えっ?笛で戦ってるのって僕だけ?   作:モグ・モグラ

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どうも、モグ・モグラと申します。

後半戦突入の第十四話です。
だいぶ間を開かせてしまって申し訳ございませんでした!!

それではどうぞ、ごゆっくりと。
※少しだけ最後の部分を修正しました。


第十四話~魂の渾沌 正体と真実~

第50層 『ボス部屋』

 

またの名を『第2のクウォーター・ポイント』。

『クウォーター・ポイント』とはアインクラッドの100層を4分割に分けたときの、25層、50層、75層のことを指す。その『クウォーター・ポイント』最大の特徴はとにかく、ボスが尋常じゃないレベルで強いということなのだ。当然の如く、死者(・・)が多く出た。ましてや、勢力のあったギルドの1つが壊滅状態に追い込めれるほどだった。ソルにとってもあまり、思い出したくないボス攻略戦だった。

 

「…………」

 

そして、彼、ソルは第50層の『ボス部屋』に来ていた。そう、彼の目的を達成するために。

ボス部屋と言っても、一度クリアしたボスモンスターは二度と復活(リポップ)しないため、この部屋はある意味、安全区域になっている。

 

(…ここに、『隠し通路』みたいなのがあるって聞いたけど…)

 

ソルはキョロキョロと辺りを見渡す。特にこれと言った怪しい所は見つからない。

っと、思っていたら、

 

「……あれ?ここだけ……」

 

ソルは一部の床に違和感を感じる。何と言うのだろうか、踏んだ時の感触がそこだけ少し違うのだ。

 

(『ボス攻略戦』の時は気が付かなかったけど、改めて落ち着いて調べれば、こんな違和感にも気づけるのか…)

 

ソルはそう思いながら、床を触ると…

 

 

…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

 

 

「!」

 

何かに反応したのか、突如、床の一部が動き始め、やがて数分もしないうちに地下へと続く階段ができたのだ。

 

「これが…この階段を下りれば…クロちゃんに…!」

 

迷いなく階段を下りるソル。クロの言っていた通り、『隠し通路』になっている。本来ならば、ここはワクワクウキウキの探索気分になるだろうが、今はそんな気分を持ち合わす余裕はない。

 

「…………………………………………………」コツ・・・コツ・・・コツ

 

薄暗く、長い廊下にソルの足音だけが響く。どれだけ歩いても着きそうにないぐらいの長い時間だったのか、それとも短い時間だったのか分からなくなるぐらいに。

やがて、それなりに広い部屋にでる。それと同時にろうそくの灯りが一斉に灯り、部屋の構造が露になる。

その部屋は大きな柱が対になるように立っていて、まるで神殿のような石造りになっており、所々にツタや蜘蛛の巣が張り付いている。

 

 

そして、ちょうど段差になったステージみたいな所に、誰か(・・)がいる。

いや、待っていた(・・・・・)のだ。

 

 

白と黒混ざりあった模様ののローブに身を包まれており、フードで顔を隠している何者かに気づくソル。そしてソルは呟くように言う。

 

 

「クロちゃん……」

 

 

 

「先ほどぶりだね。そるおにいちゃん…とは言っても今は『クロ』じゃないけど」

 

「え?」

 

後者の方の言葉にソルは?を浮かべる。その様子を見てクロはクスリと笑う。

 

「ふふっ、正確には『半分』クロなの」

 

「えっ……それって、どういうことなの?」

 

「それを今から説明するつもりです。貴方(・・)は『知る』ためにここに来たんですよんね?」

 

「…っ!」

 

まただ。

あの時のようにまた口調が変わったのだ。そのことに少しうろたえるソルだったが、

 

「…うん」

 

そう言って首を縦に小さく振る。

 

「分かりました。ではその前に一つだけ質問をします」

 

クロは少し間を置く。そして、口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方はいつ、私がただのプレイヤーじゃない(・・・・・・・・・・・・)ことに気がついたのですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

他の人がいれば、その質問は意味不明なものにしか捉えることしかできない発言。ソルは少しだけ黙っていた。

 

「一体いつから分かったのですか?やっぱり第1層に部屋が無かったことですか?それともつい先ほど、貴方の意識に入り込んだ時のことですか?」

 

クロはソルを問い詰めるように質問する。今までのクロとは思えないほど、冷たく、鋭く、どこか無機質を感じさせるような声。

その質問にソルは、

 

