錬鉄出してた頃から思っていたことを、ここにブチかます。
若干閃の軌跡忘れているが、根性論。さて言うぞ!

「エミヤとアルトリアを混ぜたら、某西風の妖精(シルフィード)に似てない?」

誰か描いてくれないかなぁ…

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カウントダウン・ダウン

「汝は私のミスで死んでしまった。ほんとうに申し訳ないと思う」

「それじゃ、転生させてください! 特典は……Fate/stay nightのアーチャーの力で!」

「あぅ、あ、あぁ。それで許してくれるのなら構わないが……転生先は?」

「うーん、ランダムでよろしくお願いします」

「そ、そうか。では、もう行くか?」

「イェス、オフコース!」

「汝、テンション高いな……私のせいで今世の家族と離れ――」

「そういうの良いですから! ハリー、ハリー!」

「あい、分かったとも! では英雄の集う世界へ――汝に幸運を!」

「何その世界、超coolな名前してるじゃん――」

 

 

「何て嫌な目覚めだ……」

 

 アタランテに似た神様、本当にすみませんでした。あの時の俺はある種のキチガイだった。

 何度目か、数えるのも億劫なほどに繰り返してきた謝罪を心で唱えて彼はベッドから立ち上がった。

 寝間着をたたみ、クローゼットに仕舞われた()()()に合わせた黒スーツと赤い上着を着込む。その姿は正直言って、エミヤというよりかはロード・エルメロイⅡ世に近い気がする。

 彼はきっちり着終えると服の埃を払うような仕草をして、最後に机に立ててある写真に向かい合った。

 今より少々若めの彼の他に、金色の髪を後頭部でまとめている女性とその腕に抱かれた銀髪の赤子が描かれたそれに、何かに耐える様に目元を細め声を出す。

 

「……行ってくるよ、アルトリア、モルディア」

 

 そして、その写真立てを伏せ、彼ーーシェロカルト・アインツベルンは職場(トールズ士官学院)に向かう。

 

 

 

「ということで、Ⅶ組の副担任をやってくれないかしら」

「何が、ということで、だ」

 

 職場に到着し、職員室に入った瞬間に彼は後ろから声を掛けられた。

 その声の明るさから誰が話しかけたのか察したシェロカルトは返答しつつ振り返る。その視界には予想通りの鮮やかな紫髪。

 

「何用だ、サラ教官」

 

「今言った通りよ」と彼女はほんのり頬を染めながら返す。次いでとばかりに身体が微妙にクネクネ動いている様に見えるのは、目の錯覚なのだろうか。

 

「何故、このタイミングで頬を染めた?」

「きゃっ、そんなに見つめないで……何でもないわ」

 

 シェロカルト+αの視線が冷たくなったのを肌で感じたのか、サラは一気に冷静と化す。

 さすがに自分が妄想の世界へ旅立つ瞬間を不特定多数に見られるのは恥ずかしいらしい。常人なら当然のことだが。

 

「何度も言うが、私の容姿は君のタイプに一致してない筈だが」

「あら、その瞳、その顔立ち、その身体。何をとってもナイスなオジサマスタイルよ」

 

 失敬な。まだ三十路を迎えたばかりだ、と心で思う彼だったが、その言葉には説得力が伴ってなかったりする。

 生に疲れたと言わんばかりの無機質じみた鉄色の瞳孔。それを抱える目の下には現れては消えるを繰り返す隈。髪を雑にセッティングして煙草をくわえたら、あら不思議、アサ宮さんの完成である。それだけ老けるほどの事情が彼には有ったのだ。

 

「まぁ、いい。だがこの学院では、クラスの副教官という存在は無かったはずだが」

 

 話を戻して、彼が承諾の意を見せるとサラは花が咲いたかの様な笑顔を見せるが、続く言葉に表情を苦くさせた。

 

「ハインリッヒ教頭が「君だけだといつサボるか分からない」っていちゃもんつけてきてねー」

「自業自得だ。気が変わった、副教官の話は遠慮させてもらう」

「えっ、ちょっと!」

 

 彼女の生活態度を少なからず知っているシェロカルトは踵を返して職員室へ向かう。もう頼れる人がいないのか、サラは彼の胴体にしがみつくことでその動きを止めさせた。

 

「おーねーがーい! もうグチグチ小言は聞かされたくないの!」

「ええい、離せ! ハインリッヒ教頭の言う通りだ、あと勤務中にエールを煽るのは止めるんだな!」

 

 耳元で喚くサラを膝で遠ざけようとするシェロカルト。その際に彼の鼻が彼女の吐息に酒臭さを感知する。(誠に遺憾だが)美女と近距離で会話しているというのに、シェロカルトには色気も色香も感じなかった。

 

「ナイトハルト教官。助けてあげないんですか〜?」

「そういうトマス教官が助けてあげたらどうだ?」

「いや〜。僕があの二人の仲裁をやったら、ナイトハルト教官が僕を助ける羽目になりますよ」

「……お互い、何も見なかったことにしようか」

 

 職員室の片隅で無視を決め込む二人、ナイトハルトとトマスの耳に扉を開く音が入る。

 

「あっ」

「離したま……え……」

「あら、騒がしいと思ったら……サラ教官?」

 

 学祭も登校をはじめたであろう頃の職員室で、教員同士の喧嘩(に近しい何か)。

 唖然とする二人を差し置いて、ベアトリクス保健医は二人の頭に拳骨を振り落とす。

 

「さて、二人ともこちらに来なさい」

 

 言うまでもなく、死人返し(リヴァイヴァー)案件だった。



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