処女作品ですが、楽しんで読んでもらえたら自分もうれしいです。
自分はアニメしか見ていないので、原作とは違うところ、飛ばしてしまっているところとかがあります。注意して読んでください。
それではどうぞ、ごゆっくりと。
2022年 11月4日 夜
とある食堂『鳥の巣 食堂』。小さい食堂ながらも地元では有名な食堂である。
そんな食堂は今夜だけ、少し騒がしい夜だった。
何故騒がしいかというと----
「「「「「「「15歳のお誕生日、おめでとう!!!」」」」」」」
----そう、今日はとある人の誕生日なのだから。
テーブルの上には、これまた美味しそうな料理がいくつも置いてある。
「お誕生日おめでとう、陽ちゃん」
「ありがとう。お母さん」
「もう15歳か…。早いなぁ~陽くんも。私なんて気が付けば60代後半だよ」
「おやおやぁ、何言ってるんですか、じぃじ。じぃじはまだこれからじゃないですか」
「もう私なんて歳よりだよ、年寄り。最近はもう腰が痛くて痛くて、かなわないよ」
「それなら私だってとっくに腰が弱くなる年齢ですよ。そもそもじぃじは…」
「もう!じぃじもばぁばも!今回は陽ちゃんの誕生日なんですから、自分たちの歳や腰の話ばっかりしないでください!」
だんだんと話が脱線してきたところで、お母さんが二人の年寄りに注意する。
「ああ、そうだった、そうだった。すまんすまん」
「おやまぁ、私としたことが。ついうっかりしてしまったわい」
「あはは、いいよ、別に気にしないで、じぃじ、ばぁば」
今回の誕生日の主役、
「もう、陽太はホントに優しいんだから」
「違うよセシリア姉さん。兄貴は甘いのよ!それも特大に!」
「あれ~?アリサお姉ちゃん~、なんで陽太お兄ちゃんを兄貴って言ってるの~?日本に来る前まではいつも、『おにぃt…」
「わ~!!?わ~!!?何言ってるのカーラ!?全然わからないな~!?あはは~!!」
そう言って次女のアリサは末女のカーラの小さい口を力づくで押える。
「んん~!むごご~!」
「こら、アリサ。カーラが苦しがってるじゃない」
長女のセシリアがアリサに注意をする。アリサから開放されたカーラはぷは~と酸素を求め深呼吸をしている。
「だ、だって~…」
「ダメだよアリサ、言い訳は」
セシリアに続いて、陽太もアリサに優しく注意をする。
「うぐぐ……ふん!」
完全に反論の余地がなくなってしまい、拗ねるアリサ。その時、アリサの後ろから
「あらあら、アリサ何をそんなに拗ねてるの?」ニヤニヤ
「……なんでもないわよ、
「いや~、青い春が来たな~ってね」ニヤニヤ
「おちょくってるの!?ぶん殴りますわよ!?」
「お、落ち着いてアリサ。メアリー
陽太は完全に頭に血が上ってしまったアリサをなだめながら、メアリー叔母さんと呼んだ人へ注意した。
しかし、ここで疑問に思った人はいるかもしれない。なぜアリサはメアリーを「お母さん」と呼んで、陽太は「叔母さん」と呼んだのか。
実は、陽太とセシリア、アリサ、カーラの三姉妹は従姉弟(アリサ、カラーから見れば従兄妹)同士の関係なのだが、小さいころ、一緒に過ごした時間が長かったため、アリサ、カーラは彼を「兄貴」、「お兄ちゃん」と呼んでくれるまでに至った。
「え~、我が娘ながらにして、最高にいじりがいあるんだから、これぐらいどうってことないわよ~」
「いじりがいがあるって何なのよ!?」
「あ、それには同意だわ」
「セシリア姉さん!!??」
「たしかに~アリサお姉ちゃんは~いじりがいがあるの~」
「カーラまで何言ってるの!??」
などと非常に会話が盛り上がっている(?)中で突然食堂の出入り口からガラッと開き、そこから、
「っよ!悪い。遅れちまったな!」
「あ、
ひょこっと現れた男、仕事帰りなのか、サラリーマン風のワイシャツ、ネクタイに長ズボン、片手にはブレザーを、もう片方は大きな紙袋を持っていた。
「もう、遅いですよ蓮さん!とっくに始まってますよ!」
「悪い悪い。なんせさぁ、今日は結構客が多くて多くて、仕事を消化するのにだいぶ時間が掛かっちまったよ」
「もぅ、謝るなら陽ちゃんに言ってください」
「なはは、そうだな。悪りぃな、陽太」
「大丈夫ですよ、先生。気にしてませんから」
この「蓮さん」もしくは「先生」と呼ばれた人は、陽太の父と母の友人であり、幼馴染でもある、
