歴代最強大魔王は平和を望んでいる   作:個人情報の流出

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今回は結構長いです。でも、毎回このくらいの長さの方が良いんですかね?
どうなんでしょう。


ルカとリカの姉妹喧嘩

 魔界に朝がやって来ました。カミラ様とアランさんが手早くテントを片付けて、軽い朝食をとった後、見える範囲いっぱいに広がる平原をてくてくと歩き出しました。

 

 ルカちゃんは昨日と一緒で、アランさんに絡みにいっています。アランさんは否定していましたけど、やっぱりあの2匹は仲がいいと思います。

 カミラ様はコウモリを放って辺りの偵察をしています。カミラ様、流石です!

 それで、リカちゃんはと言いますと……。

 

「リカちゃん?」

 

「なんですぅ?」

 

「ルカちゃんと一緒に居なくて良いの?」

 

 私にべったりなのです。昨日はずっとルカちゃんと一緒にいたはずなのだけど、どうしたんだろう?

 

「あのですね、カレンちゃん。私たちは確かに双子ですけど、いつも一緒というわけでは無いのですぅ。双子だって、喧嘩くらいするんですよ?」

 

「っていうことは、ルカちゃんと喧嘩したの?」

 

「そうなんですぅ」

 

 そう言われてみれば、朝テントから出て来た時から、2匹は1回も会話をしてなかった。そっかー。喧嘩しちゃったのか-。

 

「何があったか聞いても良いかな?」

 

「カレンちゃんなら良いですよ。今日朝起きたときなんですけどね?」

 

 それから、ルカちゃんとリカちゃんが喧嘩した経緯を聞いた。と言うのも、いつもは朝、リカちゃんのほうが先に起きて、寝ぼすけのルカちゃんを起こすらしいんです。でも、今日はたまたまルカちゃんの方が先に起きたんだとか。それで、得意げにリカちゃんを起こしたルカちゃんは……

 

『リカは寝ぼすけですね! まったく、やっぱりリカはアタシが居ねーと駄目なんですから!』

 

 なんて言ったそうなんです。その言い草に、リカちゃんは大激怒。一通りの口論の後に、今日はお互い無視を決め込むことにしたんだとか。

 なんだか微笑ましいなぁって思って笑っちゃったら、リカちゃんに怒られました。

 

「まったくもう、ルカはいつもいつもそうなんですぅ。たまたま自分の方が私より上になったら、絶対に、『リカはアタシが居ねーと駄目なんですから』って言うんですよ? いつもは私がいないとルカの方が何にも出来ないのに! 家を建てたのもほとんど私ですし、洗濯も食事の準備も私がやってますし! ルカこそ、私がいなきゃ何も出来ない駄目な子なんですぅ!」

 

 ぷりぷり可愛く怒りながら、ルカちゃんへの文句を言うリカちゃん。彼女はその後も、たくさんルカちゃんとの思い出を語ってくれました。

 そのほとんどが、ルカはここが駄目で、これも駄目で、あれも駄目。と言った話ばかりだったけれど。1つだけ、ルカちゃんの格好いいところを語ってくれました。

 

「……ルカは駄目な子ですぅ。ですけど、1回だけ私を助けてくれたことがあったんですぅ」

 

「ルカちゃんが、リカちゃんを助けたこと?」

 

「はい。その時の私はすっごく弱くて、どうして剣の訓練をしなくちゃならないのかもよくわかってなかったですぅ。だから、剣の訓練から逃げてました。疲れるし、痛いし、今もあんまり戦うのは好きじゃ無いですぅ。それで、集落の男の子から虐められたことがあったんですぅ」

 

 よくあること、なのかな? 私はビリーブハートの子供だったこともあって、虐められるって事は無かったけれど。確かに、まともに魔法が使えない子とか、剣を振るのが苦手な子が虐められるっていうのは聞いたことがある。どんな魔物も、そう言うところは変わらないんですね。

 

「その時、ルカが助けに来てくれて。『木剣を構えて! リカと2匹なら、こんな奴らには絶対に負けねーですから!』って、言ってくれたんですぅ。それで勇気を出して、いじめっ子たちを2匹で倒して……。やっつけたとき、泣いている私を撫でながら、ルカは言ったんですぅ」

 

『まったく、リカはアタシがいねーと駄目なんですから!』

 

「って。……あっ!」

 

 そこまでを話して、リカちゃんははっとした顔をして黙り込んだ。『リカはアタシがいねーと駄目なんですから』って、その時の言葉だったんだ。

 

「ルカちゃんのこと、大好きなんだよね?」

 

