激動の第十五話です。
だいぶ間を置いてしまいました(汗)前回の話と少しちぐはぐになってるかも・・・。
そんな時は修正(リメイク)すれば大丈夫ですよね(白目)
それではどうぞ、ごゆっくりと。
このSAOには3種類のスキルがある。
1つ目は誰もが初期から持っている通常のスキル。これはそのスキルの使用を重ねることでレベルが上がり、より高度なスキルの効果の上昇または専用の技を身につけることができる。
2つ目は誰もが初期からは所持してないものの、とあるクエストや条件を満たすと使えるスキル、『エクストラ・スキル』。
そして3つ目、これは全くもって一切の情報が無い、いつ、誰が、どんな時に、発現するのかそれさえも不確定な不明のスキル。それを『ユニーク・スキル』と言う。
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第50層 『ボス部屋・裏』
「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァアア!!!!!!」ブゥンッ!!
ゴォォォオッッッ!!!
「くっ!!」ッサ!
ドガァァァン!!!
この世のものとは思えないおぞましい声、衝撃波ができるくらいの轟音、飛び散る大きな岩の瓦礫、そして舞い上がるは砂煙。
そしてその煙から、次第に一人の影が浮かび上がる。
「ケホ!ケホケホッ!」
今、咳をしている人物こそがこの物語の主人公、ソルこと黒井陽太だ。
そしてその彼は今、絶体絶命の窮地に立たされていた。
「っくぅ…!(なんて速さだ!あれだけの巨体で素早くかつ、正確に狙ってくるなんて…!)」
ソルの目の前には5m以上の、刺々しい骨でできた白い巨体のモンスター『片割れの白き
(こうなったら…!)ササッ・・・
ソルは素早く柱の陰に隠れる。その数秒後に、砂煙も晴れ、悪魔の目に映る視界の範囲も徐々に広がる。
案の定、そこにはソルの姿は見当たらない。悪魔は早速、キョロキョロと探し始める。
その間にソルは柱から柱へと、気づかれないように悪魔の背中が見える所まで移動する。
そして、
(ここだッ!!)
完全に背後をとったソルは飛び出し、悪魔に攻撃を仕掛ける。悪魔はこちらには気づいていない、今なら『不意打ち』の効果で大ダメージとのけぞらせることができる。
そう確信したソルだったが、
「おっと、私を忘れていないかい?」ヒュンッ!!
「っ!!」
突然、白い大きな狩猟笛を振りかざす、黒い少女、シロが横から飛び出る。打撃の方向からして明らかにソルを狙っている。
「っく!」グイッ
腰を落とすことによって体の重心を低くして、シロの打撃を躱そうとするが、
「無駄だ!遅すぎるんだよ!!」ギュンッ!
シロの打撃は思ったよりも速い。このままじゃ、ソルに直撃する…
「(ここだ!)っハァ!!」
筈だったが、ソルは狩猟笛を頭と同じくらいの位置で構えると、
ギギギギギギギギィ~!!
狩猟笛どうしが激しく、火花を散らしながら、笛はお互いの体や頭に当たることなくそれぞれの方向に向かう。
このことに少女は舌打ちをする。
「っち、受け流したか・・・こざかしい真似を!」
「伊達に…こっちも…鍛えられてますので…!」
そう言って、笛を構えようとした瞬間。
「グアァァァアァァァァァアアァァア!!!!」
悪魔に気づかれた。流石のソルもこれには内心で焦る。しかし悪魔はそんなことを気にもせずに、ソルを見つけるなり、すぐさま拳を振り上げる。
その挙動を見るなり、ソルは回避態勢を取ろうとするが、
「あははっ!まだまだ私に付き合ってよ。まだ始まったばっかりなんだからさぁ!!」ブンッ!
「っ!」ッバ!
か”ッッき”い”ぃ”い”ぃ”い”い”ん”!!!ガチガチガチガチッ!!
