歴代最強大魔王は平和を望んでいる   作:個人情報の流出

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どうも。お久しぶりの投稿です。
ポケモン小説にかまけてたり、1番始めに投稿していたモノクロ。のほうを完結させるためにペースを上げていたりであんまり手を付けていませんでした。
今後はなるべくお待たせしないようにせねばとは思うのですが……結構遅れていくと思います。気長に待っていただけると嬉しいです。


セシルとセシリアの騒がしい休日

「セシリア、荷造り終わった?」

 

「あら、セシル」

 

 ちょうど荷物を纏め終わったとき。姉であるセシルが私の部屋に尋ねてきた。どうせまた、私のことが心配できたんでしょうね。

 セシルは過保護なものだから、よく私の部屋に訪問に来るの。ちゃんとご飯食べてるの? とか、訓練してる? とか。セシルに言われなくてもちゃんと出来てるというのに、ね。まったく嫌になっちゃう。

 

「心配しなくても終わってるわ。もう子供じゃないんだから、いちいち来なくてもいいわよ」

 

「ああ、違うの。今回は心配で来たんじゃなくて」

 

 あら? 心配で来たんじゃないの? セシルが私のことを心配しないなんて珍しい。

 

「なら、なんの用事?」

 

「うん。セシリアが荷造り終わっているなら、お買い物にでも行こうと思って」

 

「お買い物! セシルも気の利いた提案できるじゃない!」

 

「……セシリアは私のことをなんだと思ってたの?」

 

 おっと、口がすべった。反省反省。セシルったら美人なのに服とか無頓着だから。いつもいつも私が買った物の色違いばっかり着て。少しは自分に似合う服装って物を探してもいいと思うのだけど。

 まあ、私の服の色違いでも着こなしてるから問題は無いのだけどね。

 

「細かいことは気にしない! 今日はどこへ行くの、セシル?」

 

「む……何か誤魔化されている気がする……まあいっか。魔王街の方まで行こうと思って」

 

「珍しい! いつもは食べ物はあるからここの商店地区でいいって言うのに!」

 

「だから! セシリアは私のことをなんだと思ってるの!」

 

「うーん……食いしん坊?」

 

「ちょっとセシリア!」

 

 思ったことをそのまんま言ったら、セシルが真っ赤になって怒り出しちゃった。

 でも、セシルったら食べ物ばっかりなんだもの。焼いた芋とか、揚げ肉とか、露店で売られてたらすぐ買ってぱくぱく食べちゃうし。香辛料とか見て回って、何が楽しいんでしょうね? 女の子としてどうかと思わない? 私は思う。

 それなのにスレンダーなのがなんだかずるいのよね。本当に。

 

「はいはいわかりました。私が悪かったわ。じゃあ行きましょうセシル。お仕事前の楽しい休日を楽しみに!」

 

「あ、ちょっとセシリア! まだ話は終わってなーい!」

 

 いつもの通り姉妹喧嘩をしながら、私とセシルは部屋を出る。

 うんうん! 仕事前の、楽しい休日になりそうね!

 

 

 

 

 

 時間はお昼ちょっと過ぎ。私とセシルが喧嘩をしながらあぱーとから出た時のこと。

 

「おや? セシルとセシリアじゃないか」

 

「あれ、カミラ先輩?」

 

「カミラ姉さん! 奇遇ね」

 

 あぱーとの前で偶然、カミラ姉さんと出会った。

 ……あら?カミラ姉さん、なんだかいつもより身長が低い? ……気のせいかしら?

 

「セシルとセシリアは、もう遠征の準備終わったのか?」

 

「はい。終わりました」

 

「私たち、今からお買い物に行くところなのよ」

 

「そうか。それはいい。しばらくここには戻ってこられないだろうから、楽しんでくるといい」

 

 カミラ姉さんは美しく微笑みながら言った。

 カミラ姉さん、本当に綺麗なんだけどなぁ。女の子とみれば見境無く血を吸いに行くあの行動さえなければ。

 残念な美女って、カミラ姉さんみたいな物のことを言うのかしら?

