どうも、モグ・モグラと申します。
怒涛の第四話です。
5~6割ぐらい戦闘シーンです。
はたして、ソルの戦闘、活躍はどうなるのでしょうか?
どうぞ、ごゆっくりと。
12月3日、11時過ぎ。
ここは『迷宮区』の塔に入るための森であった。前方にはぞろぞろと40人ちょっとのプレイヤー達が歩いていた。その集団と少し距離をおいて歩いてたのは、ソル、キリト、フードの女性の3人だけだった。
「それじゃぁ、改めて確認するね。あぶれ組の僕たちの担当は、主に『ルイン・コボルトセンチネル』って言う、ボスの取り巻きを引き付け、ボスと分断させること。」
「ああ」
「分かってる」
「僕が敵の『フォール・アックス』を防いで、跳ね上げさせるので、すかさずその隙をついて攻撃してください」
「うん」
「わかった。『
「「……」」
すると、二人が不思議そうにキリトを見る。二人の視線に、キリトは少したじろいだ
「ど、どうした?」
二人にそう尋ねると…
「「『スイッチ』って?」」
「…!まさか…、二人とも…パーティーを組むのはこれが
二人は同時に縦に頷く。それを見たキリトは、思わず足を止め、手を仰いだ。
『スイッチ』とは、攻撃する人を交代させる戦法のこと。そうすることで、その間に、攻撃役だった人はHPを回復し、態勢を整えたりすることができ、さらに絶え間ない攻撃をして、敵を効率よく倒すことなどができる。
それを二人に説明し終えると、ちょうど、ボスの部屋についた。ボスの部屋の扉は、異様な雰囲気をか持ち出していた。その場にいるプレイヤー全員の背筋に寒気が走った。
それぞれポーチの確認や気の統一など、準備に入るプレイヤー達。
準備が終わると、今回の『レイド』の指揮をするプレイヤー、ディアベルは皆の方に振り返ると、
「聞いてくれ、皆。俺から言うことはたった一つだ。『勝とうぜ』!!」
その言葉に、全員が頷いた。
「いくぞ!!」
そう叫び、ディアベルが片手で押すと扉が勝手に開いた。その部屋の中は暗く、奥までが見えなかった。慎重に、部屋に入るプレイヤー達。すると気のせいなのか、奥で何かが光ったような気がした。
瞬間、部屋の天井が光り部屋全体を照らした。不気味な虹色の光に。
グオォォォォオオオオオオ!!!
赤く血に飢えたような―、人の数倍はあろうでかい体の―、斧とバックラーを持ったモンスター。
『イルファング・ザ・コボルトロード』と、
キシャアァァアア!!
取り巻きの『ルイン・コボルトセンチネル』達が現れた。
「攻撃、開始ー!!!」
「「「「うおおぉぉおぉおぉおおおお!!!!!」」」
ディアベルの合図とともに突っ込むプレイヤー達。
たった今、第1層のボス戦が、始まったのだ―
―ガッキィィィィイン!―
―ガチッ!ガチッ!―
―キンッ!カッキン!―
刃と刃のぶつかる音。殺気を感じる声。鳴り響く化け物の鳴き声。そんな中でディアベルが人一倍、大きな声で叫び続ける。
「A隊、C隊!スイッチ!!…!くるぞ!!B隊!ブロック!!」
ディアベルの指揮に応えるように動くプレイヤー。ディアベルは絶え間なく指揮を出す。
「C隊、ガードしつつ、スイッチの用意!…今だ!!交代しつつ、側面をつく用意!!D、E、F隊!センチネルを近づけさせるな!!」
「了解!」
キリトと女性はスイッチの準備をする。前方には、
「っはぁ!」ブォ!!
ガキイイィィィイイン!!!
ソルが笛でセンチネルの攻撃を受け止めつつ、押し返す。もともと小柄なのか、センチネルは力負けして吹っ飛ばされる。
「スイッチ!」
ソルの掛け声に飛び出す二人、しかし、
「三匹目!!」キイィィィン!
