えっ?笛で戦ってるのって僕だけ?   作:モグ・モグラ

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どうも、モグ・モグラと申します。

ピョンピョンする第十八話です。

通算UAが19000人突破!?(モチベーションだけは)止まるんじゃねぇぞ…(自己脅迫)
ありがたみしか感じません(嬉し泣き)


それではどうぞ、ごゆっくりと


第十八話~二羽追う者は一羽も得ず、なんて誰が決めた!?~

2024年 10月17日 第74層の森

 

ここの森は日差しの通りも良く色んな動物が住んでいる。小動物から大型動物までが生態系バランスを崩さぬように日々生きている。そう至って平和だ。

そして、これから一人の人間にその平和が脅かされるのだ。

 

ガサガサガサッ

 

茂みから何か音がする。

 

ギラッ!

 

その茂みから妖しい眼光が今日の獲物を捕らえる。その眼光の先には二羽の兎。小柄で如何にもすばしっこい様な体。紐のように長い耳。この兎たち、ラグー・ラビットが今回の獲物だ。

 

ドクン…ドクン…!

 

心臓の音らしき音が周囲に聞こえそうなぐらい高まる。しかし、その音を出さないように落ち着き、抑える狩人(プレデター)

罠は十分。

策は十分。

全体の流れ(シュミレーション)も十分。

後必要なのものは、情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ

そして何よりも、

 

 

 速 さ が 大 切 だ 。

 

 

(…よし…)

 

今よりこの森は少しの間だけ戦場(・・)になる。

狩人(プレデター)ことソルはふと、とある言葉を思い出した。師に当たる人の言葉を。

 

---陽太、『二兎追う者は一兎も得ず』ということわざを知っているか?なんでも狩場で欲をかくと、兎だけに限らずに、どんな獲物も結局一匹も捕まえることができないって意味なんだけどな……---

 

そう言った男の手にはだらんとした(・・・・・・)兎を何羽も掴んでいた。

 

---正直、わりとイケるもんだったよ何羽でも---

 

 

かくして、幼き少年(ソル)はとあることを学んだ。

 

 

二兎追う者は頑張れば二兎とも得られると!

 

 

確かに、辞書を引けば二つのものに欲張ろうとすると失敗したり、中途半端で終わてしまうという戒めのことわざでもあるが、それは欲張るだけ(・・・・・)の話だ。逆に、二つでも三つでも、全力で頑張れば同時にできるということを少年は見せられたのだ。

とまぁ熱く語るのもここまでにして、話を戻そう。

今、ソルの視線の先にはそのラグーラビットが二羽いるのだ。そしてその二羽を一気に捕まえる作戦だ。

先ほども言った通り仕込み()流れ(作戦)も万全だ。

そして、ついに始まる。

 

 

(落ち着け…落ち着くんだソル……、CQCを思い出すせば…!って、そこまでは行きませんが)

 

少しだけふざけたもののすぐに真剣になるソル。手元にある紐をグイッと引く。

すると、

 

ガラガラガラガラ!ガラガラガラガラ!

 

「「!?」」

 

何かの打ち付けあう音が所々から鳴り響く。その音にラグー・ラビット達はたまらずに驚く。

野生の動物は常に音に敏感である。その規則性を使って驚かす。それは大きければ大きい音ほどびっくりしやすい。

このSAOにリアル要素があるのだとすればこの手は効くだろうと踏んでいたソル。そして案の定、兎たちは驚いている。

普通、こういう時は音がする方向とは逆の方向に逃げるのが野生動物や一種の生物がとる方法であり、習性なのだが、兎達はそうすることができない(逃げることができない)。なぜなら、

 

(なぜなら、あらゆる方向に鳴子を設置していて、この紐を引けば一斉になる仕組みになっているんです!え?どうやって仕掛けたのか?それは企業秘密です)

 

心なしかどこか自慢げになるソル。その間にも兎達はどこに逃げていいのか混乱する。

 

(さて、行きますか(狩りますか))ヒュッ・・・

 

その後の瞬間を描写しよう。

 

ソルは近くの木を力いっぱい、かつ音をたてないように蹴った。それはまるでピストルから射出した弾丸のように素早く、兎達の所まで綺麗な一直線を描くように跳んで行った。

しかし、兎達も野生の動物だ。こんな時にでも感覚が優れていて、すぐに気配を感じた方に振り返る。

 

 

そこには視界いっぱいに棍棒みたいなものが入ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第50層 アルゲード

 

ここはアインクラッドのちょうど中間に位置する層の街。今日も仲間と雑談や作戦、予定などの会話を楽しむ人々がたくさんいる。

そんな中でも別に誰とも行動とか会話をするわけでもないソルはとある店にまっすぐ向かうところだ。

そんな、別に何もない中、

 

ワイワイ…ガヤガヤ…ザワザワ…

 

「?(何か騒がしいような…?)」

 

ソルが感じたのは街の騒がしさだった。この街が騒がしいのはいつものことだが、今日は別の意味(・・・・)で少し騒がしい。

ソルも気になり、その騒ぎの原因になっている所へ向かうと、

 

「おいおい、『血盟騎士団(KoB)』がここにいるぞ」

 

「あれって『閃光のアスナ』じゃね?」

 

「可愛いな~」

 

(アスナさん?)