 恥ずかしそうに私から目をそらすリカちゃんに、私は問いかけた。リカちゃんはこっちを見なかったけれど、確かに1つ頷いた。

 

「仲直りしないの?」

 

「……それとこれとは話が別ですぅ。今日のことはルカが悪いんですから、ルカが謝るまで仲直りしてあげないんですぅ」

 

「……そっか」

 

 私はリカちゃんの頭を撫でました。柔らかな体毛の手触りが心地よくて、つい夢中になって撫でていると、顔を真っ赤にしたリカちゃんに怒られました。

 

「むぅ! 子供扱いしないで欲しいのですぅ!」

 

「ふふ、ごめんね、リカちゃん」

 

 その背伸びが、可愛くて、愛おしくて……

 

「リカちゃん。私達が中枢都市へ帰ったあとも、友達でいてくれる?」

 

 つい、そんなことを言ってしまいました。

 魔王城では、あんまり友達と呼べる魔物が居なかったんです。仲の良い魔物はどちらかというと同僚という感じで。思えば、魔王軍に入ることを目指してから友達なんて1匹も居なかった。

 

「ふぇ? ……もちろんなのですよ。カレンちゃん!」

 

 だから、そう言って貰えた時、私はすごく嬉しかった。それと一緒に、どこか安心しました。

 

「……ありがとう。リカちゃん」

 

「? どういたしましてですぅ」

 

 私はリカちゃんの手を握りました。わ。肉球がプニプニで気持ちいい。リカちゃんはそれに少し戸惑ったけれど、すぐにぎゅっと握り返してくれました。

 それから私たちはしばらく、2匹で手を繋いで平原を歩いていました。

 

 

 

 その村に着いたのは、日が傾きかけたその時でした。まだ休むには早い時間ですが、カミラ様が言うには、この先日が沈むまで歩いても村は無いとのこと。だから無闇に歩くよりも、ここで休んだ方が良いだろうって言っていました。

 

「やあ、村長。久しいな」

 

「あなたは、カミラ殿ではありませんか! あぁ、お久しぶりです」

 

 カミラ様と、この村の村長らしきオークの老人がぐっと握手を交わしました。なんとも親しげなご様子。2匹は、面識があるのでしょうか?

 

「カミラさん、お知り合いですか?」

 

「ああ。15000年ほど前に滞在していた村だよ、ここは。特に村長とは仲良くさせて貰っていて、匿って貰う代わりにそこそこ実践的な拠点防衛の術を教えたりしていた」

 

「その節は、大変お世話になりました。カミラ殿」

 

「わ。すごいですね。それだけで、15000年もこの場所に村が残ったって事ですか?」

 

 私がそう言うと、村長さんはニッコリと笑いました。

 

「この村には手練れの物が多いのです。村自体はもうずっと昔から存在していました。ここに移ってきたのは、そうですね。30000年は前になりますか。それだけの歴史を持つ村ではありますが、カミラ殿の防衛術が無ければ人魔大戦時に滅んでいたでしょうなぁ。本当に、カミラ殿には感謝してもしきれませぬ」

 

「私は少し知識を与えただけさ。それを物にして、ここまで生き残ってきたのはこの村と、村長の実力だ」

 

 運が悪ければたった数年単位で集落が滅びてしまうような人魔大戦期も乗り越えて村が存続しているなんて、本当にすごいことだと思います。特にこの北西地区は、現在進行形で山賊の蔓延る治安の悪い地区なのに。

 

「それとな? 実は、村長は大魔王軍の物以外で私がヴァンパイアであることを知っている唯一の魔物だったりする」

 

「ちょっと待ってください、僕たち以外にも知ってる魔物居たんですか!?」

 

「まあ、村長だけだがな」

 

 カミラ様はお茶目にウインクをして答えました。そんなカミラ様も素敵ですね!

 

「カレンちゃん、さっきから銀髪のおねーさんを見てお顔が輝いていますけど、どうしたんですぅ?」

 

「え? あぁ、えと、なんでも無い、なんでも無いのよリカちゃん!」

 

 顔に出てたみたいで、リカちゃんに指摘されちゃいました。……何故でしょう。やっぱり、カミラ様を見ると頬が熱くなって、鼓動が早くなります。……私って、同性愛物なんでしょうか? この感情はおかしいのかなぁ……?