女性の方が速く、細い剣が緑の光を纏い、センチネルの体を貫く。センチネルはポリゴンとなって散る。
(初心者だと思っていたが、凄まじい手練れだ!速すぎて、剣先が見えない!)
キリトは女性の動き、タイミング、『SS(ソードスキル)』に思わず、感嘆の声が漏れそうになった。
『SS(ソードスキル)』それは武器スキルを習得したプレイヤーが所定の準備動作をすることにより発動、自動で攻撃動作をしてくれる。その威力および、速度は通常攻撃よりも遥かに上回る。特徴としては武器が独特の効果音を発しながら光る。
ちなみに女性のさっきのSSは細剣スキルの〈リニア―〉。
キシャアァァアア!!
別のセンチネルがキリトに攻撃を仕掛けるが、
ガキンッ!!
キリトの剣によって、阻まれ、しかも吹っ飛ばされた。
「スイッチ!」
その声に反応し、飛び出すのは笛を担いで、笛の効果、【自分強化(移動速度上昇)】で瞬時にセンチネルに近づく少年、ソル。
「やぁあ!!」ブンッ!
バキィイ!!
上から振り下ろされた大きな笛は、センチネルの頭を捉え、そのまま地面に押しつぶした。センチネルは動けずにいた。
「キリト君!スイッチ!」
「おう!」キィィィイン!
キリトは片手剣SS〈スラント〉でセンチネルを斜めから切り下ろした。センチネルは散った。
「ナイス!キリト君!」
「ああ!ソルもナイススタンだ!」
(それ以上に、
『狩猟笛』これは武器カテゴリーのうちの一つのであり、斧と棍棒と槍を合わせて3で割ったようなものに、笛の機能を付けた、まさにてんこ盛りの武器である。自分やパーティーに効果付与をもたらしてくれる武器であったため、ベータ・テスターの中では一部の人たちが始めのうちは使っていたが、とある『欠点』が原因で、すぐに誰も使わなくなった。その『欠点』が…
・旋律が覚えづらく、たくさんの肺活量が必要
・火力が弱いうえに長いので扱いづらく、斧、棍棒の方が火力もあり、扱いやすい
・吹くたびにモンスターに狙われやすくなる(ヘイトを集めやすい)
・いちいち吹くなら、アイテムを使った方が速い
・SAO醍醐味の『SS(ソードスキル)』が
など、あまりにも欠点が多すぎて、酷評を受けた狩猟笛は皆から、「ハズレ武器」、「SAO唯一のガッカリ要素」、「茅場に一体何が起こったのか!?」と言われ、ネットでも『雑魚武器』の烙印を押されていた。
キリトがソルの武器をはじめて見たときは、『コイツ正気か!?』と思ったほどだった。この『デスゲーム』でそんな『雑魚武器』を使うなんて、頭がイカれているか、自殺願望者だと思っていた。
しかし、今回の戦闘で、キリトは狩猟笛に対する『偏見』が吹き飛んだ。長いことで敵を牽制し、打撃でスタンを狙い、態勢が崩れかけそうになったときは笛を吹いて効果付与と同時に、敵のタゲを逸らしてくれる。さらにすごいことに、先ほど、ソルは一人で三体のセンチネルを相手していたのだ。しかも苦戦することなく、倒したのだ。
すごい戦いやすい。これは『狩猟笛』だけの力だけでなく、『ソル』の技術が相まって、すごい相乗効果を生み出しているのだろう。『戦いながら、サポートする』それが狩猟笛の本来の『強み』だと、キリトは思った。自分は極められない武器。そう感じざる得なかった。
グオォォォォオオオオ!!!!!
気が付けば、センチネルもほとんどいなくなり、コボルトロードのHPバーも最後の1本の、レッドゾーンに達した。コボルトロードは吠え、斧とバックラーを投げ捨てた。
「情報通りみたいやなぁ!」
ニヤリとするキバオウ。この全員で行けば勝てる。そう皆が思っていたとき、
「下がれ!俺が出る!」
なんと、指揮をとっているディアベルが前に出たのだ。それに疑問を浮かべたのは、キリトとソル。
(ここは、
(なんで皆を下がらせるの?この時こそ、皆で叩くのが一番効率が良いのに…?)
