マキシマムゲーマー負けちゃいましたね…だいたいこのパターンだといよいよ最終強化フォーム登場何でしょうかね?
それにしても敵が主人公の持つ最強の力に勝る力を手に入れるたびにスーパーゲキレッドにやられてパワーアップした幻獣王リオとか、ウルトラマンコスモスのカオスウルトラマンカラミティとかを思い出すのは僕だけだろうか?
始side
グレイフィアさんと出会い、1ヶ月が経過した。
俺はグレイフィアさんから色んな事を教えてもらった。字の読み書きや悪魔や堕天使の関係性などだ。
驚いたことにグレイフィアさんは悪魔と呼ばれている種族のヒトらしく、俺は人間らしい。
そしてグレイフィアがこんな辺境にいるのは仕事の一環らしい。グレイフィアさんは貴族に仕えるメイドさんらしく、お姉さんがその貴族の人と結婚しててその縁で自分も雇われているらしい。
不思議なことに俺が逃げ出した研究所は未だに見つからないままだ、グレイフィアさんの知り合いだという悪魔の人たちに探索をしてもらったらしいがここから何十キロ、何百キロと辺りを捜索したが何もなかったらしい…。
じゃあ、俺がいた彼処は何だったんだ?
「始様?」
「…グレイフィアさん」
グレイフィアさんの声で俺は考えるのをやめた。
「また、考え事ですか?」
グレイフィアさんは俺の横に座った。
「…はい、もしかしたら俺にも家族とか兄弟とかがいてこうしている間にも心配させてるんじゃないかって…」
過去の記憶なんて全くないけどもしかしたら俺にも家族とか兄弟がいたかも知れない、そう思うと気が重い。
「兄弟…ですか…」
「まあ、いるかどうかなんて解らないけど…グレイフィアさんはお姉さん以外に兄弟っているんですか?」
俺の質問にグレイフィアさんは悲しげな表情になる。
「…私には姉以外にも弟がいました。でも今は行方不明…多分この世にはいないと思います…」
「!…そうなんですか…何か嫌な事聞いちゃいましたねごめんなさい」
「いえ、謝らないで下さい。心の整理は出来ているので大丈夫です」
グレイフィアさんはクールにそう言うが俺はグレイフィアさんの手を握った。
「始様!?」
「だったら、グレイフィアさんは弟さんの分まで生きなくちゃダメですね…生きて下さいね、絶対」
「…始様…ええ、勿論です。ですから始様も私の前から勝手にいなくならないで下さいね?」
「…ッ!も、勿論です!絶対にいなくなりません!」
か、可愛い!いつもはクールなグレイフィアがこんなに表情をするなんて助けられて良かったー!
…なんて考えていると唐突に全身から寒気のような何かを感じ取った。
―行かなきゃいけない!
「…グレイフィアさん、俺少し出掛けます!」
「…え?始様!ちょっと!」
俺はグレイフィアさんの言葉も聞かないまま、気配のする方向へ走った。
◆
「…ここか」
気配がしたのは洞窟内だった、俺が辺りを探ると気配の正体がすぐに理解できた。
「…アンデッド」
そこにいたのは先日戦った植物の化け物とは違うクワガタムシのようなアンデッドだった。
「…その気配は御宅もアンデッドか?」
「?違う、俺は人間だ」
訳の解らないアンデッドの戯言を流し俺はバックルを出現させた。
「…変身」
《change》
俺がバックルにカードをスキャンする俺はカリスに変身した。
「ほぉ!並みのアンデッドじゃないとは思っていたがまさか伝説の戦士カリスだとは思わなかった!とりあえず、貴様は早めに倒す!」
『ほざけ!』
アンデッドは大型の剣を二本構えると右手にある一つを振り下ろすが俺はカリスアローで受け止めた。
さらに一撃を見舞おうとするアンデッドの攻撃を受け流し俺はカリスアローのブレードモードで斬撃を見舞う。
『セイッ!』
「グアッ!」
さらに斬撃を見舞おうとするが今度はアンデッドの斬撃が繰り出されお互い同時うちとなる。
「バカな!カリスがあんな武器を持ってるなんて…!グアッ!」
俺はそんな事をほざいているアンデッドに一撃、一撃と攻撃を浴びせていくとアンデッドの剣の1本が弾け跳び天井の一部を破壊して光が溢れだす。
「…そのバックル!まさか、お前は…死神…53番目なのか!?」
『どういう事だ?死神?53番目?』
「クソッ、勝負なんて話にならない…!」
アンデッドはそう言うと後退する。
「こんな事ならあの白熊を追いかけるべきだったな…」
『待て、お前の他にもアンデッドがいたのか?』
「ああ、でも今頃は辺境に住んでる悪魔でも喰ってるだろうな」
『何だと!?グレイフィアさんを喰ってる…クソッ!』
俺のその一言にアンデッドは嗤う。
「何だ?お前、『番外の種族』と共に過ごしているのか?」
もしかして、悪魔の事か?
