ホットスパーズ ~命知らずの騎士と二人の女神~   作:公私混同侍

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問い詰めたくて

気がつけば時が流れ春を迎えようとしていた。六人は変わらぬ日常を送る。

あかりは六人の中でも最年少であるが、人一倍繊細な感性の持ち主である。唯一の肉親である隆太とは双子であるが故に心が通じ合う。嬉しい事も悲しい事も共有出来るということは彼らの強みでもある。

逆にその難儀さに四苦八苦する場面もちらほらと顔を出すこともある。

思った事を口に出してしまうあかりとは対照的に、隆太は弱音を吐かないし誰かに甘える素振りも見せない。ゲルマの存在も見逃せない点ではあるが、家族を支えている実感が働きアリの根幹をなしていると言えるだろう。

詰まるところ何が言いたいのか?隆太に休暇を与える口実を模索していたのだ。本人に聞くのはもっての他だ。何故なら自己犠牲の精神が根底にあり、他人に奉仕することが自身の生き甲斐であるからだ。しかし、あかりが導き出した策はあえて隆太を利用することであった。

 

あかり「ルナお姉ちゃんがデートするなら、どのお兄ちゃん達としたい?」

 

ルナ「私はみんなとしたい」

 

隆太「嘘をついてるようには見えないですが……」

 

あかり「怒らないから正直に言って!」

 

ルナ「イヤ」

 

隆太はあかりの勢いに圧倒されている。

 

あかり「じゃあ、隆太お兄ちゃんに聞かれなければ答えてくれる?」

 

ルナ「イヤ」

 

隆太は明らかに凹んでいる。

 

あかり「じゃあ、ゲルマお兄ちゃんがデートに誘ったら一緒に行ってくれる?」

 

ルナ「……うん」

 

隆太「間が空いちゃましたね。ルナさんは分かりやすいです。もう答えが出ちゃいました。あかりには尋問されたくないなぁ」

 

あかり「あたし、ルナお姉ちゃんの気持ちぜーんぶ読めるよ」

 

ルナ「嘘言わないで」

 

あかり「初めてゲルマお兄ちゃんが来た時、恭夜お兄ちゃんと手を繋いでたよね」

 

ルナ「私が迷子にならないようにしてくれてただけ」

 

あかり「また嘘ついた!隆太お兄ちゃん、教えてあげてよ!」

 

隆太「ゲルマさんが教えてくれました。頭の中にサーモグラフィが搭載されていると――」

 

ルナ「サーモグラフィ?」

 

あかり「確か人や物から放射される赤外線、それで体温を……何だっけ?(前半部分しか覚えられなかったよ)」

 

隆太「(よし!後半部分は覚えてるぞ!)簡単に言うと体温を測定し色分けするんです。それにあかりが顔を赤くするルナさんを見ていたようですよ」

 

ルナ「……っ!?」

 

あかり「恭夜お兄ちゃんの後ろに隠れたつもりかもしれないだけど、バレバレだったよ(本当はゲルマお兄ちゃんが教えてくれるまで知らなかったなんて、口が裂けても言えない)」

 

隆太「ごめんなさい、ルナさん。こんな人の心を覗き見するようなこと、するつもりはなかったんです」

 

ルナ「恭夜とサリーには――」

 

あかり「言えるわけないじゃん!」

 

隆太「そんな言い方しなくても……」

 

ルナ「恭夜が好き。でもみんなも好き」

 

あかり「普通、好きじゃなかったら一緒にいないよね?」

 

隆太「質問が意地悪だよ」

 

あかり「隆太お兄ちゃんだって本当は言いたいことあるくせに!」

 

ルナ「隆太?」

 

隆太「ルナさんが考えてる事は僕も一緒です。それで……これからも仲良くして下さい」

 

ルナ「うん!」

 

あかり「へたっぴ!あたしみたいにもっと上手くやらなきゃダメだよ!」

 

隆太「け、結果良ければ全て良し!」

 


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