不意に、キリトとディアベルの目があった。ソルもディアベルを見た。ディアベルはキリトを見て……
……笑っていたのだった。
((!?))
驚く二人の少年、前に出てSSを発動させる一人の男性。コボルトロードは腰から『
瞬間、キリトは青ざめた。
「(『タルワール』じゃなくて『ノダチ』!?!?ベータテストと違う!!)駄目だ!!」
「!?」
「あん?」
キリトの声に気づいたのはソルとキバオウ。だが、肝心のディアベルには聞こえていない様子だった。そのままディアベルは突っ込む。
「全力で!後ろに跳べ!!」
キリトがまた叫ぶ。だが、もう遅かった。
瞬間、コボルトロードは凄まじい速さで、柱から柱へと飛び移り、ディアベルをかく乱する。そして、
ザッシュゥ!!!
コボルトロードの『ノダチ』はディアベルを切り裂いた。さらに、
キイイィィィィィィイイイイン!!バシュッ!!!!
コボルトロードの追撃が、吹っ飛んでいるディアベルを切り刻んだ。
「ディアベルはん!!?…くっ!?」
キバオウが叫ぶと同時に、パーティーのど真ん中に着地するコボルトロード。
「キリト君!ここは僕たちが!君は早く、ディアベルさんのところに!!」ガチィン!
「!わかった!」
ソルと女性が残りのセンチネルを相手にしている間に、キリトは片手に回復POTを持ち、ディアベルのところに行った。
「…なぜ、一人で…!?」
そう言いながら、回復POTを飲ませようとするキリト。しかし、ディアベルはそれを拒んだ。
「お前も…ベータ・テスターだったら…わかるだろう?」
キリトはその言葉で気づいた。ディアベルが何をしようとしてたのかを…。
「……ラストアタック・ボーナスによる、レアアイテム狙い…。お前も…『ベータ上がり』だったのか……」
「…頼む…ボスを…ボスを倒してくれ…………皆の…ために…」
ディアベルはそう言い残すと、ポリゴンになって散った…。
それを見たほとんどのプレイヤーは一気に、絶望に染まる。キリトは改めて自分の今までの行動を見直した。
(この『デスゲーム』が始まった時も、俺は…自分が生き残ることしか考えていなかった。クラインを『見捨てた』…。けど、ディアベル…アンタは『ベータ・テスター』なのに、他のプレイヤー達を見捨てなかった…。皆を率いて、見事に戦った!俺ができなかったことをやろうとしたんだ…!)
キリトはコボルトロードを睨む。すると、
「僕がサポートします」
「わたしも」
キリトの両サイドに男女が立つ。
「頼む」
キリトと女性はコボルトロード目掛けて走り出す。ソルはその場で笛を吹き始めた。
「手順はセンチネルと同じだ!」
「分かった!」
向かってくる二人に気づいた、コボルトロードはノダチを構え、SSを発動させようした。
「うあああああああああああ!!!」キュイイィィィイイン!!
ガッキィイイイイン!!!
が、キリトのSSで相殺されてしまう。その隙に、フードの女性が…
「…!『アスナ』!!」
「!!」
『アスナ』は間一髪、コボルトロードの攻撃をかわした。しかしフードが引き裂かれた。そこから露になった美人顔で、栗色の美しい髪。そしてその髪と同色の瞳がコボルトロードの隙を捉えた。
「はぁああああああ」キイィィイイイン!!
細剣スキル〈リニア〉が直撃し、吹き飛ぶコボルトロード。
一瞬、キリトはその女性に見とれたが、すぐに態勢を立て直し、
「次、来るぞ!」
キリト、アスナ対コボルトロードの攻防戦。激しく、剣と剣がぶつかり合い、SSが炸裂する。コボルトロードが押されていて、二人の方が優勢に見えた、
しかし、
「しまった!」
コボルトロードのSS〈幻月〉を直に喰らってしまったキリト、アスナを巻き込むようにして吹き飛んでしまう。さらに〈幻月〉は技後硬直が短い。あっという間に距離を詰められ、追撃のSS〈緋扇〉が襲い掛かる。
この時、アスナは避けることができた。しかし、そうすれば確実にキリトにSSが当たってしまうことになる。なので、アスナがが選んだ選択は『防ぐ』こと。迫りくるノダチ。アスナは意を決した。
「でぇええいああああああ!!!」ブオン!!
