え、お前の轟雷起動しねぇの?   作:ししゃも丸

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4機目 我が家のスティ子は四人います

 

「レッドショルダー怖い、レッドショルダー怖い、レッド―――」

「うわあ、これは重症だよ」

 

テーブルの端で膝を抱える轟雷は、まるで念仏のように同じ言葉を繰り返していた。あおも頭を抱えたが、何を言っても反応はないのでとりあえず放置した。

 

「にしても、明人……じゃなくて、榴雷は強いんだね!」

「明人の指示があってこそですよ、あお」

「いやいや、明人より榴雷が凄いんだよ」

「まあ、それほどのこともありますが」

「榴雷よ、お前はどちらの味方なんだ……。って、お前もいい加減自分の家に戻れよ。こっちは夕飯もまだなんだ」

「ええぇー、まだ用事が残ってるんだもん」

「なんだそれは」

「うちのスティ子がバトルしたいって」

「そうなん?」

 

明人はスティ子に目を向けた。

 

「ええ。私としても、他のマスターが所持しているFAガールとバトルしてみたいし。それに、貴方も持ってるんでしょ? 私を」

「それはまあ……そうだが」

 

はっきりしない言い方をしながら頬を指で掻く明人。スティ子はなんでと素直に尋ねた。

 

「言うより見てもらった方が早いか。スティレット全員集合―」

『全員?』

 

明人が号令を出すと、シュパッとどこからか四人のスティレットが現れた。しかし、どれも特徴があって同じ個体というのはいない。

そして、自己紹介が勝手に始まった。

 

「私が最初のスティレット! 至って普通のFAガールにして、スティレット姉妹の長女!」

「私が次女のだぶるお―スティレットこと、スティコーよ!」

「続いて三女の私、セブンソードスティレットことセブン!」

「お待たせいたしました! 最後のスティレットにして航空自衛隊とコラボしたブルーインパルスことインパルス!」

『私達、スティレット四姉妹!』

 

ドーン! と後ろで爆発が起きた。それぞれの充電くんが演出をしたらしい。

 

「はい、それじゃあインパルスだけ残って撤収」

『わー』

「なんで、その子だけ?」

「描写が面倒だから」

「相変わらずメタイですわ」

 

 明人の肩に乗っていた撫子がツッコミを入れた。

 

「で、明人。私はこの……すごく弄られ属性満載のスティレットと戦えばいいの?」

「ちょっと、なによそれ?!」

「そうみたいだぞ」

「え、無視?!」

「なんだろう。いま私、スティ子にシンパシーを感じている」

「じゃあやるか。インパルス準備してくれ」

「了解」

「あ、スルーですか。そうですか」

 

インパルスとスティ子のセッションベースを接続。互いに違うのはカラーリングのみで、充電くんにつけている装甲、装備はどれも似たようなものだ。

そんな時、あおはあることに気付いた。

 

「あれ、今回は中にいるの?」

「インパルスはちょっと大変なんだよ」

「大変? なにが?」

「見てればわかる」

 

明人はそういうと一旦離れて何かの箱を開けて漁っている。同時にバトルが始まった。

 

『同じ私だからって負けないわ!』

『スティレット ブルー・インパルス、行きます!』

 

フィールドが展開。

場所は先程の砂漠から一転し、海の上だ。しかも吹雪が舞っている。

 

「わあ、こんなステージもあるんだ。ちょっと綺麗」

 

あおは始めてみるステージに見惚れていた。

 

「あ、よっこらせ」

 

ガシャ、と何や最近聞きなれた音がした。あおがそれに目を向けると、見たことないプラモデルがあった。明人の私物だ。

 

「明人、なにそれ」

「今にわかる。ほれ、始まったぞ」

「お」

 

 

『このぉ!』

『……!』

 

互いに機体は同じ、装備も一緒。勝負の命運を分けるのは自身の力量。そう見れば、あおのスティレットは戦闘経験は少ない方になるが、今の所どちらが劣っているとは思えない戦いだ。

 

『当たれ――!』

『甘い!』

 

スティ子は左腕のミサイルを発射。インパルスはそれを難なくと回避し、スティ子に迫る。サムライソードを展開し、振り下ろした。

 

