ハイスクールD×D 運命の切り札を持つ者   作:宇宙蟷螂

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負けられない…俺が俺である事を証明するまでは終わるわけには行かない。

哀沢始。


第5話 それぞれの思い

「ウェイ!」

 

『ふん!』

 

ブレイドが持つ剣…醒剣ブレイラウザーとカリスの持つ醒弓カリスアローがぶつかり合う。

 

距離を置いたカリスにブレイドは猪突猛進に接近する。

 

ブレイドは強い一撃を与えようとするがカリスはその斬撃を避け、その隙にがら空きになった背後にカリスアローの一撃を浴びせる。

 

「ぐあっ!」

 

ブレイドは地面に転がるとそれを見たカリスは言った。

 

『…弱いな、その程度でよくアンデッドと戦えたな』

 

「何だと!」

 

挑発とも取れるカリスの発言にブレイドは立ちあがりブレイラウザーに出納されているオープントレイを展開すると一枚のカードをブレイラウザーにラウズする。

 

《tackle》

 

ラウズされたカードはブレイドのアーマーに吸収され、体にエネルギーを纏う。

 

「ウェェェエイ!」

 

そして、そのエネルギーを纏ったまま全力でカリスに突進する。

 

だが、カリスは慌てるまでもなくブレイドとの距離が縮まるのを見ていた。

 

『…甘い!』

 

カリスは空中捻りでブレイドのTACKLEを避けつつ、カードをラウズする。

 

《bio》

 

電子音が響くとカリスアローから二本のツタが出現する。

 

そして、そのツタの一本はブレイドの足に絡み付きブレイドを倒す。

 

「うわあ!?」

 

そして、もう一本は胴体に絡み付くとカリスはブレイドを木に縛り付けた。

 

『その方がお前にはお似合いだな』

 

「うるさい!さっさと解きなさい!」

 

ブレイドは威勢こそいいが格好は間抜けそのものだった。

 

カリスはシャドーチェイサーを呼び寄せて跨がるとツタを開放する。

 

「痛ッ!」

 

 

『…フン』

 

そして、そのまま何処かへと走り去ってしまった。

 

「…」

 

ブレイドはバックルのレバーを引くと青い扉のようなゲートが出現し、そのゲートを通過するとブレイドは元の人間の姿…始と同い年であろう少女の姿に戻る。

 

「…アイツ…次は絶対に負けない…」

 

そう呟くとヘルメットを被り、ブレイド専用バイク『ブルースペンダー』に跨がり帰路に着いた。

 

 

少女がしばらくバイクを走らせ着いたのは人類基盤史研究所、略して『BOARD』と呼ばれる場所だ。

 

少女はバイクから降りるとパスポート認証でドアを開け、指紋認証でドアを開き、顔認証でドアを開けてある一室の部屋の前に立ち、ノックする。

 

「こちらライダーNo.02…『剣崎和喜(けんざきかずき)』ただいま帰還しました」

 

 

「…入りなさい」

 

剣崎和喜と名乗る少女はそう言うとドアを開く。

 

そこには壮年の男性と若い女性二人がいた。

 

「烏丸所長、今回封印したアンデッドです」

 

女性の一人が烏丸と呼ばれる壮年の男にカードを渡す、カードは『◆8 SCOPE』とコウモリが描かれたカードだ。

 

「ごくろうだったなライダーNo.01ギャレン…いや橘、この調子で頑張ってくれ」

 

橘…橘咲奴心(さやこ)は軽く頷く。

 

「それと剣崎」

 

「はい!」

 

「アンデッドに大分苦戦しているようだな、まだまだ不慣れな事があると思うが頑張ってくれ」

 

「はい、それと所長少し聞いておきたいことが…」

 

「何だね?」

 

「ブレイドやギャレン以外のライダーシステム秘密裏に設計されていないですよね?」

 

「勿論だ」

 

「…実はさっき見たことのない黒いライダーと交戦になったんです」

 

「何だと?それがライダーだと言う確証はあったのか?」

 

「はい、そのライダーはアタシたちと同じようにカードを使いました、それにアンデッドが着けているバックルは着けていませんでした…それに恐ろしく強かったです」

 