「おお!そう言ってくれるとありがてぇ!そんな優しい陽太にはプレゼントを贈呈してやるよ!ハッピーバースデー、陽太」
そういって、大きな紙袋を渡す先生。持ってみた感じは、すこしばかり重い。
「ありがとうございます!先生!…一体何が入っているんだろう?」
「開けてみな。多分、お前でさえびっくりするほどの代物だ」
先生から許可をもらった陽太は、紙袋から二つの包み紙に包まれたモノを取り出す。
一つはでかい箱みたいなもので、もう一つは小っちゃいものだった。
陽太はわくわくしながら大きな箱の包み紙を剥がすと、驚いた。
「先生…
「ああ、そうだ。…『ナーヴギア』だ」
その場にいたじぃじとばぁば、蓮以外の皆の目が見開く。
『ナーヴギア』
バーチャルリアリティ技術を搭載したマシンであり、脳に直接、マシンに内蔵されているハードの無数の信号素子で構成された多重電界に接続することができ、仮想空間での五感情報が脳に反映される、言わば『仮想空間で足や手を自由に動かせるどころか、実際に触れたり、臭いを嗅いだり、料理を食べられる、という感覚を味わうことができる』というすごい発明品だ。
最初のころは遊園地などの娯楽施設の中のほんの極少数でしか導入されていなかったが、『茅場晶彦』が設計した、民生用の、まさに第一号機なのが、今、陽太が持っているのがナーヴギアなのである。
「えっ、えっ、えっ、…う、嘘でしょ……」
「な…、なんで…、私、夢でも見てるのかしら…?」
「お~!ナ~ヴギアだ~!すっご~い!初めてみた~!」
三姉妹がそれぞれ感嘆の声を上げている。無理もない。今、三姉妹が必死にお小遣いをみんなで貯めている最中であり、そのお目当ての物が目の前にあるのだ。
セシリアは目を白黒にさせてるし、
アリサは自分で自分の頬をぎゅ~っとつねっているし、
カーラはぴょんぴょんと跳んで陽太が持っているナーヴギアをまじまじと見ていた。
一方のお母さんとメアリーの方はというと、
「う、嘘…これ…本当に陽ちゃんにあげちゃっていいんですか…?」
「はは~ん、これがナーヴギアか~。雑誌とかでもたびたび見たけど、やっぱり実物は迫力は違うよね~」
こちらも、感嘆の声をあげていた。母さんは蓮に申し訳なさそうに、メアリーはいつの間にかカーラと一緒に目を輝せながら言った。
「ばぁばや。蓮君は陽くんに、バイクの免許でも取らせる気なのかね?」
「はてなぁ…?最近のバイクはヘルメットにも質を上げているのかねぇ?私たちの世代じゃぁ、よく鍋をヘルメット代わりにしてたもんだよ」
「あははぁ…、おじちゃん、おばちゃん、これはちょっとっていうか、かなり違うんだけどねぇ…。あ、あはは」
じぃじとばぁばのどことなく感じるジェネレーションギャップに思わず苦笑いする蓮と他の一同。話を戻すために陽太は、
「そういえば、もう一つの包み紙は……」
そう言いながら、丁寧にもう一つの小さい包み紙を剥がすと…、
「こ、これは…!」
「フフーン。ゲームするには必ず
なんと1万人にしか、販売されていない世界初のVRMMORPGゲーム『SAO(ソードアート・オンライン)』のソフトだった。
これには、ポーカーフェイスで物静かな陽太も流石に興奮した。ついでに三姉妹は彼の何倍も。
「せ、せせ、先生!い、いい、いいんですか!?こ、こここ、これも!?」
陽太の声が震えている。それぐらい陽太は限定商品には縁が無いのであろうが、今は別。陽太の手にはちゃんと、一万人にしか手の入らないゲームを持っているのだから。
「ああ、いいぜ。なんせ俺の仕事の手伝いや旅に付き合ってくれたご褒美だ。」
まさに神様のお恵みだ、今まで生きててよかった~っとかつてない幸福感に包まれる陽太。すると…
「そんなに喜んでくれたなら、俺も嬉しいよ。でも、ちゃんと
「は、はい!」
そう言ってドタバタと部屋の奥に行く陽太。そんな彼の後ろ姿を見た母さんは、どこか懐かしそうに呟く。
「あんなに陽ちゃんがはしゃいだのは本当に久しぶりだわ…。ありがとう、蓮さん」
「良いって、良いって。逆に、俺にはこれぐらいしかできねぇからな…」
「でも、結構並んだでしょ?蓮さんはどこら辺で並んでたの?」
「い、いや~、どこだっけ~。結構並んでたから、最後尾ぐらいかな~?」
「ネット予約制だったし、結構ギリギリだったんじゃない?そうだとしても、本当に蓮さんには申し訳ないわ…」