 

「それで、カミラ殿。今回はどのような用事でこちらに?」

 

「私達は今、シトロンへ向かっているのだ」

 

「ほう、シトロン。というと、あと1日はかかりますな」

 

「そう。だから、今日はこの村で休ませて貰いたいのだ。私含めて5匹なのだが、いいかな?」

 

「もちろんですとも。カミラ殿の頼み、断るわけにはいけませぬ。すぐに部屋を用意させましょう」

 

「ありがとう。助かるよ」

 

 スムーズに話が進んでいって、びっくりです。だって、魔王軍での行軍中に村に立ち寄るときなんか、すごく嫌な顔されるんですもの。まあ、それもそのはずで、軍の物を村に泊めるなんて厄介ごとを呼び込むような物ですし、仕方ないんでしょうけど。やっぱりカミラ様ってすごいんですね!

 

 

 この村はオークの村でした。村というのは基本的に1つの種族のみで形成されるコミュニティなので、村長さんがオークである時点でここがオークの村だと言うことは確定していたんですけどね。

 日もとっぷりと落ちた頃、私達の部屋に食事が運ばれてきました。運んできたのは、村長さんと、その奥様らしきお婆さまです。大きな鍋を私達の前にさし出しました。

 鍋の中にはいくらかの野菜と穀物。それに、鍋の半分を占めるお肉。ただのお鍋とは思えません。中枢都市では見たことの無いお料理ですが、これはどんなお料理なのでしょうか?

 私が気になっていると、私達5匹に小さい器を配り終えたお婆さまが、料理の説明を始めました。

 

「これは我々オーク族に古くから伝わる料理である、『獣鍋』でございます。大切なお客様のおもてなしや、祭事の時などに作られた料理です」

 

「我らオークは、獣狩りを生業とする種族です。その皮を、肉を糧として生きてきました。しかし、獣が狩れることなどほとんど無く、狩った獣のほとんどは干し肉にしなければなりませんでした。このように獣の肉を豪勢に食べられたのは、珍しく大猟となったときだけでした。オーク族の最大の贅沢。それは、今ここにある獣鍋に他なりません」

 

「我々の1番の贅沢で、皆様に1番のおもてなしを。これがオークのおもてなしでございます。皆様、どうかお召し上がりください」

 

 

 オーク族の、伝統料理……。こうやって背景を伝えられると、やっぱりこのお料理はオークにとって大切な物なんだなと、改めて感じます。それに伴う、私たちをもてなしたいという気持ちも。

 私が経験した行軍は2回だけですが、こうして食べ物を、それもその種族の伝統料理をいただけたことなど1度もありませんでした。

 オークの村長夫婦に、心の中で感謝をして。お玉で自分のぶんを器にとって、まずはごろごろと大きく切られたお肉から一口。

 

「おいしい……!」

 

 驚きなのは、しっかりとした歯ごたえなのに筋張っていなくて食べやすいことと、特有の臭みが全くないこと。獣の肉は筋が多く、臭みが強くて食べにくいのに。

 

「おいしいだろう? 獣鍋は、昔私がこの村を出る前日に出して貰った物なんだ。あの味が忘れられなくてな。これをアランやカレンにも食べて貰いたかった。……私がシトロン行きになって。そして、この村が今に至るまで残っていて本当によかった」

 

 私の右隣に座るカミラ様が、上品にお肉を食べながら言いました。……そっか。カミラ様が居なかったら、こんなに美味しいお鍋を食べることも出来なかったんですね。

 

「そうですね、カミラ様。本当に、ありがとうございます。私、シトロンチームに入れてよかったです!」

 

 最初は緊張していましたし、ヴァンパイアのカミラ様や、私よりも年下なのに大魔王軍に入隊した、天才剣士のアランさんと同じチームでちょっぴり怖かったけれど。カミラ様もアランさんも優しい魔物だったし、ルカちゃんとリカちゃんにも出会えた。……私、このチームに入れて本当によかった、と。そう思います。

 心のままを伝えると、カミラ様は一瞬目を丸くしましたが、その顔はすぐに優しい笑顔に変わりました。

 

「そうか。それはよかった。ああ、私への感謝もいいが、村長と奥さんにもお礼を言っておけよ」

 

「はい! 村長様、奥様も、ありがとうございます!」

 

 左を見れば、アランさんが驚きの表情でお肉を見ています。ルカちゃんとリカちゃんは恐る恐ると言った様子で食べ始めましたが、このお肉のおいしさに気づくと、がっつくように食べ始めました。そう、器に口を直接付けて、貪るように……

 

「って、ルカちゃんリカちゃん! その食べ方駄目! みっともないですよ!」

 

「えー? こんな美味しい物、がっつかなきゃ損ですよ?」

 