『…だったらどうした?』
「おいおい、お笑いだなぁ、まさか番外の種族と寝食を共にしているなんて」
『…何がおかしい?』
「…別に自分の胸にでも聞いてみるんだな」
アンデッドはそう言うと雪山を後にした。
悪魔と俺が一緒に過ごしちゃ行けないのか?
…いや、その考えは後だ!グレイフィアさんが危ない!
俺は急いでグレイフィアさんの元へ向かった。
始side out
♧
「始さま!始さまー!」
その頃、グレイフィアは急にいなくなった始を探していた。
「始様…こんなに吹雪いて来たのに何処かへ行ってしまうなんて…」
グレイフィアは周囲を見渡すが始は一向に見つかる気配はない。
『…あっ!』
「…ォォォ!」
グレイフィアは何かと何がぶつかる音に気づいた。
「!」
グレイフィアが目を凝らすとそこには白い熊のような二足歩行で動いている生物と黒いカマキリのような姿の戦士が戦っていた。
それは白熊の始祖、ポーラーベアアンデッドとカリスだ。
白熊の生物は両手にある鉤爪を振るい、カマキリの方は弓のような武器で応戦している。
「…始様…!」
グレイフィアはこの二人の戦いに始が巻き込まれているのではないかと不安になり声を漏らしてしまう。
すると、ポーラーベアアンデッドは声の方、グレイフィアを見て口から絶対零度の吹雪を吹き出す。
『…グレイフィアさん、危ない!』
カリスは吹雪からグレイフィアを庇うべく正面から吹雪をくらい体の半分以上が氷付けになる。
「…どうして私を…あなたは」
勝利の余裕なのかポーラーベアアンデッドはゆっくりと爪を構えながらグレイフィアに近づいてくる。
『…その人に…グレイフィアさんに近づくな!』
「!」
動けるとは思っていなかったらしくポーラーベアアンデッドは驚きを隠せない。
その隙にカリスはカリスアローで乱舞する。
ポーラーベアアンデッドの爪が腕に当たり痛みが襲うがそれでもカリスは攻撃をやめない。
猛攻に怯んだ隙にカリスはカリスアローにラウザーを装着する。
そしてカードケースから♡の3『CHOP』を取りだしスキャンする。
《chop》
するとカリスの右手にエネルギーが集結しそのエネルギーを纏った右手でポーラーベアアンデッドに貫手の一撃を見舞った。
「グオオォォォ!!」
ポーラーベアアンデッドは吹っ飛ばされると同時にバックルが開いた。
カリスはカードを投げるとポーラーベアアンデッドはカードに吸い込まれ♣の6『BLIZZARD』となった。
「…やはり貴方は始様なのですね?」
始様は『SPIRIT』のカードをスキャンして人間に戻ると右手に血が流れているのに驚きを隠せない。
何が衝撃的なのかと言うと血の色が緑色だったのだ。
それはアンデッドが流していた血と同じ色…。
おかしい…自分は人間の筈なのにどうして…。
始の頭には疑問がたくさんの疑問が浮かぶがさっきアンデッドが言っていたことを思い出す。
―御宅もアンデッドか?
その言葉と血の色が否定したい気持ちとは裏腹に現実を突きつけていた。
始は人間じゃなくアンデッドだった…と。
始はショックだった。自分が人間じゃないことに化け物と同じであることが…。
「…俺は人間じゃない」
「始様…?」
「俺は奴らと同じなのか…!?」
ここにいると再びグレイフィアを戦いに巻き込んでしまう…。
始はもうここに居座る訳には行かなかった。
「…グレイフィアさん、俺に名前をくれてありがとうございます。そして…」
しばらく黙りこむと始は重い口を開いた。
「さようなら…グレイフィアさん」
「…え?何をご冗談…ですよね?」
始はそれだけを言うとグレイフィアに背を向け歩き始めた。
もう後ろを振り返る事をしない、ただ雪山を歩いていく。
…悲しみを背負った哀沢始の物語はここから始まる。