「あ、あはは~。ソ、ソウダネー」
なぜか冷や汗をかく蓮。言動がおかしいがそれに気づかない一同。
(言えない…言えるわけがない…実は速攻でネットで一番に予約して、発売の何日か前で一番に並んでったって、それで陽太たちにバレないように、買ってすぐに取材から逃げるようにして、
※『鳥の巣 食堂』は静岡県にあります。
陽太が奥の部屋に入ると、その部屋の隅っこにある一つの仏壇がある。そこには、一枚の写真が置いてある。写真には若いのに白髪の男性が一人映っている。パッと見怖そうな雰囲気だが、どことなく優しい感じをか持ち出す、そのような男性の
仏壇に、線香をあげ、ちーんとおりんを鳴らし、手を合わせる陽太。
しばらくすると彼の口が開く。
「『お父さん』、今日は僕の誕生日なんだよ。15歳になったけど、まだ実感がわかないんだ…。『まだ』15歳かって…、あ!あとね、先生からとてもすごい誕生日プレゼント貰ったんだ!」
っと無邪気に、楽しそうに話す陽太。まるで、そこに本当にお父さんがいるかのように………。
しばらくすると、
「なんだ、まだここにいたのか、陽太。お前が来ないとケーキが出ないって、アリサが文句言っているんだが」
「あ、先生。分かりました。今行きますね」
そう言って戻ろうとしたが、
「ああ、ちょっとした話がある。ここで良い」
「…?何でしょうか?」
すると、
「さっき、お前にあげたゲームあるだろ?」
「ええ、SAOがどうしたんですか?」
「まぁな、実はとある『縛り』をお前にやらせようかなってな」ニヤニヤ
「…『縛り』…?」
「そうだ」
と、ニヤニヤし始める蓮。大抵、蓮がこの顔をするとこの先、死ぬほどいやな予感しかしないのは蓮の旅に付き添ってた陽太の、彼の経験上だ。なぜなのかは、別のお話で…
「はぁ、先生。嫌な予感はしますが、一応聞きますが、何ですか?」
「おいおい、なんだよ、そのイヤ~な予感がするって顔はー!まぁ、いいっか。それでなその『縛り』の条件なんだけどな…」
蓮が一呼吸すると、
「SAOの武器のカテゴリーに『狩猟笛』っていうのが、あるんだがな」
「『狩猟笛』……、あのモ〇ハ〇の『狩猟笛』みたいなやつですか?」
「そう、そんな感じだ。それでだ、……もう俺の言いたいことは分かるだろう?」
「すみません、分かりません」
「おいぃ…、はぁ、もう普通に言うぞ。陽太!お前には『狩猟笛』
「………」
「………ん?どうした?」
陽太は驚いていた。いつもは、この状況の流れから絶対に碌じゃないことが起きるのが想像できるほどの内容だったのに、今回は予想と違っていたからだ。思いがけない事態に陽太は目をパチパチさせていた。
「あり?ちっとハードすぎだったか?…それなら『体術』スキルもつけていいぞ?…って、聞いてるか~?もしも~し?陽太~?」
「………は、はい。…聞いてます…よ?」
「なぜ、疑問形にしたし?まぁ、いいや。その『縛り』でSAOをプレイしてくれ。…アーユーオーケー?」
「は、はい…。分かりました…?」
「また、疑問形になってるぞ…。ホントに分かってるのか…?まっ、いっか。それより早くケーキ食べるぞ」
「…あ!、っはい。分かりました」
ようやく、現実に戻ってきた陽太は、先生の後に続いて部屋を後にした。この後は、皆でワイワイガヤガヤと会話や食事を楽しんだ。
しかし、彼は、陽太は、知らなかった。知る余地すらなかった。2日後に正式に稼働した『SAO(ソードアート・オンライン)』が命を懸けた『
この場にいる家族や親せきも、1万人のプレイヤーも。
さて、いかがでしたか?
いきなり誰が誰なのかハッキリ言って分からないと思いますが、最初の章、いわばアインクラッド編では陽太しか出ないので、このプロローグいるかなぁって思いながらも書きました。
あらすじにも書きましたが、自分は文章に才能がないため、話がダラダラで、何言ってるのかわからないダメダメな小説になっているかもしれません。
皆さんが読みやすいような小説になるよう、一話、一話を丁寧に作るよう努力するため投稿が亀の如くになってしまうと思います。それに関してはご理解いただければ幸いです。
まずはアインクラッド編。エタらないように頑張ります!
では、次のお話でお会いしましょう。
次回 「剣の世界なのに笛」