「コボルトなりの、素晴らしく美味しいご飯に敬意を示す食べ方なのですぅ」

 

「うっ……そ、そうなの?」

 

 種族の違いのことを持ち出されると、ちょっと苦しい。デーモンの中ではみっともないことでも、コボルトにとっては尊敬を表す行動なら仕方ないのかもしれない。

 

「……でも、カレンちゃんが駄目って言うならやめるですぅ」

 

 でもリカちゃんはそう言うと、器から口を離しました。

 

「そんちょーさん! 何かお口拭く物くださいですぅ!」

 

 村長さんはニッコリと笑って、家の奥に何かを取りに行きました。

 そして、私が注意した後もがつがつと器に口を付けて直接ご飯を食べるルカちゃんをじろりと睨んで、リカちゃんが言いました。

 

「やめなさいって言われても辞めないなんて、聞き分けの無い子なんですねぇルカは」

 

 すると、ルカちゃんが器から口を離して、むっとしたような口調で反論します。

 

「リカこそなんですか。いくらカレンちゃんの言うことでも、敬意を示す食べ方を辞めちゃうなんて! それでもコボルトですか? コボルトの作法を辞めちゃうなんて、リカは駄目な子なんですね!」

 

 ルカちゃんとリカちゃんは、互いに歯を剥き出しにして、グルルルル、とうなり出します。どうやら威嚇し合ってるみたいです。

 これはまずいかも。喧嘩になる前に止めないと。

 

「リカちゃん、辞めなさい。食事中に喧嘩は駄目!」

 

「ルカもそこまでにしておけよ。喧嘩の続きはまた後でも出来るでしょう」

 

 私がリカちゃんを諫めると、アランさんもルカちゃんに注意してくれました。ルカちゃんとリカちゃんは威嚇を辞めて、お互いに睨み合った後に、

 

「「ふん!」」

 

と、顔を背けてしまいました。ルカちゃんはそのまま再び器に口を付けて食べ始め、リカちゃんは村長さんに持ってきて頂いた布巾で丁寧に口を拭った後、食器を使って獣鍋を食べ始めました。

 結局、2匹はこの食事中に会話をすることは、もうありませんでした。……なんとか仲直り出来れば良いなぁ、とは思うのですが、それも難しそうです。

 

 食事も終わり、私達は眠ることになりました。私達女性4匹と、男性であるアランさんは別の部屋です。それは当たり前なんですけど、アランさんだけ一室まるまる使って良いというのは、ちょっぴりずるい気もします。

 寝床に布団を敷いて寝ることになったのですが、昨日は一緒に眠っていたルカちゃんとリカちゃんは、今日はめいっぱい布団を離していました。リカちゃんは私の隣に。ルカちゃんはそれを恨めしそうに見ながら、カミラ様とも離れた端っこの方。入り口の近くに布団を敷きました。……一緒に寝たいなら、意地を張っていないでこっちに来れば良いのに……。

 

「ねぇ、リカちゃん。ルカちゃんと仲直りしないの?」

 

 見るに見かねて、私はリカちゃんに小声で話しかけます。結局今日はあの夕食での一件以外で話しているのを見ていないし、ちょっぴり心配です。

 

「さっきも言ったとおり、ルカから謝ってこないと許してあげないのですぅ」

 

「……そっか」

 

 リカちゃんはそう言うと、そのままルカちゃんに背を向けて眠ってしまいました。私は、その背中におやすみなさいと声をかけます。

 ……ルカちゃんとリカちゃん、どうにか仲直りできればいいんですけど。これ以上は2匹の問題で、あんまり踏み込んでしまうのもどうかと思ってしまいます。

 

「あんまり心配しすぎるなよ、カレン」

 

「え?」

 

 もう眠ってしまっていたかと思っていたカミラ様が、むくりと起き上がって話しかけてきました。今の私とリカちゃんの会話、聞かれちゃってたみたいです。

 

「2匹は双子なわけだし、今までもこのくらいの喧嘩はあっただろう。何、明日になれば自然と仲直りしているさ」

 

「そういうものなんですかね……?」

 

「そういうものさ。私も昔……大昔はよく妹と喧嘩したものだ」

 

 カミラ様って、妹さん居たんだ。

 

「妹さん……妹さんも、旧魔界暦のヴァンパイア殲滅の時に?」

 

「いや。多分……それよりもっと昔に死んでいる。死ぬ前に、一目くらいは会いたかったものだがな……。それも叶わなかった」

 

 カミラ様は笑いました。その笑顔はどことなく寂しそうで、私は次にかける言葉を見つけることができませんでした。

 