 

「先輩は何をしているんですか?」

 

「私か? 私は……そうだな。散歩、と言ったところかな」

 

「散歩?」

 

「そう。情報収集が終わるのを待つまでの散歩」

 

 そう言ったカミラ姉さんの許に、1匹の小さいコウモリが飛んできた。

 カミラ姉さんはすっと人差し指を空にかざした。コウモリはその指に止まって、そのままカミラ姉さんに溶け込んでいった。

 

「カミラ姉さん、何かいつもより小さいと思ったら、コウモリをたくさん放ってたのね」

 

 カミラ姉さんはヴァンパイア。自分の体をコウモリに変えて、広範囲の索敵や探索が出来るっていう、すごく羨ましい能力を持っている。

 ただ、自分の体をたくさんのコウモリに変えると、サイズが小さくなっていくらしい。完全な状態のカミラ姉さんも綺麗だけど、小さいカミラ姉さんもすごく可愛い。

 

「ああ。10分の1ほどな。これから行くシトロンまでのルートを確認したり、危険に繋がる情報を先んじて集めておこうと思ったのだ」

 

「新しく入ってきた、アラン君って子のためですか?」

 

「ああ。青年も魔王城での経験があるとは言え、大魔王城での仕事は初めてだ。気を付けて困ることもないだろう?」

 

「……アラン君、かぁ」

 

 アラン君、私と同じ風元素の、加速魔法使いなのよね。それも制御の天才とか。その実力たるや、カミラ姉さんを唸らせたほどだとか。

 ……正直、まだ18000年しか生きていない子がそこまでやるなんて、信じられないし本当なら悔しい。一度模擬戦してみたいな、なんて私は密かに思っている。

 

「何々セシリア。もしかして、アラン君と模擬戦したいとか思ってる?」

 

「うぇ!? な、何を言うのよセシル! 私そんな事考えてないわ!」

 

「青年と模擬戦か。うむ。いいんじゃないか? 同じ風元素の加速魔法使い同士。セシリアの加速中の武器捌きは青年にとっていい勉強になるし、青年の加速制御もセシリアにとっていい勉強になるだろう」

 

「ええ、カミラ姉さんまで……。私、そんなに顔に出てたかしら?」

 

「出てたよ」

 

「出てたな」

 

「えぇー……?」

 

 うーん、これから表情には気を付けようかなぁ。私だって女の子だし、キスカ姉さんみたいな戦闘狂だとは思われたくないものね。

 

「さて。私はそろそろ別の場所へ行くとしよう。そうだ、今度会ったときは血を吸わせてくれないかな?」

 

「絶対いやです」

 

「絶対に嫌よ」

 

「それは残念」

 

 カミラ姉さんは肩をすくめてふっと笑うと、そのまま畑の方向へ向かって、軽く手を振りながら歩いていった。

 いつもこんな風に普通に話してくれれば、いい先輩なのにね。カミラ姉さんって本当に残念。

 

「む、セシリア、今カミラ先輩に失礼なこと考えてない?」

 

「え、えぇ? か、考えてないわよ、そんなこと」

 

「ええー? 本当かなぁ?」

 

「本当よ! さあ、早く魔王街に行きましょ!」

 

「はいはい。わかりました」

 

 私はセシルをお姫様だっこで抱えて、風魔法を使って素早く魔王街へと向かう。

 ……はぁ。本当に私の考えてることが顔に出る癖、直さなきゃダメかも……。

 

 

 

 

 

 所変わって、魔王街。私、セシルと、妹のセシリアは今。魔王街にお買い物に来ています。

 

「絶対絶対ぜっっったいに! お洋服を見にいくのが1番よ!」

 

「いいえ、お肉屋さんに行って食べ物を買うのが1番!」

 

 ……そして。ただいま絶賛姉妹喧嘩中なのです。

 仕事前に2匹でお買い物を楽しもうとしていたのにどうしてこんなことに……。でもでも、久しぶりの魔王街、やっぱり美味しい食べ物を食べ歩きしてこそお買い物じゃないですか!?

 何着も持ってる服をまた見にいくとか、時間の無駄だと思うんです、私!