ギィイイイイン!!!
後ろから野太い声と共に、緑色に輝いた斧が〈緋扇〉を相殺する。
「回復するまで、俺たちが支えるぜ!」
「アンタは……!」
それはエギルだった。その後ろからも数人の人がコボルトロードに飛び掛かり応戦する。
しかしすぐさま、コボルトロードの範囲攻撃で吹き飛んでしまう。そのまま上に上昇しSSを発動して、下で倒れているエギル達に目掛けて、ノダチを振り下ろそうとするコボルトロード。
「はぁああぁぁあああ」ブゥオッ!!
ガギギギギィィィィン!!!!
振り上げた
「ソル!」
キリトが叫ぶ。そう、笛使いは
【自分強化(移動速度上昇)】そして、
(『狩猟笛』スキルのレベルを上げることによって)効果付与はさらなる
狩猟笛スキル『
【自分強化Ⅱ(攻撃弾かれ無効)】
そう、コボルトロードが吹き飛んだのは、この効果があったからだ。起き上がったコボルトロードは、ソル目掛けてノダチを振り下ろした。が、
バギイィィイン!!ガギィィイン!!ベキイィイイイン!!!
いとも簡単に、あしらわれてしまう。そして、
「やあぁああ!!」ゴォ!!
槍のように、笛を突き出す。見事にコボルトロードの顔面に直撃する。すると、コボルトロードが
「スタンが入った!!キリト君!『アスナ』さん!スイッチ!!」
「「了解!」」
ソルの両サイドを駆け抜けていく二人。ソルは笛の吹き口を加えると、
ガルルゥガアアオオン!!!!ガルルゥガアアオオン!!!!
『狼』の鳴き声の如く、高音で鳴り響く美しく、鋭い旋律が響いた。それはその場にいるプレイヤー全てに聞こえた。
(っ!力が…!)
(みなぎってくる…!)
赤、青、青、赤。それによって、自分を含めたパーティーの受ける効果付与は、
【攻撃力上昇(倍率1.2倍)】
「「はあああああああああああああ!!!!!」」」キイイイィィィィィイイイインン!!!
交互に二人のSSがコボルトロードの体を突き刺し、切り裂く。そして、
「うあああああああああああああああああ!!!!」
キリトの片手剣SS〈バーチカル・アーク〉がコボルトロードを縦に切り裂いた。そして、
イルファング・ザ・コボルトロードはポリゴンとなり、ハデに散っていった…。
しばらくして、誰かが声を上げた。
「……や、やったあああああああああ!!!!」
静寂を破るように次々と歓声の声が上がる。皆が皆喜び合っている。
その奥で、何度も深呼吸をするキリト。彼の目の前には、経験値、素材、そして…
『コートオブミッドナイト』
レアアイテムを手に入れたのだ。
「お疲れ様」
「キリト君、お疲れ」
後ろから声が聞こえたので、振り返ると、ソル、エギル、そして『アスナ』の三人が、立っていた。
「見事な剣技だった。congratulation。この勝利はアンタのものだ!」
「いや…、最後の…ソルの笛の効果付与がなかったら倒しきれていたかどうか…」
「そんなことはないですよ。やってても、やらなくてもキリト君が、倒してましたよ」
「謙遜はするなよ。やった方がマシだったからな」
「そうだ、アンタもすごい演奏だったよ。まさしく『ホイッスラー』、戦場で奏でるperformerだ。それにさっきはありがとうな。借りができちまったな。」
「い、いやそんな!…」
「すごかったぜ!」
「よっ!まさに名剣士!」
「すげー綺麗な旋律だったぜ!おもわず、聞き惚れてたぜ!」
周りから賞賛の喝采が、彼らに贈られる。別に大した役割はしなかったと思っているソルだったがただただ純粋に嬉しかった。、皆から『認められた』と思った。それは多分、キリトも同じ気持ちになっただろう。
だが、
「なんでや!!??」
とある男性の怒号で静まりかえってしまったムード。声の方に向けると、キバオウと数人のプレイヤーがいた。