笛が激しく鍔迫り合いを起こしながら、低い重低音を鳴り響かせる。
ダメだ。シロが妨害をしてくる。その間にも悪魔はソルの命を狙いに、その巨体に似合わない速さで向かってくる。
「っぐ、うおおぉぉおぉおお!!」
「!!」
今の危機的状況を打開するためにソルはあらん限りの力を出し尽くすように、強引に振りかぶる。
ギギギギギギギギギッギン!!!!
そのおかげか、今の鍔迫り合いはソルの力量が僅かに上回り、シロを打ち負かす。
「っく、くそ!」
シロもよほどの想定外だったのか、悔しさや憎しみが顔に出ている。そして、ソルはそのまま、
ドガッ!
「ぐふっ!?」
シロに蹴りを入れる。蹴りは見事にシロの腹に命中し、シロは後方に吹き飛ぶ。さらにそこから、
「……!」ダダダダッ
「グウオオオオオオオオオウウゥゥ!!!」
悪魔に向かって走り出したのだ。当然、悪魔は目にも止まらぬ剛速球並みに殴りかかる。
が、
「はぁっ!!」ザッ
ズザザザザザザザァ……
ソルは悪魔の股をくぐるようにしてスライディングをする。すると、
「グゥルルル!!??」
悪魔は攻撃態勢に入ったせいか、それとも命中する自信があったのか拳の勢いを殺せずに、大きく空振りをしながら、
ドガガガガガガッ!!!
大きな柱に突っ込んだのだ。激しく衝突をして倒れ込む。
「はぁ……はぁ……」
その光景をみながら、ソルは肩で呼吸をしてなんとか息を整えるようにする。しかし、ソルも別に無傷ではない。現在のソルのHPバーは既にイエローゾーンに達している。また、笛の耐久力もギリギリ限界だった。このままではどちらかを無力化するのさえ無理だ。ソルは考えていると、
「ふん…、よく私を相手にここまでやれるとはな。少しは誉めてやろう」
シロがつまらなそうな表情をしながら、こっちに近づいてくる。見るからにさっきの蹴りは効いていないようだった。
「グゥアアアァァアアァァアアァアア!!!!」
そして、反対側にいる悪魔もあまりダメージを受けていないようだった。
「……キツイ…ですね。これは・・・」
思わず本音がこぼれてしまう。シロはそれを聞いてさぞほくそ笑む。
「ほう、そんなにキツイならいっその事
「…生憎、僕は『楽して死ぬより苦しんで生き延びろ』って教われたんで、今楽になるのはやめときます」
「ほう…、じゃぁ苦しみながら死ね」ブンッ!!
「っ!」ッバ!!
ガギンッ
重低音が鳴り響く。また鍔迫り合いの状況になるが、ソルは苦虫をかみつぶしたような表情になる。
ソルのレベルも筋力値もこのSAOのプレイヤーたちのなかでは現段階での水準を超えている。別に弱くなんかない。むしろ攻略組の最前戦に、常にいた。だから強い方だ。
しかし、
「くうぅぅぅう!?」
「ははは、どうした?さっきまでの威勢はどこに行ったんだ?」
どうしても、目の前にいる
(くっ…!どうしても力負けしてしまう!なんで!?)
そんな苦しむソルを見たのか、シロは満悦する。
「さっき、私は二つの『ユニーク・スキル』を持っていると言ったよな。一つは『笛吹き王』。そしてもう一つは『極限』だ」
「『極限』…?」
ソルは知らないワードに思わずつぶやく。
「『極限』はありとあらゆる肉体の、力の出力を制限を解除するスキル。私はそのスキルに
「え、選ばれた……?」
ソルは息も絶え絶えになりながらも、なんとか言葉を返す。
「そうだ!『極限』だけじゃない、『ユニーク・スキル』は選ばれたものだけにしか発言しないスキル…、私はそれを二つも手に入れることができた!だからこそ…」
シロはより一層大きな声で叫ぶ。
「だからこそ!私は復讐をする!例え全プレイヤーが死んでもだ!狩猟笛を、あの人を嘲笑い続けたやつらを全て、終わらしてやるんだ!!!!」
「ぐっ!」
シロの憎悪の気迫にソルは思わず押されてしまう。その間にも…
「グゥォォオオオオオオオオオ!!!!」
「…!」
悪魔が突進を仕掛けてくる。このままではソルは突進をもろに喰らってしまう。
(こうなったら…!)
