 

「サチ!!っく…!」

 

サチの名を叫ぶキリト。

 

 

 

 

ドンドンドン!!!

 

 

 

「キリト君!!そこにいるの!?」ドンドンドン!

 

「っ!!ソルか!?」

 

この部屋の唯一の出入り口から、キリトがヘルプを送っていた少年、ソルが扉をたたく音がして、キリトの名前を叫ぶ。だが、一向に開かない。

 

「くっ!開けっ!!開けぇ!!」ドガッ!!ドガッ!!

 

いつものおっとりとした、ソルの口調とは思えないほどの、焦りの口調だった。そうしている間にも、

 

「キリト!!!!」

 

「サチ!!!…っ!!??」

 

サチがキリトへ手を伸ばす。キリトもサチへ手を伸ばそうとしたが…、

 

 

 

 

ドゴンッ!!!!

 

 

 

 

扉の開く音がする。

 

「キリトく…っ!!危ない!!!!」

 

ソルの怒号にも近い叫び声が響いた…

 

 

 

 

ザシュッ!!

 

 

 

 

サチの背中に、モンスターの一撃が当たった。彼女のHPバーは……

 

なくなった。

 

唖然とする2人の少年。彼女は、消える直前に…

 

「——————————————————。」

 

キリトに何かを言い残して、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

散った(死んだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで、キリトの意識は途絶えた。





さて、いかがでしたか?


……ここの描写は書くのがつらかったです。自分でも途中から手が震えました。
気を取り直して、次回ですが、トラップ部屋の後日談とクリスマス回です。ソルとキリトはこの後、はどうなるのか?
今日はとりあえず、ここまでとさせていただきます。

では次回のお話でお会いしましょう。


次回「ソロとソロ。背教者と赤鼻のトナカイ」

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