鉄の艦娘達   作:かじもこ

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プロローグ

 今から150年前、『厄災戦』と言う大きな戦いがあった。

 

 155年前の1945年、第2次世界大戦が終結して間もない頃、突如として現れた謎の生命体『深海棲艦』。深海棲艦は人間同じサイズにもかかわらず、戦艦並の砲撃能力や爆撃能力なども持っており、なおかつ深海棲艦が現れるとレーダーや通信機器に不具合が発生し、深海棲艦との戦いで多くの兵士が命を落とした。

 

 また、深海棲艦は港を攻撃し、軍艦に限らず民間船や都市部に空襲を行い水路も閉鎖し、レーダーや通信機器の不具合から輸送機なども出せず各国の経済は崩壊。このまま人類は深海棲艦に滅ぼされるかに思われた。

 

 しかし、日本が深海棲艦に唯一対抗できる存在『艦娘』を開発した。

 

 日本は密かに深海棲艦を鹵獲し、それにより得られたデータより『艤装』を開発した。その艤装とは人間でも水上での移動を可能とし、スケートの感覚で動かせる。また艤装を装備すると通常の人間にはあり得ない動体視力と身体能力、防御能力を身に付けることができる。

 

 艤装をつけた人間には、艦種や当たりどころにもよるが対戦車RPGでもかすり傷しかつけられないのであった。

 

 ただし、艤装を付けるにはある条件が必要である。艤装は脳で動かすものである。したがって、艤装を接続するためには、人間の神経と艤装をつなぐためのナノマシンを体内に埋め込まなければならない。しかもそのナノマシンは男性には定着せず、1部の女性にしか定着しないことがわかった。日本はすぐさま志願制で艦娘になる女性を募集し、多くの艦娘が生まれた。

 

 そして、その生まれた艦娘には太平洋戦争で活躍した日本の戦艦の名を与えられ、世界各地で活躍した。その戦いは壮絶を極め、艦娘にも多くの戦死者を出した。

 

 戦いは5年ほど続いたが、艦娘が敵の総大将を全て駆逐したことにより、深海棲艦は衰退し人類の勝利を勝ち取った。

 

 この戦いはのちに厄災戦と呼ばれた。この戦いには多くの兵士が犠牲となった。

 

 また、多くの艦娘も犠牲となり、生還したのは200人近くいたうちの72人だけであった。

 

 彼女らは目的を果たしたことにより退役したが、残った72個の艤装は、艦娘の悪魔と契約でもしたような強さから、それぞれ艦名の他に二つ名として72体の悪魔の名前が当てはめられ、のちの艦娘の中での最高勲章の艤装TYPE O (オー)として後世に語り継がれた。

 

 

 そして、時は流れて2100年。戦後150年が経った今でも深海棲艦の残党がおり、散発的に戦闘が続いている。

 

 戦後も艦娘が必要とされたが、生き残った艦娘達は既に退役していた。また、艦娘になれる新しい人材が尽きてしまっていたことから事前に確保しておいたオリジナルの艦娘のDNAからクローンを量産し、実戦に配備した。

 

 艤装も強力な深海棲艦がほぼ駆逐されたことからコストダウンとして簡易版が量産された。建造された艦娘達は1年間、艦娘教練艦隊で教育を受け、各鎮守府へ配属される。

 

 彼女も今年、艦娘教練艦隊を卒業し鎮守府へ配属された艦娘である。艦種は駆逐艦。名は『三日月』。

 


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