ハリー・ポッターと最悪の血筋   作:おでこぽん

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ハーマイオニー目線です。


嫉妬の目線

 

自分が魔女だと知らされ、ホグワーツへの入学を決めた翌日、私は一人の小さな女の子に出会った。

 

 

最初は年下の女の子だと思った。でも、彼女は魔法でお菓子づくりをする本を手に取っていたから、私と同じホグワーツなのかもしれないと気づき、声をかけた。

 

私は昨日魔女だと知ったばかりで、まだ魔法も全然使えないのに、この子は魔法でお菓子を作るまで魔女として成熟しているのだ。魔法族と非魔法族の差を歴然と見せつけられたような気がして、私は少し不安になった。

 

話してみると同級生だとわかった彼女は、屈託なく笑う、目鼻立ちのとても整ったかわいい子だった。藍色の目は少しいたずらっぽく輝き、肌は白く、頬はほんのりピンク色に染まっている。同年代と比べて随分と低い背も、庇護欲をそそられる。そして何より、さらさらでストレートな、綺麗な金髪。性格もとても良いようで、マグル生まれの私にも対等な目線で話してくれるし、話しやすいと感じた。アリスみたいな子になったら何も悩みなんてないんだろうな、なんて少し嫉妬した。

 

 

列車に一緒に乗った私は、また驚くべき点を発見した。アリスはカメラアイという、見たものを忘れない能力の持ち主だった。教科書は一度見ただけで覚えられるし、膨大な量の知識を得られ、忘れないでいられる。その代わり、耳への意識が低くなり人の話を聞いていない様子だったのには少し安心した。それでも、私にとって、アリスは羨ましい人物だということに変わりはなかった。

 

 

ホグワーツに入学した私は、アリスと同じグリフィンドールに、そして隣のベッドになった。アリスは私にとって完璧に近い人物なんだけど、どこか抜けているところがある。その純粋な笑顔で何も考えず私に頼ってきて、私もしょうがないなあと思いながら嬉しく思っていた。

 

 

 

 

待ち望んでいたホグワーツでの授業は最高に楽しい!と、思っていた。いや、思い込んでいた。

 

入学前に予習を済ませ、教科書を暗記した私は、たくさんの先生に誉められた。マグルの学校に通っていたときは、そんな子は私しかいなかった。でも今私の隣では、いつもアリスが一緒に誉められている。その子どもみたいな笑顔で、「やったね、ハーマイオニー!」って言われるたび、私は何も言えず微笑むしかなかった。

 

アリスはその性格の良さや可愛らしさから人に好かれ、友だちもすぐできた。兄の友人たちにも可愛がられ、敵と見なされているスリザリンの、クラッブとゴイルの二人組ともすぐに仲良くなっていた。

 

そしてみんなはアリスに会うたびこう言うのだ

「やあ、アリス!また先生に誉められたんだって?君は本当に何でもできるんだね!」と。

 

 

 

私はマグルの学校に通っていた頃から友達ができなかった。私をいじめる奴等を見返してやりたくて、必死に勉強した。先生に誉められ、私をいじめた生徒たちは「がり勉」と私を罵りながらも、だんだんと私に関わらなくなってきた。私は私の立場を確立できていた。

 

今は違う。私と同じく先生に誉められ、能力を持ち、私よりも格別に友達が多く人に好かれ、幼い頃から魔法に触れてきている彼女がいる。

 

 

私はどこにいたらいいのだろう。私の存在価値はどこにあるのだろう。

 

 

 

 

 

 

そんな生活がしばらく続いた。いつもアリスと一緒に行動していた。アリスは人に話しかけられても、少し話をしてからすぐに戻ってきて、「ごめんね、待っててくれてありがとう」と申し訳なさそうな顔をして言う。私が他の誰かに話しかけられることは、ほとんどなかった。

 

 

ある日耐えられなくなった私は、アリスを教室に置いて一人図書館に来ていた。自分から一人になるのは久しぶりな気がした。

 

 

 

「ハーマイオニー、やっぱりここだった!」

本から目をあげると、アリスがいた。

 

どうして。

「あたしのこと忘れてたでしょ!ついでに羽ペンも忘れてたよ!はい!」

 

どうして。

「ハーマイオニー?顔色が悪いよ?どうしたの?」

 

どうして。

「ハーマイオニー?」

 

 

 

「うるさいわね。」

「え?あ、ごめんね。ここ図書室だったね。えへへ」

「あなたがいると毎日騒がしいわ。」

「ご、ごめん、あたしうるさかっ…」

「うるさいわよ。もう話しかけないでくれる?私は一人でいたいのよ。」

「…ハーマイオニー?」

「あなたとは一緒にいたくないわ。さよなら。」

 

 

ハーマイオニーは席を立ち、アリスには目もくれず図書室を出ていった。後には、困惑した表情のアリスだけが残されていた。




うーん…。心理描写って難しいですね。

アリスは(現時点では)理想の子です。容姿良し、性格良し、頭良し。背が小さくて、抜けているところがあるけど、そこがまた可愛らしい。完璧すぎない完璧な女の子です。

対してハーマイオニーは、自分に自信の無い人物。これは筆者自身が本を読んで感じていたことです。特にホグワーツで学ぶことになる前には不可思議な能力があり、困惑していただろうと予想されます。また、その性格から友達ができず、容姿にも自信がない。自信がないから必死に勉強するし、何もしないでいる人は見下してしまう。そんな感じがします。


今後二人はどう成長していくのか、楽しみです。あまり読者に予想されない展開にしたいと思いますので(笑)、次回もよろしくお願いします!

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