『…次のニュースです。日本で世界初の男性IS操縦者が発見されました。男性の名前は織斑一夏です。彼はあの織斑千冬の弟で―――』
三日前からだったか、ISを起動させたという報道が出てからというものニュースを見るたびに愚弟の顔と名前を毎日の様に見るようになったのは。
なんでもあの阿呆は藍越学園とIS学園の試験場所を間違えるだけに飽きたらず、そこに有った試験用のISに触れてしまい、更には起動させやがった。
その所為で世界各国で『他にISを操縦できる男性は居ないのか?』と連日、各々の国で所有しているISに触らせ次なる男性操縦者を探しているらしい。
まあ、これは恐らくIS登場に寄って地位が下がりまくってる男性の立場を少しでも良くしたいという考えもあるんだろうが……
一番の理由は好きに研究出来る
報道にも有った様に、織斑一夏は織斑千冬の弟だ。
織斑千冬と言えば今の世界で知らない人間は居ないだろうな。なにせ第一回IS世界大会モンドグロッソ初代優勝者として有名な
そんな人物の身内を国や一研究者が『
言ってしまえば権力は無くとも影響力のある彼女の言葉だ。
国が言えば世界各国から非難されるのは想像に難くない。一研究者が言えば良くて解雇、最悪闇の中で始末されるのがオチだからな。
だがこれが何の後ろ盾もない一民間人だった場合は話しが変わってくる。
一民間人が相手ならば真相をひた隠しにした上で誘拐する事など容易い。少なくとも俺ならそうする。
だがハッキリ言ってしまえばISを起動させることが出来る男性は他に存在しない。
何故なら創り手がそう断言したのだから。
だから……
「無駄な努力…ってやつだな。」
「どったの?いきなり。」
「いや、其々の胸の内は知らんが他にISを起動出来る男なんて居ないのに何してんだか…ってな。」
「まぁね~。大体今世の中に出回ってるISだって束さんがうっかりロック掛けるの忘れて世の中に出しちゃったってだけの奴だしね~」
そう。今現在世の中に出回ってるISは女性にしか起動する事が出来ない。
それは何故か。ISの開発者たる束が男性に対して起動出来ない様に
ならば何故男性に対して制限を掛けたのか。
真相としては何とも単純。最初にISを発表した際に散々『中学生の戯言だ』『出来る訳がない』など馬鹿にしておきながら、その中から自分たちにも製作可能且つ利用出来るものを如何にも自分たちが創ったとばかりに発表したのが
それに怒りを覚えた束がISコアを作る段階で男性に対して制限を掛けたのが男性がISを起動出来ない理由だ。
因みに先程束が言っていたミスが女性に対する制限の話しだ。
本当なら束は女性に対しても制限を掛けるつもりだったらしいが、『
だがこれでは今現在ISを起動出来ない女性はどうなるのか?
それは言ってしまえば『束と千冬』この二人から歳が離れすぎている。ただそれだけだ。
それだけか?と思うかもしれないが考えてほしい。
ISを起動出来ない女性の年齢層を。明らかに二人より大分年上の女性しか居ないではないか。
ならば下はどうなるんだ?という疑問だが。これに対しても根拠はある。
ISコアは疑似AIとでも呼べば良いのか、何と呼べば良いのか解らないが。とにかく学習能力がある。
そしてISコアは人間ではなく機械だ。
機械ならば人間だと忘れてしまうだろう昔の事も直ぐに思い出す…この言い方は違うか。
機械だから探し出すか?まあなんでもいい。
とにかく機械だからな。人間では忘れている…イカン、ループしてる。
とにかくISには昔の情報がしっかり記憶されている。その中には最初の起動実験のデータ。つまり昔の千冬や束。
そのデータが残ってる故に起動出来るのだろう。
ならば今回男性である『織斑一夏』が何故ISを起動出来たのか。
これまた単純。束が
何故解除したのかは…知らん。興味もない。ただ他人に興味のない上に認識できてる男性が俺と愚弟ぐらいしかいない束の事だ。恐らく制限が解除されているのも俺と愚弟の分ぐらいだろう。
ただ、ISコアの制限を解除するには直接コアに触れなければならない事から今回
そんな事をして世界にばれたらどうするつもりなのか。
……ん?これはISコアか?No.は……新しいな。
……つまりISコアの番号ごと取り替えてきたのか。
これ以上面倒事を増やすなと一週間前に散々言ったハズなんだがな……
「あっくん?どったの~?」
「束…これはなんだ?」
「え…あ…ああぁぁぁあぁあぁぁっ!!」
「面倒事を増やすなと…前に言ったばかりだよな?ん?」
「は、はは…」
「どうやらまだ仕置きが足りない様だな。束ぇぇえっ!!」
「ご、ごめんなさ~~い!!」
ちっ!逃がすか!今度は説教6時間じゃ許さんぞ!