「第1層の時の部屋がない。って発言のときも薄々思っていたけど、確信したのは――」

 

「……」

 

ソルはゆっくりとした口調で言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昨日の晩御飯の時の君の発言で確信した」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………っえ?」

 

意外な返答だったのか、素っ頓狂な声をだす、クロ。

 

「っえ?っえ?それってどう言う――」

 

「これでも僕は料理人の端くれだよ?今時にね…、食べたことがないって言うならまだしも、ハンバーグを『こんなの』とか、『カレーライスって何ですか?』は日本に住んでいる人として流石にないと思うよ。だから、そこで確信しちゃったんだ」

 

「……」

 

本当に意外な返答だったのか、クロは固まってしまう。が、やがて、

 

「…………っぷふ」

 

クロが吹きだす。

 

「あはははは、あははははは!」

 

幼い少女の笑い声が部屋に響く。

 

「あはははは…、っふ~。くふふっ、まさかそんなところで気づくなんて、やっぱりそるおにいちゃんはすごいね」

 

笑いをこらえていたクロだったが、次第に落ち着き、やがて

 

「………」

 

無表情の顔でソルを見つめなおす。少しだけ冷や汗が浮かんでくる。

 

「さて、知りたかったことは知ることができたので、本題に入ります」

 

少女は続ける。

 

「SAOIDナンバー1001番、プレイヤー名『ソル』もとい、『黒井陽太』。貴方はここへ来た以上、それなりの覚悟はできていますか?」

 

「うん…!」

 

少女の問いに答える、ソル。

 

「分かりました。それでは、貴方に全てを打ち明けましょう。私たちの『存在』を」

 

少女の声が部屋に響き渡る。その声にソルは覚悟を決める。

 

 

やがて、少女の口から、衝撃の事実が明かされる。

 

 

「最初に言っておきます。私たち『クロ』と『シロ』はプレイヤーではない(・・・・・・・・・)こと。つまり……

 

 

……『現実の人間ではない』です」

 

「に、『人間じゃない』?」

 

思わず、聞き返すソル。

『ただのプレイヤーではない』ことにソルは気づいていたが、スーパーアカウントか管理者だろうと考えていた彼の想像の斜め上の答えが返ってきたのだ。

 

「それは……NPC…ってことなの……?」

 

ソルはおそるおそる聞く。クロはその問いに首を横に振る。

 

「いいえ。それとはまた違う『存在』です」

 

「そ、それじゃぁ……い、一体………?」

 

ソルはますます混乱する。この世界の住人は(モンスターを除けば)プレイヤーかNPCしかいない。クロの言う『また違う存在』とは一体……

 

「このSAOは確かに、ほぼすべてが茅場晶彦の手によって作られたゲームと言っても過言じゃありません。NPCやモンスターなど、ありとあらゆるシステムが全て彼によって創造された……。しかし、」

 

一瞬だけ間が空く。クロは一息すると、また口が開く。

 

「しかし、私たち、『クロ』と『シロ』は生み出された(・・・・・・)存在なのです」

 

「『生み出された存在』?」

 

「はい」

 

ソルの確認に頷くクロ。そして続けざまに言う。

 

「その上、私たちはある意味特別な(・・・)システムなんです。プレイヤーでもなければNPCでもない。それなら、私は何か(・・・・・・)?お答えします。私たちは――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――『武器』です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………………………………………は?」

 

今度はソルが素っ頓狂な声をだす。あまりにも衝撃的でかつ、まったく意味不明な発言だった。

 

「え?『武器』?く、クロちゃんとシロが『武器』?な、何を言ってるの?」

 

ソルの瞳にはちゃんと一人の少女が映っている。誰が見ても1人の少女だ。

 

「すみません、少し語弊がありましたね。正確には『意志が宿った(・・・・・・)武器』と言う事です」

 

「意志の…宿った武器……?」

 

ソルはますます混乱する。道具に意志が宿る?少女の言っていることはまるで昔話みたいだと感じる。

 

「確かに、いきなりこんなことを言っても理解できないでしょう。でも、これは本当のことです。私たちは『意志の宿った武器』なんです。そして――

 

 

 

 

――私は『狩猟笛』に宿る意志なんです」

 

「な、なんだって!!??」

 

ソルは驚愕のあまり表情が出る。

 

「そう、私たち、クロとシロは狩猟笛に宿る意志なんです。だから…」

 

そう言って、少女の何も無い筈の手に黒く、大きな笛が現れる。

 