「カレンはしたこと無いのか? 兄妹喧嘩。確か、お兄さんが居たと話していたよな?」

 

 私が返答に困っていると、カミラ様が空気を察したのか話題を変えてくれました。少し、申し訳ない気分です。

 

「はい。兄様とは……喧嘩なんて、1度も。兄様はいつも優しかったですし、私の憧れでしたから。喧嘩なんて出来るはずないです」

 

「そうか。良いお兄さんだったんだな」

 

「はい! すさまじい炎を操る、私の自慢の兄でした!」

 

 私はちょっとだけ、本当にちょっとだけ兄を思い出して、そう言いました。……思い出しすぎると、泣いてしまうから。

 

「でも、兄妹喧嘩をしたことがないならわからないかなぁ。案外喧嘩なんて、一晩明ければ忘れていたりするものさ。だからそんなに心配はいらないよ。明日も喧嘩が続くようなら、叱りつけて無理矢理謝らせれば良い」

 

「そっか。そうですね」

 

 カミラ様のおかげで、ちょっとだけ心配がなくなりました。この遠征に参加してから、カミラ様には頼りっぱなしです。

 

「じゃあそろそろ寝ようか。明日も早いからな」

 

「はい。そうしましょう。おやすみなさい、カミラ様」

 

「おやすみ、カレン」

 

 うん。心配しなくて良い。きっと大丈夫だ。私は布団に横になりました。

 ……この、ちりちりと肌を焼くような嫌な予感だって、きっと気のせいだから。だから、大丈夫だと、自分に言い聞かせて。私は眠りにつきました。




用語解説のコーナー

アニタ「さあ! 今回もやってまいりましたこのコーナー! 最近本編がちょっとしんみり気味だからテンション高めで行きますよ! 大魔王のアニタです!」

アラン「それはそれで面倒くさいので落ち着いてください。アランです」

ルカ「ついに用語解説に出張ですよー! 大山賊のルカです!」

リカ「皆さんいつもお世話になっておりますですぅ。ルカの妹のリカですぅ!」

アニタ「と言うわけで、今回はこのメンバーでお送りしますよー! いえーい!」

ルカ「いえーい!」

アラン「……本編で出会ってない魔物同士がここで出会うって良いんですか?」

アニタ「アラン、この休みがちな用語解説コーナーが最初に始まった頃、私は言ったはずですよ? ここはメタ空間であると! 本編で出会っていようがいまいが、この空間にいればTOMODATI! なのです!」

ルカ「TOMODATI!」

アラン「ああ、はい、ならもうそれでいいです」

リカ「アランさんアランさん、大魔王様ってずっとあんな感じなんですぅ?」

アラン「ん? あー、まあ、ほとんどあんな感じだけど」

リカ「大魔王のイメージに対する冒涜ですぅ」

アラン「リカ、お前よくそんな言葉知ってるな」

リカ「私はルカと違って賢いんですぅ」

アラン「納得だよ。うん」

アニタ「さて、ではそろそろ始めて行きましょうか! 今回解説するのは、こちら!」

コボルトとは?

アニタ「です!」

アラン「まあ、ルカとリカがここにいる時点で薄々察しては居ましたよ」

ルカ「アタシも張り切って解説するですよー!」

リカ「ルカに解説なんて出来るんですぅ?」

ルカ「当たり前です! なんてったってルカは大山賊なんですからね!」

アニタ「期待していますよー! では、簡単な解説から。コボルトは、犬型の魔物です。体毛は赤。もふもふとした毛は大変触り心地がよろしいです」

ルカ「毛並みを保つためのケアは欠かせないのです!」

リカ「ルカは面倒くさがるからいつも私がやってるんですけどね」

ルカ「うるさいですよリカ!」

リカ「私たちは色んなものを食べますけど、皆お肉が大好物ですぅ。お野菜や木の実が苦手なコボルトはいっぱいいますけど、お肉が嫌いなコボルトは1匹も見たこと無いですぅ」

アニタ「私もお肉が嫌いなコボルトは見たこと無いですね。ポニもお肉が大好きでした」

アラン「ポニ? 誰ですそれ?」

アニタ「大魔王軍にいるコボルトの子です。そのうち会えると思いますよ」

アラン「なるほど。それで……他に解説するところは?」

ルカ「……」

リカ「……」

アニタ「……」

アラン「無いのかよ……」

アニタ「はい! と言うわけで、今回の用語解説はここまで! お相手は、アニタと?」

アラン「アランと」

ルカ・リカ「ルカとリカでした!」

アニタ「バイバーイ!」

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