 

ふと他の人たちの漏れた言葉を辛うじて拾うソル。どうやらアスナがここの層に来ているらしい。アスナとは先ほど出てきたギルド名『血盟騎士団』、通称『KoB』の副団長を務める、攻略組で珍しい唯一の紅一点な女性プレイヤーだ。今ある攻略組のギルドの中でも飛び抜けて高い実力を持つ、まさにエリートの中のエリートチームなのだ。

見回りでもしているのかな?と考えるソル。すると、向こう側から、

 

「お、おいアスナ…。あれでいいのかよ…?」ズルズル

 

「いいのよ、別に……って、あれ?」グイグイ

 

「アスナさんに…き、キリト君?」

 

ソルの目の前にいる2人はたしかに『黒の剣士』ことキリトと『閃光』のアスナなのだが、なぜかアスナはキリトの首ねk、じゃなかったコートの襟を掴んでズルズルと引きずっていたのだ。アニメなどでは絵になるが、本物かつ現実で見るとハッキリ言ってださいことこの上ない。

 

「……」ニガワライ

 

流石のソルも若干引き気味だった。

 

「ソル、頼むからそんな捨てられた子犬を哀れむような目をしながら引かないでくれ…!」

 

「アッハイ…というよりどうしたのですか?他の人たちが少し騒いでましたよ?」

 

するとアスナは少しだけ苦笑いしながら首を横に振る。

 

「ううん、なんでもないよ!ソル君はこれからどこに?」

 

「僕はエギルさんに少し相談が。アスナさんたちはこれからどこに?」

 

「ああ、実はあsむぐぅ!?」

 

「あ、あす?」

 

キリトが答えようとした時、横からアスナの手がものすごい速さでキリトの口を塞ぐ。

 

「ええ、実はキリト君と明日の予定でも相談しようかなって……あっ、そうだ」

 

「?」

 

アスナは何か思いついたらしく、少しいたずらっぽい顔をしながら聞いてきた。

 

「ソル君ってたしか料理スキル持ってたよね?」

 

「料理スキル?ええ、持ってますよ?」

 

ソルは頭に?を浮かべながら答える。アスナは一体何を言いたいのだろうか?

 

「ふふ~ん、実はね、料理スキルをコンプリートしてたのよ!」

 

「なっ……!?」

 

(ああ、アスナの奴、ソルに自分のスキルを自慢するんだな…)

 

若干、アスナをジト目で見るキリトだが、二人はそんな視線に全く気付かない。

 

「おめでとうございます!アスナさん!」

 

ソルも心なしか若干興奮する。流石は食堂屋を切り盛りしている人の子、こういうことには反応せずにはいられないのだ。

アスナもアスナで褒められて少しだけ表情が緩んでいる。とてもあの『攻略の鬼』とは思えない。

 

「まぁでも、家で色んな料理レシピにチャレンジしたからを頑張ってつい先sy――」

 

「実は僕も料理スキルをコンプリートしてまして!」

 

「―――………………え?『僕も』??」

 

アスナは言おうとしていて言葉を飲み込んだ。この少年は今なんて言った?

 

「そ、ソルも料理スキルをコンプしてたのか?」

 

キリトがおそるおそるアスナの代わりに聞いてみる。アスナの方は未だに何を言っているのか分からないといった表情をしている。

 

料理スキルは文字通り料理に対する熟練度のスキルだ。あっても無くても差し支え問題はない、ただの娯楽スキルだ。持ってない人たちはそれこそ料理スキルを使ってレストランを切り盛りしている人の店に行くのだ。

料理も食材さえあればなんだって作ることができる。勿論、ハンバーグやカレーみたいなもの(・・・・・・)も作ることができる。しかし、ここで注意しとかなければいけないことがあり、料理とは言ってもやはりアタリハズレがある。それこそいい例なのがどこかの層のラーメン…いや、あれはラーメンとは程遠い、ラーメンの姿に似ている何か。噂を聞きつけた人が食べたところによると、一口食べただけでわかってしまったのだ。