「こんな風に自分を宿した(・・・・・・)武器を出すことも出来るのです。そしてその逆もまた然り」

 

「…………」

 

完全に石のように固まってしまったソル。少女の言葉が嘘ではないことを確信してしまったのだ。認めてしまったのだ。

 

「じゃ、じゃぁ…」

 

ソルはやっとのことで言葉を紡ごうとする。

 

「茅場晶彦は……クロちゃんたちを……作ったんだ…」

 

ソルはそう簡潔に、自分に言い聞かせるように、言った。

 

しかし、

 

「いいえ。私たちは茅場晶彦の手によっては作られていません」

 

「……はい?」

 

クロの否定がさらにソルはポカーンとなる。どういうことだ?っと、ポーカーフェイスなソルの顔に出る。

 

「私や狩猟笛は茅場晶彦によって作られた存在ではありません。茅場晶彦とは別の人に作られたのです」

 

「っ!べ、別の人って…?」

 

ソルはその疑問を問おうとするが、

 

「すみません…。これに関しては教えることができないんです。私が生まれたときからずっと、その人は名前や素性を私たちに伏せていました。もちろん、調べることも出来ないようにして…」

 

クロはそう言って顔を俯かせる。ソルはその間にも頭の中で必死に今までのことを整理させようとしていた。

 

(…クロちゃんとシロは意志を宿した武器…。そしてクロちゃんたちを作ったのは茅場晶彦ではなく、他の誰か……。……はぁ、分からない…全てが謎だらけだ……)

 

「…でも、これだけは分かるんです」

 

「?」

 

考え込んでいると、クロがポツリポツリと語りだし始める。

 

「狩猟笛はそのお方が作られたもう一つのシステム。狩猟笛の効果付与はプレイヤー達の可能性を見出してくれる存在になる筈だった(・・・・)のです…」

 

「え?『筈だった』…?」

 

「結果は悪い方になってしまったのです。貴方も分かっているはずですよ?これまでに狩猟笛がどんな評価をされていたのかを……」

 

「……」

 

クロの指摘にソルは気まずい表情になる。心当たりがありすぎるのだ(・・・・・・・)。実際に狩猟笛がどんな評価をされているか。

 

 

 

それは酷く、散々なものだ。

 

 

 

ソルも狩猟笛が酷評を受けているのか、やり込んでいくうちに気づいたのだ。確かに、狩猟笛はどちらかと言えばサポートの部類に入る。慣れるまでに多くの時間が掛かる、重いくせに攻撃力は斧や棍棒よりも劣っているし、『旋律効果』も旋律を覚えとかなければいけない、吹けばモンスターに狙われやすくなり、吹いてる方は隙だらけ、そしてSAO醍醐味の『SS』もない。またキリトから聞いた話だと、ベータ版の時もあまり良い評価じゃなかったらしい。さらに、その情報は初心者(ビギナー)にも知れ渡っていたのだ。そのこともあってか、誰も狩猟笛を使わなくなった。

 

結果、狩猟笛を今でも使っているのはソルだけと言っても過言じゃない。

 

「プレイヤーの、皆さんは狩猟笛は使えない武器だと、揃って、非難をしました。…もちろん、使っていた人も…いました…けど、それも短い…間でした…。そしてその人たちもまた……」ハァ・・・ハァ・・・

 

「く、クロちゃん…?」

 

ソルはクロの異変に気付く。何やら苦しんでいる。その証拠にだんだんと息遣いが荒くなっている。

そして、

 

「う、ううぅ…!」

 

クロはその場にしゃがみ込んでしまう

 

「ど、どうしたn—―」

 

そう、駆け寄ろうとしたとき、

 

「来ちゃダメ!!」

 

「!」

 

クロに怒鳴られるソル。思わずたじろいでしまう。

 

「ダメ……に、逃げて……」

 

「ど、どうしたの!?本当に!?」

 

戸惑うソルにクロは逃げるように言う。

 

「し、シロちゃんが…!ダメ!もうこれ以上、抑えられない!!だから!は、はやく!にげ――」

 

て。と言おうとした瞬間。

 

 

「う、うぅぅぅうあぁあぁあぁぁああぁぁあああぁぁぁあああああああ!!??!?!??!」

 

「!?く、クロちゃん!?!?!?」

 

クロは悲鳴のような金切り声をあげ、頭を抑え、もがく。

 

「ああぁぁああぁあ!!!??!?!??う、うぐうぅぅぅううぅぅううぅぅううう!!??!?!??!」

 

「く、クロちゃん!!しっかりして!!」

 

ソルはクロに駆け寄る。

すると、

 

「邪魔だ!!」ブンッ!!