和喜のその言葉を聞いて烏丸は重たい口を開いた。

 

「…どうやら我々とは違う所で別のライダーシステムが創られたのか、もしかすると上級アンデッドかも知れないな」

 

「上級…アンデッド?」

 

「ああ、他のアンデッドとは違い高い知性を持ってる、それに高い学習能力もあり今まで戦ったアンデッドとは比較できない強さを持っているはずだ」

 

烏丸のその言葉に黙ってしまう。

 

「今のところは出現する気配はないが油断はしないことだ、それと黒いライダーはこちらでも調べる、お前たちも調査をして見てくれ」

 

「解りました」

 

そう言って剣崎は部屋から出ようとすると不意に橘は烏丸に聞く。

 

「ところで所長…私たちに何か隠していませんか?」

 

「…いや、隠していることなどないが?」

 

烏丸の一言に橘は声を荒らげる。

 

「ふざけるな!私は全部解ってる!アンタが何を隠しているか何て全てお見通しなのよ!」

 

橘の突然の怒りに周囲は困惑する。

 

「何を言ってるんだ?私は本当に隠し事なんてしていない」

 

「私は騙されない…絶対にね!」

 

そう言うと橘は部屋から出ていく。

 

「ちょっと咲奴心!」

 

剣崎も慌ててながらも部屋を後にして橘を追いかける。

 

「どうしたのよ、いきなりあんなこと言って…」

 

「…アンタは何のために戦ってるの?」

 

橘は剣崎とは顔を会わせずそう言う。

 

「…え?どうして急に…」

 

剣崎が慌てて答えようとするも橘は何処かへと歩き去っていった。

 

「…アタシが戦う理由…か」

 

 

 

~~~

 

始side

 

「…ただいま」

 

「おお、帰ったか晩飯は…」

 

「いや今日はいいや眠たいからもう寝るよ」

 

「あ、ちょっと始…」

 

俺は部屋に入ると尻餅をつく状態で座った。

 

「…くそっ!」

 

俺は胸部に刺さった針を抜く。さっきの戦闘で抜く余裕などなかったからな…。抜いた胸部からは緑色の血が流れる。さっきは戦闘中でアドレナリンが出て興奮状態だったから何ともなかったが戦いが終わると痛みが俺を襲う。

 

「…始、大丈夫か?」

 

ティアマットさんはノックなどする事なくドアを開く。

 

「…大丈夫です、しばらくしたら元に戻るので…ウッ!」

 

「無理しなくて良い」

 

そう言うとティアマットさんは手の平を傷口に当てる。ここから魔力を少しずつ流して治癒に活かすのだ。

 

「…お前がケガをするなんて珍しいな…何があったんだ?」

 

「実はアンデッドと戦ってる最中に俺以外のアンデッドと戦ってる奴に会ってそれでほんの僅かだけど攻撃が遅れてやられた」

 

「始以外にもアンデッドと戦う者が…」

 

「しかも組織で活動してる」

 

あのブレイド程度でアンデッドの封印は不可能だし、二番目がどうこうと言っていた少なくとも二人はアンデッドと戦っていると言うことだ。

 

「…私もお前と共に奴らと戦おうか?」

 

…そこまで俺の心配をしてるのか…。

 

「…大丈夫です、俺は絶対に負けませんから」

 

…そうだ、俺は負けられないんだ。アンデッドだろうがライダーだろうが奴らに倒される訳には行かない…。

 

「…始」

 

「ティアマットさん!?」

 

いきなりだ、いきなりティアマットさんは俺に抱き着いたのだ。さすがの俺もドキドキしてしまう。

 

「…私は始の味方だ。お前が何者でも関係ない…負けてもいい、負けてもいいから勝手に消えたりしないでくれよ…」

 

――ッ…。答えられない…その約束は一度破った事のあるモノだから…答えられるわけない…。

 

俺はティアマットさんの頭をただ撫でるだけしか出来なかった…。

 

 




久しぶりの投稿、遅れてしまい申し訳ないございませんでした!

仕事とか色んなモノに追われながらもやっと更新です。

エグゼイドもガッツリ進んでレーザーターボが出てきてるし、相変わらず日曜が楽しみでしょうがありません!

映画も公開日が決まって楽しみです!


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