ソルはなんとか持ちこたえながら片手でポケットから
瞬間、強烈な閃光と爆音が二人を中心に、この部屋を包み込んだ。
「うっ!?!!?」
「グゥゥゥゥゥゥォォォォオオ!!!!」
脳裏までを焼き尽くすような鋭い光、そして。それは少し遠くにいた悪魔にも影響を与えた。
数秒後
「くそっ!小癪な真似をぉ!!!」
次第に視力と聴力が回復してきたシロだったが、案の定、ソルはそこにはいなかった。
「どこだ!!どこにいる!!隠れても無駄だぞ!!」
シロの叫び声が部屋に響き渡るが、それでも出てこない。
(なんとか身を隠すことができました……)
一方のソルは瓦礫の中に身を潜めていた。
先ほどの閃光と爆音は彼が護身用として常にポケットに忍ばせておいた閃光玉と音爆弾だったのだ。不意打ち気味になんとか成功することができたが、
(もう、この手の手段は通じないね…。それに……)
ソルはアイテム欄を確認した。そこには狩猟笛があと
(やっぱりあの笛……
魔剣…それは、伝説の武器の一種であり、高い攻撃力、他の武器では比較にならないほどの耐久値(もしかしたら耐久値の概念が無い)を持つのだ。まだ、入手した者はいないとのことだったが…。
(今更そんなことを気にしてても仕方がない…!今はシロをどうにかすることだけを考えるんだ…!!)
ソルは自身を叱責する。今優先すべきことはシロを倒してクロを連れて帰ることだ。例え戦局が不利だったとしてもだ。
それに、少しづつだが、シロの性格も分かってきたのだ。
(確かに、スキルも武器も数値もあの子の方が上だ。真っ向からの勝負は絶対に僕が負ける……。だけど勝機が無いわけではない……。今はここに隠れて様子を伺おう。なにかしらの隙はある筈…!)
好機を伺うためソルは今は待つことを選択した。
「……くそ。どこに隠れた…」ブンッ
ドゴォ!!!
また一つ、大きな柱が粉々になる。しかし、
「…っち、ここにもいない…」
そこにソルはいない。
「どこに隠れている…!あれだけ啖呵を切っておきながら自分は姿を隠すのか?…ふざけるなぁ!!!!」
シロは自分の感情をぶつけるように瓦礫の山を吹き飛ばす。少女の力とは思えないぐらい遠くへと吹き飛んでいく。
「くそ!くそ!くそくそくそくそくそ!!!くそぉっ!!!」
怒りが、憎悪が、焦燥が、泉のようにとめどなく湧き上がってくる。
そんな時、
(シロちゃん…シロちゃん!)
「っ……!」
シロの脳内に響く、自分と同じ声、この声はまさしく、
「クロか…!今は邪魔をするな!!」
(駄目だよ!!こんなこと絶対に駄目だよ!!!シロちゃんとそるおにいちゃんが戦うなんて!絶対に間違ってるよ!!)
今にも泣きそうな声でシロに戦うことを止めるように促すクロ。
「うるさい!黙れ!私は
それに対してシロは声を荒げながら怒鳴る。
(そんなこと…そんなことをしても!
「なんだと!?」
クロの言葉にシロは完全に食い掛る。
「クロ!お前はまさか
(……それは……)
シロの言葉、特に『あの時のこと』を聞いたクロは言葉を濁らせてしまう。シロは続ける。
「あの時、私は命からがらに逃げ切れた……。皆が、皆が逃がしてくれたからだ……。皆の犠牲があってこそ、私は生き延びたんだ…!」
(シロちゃん・・・)
「だから決めたんだ…!絶対に『奴』をあぶりだしてやるって!!そして『奴』を殺してやるんだって!!もう、後戻りはできないんだ!!!」
(だからって…だからって!!無関係な人たちを巻き込むのは絶対に間違ってるよ!!!お願い!もうやめて!!これ以上そるおにいちゃんを、自分自身を傷つけないでよぉ!!!)