 それなのにセシリアったら服にアクセサリーに、お洒落のことばーっかり! 体型ばっかり気にして少ししかご飯食べないし。もうちょっと美味しいものを食べる喜びを知ってもいいと思うんだけどなぁ。お姉ちゃん心配です。

 

「食べ物食べ物って! セシルはぶくぶく太りたいの!?」

 

「食べてもその分運動してるから太りません太ってませんー! セシリアは買い物のたびに見るだけじゃない、買わないと買い物じゃないってば!」

 

「私のお買い物はウィンドウショッピングって言うの! お買い物に行くたびにお金使ってたらすぐお金無くなっちゃうじゃない!」

 

「……ウィンドウショッピング? 何それ、窓を買うの?」

 

「……セシルって馬鹿?」

 

「う、うううるさい! とにかくお肉!」

 

「服!」

 

「お肉!」

 

「服!」

 

「おーにーくー!」

 

「ふーくー!」

 

 ……うん。不毛。不毛ですね。わかってるんだけどやめられません。女には負けられない戦いってものがあるんです! ……でも見苦しいよね、これ……。

 そんな見苦しい姉妹喧嘩は、ある魔物の介入によって終止符が打たれるのです。

 

「……何やってるんですか先輩方」

 

「またあったな2匹とも。ちょっと血を吸わせてくれないか?」

 

 いつもよりちょっと静かなルーシアちゃんと、再び出会ったカミラ先輩の介入によって。

 

 

 

 

「昨日の一件でルーシアがだいぶへこんでいたみたいでな。気分転換にいいだろうと思って連れてきたのだ」

 

「……」

 

 いつもの元気がないルーシアちゃんを心配そうに見つめながら、カミラ先輩はそう言った。

 まあ、初対面であれだけ言われちゃったらねぇ。そりゃへこむと思う。リンド君の言ったこと、なんだか地雷っぽかったし。いつもはその場ではしょげても次の日には元気が戻っているから、今回は本当に重症みたいです。

 まったく、大魔王様もよりにもよってリンド君とルーシアちゃんを組ませるとか、何を考えているのでしょう。

 

「で、その……ルーシアちゃんが飲んでいるのは、何?」

 

「……うぇ?」

 

 そう。さっきからルーシアちゃん、何か飲んでるの。どこのかしら? なんの飲み物なのかしら? 美味しいのかしら?

 

「ちょっと、お姉さんに教えて貰えないかなぁ……?」

 

「え? ええ、ええと……だ、第2商店街にある喫茶店の、ミックスジュース、ですけど……」

 

「あーりーがーとー!」

 

 うん。ルーシアちゃん大好き! 抱き締めちゃうくらい!

 

「わわっ!? ち、ちょっとセシルさん、苦しいですー!」

 

「ち、ちょっとセシル! 力加減しないと! ルーシアちゃん折れちゃうわよ!」

 

「え? あ、ごめん!」

 

 私がルーシアちゃんをぱっと離すと、ルーシアちゃんはへなへなと地面にへたり込んだ。……そうだった。人型とアークデーモンじゃ結構な筋力差があるの忘れてた。

 

「もう、セシルはすぐ周りが見えなくなる! そう言うところ直さなきゃダメよ?」

 

「む! セシリアだって……」

 

「はいはいこれ以上はストップだ。ここは魔王街のど真ん中だぞ? もう少し恥を持て。2匹とも、すぐに周りが見えなくなるからな」

 

「「……はい、すみません」」

 

「うむ。よろしい。わかったなら血を吸わせてくれ」

 

「それは嫌です」

 

「それは嫌よ」

 

「なぜだ! どうして!」

 

 そんなカミラ先輩の様子に、笑いがおこる。いつの間にかルーシアちゃんも楽しそうに笑ってて……。よかった、これで立ち直れそうかな。

 ともあれ私たちの休日は、騒がしくも楽しいものとなりました。また皆と、こんな日を過ごせたら嬉しいな、と。私は思うのでした。

 

 そして、日は暮れて……私たちは、大魔王城のアパートに戻ってきました。

 