『っ!』

 

ワンテンポ遅れてスティ子もサムライソードを展開、インパルスの攻撃を防いだ。互いに斬り合うが拮抗したまま以前と変わらない。

ステイ子はどうすべきなのかと焦りが見始めた頃、インパルスに異変を起きたことに気付いた。

 

『ハァ、ハァ、ハァ』

 

息が荒い。なぜ? とスティ子は違和感を覚えた。

FAガールに疲労という概念はない。充電がなくなるという一種の危機感はあるが、それは人間でいう空腹に近いものだ。

なのに目の前のインパルスはどこかおかしい。

 

『ハァ――』

『! そこよ!』

 

突撃。

一瞬の隙をスティ子は見逃さなかった。インパルスに体当たり。そのまま逆噴射をかけることもなくインパルスは海へ向けて落下。すかさず右腕のガトリングガンを斉射。弾は街がなくインパルスに直撃した。

 

『……やったの?』

 

そのまま海に落ちたインパルスを上から見下ろすスティ子。しかし、バトルがまだ終わっていない。

 

 

「明人のスティレットやられちゃったよ」

「そろそろかな……」

「え、何が始まるの?」

「大惨事スティレット大戦」

「へ?」

 

 

突如、海から何かが飛び出した。インパルスだ。

 

『おぉおおお――――!!』

『ええぇええ?!』

『明人! フォースシルエット!』

「えーと、撫子。今度はどれだ?」

「多分これですよ。スティレットようの追加パーツのエクシードバインダー」

「二個買ってそれっぽくしたやつか。転送っと」

 

インパルスのブースタが消えてエクシードバインダーが装着される。お前けに足のジョイントにブースターも装着。腕にはビームシールドもある。

 

『はぁああああ!!!』

『ちょ、いきなり人格変わりすぎでしょ?!』

 

スティ子は驚きながら反撃するが、攻撃はシールドによって防がれてしまう。さらに動きを止めたため、インパルスの攻撃が命中。直撃ではないが、インパルスにはそれだけで十分だった。

 

『次、ブラストシルエット!』

「ブリッツガンナーのことか」

「そうでしょうね、たぶん」

 

今度はブリッツガンナーを転送。

ガンナーモードに設定し、インパルスは容赦なく発射。片方は外れたが、もう片方が命中。

 

『ソードシルエット!』

「撫子、お前だったらどっちにするよ」

「ユナイトソードも捨てがたいですが、ここはあえて新作のアーセナルアームズでいくのはどう?」

「じゃあ、そっちを転送」

 

いくつものパーツが集まり、巨大な大剣となったそれはアーセナルアームズ。今月発売するレイファルクスの装備である。純粋にカッコイイ、デカい、つおそうと満足のいくキットだ! しかし、金がないので両方とも買えないのであった。

 

『貴方はここで倒すんだ! 今日、ここでぇ!!』

『ちょ、まっ――』

 

一閃。

今度はスティ子が海へと落ちていく。

 

『インパルスWIN』

 

『……あ、終わったの?』

 

 

少しして、スティ子は明人に怒鳴りつけていた。

 

「ちょっと、何よアレ?! おかしいにも限度があるわよ!」

「オレにも言われても困るゾ。バトルしていたら急にああなっちまうようになったんだからよ。オレは悪くねぇ!」

「んー。二重人格ってやつなのかな?」

「人格プログラムに異常があるのでは?」

 

轟雷が言ってきたが、明人は否定した。

 

「違うな。たぶん、違う」

「ええ、たぶん違います」

 

撫子も明人と同じ意見を言うが、あおと轟雷にはさっぱりである。

その横でインパルスはスティ子に色々と謝罪をしているのを明人は目にした。

(やっぱ、インパルスだからって種運命見させたのが悪かったのかな……)

FAガールも色々と影響を受けるんだと、改めて思った日であった。

 

 

 

 

 

 





レイファルクス欲しいけど金ないので買えないなあ。
白虎はデザイン嫌いじゃないけど、FAぽくないんだよなあ。

最近コトブキヤが再販一杯してくれるのは嬉しい。でも、金が足りないぜ!

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