「……うるさい……うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい――」
ドゴォ!ドガァ!!バゴッ!!!
次々と柱を破壊していくシロ。まるで自分にとって不都合なことを誤魔化すようにありったけの力で破壊していく。
「………」
もちろん、さっきのやり取り(独り言)を聞いていたソルは、黙っていた。っと言うよりは深く考え込んでいた。
(シロの言っていた『皆』…。と言うことは、『武器に宿る意志』はシロ・クロだけじゃないんだ…。他にも、その仲間がいて、誰か、シロの言う『奴』にシロ・クロ以外が皆殺しにされた……)
ソルはさっきのやり取りを自分に分かりやすくまとめた。そして、そのまとめで真っ先に感じたことが一つあった。
(これじゃぁ……シロが…クロちゃんが…
皆を殺されて復讐に走るシロ、それでも必死に正しく、まっすぐに生きようとするクロ。そしてそれらは人々からも
あまりにも可哀そうすぎる。今思えば、最初に会った時も、クロがなぜソルと接触したのか。そしてソルを殺しに襲い掛かってきたシロも、今ならわかるような気がすると感じたソル。
(そうか…クロちゃんもシロ……シロちゃんも常に自分のことで精一杯だったんだね…)
だから偶然にも自分は助けを求められた。だから偶然にも自分は殺されかけた。そう思うと、やるせなくなってしまう。
「……………」
だからこそ助けてあげたい。クロちゃんも、シロちゃんも。
ガラッ、ガラガラ
「!!(!!)」
シロは音のした方に振り返る。そこにはソルが瓦礫の中から出てきたとこだった。
(そるおにいちゃん!?どうして!?)
「………」
「……ッハ」
沈黙を破ったのはシロだった。先ほどまでの様子とは違って、余裕そうに言う。
「もう敵わないと思って、諦めたのかしら?まぁ、お前を終わらせることができるから逆に助かるわ」
「…………」
「でも、楽に死ねると思うわないことよ?じりじりとHPを削られて、死の恐怖を存分に味わうといいわ」
「…………」
「……ねぇ、さっきから何を黙ってるの?怖くて声も出ないの――」
「もうやめようよ」
ソルのその言葉にシロがきょとんとする。沈黙が再び漂う。それから何十秒しただろうか、
「…ッハ。何言ってるの?全然意味がわからな――」
「だからもうやめようよ」
「……」
ソルは先ほどと同じことを繰り返し言った。シロはというと、先ほどとは違い何か困ったような、不意を突かれたようなすこし驚いたような表情をした。
その顔にはどこか思いつめたような表情が見え隠れをしていた。
「君の身の周りで起こった事はさっきの話を聞いてたから大まかなことしか分からなかいけど、それで君が復讐しても結局は何も変わらないよ。何も」
「………」
次はシロが黙ることになった。ソルは続ける。
「君がやろうとしてることは自己満足にも満たされないことだ。自己中心的で、他の人を巻き込んで、そして無駄死にをしようとしている」
「…………」
「せっかくその『皆』が身を犠牲にして作った
「…ざ……な」
シロが何かを呟く。しかし、ソルは続ける。
「何が『皆のおかげ』だ。君がその皆を殺したも同然じゃないか――」
「ふざけるなァァアアアア!!!!!!!!!!」ッバ!!!
ッグ、ドガッ!!
そう叫びながら、シロはものすごい速度でソルに急接近し、そして首を掴み、壊れた柱に叩きつけた。
(シロちゃん!!シロちゃん!!やめてぇ!!!!)