 

ドガッ!!

 

「っが!!?」

 

少女がいきなり笛でソルを吹っ飛ばす。ソルは一瞬何が起こったのか分からなかった。

 

「がはッ、ごはッ…」ハァーハァー

 

不意を突かれたソルだったが、なんとか素早く呼吸を整える。それと同時にソルはとある嫌な悪寒(・・・・)を背中で感じる。

 

「…………」

 

そこにいる少女(・・)少女(クロ)じゃなく、

 

「……クロちゃん…いや、君は『シロ』だね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ、あははは!あーははははは!!三度も会えるなんて、うれしいよ!だから……今度こそ、今度こそ!お前を終わらせてやる!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女(シロ)がいた。

 

「…………」

 

「?どうしたの?まさか、(シロ)が出てくるなんて予想外だったのかな?だとしたらどんな気持ち?ねぇねぇ♪今どんな気持ち♪」

 

「…………一つだけ、聞きたいことがある」

 

シロの挑発に乗っかることなく、ソルはシロに質問をする。

 

「……何?」

 

シロはというと、急に冷めたような感じで聞き返した。

 

「君が何で僕を恨むのか、よく考えたけど、やっぱり分かんないんだ。これまでに君とは一度もあったことも無いし…」

 

「……ふ~ん。そういうことね」

 

冷めきった反応を示すシロ。もはや興味が失せたというような目だった。

 

「なんでお前を憎んでいるのか……、そんなの決まって簡単だ」

 

シロの鋭く、ソルを睨む。

 

「お前だって…どうせあいつらと――」

 

「あいつらって、狩猟笛を捨てた(・・・)人たちや批判した人たちのこと?」

 

「!」

 

ソルの指摘にシロが目を見開く。ソルは続ける。

 

「クロちゃんから聞いたよ。君たちは『狩猟笛に宿る意志』なんだよね。そして、狩猟笛がどれだけ酷評されていたのか」

 

「…………」

 

「正直、僕も最初は狩猟笛に思い入れはなかったよ。それこそとてつもなく使いづらかったよ。使い始めてから2,3週間で辞めようかなって思ってった時期もあったよ」

 

「………………」

 

「でもね、ある人(・・・)とね、約束したんだ。『狩猟笛を使って、ゲームをクリアしろ』って。だから使い続けたんだ。だから今の僕がいるんだ。狩猟笛を使っている僕が」

 

「…だから」

 

シロがやっとのことで口を開く。心なしか体も微かに震えている。

 

「だから、それがどうした…!どうせ!どうせ、お前もいつかは裏切るんだ!!アイツらと同じように………そうか…そういうことか」

 

「?」

 

「ふふ、ふふふ、ふははははは!あはははは!危ない危ない、危うく引っ掛かるところだったわ」

 

シロはいきなり何かを悟ったと思ったら、急に笑い始める。

 

「わざと同情して、私が心を開いてくれるんだー。みたいな展開にさせようとしていたでしょ!あー危ない、まんまと私が引っ掛かるところだったわ」

 

「……………………」

 

「あら、本当にやろうと思っていたの?…ぷ、ぷふふっ!本当なの!?本当に本当なの!?!?」

 

「…………………」

 

「あーっはっはっはっははははははは!!!馬鹿みたい!どんだけ純粋で、正直者なの!腹が痛い、腹が痛いわ!!あ~っはっはっははは!!!」

 

「………………………」

 

シロの笑い声が部屋に響き渡る。逆にソルは無言を貫く。

やがて、シロは肩を上下させながら笑いを止める。

 

「久々に笑うことができたわ。しかも、こんなにもすがすがしくね。

だからこそ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ムカつくわ」

 

「………………」

 

シロは凄まじい形相でソルを睨む。

 

「お前みたいなやつが一番ウザいんだよ。なに?偽善者?ふざけんじゃねぇよ…!!!」

 

「………………」

 

それでも、ソルは無言を貫く。シロはそんなソルにイラつく。

 

「もういいわ。今度こそ、お前を…お前を終わらせてやる、いや、殺してやる!!!!!!!!!!!」ゾォォッ!!!!!!