「なんで…!なんで、ディアベルはんを『見殺し』にしたんや!?」
「…『見殺し』…?」
キリトに対して発言したキバオウの言葉に、キリトが思わず聞き返す。ソルも思わず、聞き返そうとしてしまった。
「そうやろうが!!自分はボスの使う技を知っとったやないか!!『最初っから』あの情報を伝えとったら!ディアベルはんは死なずに済んだんや!!」
さっきのムードとは一転して、周りのプレイヤーが、キリトを疑い始める。キバオウに続くように、
「きっとアイツ、『元ベータ・テスター』だ!!だからボスの攻撃パターンも全部知ってたんだ!知ってて『隠したんだ』!!他にもいるんだろ!!ベータ・テスターども、出て来いよ!!!」
その言葉で、ほとんどのプレイヤーがお互いをも疑い始める。疑心暗鬼になるの状況のなかで、
「待ってください!」
ソルが声をあげ、なんとかこの事態の収集を試みる。
「仮にも彼が元ベータ・テスターだったとして、『
「それは…ディアベルさんを殺すためn」
「彼は実際、『駄目だ、全力で後ろに跳べ』って、言ってました。ディアベルさんを殺したいのなら、あんなことは絶対に言いません。ディアベルさんが死んで、今後の攻略の遅れにも影響が出かねないのに、今、この場にいる皆さんがいったい何の得をするんですか?」
「そ、それは…!」
「ここにいるのは『他の皆のため』にと募った仲間です。その仲間がこの場で、お互いを疑うことに意味はありません。『第1層』で
一通り言い終えると、少なくとも疑心暗鬼な雰囲気はなくなっていた。ソルの的を得た言葉はキバオウたちの反論を断ったのだ。これで何とかなる。そう思っていたソル。
しかし、その中の一人のプレイヤーがとんでもないことを言ってきたのだ。
「なんで、アイツを元ベータ・テスターを庇うんだよ…。!そ、そうか!きっとコイツも、『元ベータ・テスター』なんだ!!」
「…ハイィ!?」
完全に予想外な言葉で、ソルは目を白黒させて驚いてしまった。
「おい、お前!!」
「ちょっと、アナタねぇ…!」
さすがに、エギルと女性も声を荒げ、キバオウ達と言い争いに発展しそうになる。このままじゃまた、さっきみたいな状況に戻ってしまう。ソルは焦った。
「フハハハ、アハハハハハ、アーハハハハハ!!!」
「「「「!」」」」
キリトだった。
「おいおい、冗談きついぜ。
「な、なんやと!?」
あのキリトとは思えないぐらいの口調にうろたえるキバオウや他の人たち。ソルは驚きよりも、違和感を覚える。キリトは続ける。
「『SAO・ベータテスト』に当選した1000人のほとんどは、レベリングのやり方も知らない初心者だったよ。今のアンタらの方がまだマシさ」
キバオウたちのところへ歩き出すキリト。
「でも、俺は
…他にもいろいろ知っているぜ。『情報屋』なんか問題にならないくらいにな」
「な、なんやそれ…。そんなん、ベータ・テスターどころやないやんか…!もうチートやチーターやろ!そんなん!!!」
キバオウの言葉を肯定するするよにキリトを非難するプレイヤーたち。とあるプレイヤーの言葉が言った。『ビーター』だと。
「『ビーター』か…。良い呼び名だな。
そうだ、俺はビーターだ。これからは元テスターごときと一緒にしないでくれ。」
そう言いながら、先ほどのレアアイテム『コートオブミッドナイト』を装備するキリト。そして、不敵な笑みを浮かべながら、部屋をあとにする。
その後姿から、とてつもない孤独と寂しさを感じたソルは、一歩遅れてキリトを追いかける。
ぎゅう~
後ろの人に頬をつねられた。
「いだい!いだい!いだだだだ!!」
「まったく、キリト君は何をしているんですか…」
つねった犯人はソルだった。
「な、何すんだよ!?」