「それじゃあね、セシリア。また明日、頑張ろう!」

 

「ええ、セシル。ヘマしたら許さないわよ」

 

「そっちこそ。突っ込みすぎて死んだりしないでよ?」

 

「ふふ。大丈夫よ」

 

 私たちはセシリアの部屋の前で、拳を突き合わせる。デーモン族が戦いに赴く前に、その相棒と共に行うちょっとした儀式です。

 私たちは任務や戦闘の前、必ずこれをやって、別れます。

 願わくば、両方無事に戻ってこれますように。

 私たちは偉大なる祖のデーモンに、そう祈るのです。




アニタ「用語解説、始まりますよ! 拍手拍手ー!」

セシル「わ、わー! ぱちぱちぱちー!」

セシリア「何くだらないことしてるのよ大魔王様」

アニタ「え、ええ!? くだらないって酷くないですか!?」

セシル「セシリア馬鹿! 大魔王様に失礼じゃない!」

セシリア「セシル……時にははっきりと言ってあげることも、優しさなのよ……」

セシル「そういうことじゃないでしょー!」

アニタ「そうですか……くだらないんですね、私……今までずっと、アランもそう思ってたんですかね……」

セシル「あーあー大魔王様! くだらなくない! くだらなくないですから話を進めてください!」

アニタ「はっ! そうでした! 用語解説しなきゃ! え、ええと、今回の用語解説はこちらです!」

 デーモン、アークデーモンについて!

アニタ「今回はこちらの解説をしますので、アークデーモンであるセシルとセシリアをゲストにお呼びしました!」

セシル「皆さんこんにちは。アークデーモンのセシルです。火元素と闇魔素の2属性持ちで、得意分野は攻撃魔法。得物は長刀です。よろしくお願いします!」

セシリア「え、そういう自己紹介するの? 私も?」

セシル「もちろん! 頑張ってセシリア!」

セシリア「うーん……わかったわよ……。えー、皆さんどうも。アークデーモンで、セシルの妹のセシリアよ。風元素と闇魔素の2属性持ち。得意分野は風属性の加速魔法。得物は長槍ね。よろしくお願いするわ」

アニタ「はい! 自己紹介ありがとうございます! さてさて、早速解説に入っていきましょう!」

セシル「デーモンは、旧魔界暦より存在する古種族。悪魔の中でも絶対的上位の存在です」

セシリア「旧魔界暦では魔法を使えた数少ない種族の1つね。だからこそ、私たちデーモンは皆、闇魔素を持って生まれるのよ」

アニタ「2匹とも、ありがとうございます! では次に、デーモンとアークデーモンの違いについて!」

セシリア「デーモン生まれ持った得意分野によって、2つに分けられるの。1つは、武器を使った近距離戦闘が得意なデーモン。このデーモンは筋力が高くて、魔力がちょっと少なめね」

セシル「もう1つは、魔法を使った中、遠距離戦闘が得意なデーモンです。こちらは魔力が高くて、筋力は控えめです」

アニタ「そして。極まれに、その2つのデーモンとは違うデーモンが生まれるんですよね?」

セシル「はい。筋力も魔力も高いデーモン。これを魔界はアークデーモンと呼びます。アークデーモンは、我らが偉大なる祖のデーモンに最も近い存在とされています」 

セシリア「アークデーモンが生まれるのはかなり珍しいのよ。もちろん、姉妹揃ってアークデーモンなんて滅多にないの。私たちはとても珍しいケースなのよ」

アニタ「はい! ありがとうございました! これから種族の解説をするときは、こうやってその種族の魔物をお呼びすることになると思います。皆さん、温かい目で見守ってくださいね! お前がサボりたいだけだろとか言わないでくださいね!」

セシリア「ねえねえセシル。大魔王様また自爆してるわよ」

セシル「セシリア馬鹿! 大魔王様に失礼だってば! ほーらー涙目なってる!」

アニタ「そ……それでは、この辺りで……また次回! お会いしましょう! バイバイ!」

セシル「皆さん今回はありがとうございました!」

セシリア「またお会いできたら嬉しいわ」

セシル・セシリア「またいつか!」

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