 

「!」ゾクッ

 

シロの尋常じゃない、3回の出会いの中で一番、背筋が、身体の芯までが凍り付くような感覚に襲われるソルは、武器(狩猟笛)を構える。

 

「2回とも殺しそびれたけど…、今回は違う。もう、お前を殺す覚悟はできた!!やっぱり、お前はあの人(・・・)とは違う!!!」

 

そう言いながら、シロは何もない空間から、白く、大きな笛を取り出す。

 

「それはどういうことだ…!?」

 

シロの言った『あの人』…。それはもしかしたらクロが言っていた人物と被っているかもしれない。ソルはそう考え込もうとするが、

 

「うるさい!!!!!ふふ、私は…お前とは違って『ユニーク・スキル』を持っている。それも『2つ』も!!!」

 

「ゆ、『ユニーク・スキル』だって…?」

 

「だから…今度こそは…絶対に殺す……。…殺す…殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

もはや、ロボットのように繰り返すシロを止めるすべはただ一つしかない。

 

「………やむを得ない………」

 

ソルは目を瞑り、呟く。

 

 

 

「なら僕も、(シロ)を倒して――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          ――(クロ)を連れて帰る…………!」

 

ソルは笛を構える。その黒い瞳はシロをしっかりと捉える。

そこには、迷いなき覚悟、倒す覚悟、倒される覚悟を持った瞳だった。

 

「ふん、抜かせ!!私に勝てると思うなよ!!!!!!!!!」

 

そう言うと、シロは笛を素早く振り回し始めた。白い笛に3種類のオーラが纏われる。

が、ソルはそんなシロの行動に不気味さを覚え始める。

 

(なんで、そんなに笛を振り回しているんだ?)

 

そう、シロはただただ(・・・・)、笛を振り回しているのだ。それに何の意味があるのか。っと思うソル。

するとシロが吠えるように叫ぶ。

 

「ただ振り回しているわけじゃない!!これはユニー・クスキルの中の1つ、『笛吹き王』を所持している者だけにしか発動することができない旋律効果!!!3つのオーラを使って、99こ(九十九)の順で正しく笛に纏わせる!!!」

 

「きゅ、『99』!?」

 

ソルは驚愕する。そんな旋律はまず覚えることが不可能。いくら何でも無茶苦茶すぎる。そう、思っている間にも着々と笛にオーラが纏う。

その光景に、何やらとんでもない嫌な予感を感じたソルはすぐさまシロの奇行を止めようとする。

 

 

が、

 

 

「もう遅い!!!!お前は!!!確実に!!!

 

 

 

終わりだァァアァァアァアァァァァァアアアァァアアア!!!!!!!!!!!」スゥッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴゥゥゥォォォオオオォォォオオオオオォオオオオォオォォオォオオォオォオォォォオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おぞましい笛の旋律が何度も部屋を重複し、響き渡る。

すると、

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォ

 

「っ!?今度は何!?!?」

 

突然、凄まじい地震が起こる。部屋にも地割れみたいなのができる。

 

 

 

 

そう、その地割れから何か(・・)が出てきたのだ。

 

 

 

 

「なっ!!!!!?????」

 

ソルはそれを見て絶句する。そこには……

 

 

それは、とてつもなく大きく。

 

それは、骨からできているであろう、その禍々しいほどの白い巨体。

 

それは、見たものを絶望に染め上げるには十分な威圧と殺気。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで、『悪魔』そのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ!!!嬲り殺せ!!圧倒的な絶望を叩きつけろ!!

 

 

 

 

                『片割れの白き悪魔(ウロボロス)』!!!!」

 

 

 

 

 

ついにローブの少年(ソル)黒き少女(シロ)の最後の戦いが始まろうとしていた。




さて、いかがでしたか?

自分でも読んでいて少し駆け足気味になってしまいました
随分と間が空いてしまいました。今月はリアルな都合で色んなことがあったので、自分も少しグロッキー&スランプ状態、そしていくつもの修正の無限ループ。
正直、まいっててしまいました。
本当に申し訳ございませんでした。
この話はあと2話で終わらせる予定となっております。

さて、切り替えて次回予告に入りましょう。
ソルVSシロ、3度目の正直!!ウロボロスの圧倒的な強さとシロのもう一つのユニーク・スキルにソルは苦戦!?ソルの勝機は果たしてあるのか!?
今日はとりあえず、ここまでとさせていただきます。

では、次のお話でお会いしましょう。

次回 『魂の渾沌 悪魔と決着と…』

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