就活終わりました!!
ほんとに大変だった。ほんとに。
今後は頑張って更新しますので、皆様アリスのことをお忘れにならず、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。
で、今回はハリー目線です。裏話とクリスマスの少し後まで。
<ハリー目線>
クリスマス休暇に入り、アリスとハーマイオニーは家に帰ってしまった。今ほとんどの寮生が帰ってしまった談話室では、僕とロンが二人で暖炉の前を占領して寛いでいる。
「それにしても」
とロンが切り出した。
「9月からもう4ヶ月も経つのか。早かったなあ。」
「そうだね…濃い4ヶ月だった。僕の今までの人生で一番。」
僕は暖炉のパチパチという音を聞きながら、目を閉じて話し始めた。
「グリフィンドールに入って、マクゴナガルの初めての授業で遅刻して、スネイプに嫌われて。」
「4階の怪物にも会ったよなあ。」
「あの頃はハーマイオニーも今よりつんけんしてた。」
「それから、アリスが。」
「…僕もそのことを考えてた。」
ロンは、そうだろう?という風にこっちを見た。
僕たちの他に誰もいない談話室でも、声をひそめて話し合う。
「あのときのアリス、普段とは別人だった。」
「小さいとき一緒に遊んでても、見たことがなかったよあんなアリス!」
「あんな小さな体で、トロール一体倒して。」
「しかも杖無しであの魔法だろ?」
「正直、僕、アリスが…」
「「怖かった。」」
ふと沈黙が訪れる。
そう、それは、僕たちがずっと抱いていた感情だった。
普段からあっけらかんとしていて自由で、いつも明るく笑っているアリス。魔力が人より弱いせいか、授業ではいつも魔法を使うのに少し時間がかかっていた。それでも人並み外れた記憶力の良さで、ハーマイオニーと同じくらい寮点を稼いでいるし、魔法を使うのも僕らより上手かった。魔法薬学の授業でも、グリフィンドールの中で、アリスだけはスネイプに何も言われない。
頭が良くて、友達が多くて、明るくて、でもたまにドジで。基本的に人の話を聞いていないアリス。
そんな僕たちのアリス像は、ハロウィンのあの夜に一変した。
あの夜、ハーマイオニーと仲直りしてから、僕たちは少しの沈黙を得た。僕たちはきっと、同じ気持ちだっただろう。
『アリスが怖い』
『でも僕たちを助けてくれた』
『あの指輪を外さなければ、きっと、アリスはいつものアリスだ』
医務室で目を覚まし、普段通りになったアリスを見て、僕たちがどんなに安心したことだろう!お腹一杯でふらふらになるアリスを見て、どんなに笑いあっただろう!
そして僕たちは、言葉に出さずとも、目と目を交わして誓い合った。あの時のアリスの姿は他言しないと。どんなときも、アリスはアリスのままだと信じると。
「それにしてもハリー、今夜もあのマントで出掛けるの?」
ロンがふいに別の話題を切り出した。
「うん。父さんと母さんに会いに行くよ。」
「やめておいたほうがいいよ。君、あの鏡を見に行くようになってから、鏡のことばっかり考えてるだろ?」
「うん…でも、行くんだ。」
初めての大量のクリスマスプレゼントの山の中には、送り主が不明の、父さんのものだと書かれた透明マントがあった。僕は夜な夜な、不思議な鏡に映る両親に会いに、寮を抜け出している。
今夜ダンブルドアに会うこととはつゆ知らず、僕はまた、透明マントのお世話になろうと決意しているのだった。
みぞの鏡は禁止され、透明マントを持て余し、クリスマス休暇が終わる。いつもの生活が戻ってきた。
休暇前後で変わったことは、大きく分けて三つある。
一つは、ハーマイオニーが期末試験に向けて僕とロンの勉強予定表まで作り(彼女いわく「アリスは必要ないでしょう、全部覚えているんだもの」らしい)、ニコラスフラメル調べと試験勉強のため、きいきい言うようになったこと。
二つ目は、マルフォイがやたらとアリスに話しかけてくるようになったこと。以前までは僕たちがいるとわかれば話しかけられることはあまりなかったのに、最近は僕たちにはお構い無しに、アリスに話しかけてくる。最近のイラつく種の一つ。
そして三つ目。
「アリス、その本好きね。もう何回も読み直してるんじゃない?」
「だってハーマイオニーに借りたこの本、面白いのよ!あたしが今まで読んだどんな魔法の本より面白いわ!」
アリスが、ハーマイオニーに借りたマグルの本を読むようになった。
ハーマイオニーはホグワーツ入学前でもやっぱり本の虫だったようで、女の子が好きそうなおとぎ話や小説、科学、歴史など、様々な種類の本を持っていた。(ロンはそれらに触れようともしなかった。)
家へ帰る汽車の中で、アリスからハーマイオニーに本を貸してほしいとねだったらしい。
ちなみにアリスが繰り返し読んでいるのは『不思議の国のアリス』。
「この作者、最高ね!挿し絵のアリスのこの衣装も素敵だし、マグルの考えることって、ほんと、最高だわ…。」
自分と同じ名前の主人公が活躍する本を抱き締めて、アリスが今年何度目かのため息をつく。そんなアリスを見て笑いながら、僕たちは『いつものアリスでよかった』と、ほっとするのだった。
次回!話ばばっと進みます!