「君の頬をつねってるんですよ。それに『その
そう言って、手を離すソル。するとキリトは俯いて、
「…こうするしかなっかたんだよ…」
「何も、全てのヘイトが君に注がれる必要は、少なくともなかったよ」
「……」
「まぁ、過ぎてしまったものは仕方ないし、時間がなんとかしてくれるよ」
「…俺は『ビーター』だぞ」
「それが何んですか?それなら僕は『元ベータ・テスターの疑いがあるホイッスラー』だよ」
「…お前…、絶対怒ってるよな?」
「うん、怒ってる」
「……すみませんでした」
「わかたよ。もう、怒ってないよ。それじゃぁ、早いこと『次の層』に向かおうよ」
「ああ、そうだな」
仲直り(?)が済んだところで、早速『第2層』を開放しようとする2人。
すると、
「待って」
後ろから、聞き覚えのある誰かに止められた。2人が振り向くと、パーティーを組んでいた女性が立っていた。
「あなたたち、戦闘中に私の『名前』を呼んだでしょ?」
「ごめん、呼び捨てにして。それとも呼び方、違った?」
「……どこで知ったのよ?」
キリトの質問に質問で返してきた『アスナ』。ソルは答える。
「画面の左上、つまり『自分のHPバー』の下に、2つのHPバー表示されていて、その『下』に何か書かれてないかな?」
そう言われたアスナは、自分の左上を見た。…すると、
「『キリト』…に、これは…『ソル』って読むの?」
「「うん」」
しばらくポカンっとするアスナ。すると、プッと吹いて笑う。
「うふふ、なーんだ。こんなとこにずーっと書いてあったのね!」
はじめて、ニッコリと笑うアスナ。それにドキッとしたキリトと、どこかニッコリと感じる顔をするソル。キリトは慌てて、前に戻すと、
「君は『強くなれる』。だから、もし、いつか誰か信頼できる人に『ギルド』に誘われたら、
「なら、アナタは?」
その問いに対して無言になるキリト。彼はパーティーの解散を押した。画面の自分のHPバーの下にある2本のHPバーがなくなる。
「またな、次の『攻略会議』で会えたらいいな。死ぬなよ、二人とも」
そう言って、キリトは一人前に進む。その後ろ姿を見届けるソルとアスナ。
「あの子…『キリト』君は大丈夫なのかな…?」
不安そうに呟くアスナ。
「…『さっきのこと』で絶対、いつの日か、彼は
「『挫折』…か…」
ソルの言葉に、アスナはその単語を呟く。
キリトが歩いて行ったその道は、いつまでも、どこか寂しさが漂っていた。
いかがでしたか?
ハッキリ言って、自分は失敗してしまったな感を感じています。いつもは5000~6500字以内で書き終わらそうとしたのですが、前回と同じように、倍近く長くなってしまいました。
また、アニメの話の前半、後半に分けて書いたのですが、あまりソルの言動や心情などが書けませんでした。
あまりにも長く書くと、ボリュームはあるのですが、ある意味読みにくくなる原因にもなってしまうと、自分は思っています。
読みづらいなと感じてしまった読者の皆さんには申し訳ございませんでした。
なので、一話を3分割、もしくは4分割にしようと思っています。
また、誤字脱字の修正はするとして、この話のリメイクはしません。それは、『自分の失敗の戒め』として残しておきます。勝手ながら申し訳ございません。
まだまだ試しの段階ですが、ご理解いただけると幸いです。
チャップリン精神の如く『次回の話が自分の最高傑作』になるように書きます。
これからもよろしくお願いします!
次回はまた(主に自分が)悩むような話になります。あれも入れたいし…、こういう事も入れたいし…ああ悩む!そう言った感じです。今日はとりあえず、ここまでとさせていただきます。
では次のお話でお会いしましょう。
次回 「ソロ笛ですが、なにか問題でも?」