あ の ま ず さ を 。

この場にいる三人も実際に食べたことがある。感想は満場一致だったのである。

話は戻り、ソルは無表情のままに答える。

 

「ええ、つい『半年前』にコンプリートしてたんですよ!あっ、でも攻略もあってかなかなか言えるタイミングとかも無かったんですよ…。それに趣味スキルなんで」

 

「は、半年前…!?」

 

「…え?半…年…?」

 

二人はさらに驚く。キリトはただただ純粋に感心した驚きだったが、アスナの方は…

 

「…?アスナさん?どうしましたか?」

 

「」

 

「あ、アスナ?」

 

アスナはと言うとすごい作画崩壊を起こしていた。まるでFXで有り金を全部溶かした人の顔そのものだった。

 

「あ、アスナさん?な、なんかすごい顔になってますよ?まるでチ〇プとデ〇ルの区別がつかないような顔になってますよ…?」

 

「いや、もうこれじゃぁミ〇キーとミ〇ーの区別すらつかないんじゃぁ……」

 

「アスナさん、犬と魚の違いは?」

 

「…どっちも空を飛ぶことでしょ?」

 

((あ、駄目なやつだ、これ))

 

アスナの(トンチンカンな)答えに二人は少し動揺し始める。なんか気まずい。

するとキリトが、

 

「わ、悪いなソル。このあとアスナと相談があるんだ。ソルもエギルに用があるんだろ?(汗)」

 

「う、うん、そうだったね。じゃ、じゃぁ、ここらで失礼するね。またね(汗)」

 

「お、おう。じゃぁまたな、ソル」

 

「半年…半年…、またね、半年君」

 

ソルは半ば逃げるような感じでキリトと別れる。後ろからは心なしか「半年…半年…負けた…」と呟く誰かの声が聞こえたような気が…いや、やめとこう。触れぬ者に祟りなしだ。

このまま一直線にエギルの店に行った。

 

 

 

 

――途中に、

 

「…?」

 

何か、誰かに見られているような……

 

ソルは謎の視線を感じる。

 

「………っ」・・・ッサ

 

チラリ

 

ソルは視線の方向にばれないように手鏡を見る。この手鏡は第1層のあの時(・・・)に貰ったものだ。ほとんどの者が捨てたり、壊したりしてしまったが、ソルは今でも捨てきれずに大事に持っているのだ。

それで、ソルはその手鏡を覗いてみた。すると、

 

(……やはり見られているね)

 

案の定、ソルはとある男性に見られていた。それもソルとは面識のない男だ。しかし、

 

(この白い鎧……『血盟騎士団』の人かな?)

 

男性の特徴、それは何といっても純白の鎧。それだけでどこの人なのかハッキリわかってしまう程の知名度、そう、まさに『血盟騎士団』の人だ。

ではなぜ、そんな人が…?

 

(まさか、スカウト?…いや、多分無いですね。スカウトだったら敵対心たっぷりな眼はしないですからね…)

 

ソルは一つの可能性を否定した。その理由はソルの言った通り、男性の眼に敵対心なるモノを感じるからだ。ソルは長年の旅先での経験と勘で判断する。あの眼は絶対にそうだ。

なら、

 

(あまり、いつまでもあんな風に見られていたら僕も堪ったものでは無いですので…!)

 

ガヤガヤワイワイガヤガヤ

 

そう言って、ソルは人混みに紛れる。そして、〈隠密〉スキルを発動する。これなら相手を撒くことができるだろう。ソルのスキルはどれも高い。ソルの〈隠密〉スキルでも見破れる人は数少ない。

 

 

 

人混みを抜けるころには男性の視線を感じることもなく、安心したソルはエギルの店に早足で向かって行った。




さて、いかがでしたか?

またしても、投稿が遅れてしまい申し訳ございませんでした。しかも3週間でこの量とは…(泣)
少し、書き方を変えて4000~5000文字で分割してみようかと思います。もし、これでペース及び、モチベーションが維持できればこっちの方を取ろうかと思います。すみません、何もかもが試行錯誤ですので、引き続きお付き合いいただければ自分としても幸いです。

さて、次回予告です

立てば(肉の色は)紅、座れば(肉が)業火、歩く姿は(肉の)終末戦争!
お肉は(ミディアム)消毒だ~!!
フレッシュ!レア!ミィィィトォォォ!!!!
ミート!ミート!ミート!ミート!
よろしい!ならば戦争(ミート)だ!!
今ここに、S級食材をかけた聖戦(ジハード)が始まる!

ソル「……なにこれぇ?」

次回「兎の肉、鍋で煮込むか、鉄板で焼くか」

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