今、シロに体の支配権を取られてしまっているため、クロはあらん限りの声でシロに叫ぶことしかできない。
「黙れェ!!どいつもこいつも!!私の邪魔ばかりしやがって!!!綺麗ごとばかり言いやがってェ!!!正論ばかり言いやがってェ!!!!!」
思いっきり首を絞めつけるシロ。ソルのHPバーは徐々に減り続け、遂にはレッドラインに突入した。
それでもソルは抵抗をしなかった。
「ああ、そうだよ!!復讐はしちゃいけないことだ!悪いことだ!でも!私が!!私たちが一体何をしたって言うんだよ!!!!!ただ――」ポタ・・・
「…っ!」
「――ただ
「………」
「…それなのに……それなのに!!なんで皆が殺されないといけないの!?どうして!!どうしてわたしが怯えながら逃げなきゃいけないの!?」
少女の嘆きはただただ響き渡る。無残にも虚構に消えてゆく。
「なんで!なんで、逃げないといけないの!!??なんで怯えないといけないの!!??」
「………」
少女の声は震えを隠しきれなくなる。それでも少女は言葉を精一杯につなげる。
「なんで!?なんで私は戦っちゃいけないの!!??なんで!?あの時『逃げろ』なんて言ったの!!??私は、
少女の口調、先ほどまでは冷徹な女性の声をしていたが、
今は……今にも泣きそうで、怯えた、そんな少女の声だった。
「何故!?何で!?なんで――――
――――
その言葉を言ったのと同時に少女の手から力が徐々に抜けていく。そして
ドサッ…
少女の手から開放されたソルは地面に尻もちをつける。
「ごほっ!ゴホゲホッ!」
ソルは何度か咳き込むがすぐさま息を整えた。
「………………」
ソルは無言で立ち上がり、そして目の前で泣き崩れている少女を見る。
「なんで…なんで…なのよぉ……皆…皆わたしを置いていくの……なんで逝っちゃうの…なんで逃げろって言うのぉ………」
もはや先ほどまでの少女とは思えないほどの変わりようだった。ソルはそんな少女に膝をついて、
「シロちゃん」
肩に手を置いて、優しく声をかける。
「シロちゃん…僕には、君がどれほどのつらい思いをしたのかはわからない。その『皆』が誰なのかすらわからない。でも、シロちゃんがどれだけその『皆』のことを大好きだったのか分かる気がするんだ。そしてその『皆』がどれだけシロちゃんのことを想っていたのかも。…だからこそ、皆は君にただ、これからも生きてほしかったんじゃないのかな?」
「…生きて…ほしかった……?」
「うん。あまりうまく説明できないけど、君には何とかしてでも生き延びてほしかったんだと思う。『皆』は君に復讐に走ってほしくはないと思うんだ」
「…生き…延びる……」
「それにクロちゃんも」
「……ふぇ?」
「クロちゃんがいてくれたおかげでシロちゃんはここまで生きてこれたんだと思う」
「……で、でも、わたしには何もできなかった…。皆と一緒に戦うことも、シロちゃんの暴走を止めることも……」
「ううん、それでもクロちゃんは精一杯頑張ったよ」
そう言って、ソルはクロの頭に手を置き優しく撫でた。
「……うん…うぅ……」グス・・・
「だから戻ろう…僕でよければ
その時だった。
「ぐぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」ガガガガガガガガガガガガッ!!!!!!!!
「っ!?危ない!!!」ガバッ!
「きゃっ!」
ソルは急いで少女を突き飛ばす。突き飛ばされた少女は短い悲鳴と共に吹き飛ばされる。
瞬間、部屋一面に鈍い音が響き渡る。
そして、少女はとある光景を見た。
ローブの少年が宙を舞っているのを。
さて、いかがでしたか?
だいぶ間が空いてしまったことにつきましては本当に申し訳ありませんでした!
話の構成と流れにだいぶ行き詰ってしまいました。やっぱり小説は維持し続けるのが難しいです(汗)
でも未完には絶対にしませんのでどうかご安心を!!
さて、次回予告に入りましょう!
いつかした、少年と少女の約束。
――少年は言った、「これは約束だね」と――
――少女は言った、「これは呪いだよ」と――
これは何の変哲もない普通の物語。
これは少し変わった少年の物語。
ここから始まるのだ。本当の意味で。本当の始まりで。
次回「魂の渾沌 約束」
では次のお話で会いましょう。